- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/08/26
- メディア: 単行本
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5話は全く別々の話だが、日曜日を冠したタイトルだけでなく、どの物語にも端役として少しずつ登場する二人の兄弟がいることで、一連の物語として読める。最終話では、彼ら兄弟にスポットライトが当たり、ハッピーエンドとなることから、まとまりもよく後味のさわやかな作品として読めた。
なぜ日曜日?
ところで、なぜ「日曜日」なのか。読んでいる途中は気にならなかったが、図書館に返却してから気になってきた。まず、すべての短編に共通するのは、親しい人との「別れ」だった。そして「別れ」だけでなく、そこから這い上がり、やりなおすという「新生」が大きなテーマとなっていたように思える。実際、日曜日はイエス・キリストが復活した日であり、遥か昔から、「始まりの日」だったのだ*1。そう考えると、「別れ」と「新生」、過去との別れと未来の始まりの象徴が日曜日ということなのだろう。
逆にいえば、日曜日を「終わり」として意識するか「始まり」として意識するかで、日常生活というものは、大きく様相を変える。久恒啓一先生が、“仕事は「日曜の夜」から始めなさい! ”というのも、実感としてわかるし、そういう風に意識し、習慣づけていかなくてはならないなあ。
- 作者: 久恒啓一
- 出版社/メーカー: 廣済堂出版
- 発売日: 2008/07/28
- メディア: 単行本
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7と言う数字
ところで、一週間が7日間であることは、仕事(人間の日々の営み)の区切りとして非常に合理的である気がする。6日なら、8日なら、という細かい差になると微妙だが、5日では短すぎ、10日では長すぎる、というのは実感できる。
一週間が7日である理由は、実際には、月の満ち欠けに関連+宗教的なもの*2なのだろうが、人間が把握・コントロール可能な単位の時間である、というのも一つの理由だろう。
話がかなり飛ぶが、雑誌ダ・ヴィンチ10月号*3の連載漫画 七色メガネ「ダーリンの頭ン中」では、虹は何故7色かという話が取り上げられており、興味深く読んだ。
- 「7色」と決めたのはニュートン
- 理由(1) 曜日が7つ
- 理由(2) 当時確認されていた太陽系の天体は7つ(太陽、月、水金火木土)
- 理由(3) 音階(ドレミファソラシド)が7つ
- などの理由により、赤・青・黄・緑・紫に「オレンジ」「藍」を追加して7色にした。
- ただし、藍は見えにくいので、アメリカでは1941年頃から「6色」とされる
ニュートン(1643-1727)の時代は、物理学者が虹の色の数まで決めていたと思うと、専門分業化が過度に進んだ現代社会はちょっとさみしい気がする。