Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

我が家でも考え中〜『中学受験、する・しない?』

中学受験、する・しない? (ちくま新書)

中学受験、する・しない? (ちくま新書)

中学受験ブームが起きているらしい。
新書も結構な数が出ている。
受験手帳 中学受験―わが子をつぶす親、伸ばす親 (生活人新書) わが子を有名中学に入れる法 (PHP新書) 父と子の中学受験ゲーム (朝日新書)
学校崩壊など、公立高校の問題について報道で取り上げられるたび、4歳児と0歳児のいる我が家でも話題に上ることがあるし、実際に受験させるかどうかは別として、子を持つ親にはある程度関心のある話題なのだろう。
確かに金銭的な問題はある。でも、明日、ロト6で3億2千万円当てるかもしれないじゃないか。金銭面のみで、中学受験を否定するのはやめて、少し考えてみよう。
というときに、図書館で見かけて「タイトル借り」した本がこれである。
〜〜〜
前置きが長くなったが、そういう風に、まじめに考えようと思う人にとって、それほど助けにはならない本である。それは、著者が2人の娘を中学受験させた体験記的な内容を含むだけでなく、本書の2章タイトルが「小学校受験か、中学校受験か」となっていることでもわかる。つまり、基本的には、小中学の段階で受験させるのが前提で、なお悩みたい人を対象とした本といえる。
3章「なぜ中学受験を選んだか」を読んでも、「二人の娘が喜んでいるので中学受験はよかった」「作者個人としては、公立中学→高校受験でよかったが、時代が変わった」程度の話しか載っておらず、客観的なアドバイスは得られそうにない。
本書から離れると、確かに、一部の公立高校のよくない噂は聞く。先日読んだ『公立炎上』*1も凄まじい内容で、途中で読むのが嫌になって投げだしてしまった。しかし、そういった情報がどの程度実際を反映しているのか?地域性があるのか?はわからない。したがって、「金銭問題」に加え「炎上問題」については考慮しないかたちで少し考えてみる。
自分はどうだったか。
自分は中学校まで地元の学校で、高校受験→大学受験というコース。弟は自ら望んで中学受験で中高一貫校に行ったが、二人とも、それぞれうまくやっていたように思う。高校受験のない弟がのんびりやっていたかといえば、周りの意識が高かったからか、しっかり勉強していた。(むしろ中学受験どうこうよりも男子校(女子校)か共学校かの方が、問題かと・・・。)
ということで、自分に引き付けても何だかよくわからないなあと思う中、よく読んでいるコラムにピッタリの記事があった。

このテーマ第一回では、中学受験の過熱が受験産業によってもたらされている部分が大きいことを指摘したあと、「中学受験のリスク」が大きく3つ取り上げられている。

  • 受験を機会とした親子関係の崩壊(小学校時代は親子関係の土台を築く時期)
  • 不合格時の子どもの挫折感(合格してもギリギリの場合は入学後に挫折感)
  • 中高一貫ではキャラを変える期間を失う(6年間同じ人間関係が続く)

特に3つ目は面白い指摘で納得もできるが、小中9年間同じ人間関係が続くことを嫌う場合は、むしろ同じ理由で中学受験がおススメということになる。やや一方的な中学受験批判論なので、今後アップされる第二回以降、どうバランスをとるか楽しみだ。
コメント欄では、反論も多く、公立校への信頼のなさがうかがえる。最近、閣議決定された「教育振興基本計画」では、先生の数を増やすなど教育投資を引き上げる数値目標が盛り込まれない結果になったというが、今後も、公立の学校に大幅な変化が生じることはないことが示されたのだともいえる。少なくとも小学校は公立に行かせるはずだから、少し気がかりだ。


とはいえ、受験しようにもある程度、勉学の才があってのこそ。*2まずは、うちの子に、いろいろなことに興味・関心を持ってもらい、考えさせる力を身につけさせることが重要だ。そのためには、本書8章「親の心得」でもあるように、子どものしつけや怒り方、信頼関係の構築など、今、一生懸命に取り組むことが目白押し。中学受験のことは頭の片隅に追いやって、まずは楽しい家族を!

*1:asin:4334934056←『公立炎上』は、休職中の現役高校教師の暴露本的な内容。確か裏面に「私は、学校のパラサイトである」と書いてあった。学校批判する自分を自己批判しながら本を書く状況がそもそも病んでる。病んでるのだが、こういう暴露本を書く人が勤めている高校に行かせるはめになったら・・・と思うと、やはりちょっと怖くなる。

*2:そして東京などの首都圏に住んでいないと選択肢がほとんどないのも事実