Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オリジナル・ラブ『白熱』の「色」優位仮説

前回、オリジナル・ラブの最新アルバム『白熱』が、何故、何度も繰り返し聴けてしまうのか、という問題に対して、アルバム収録時間から迫ったエントリを書きましたが、華々しく散ってしまったので、そのリベンジです。
結論を言いましょう。
オリジナル・ラブの『白熱』を繰り返し聴いてしまうのは「白熱色」のせいです!
「白熱色」がアルバムの一体感を生み出すからこそ、スルリと聴けてしまうのです。


さて、「白熱色」とは何でしょうか?
それは、『白熱』のアルバムジャケで田島貴男が来ているカッパの色を指します。

白熱(初回限定盤)(DVD付)

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この「白熱色」は多くのファンの心を狂わせ、着る服は勿論、メロンソーダや、コンビニの商品の中にも白熱色を見つけて喜ぶほどの重症患者を多数生みだしました。(当社調べ)
オリジナル・ラヴのアルバムで、ここまで「色」が話題になることがあったでしょうか?いや、ありません。(断言)*1

アルバムカラ―が一体感を生み出す理由

それでは、「色」が何故、アルバムの一体感を生みだすのでしょうか?
結論から言えば、それは、僕らが音楽を聴くとき、単純に耳で聴いているだけではないからです。音楽を聴くときには、頭の中でオリジナルのミュージックビデオを流していると言った友人もいましたが、音楽は確実に視覚を刺激するものです。*2
だから当然、ビジュアルで勝負するアイドル達は、そこに訴えかけるようにPVやジャケ写に工夫をこらします。しかし、PVのような方法はあくまで一曲だからこそ取れる対策。アイドルのアルバムで、シングル曲は通して聴けるものの、それ以外は飛ばしがちになってしまう、というのは、曲を知っているかどうかや、良い曲かどうか以外に、その曲のビジュアルイメージが固定されているかどうか、が強く関係していると言えます。
したがって、個別の曲ではなく、アルバム全体のビジュアルイメージを作ろうとした場合、PV以外の手段を取る必要がある。それが、アルバムジャケットであり、アルバム「カラ―」なのです。

アルバム毎に「色」を決めるミュージシャン

ひとつ、分かりやすい例を挙げるとするなら、岡村靖幸です。
岡村ちゃんの初期アルバムの紫、ピンクは、岡村靖幸の妖しく、性を、そして生を感じさせるイメージにぴったりで、強烈なイメージを残しました。
DATE靖幸


本当の全盛期『家庭教師』は、単一色にはまとまらず、混沌としてきていますが、この「混沌」は、アルバムの内容とも合致しています。
家庭教師


久々の復活アルバム『Me-imi』のカラ―が、今回の「白熱」色と同じなのは、なかなか面白いところです。前回の復活シングルは白でした。
Me-imiはっきりもっと勇敢になって


今回の復活セルフカバーアルバムが「パープル」と「ピンク」と名付けられているのも、初心に帰ることを色で表しているのでしょうか?岡村靖幸に対しても客観的な評価はしにくいですが、これらのアルバム毎の「色」付けは、アルバム全体を通して聴くときにプラスの方向に働いていたと思います。

エチケット(ピンクジャケット)

エチケット(ピンクジャケット)

エチケット(パープルジャケット)

エチケット(パープルジャケット)

何故、「白熱色」は、あの色なのか?

岡村靖幸の「パープル」「ピンク」は、アルバム毎の印象を決めただけでなく、もはやアーティスト自身の色を決めるほど、岡村靖幸とシンクロしてしまった気がします。逆に、打ち出した色が、アーティストやアルバムのイメージから離れると、チグハグになってしまいます。
それでは、『白熱』の、あの色は、何故ここまでしっくり来るのでしょうか?

僕個人の考えですが、それは、アルバム全体が持つ、春のイメージ、芽吹きのイメージと重なるからだと思うのです。今年の夏、去年までとは少し違った気持ちで見た、一面に広がる水田の風景からも『白熱』を思い出しました。
直接的には出ていませんが、そういった自然観が、都会的なファッションの中に込められていて、しかも45のオジサンが着ると、ちょっと浮いちゃう、笑っちゃう感じが、『白熱』のジャケにはあります。

で、『白熱』のあの色は何の色?アゲイン

『白熱』のジャケで田島貴男が着ているのは、パタゴニア*3の商品みたいです。*4


商品の色を選択してみると、この色の名前は「Prickly Pear」と言うそうです。
「Prickly Pear」?何それ?
日本語訳を見ると「ヒラウチワサボテン」
グーグルで画像検索すると、サントリーの謎の飲料「カクタスX」の写真が大量に出てきました。ヒラウチワサボテンのビジュアルイメージも何だか、ここまで論じてきたことと合わないし・・・・ダメダメ。ここは調べなかったことに(笑)


何はともあれ、オリジナル・ラブ『白熱』が聴きやすいのは「白熱色」がアルバムに統一感を持たせるのに成功しているから、というのが、今回の一応の結論です!

訂正

さっそくツイッターで訂正が入りました。
白熱のジャケットで田島貴男が着用しているのはpatagoniaの「プルオーバージャケット」で、商品のリンクはこちらになります。

で、気になる色は「Lemon Lime」ということで、カクタス色(笑)ではありませんでした!
それこそ逆切れですが、「Prickly Pear」という色の名前を知ってしまった自分には、「Lemon Lime」なんて日寄った名前の色*5は好きにはなれませんね。普通じゃん(笑)

補足

そんなこと書いてたら、田島さんがこんなこと呟いてました。

頭の中で最初から最後までプレイバックできるアルバムが何枚かあるけど、ホワイトアルバムもそのひとつ。

そうですね。ホワイトアルバムも「色」が明確なアルバムですね。もともと混沌としたアルバムだから無理矢理一体感を持たせる作戦だったのではないかと想像。

参考(過去日記〜『白熱』関連エントリ)

*1:ただし、『結晶』の白黒と『Rainbow Race』の黒は、少しアルバム「カラ―」として機能していたように感じます。オリジナル・ラヴは、白黒ジャケや黒ジャケは多いのですが、この2作は印象が強いです。

*2:コーネリアスのSensuousのツアーは、明確にビジュアルを意識していました。

*3:Wikipediaによれば「国際テロ組織である「シーシェパード」を支援している企業のひとつ」とのこと。ええええ!

*4:田島貴男のファッション関係の情報を、ツイッターですぐに見つけてしまう方がいて、いつも感心してます。

*5:色彩辞典に記載されながらどのような色か明らかにされていない謎の色「エレファンツ・ブレス」についての短編が含まれる初野晴『退出ゲーム』はオススメの一冊です。 http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20110624/taishutu