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2011-12-31 Sat

[]オリジナル・ラブ2011年→2012年

2011年は、オリジナル・ラブにとって、まさに飛躍の年でした。

昨年の今頃書いた文章を見ると、1年前は、この活動状況はとても想像のつかないものでした。(2009年は「個人授業」のみ、2010年は「ボラーレ」のみで、オリジナルの新曲なし)

ライヴ活動は、まず数が多いだけでなく、質も満足かつ右肩上がりなのが、頼もしいです。特に、久々の全国ツアーとなった、ひとりソウルツアーでは、声、楽器、過去の楽曲のりアレンジともに、田島貴男の好調ぶりがひしひしと伝わってきました。「やっぱり一人だと寂しいから、バンドツアーがいいよね。」なんていう、ファンの贅沢な願いも、今年だから出てきたものだと思います。


そして何をおいても、5年ぶりのアルバム『白熱』。

アルバムの好き嫌いは個人個人で違っても、ファン以外の人にも薦められるアルバムという意味では、『Rainbow Race』以来ではないか、と個人的に思うし、多くの人がそう感じていると思います。

ところで、この大傑作、全部一人でやっているので、アレンジや演奏部分の不満は多少ありますが、それ以外にどうしても捨て置けない部分があるのです。

ファンは既に慣れ親しんで普通に感じているかもしれませんが「セックスと自由」という曲タイトルはどうなんでしょうか。この問題について個人的に考えるため、山崎ナオコーラ人のセックスを笑うな』と、樋口毅宏『日本のセックス』を読んでみましたが、どちらも、タイトルに納得感があり、作品の顔として機能している、考え抜かれたタイトルです。「セックスと自由」はものすごく良い曲なんですが、「アポトーシス」以来の、ん〜…なタイトルです。

とは言え、『白熱』は何度聴いても飽きないし、聴くときに重い腰を上げることなく*1、気軽に聴けるアルバムで、本当にファンを続けてきて良かったと強く思いました。


さて、今年は、個人としても、2月、7月、11月と3回もライブに行き、いろいろなファンの人たちの声を聞けて本当に良かったですね。「あのときのライブでの演奏が〜」「あのアレンジは〜」などというコアな話は、本当に、あの場でないと聞けないし、いろいろ勉強になりました。(勿論、バカ話はバカ話で良かった)

まずは、複数の人に強くオススメされた紙ジャケリマスターを早く購入しようと思います。


来年の動きについては、既に新曲のレコーディングが始まっているようなので、早いタイミングでの新曲リリースが期待できそうです。

アトリエにて初のリズムレコーディング終了!新しい曲のフォーリズムは録音された。なかなかいい感じに録れた。来年の扉の鍵をなんとか手に入れたんじゃないかな。

来年、おもしろい年にしましょうね! | 田島貴男  DIARY

ただ、あくまで噂の話ですが、欧米では来年末にCDの販売が終了するなんていう話が出る中で、どういう媒体で新曲を出すのかも含めて注目してます。(おそらく配信限定なんだろうなとは思います。)

  • 2012年末までにCDの販売が中止される?

http://topics.jp.msn.com/otoko_blog/hobby/article.aspx?articleid=809395


それでは、2012年が、オリジナル・ラブにとっても、そしてファンの人にとっても、何より自分にとってもっと飛躍できる年になるように、祈るだけでなく、努力を重ねたいと思います!


参考(過去日記)

*1:前2作とかは、何か重い腰を上げて聞く感じです。覚悟が要ります…

2011-12-28 Wed

[]心の教育と想像力〜長野まゆみ『野川』

野川

野川

自分の住む家は野川に近く、作品の舞台となっている小金井市付近(武蔵野公園)にも行ったことはあった。しかし、作中で強調される、都会からずっと離れた、いわば田舎の風景というのは、自分の思い描く野川像とは異なる。表紙に描かれる風景もピンと来ない。近くに流れる川を題材にした本だけに、不思議に思った。しかし、長野まゆみのブログで紹介される野川を見ると、確かに、作品の舞台となっているあの場所だ。

だから、この「野川」は、是非とも実際に行って、その「風景」を眺めたい。その上で、今自分の頭の中にあるイメージとの違いを確かめたい。まるで観光案内を読んだあとのようにそう思ったのだった。


さて、この本では「風景」という言葉が沢山使われる。

コマメという飛べないハトが、飛ぶことによって徐々に「鳩の見る風景」を獲得していく。

それとともに、主人公の井上も、野川の河岸段丘を自分の足で移動し、引っ越してきたばかりのK市の景色を見る。そして、コマメの世話をし、地形について河井先生の話を聞き、自分の中に生まれたものを育んで行く。最後にコマメが初めて上空から野川を見ることができるようになったときに、井上は、鳩の視点からの風景を手に入れることになる。

この物語全体が、作中で井上が否定する「心を育てる/強くする/豊かにする」教育に対する、長野まゆみの考える一種の“模範解答”なのだと思う。体験することは入り口でしかなく、大切なのは、ものごとを見る視点と、そこから見た風景を出来るだけリアルに思い描ける能力(つまり想像力)、そういった風景をつくりだす「ことば」(平たくいえば表現力)ということなのだろう。

子どもの教育を考えたとき、「体験」がつくと、それだけが“確実に良きもの”として思考停止に陥ることがあるが、常に「その先」を考える必要があるなと思った。


以下、作品より。

心の授業には、いつもうんざりしていました。副読本には、こんなふうに書いてあります。空の色や雲のようす、光の変化、そのほか草や木や虫などを自分の目で見て、手でさわって、耳とからだで聴いて、実感することが大切だと。でも、具体的な方法は何も示してくれない。そういう不満を口にすると、こんどは体験しよう、ということになる。(略)

ぼくたちはおとなが思うほどバカじゃないから、絵や音楽を鑑賞し、田植えや乳しぼりを体験したのちに、どんな感想を書けばいいのか知っている。何を書いてはいけないのかも知っている。

(井上:p146)

ホタルの話をしたあとで)

その風景は、きみ自身が目にしたものでも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。どうだ、すごいことじゃないか?確信を持って云うけれど、それは一生きみのそばにあるよ。このさき、何度でも思い返すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以上のあざやかさで目に浮かぶはずだ。(河井:p31)

見たい風景はつくりだすものだよ。カイトでも気球でも、好きなものに乗ればいい。(河井:p116)

きみたちにつかんでほしいのは、意識のなかでの風景のつくりかたなんだ。ことばから連想できるものだけで、思い描くことが大事なんだよ。(河井:p150)

私が話をするのは(略)人の話に耳をかたむけるのは、実際の風景や音や匂いや手ざわりを知るのとひとしく、心を養うものだと私が信じているからだよ。それは書物を読むことでも培われる。(略)

私が云いたいのは、たがいに関係がなさそうに思えたものがつながることの幸福なんだよ。そこから、あらたな要素も生まれる。それが、難解な本を読んだり、年長者の話を聞いたり、日常生活には関係なさそうな数学を学んだりすることの意味だよ。

(河井:p167)

2011-12-26 Mon

[]2011年クリスマス

3連休となった2011年クリスマスは家族楽しく過ごすことができました。


グーニーズ』鑑賞

グーニーズ 特別版 [DVD]

グーニーズ 特別版 [DVD]

24日に『グーニーズ』を久しぶりに見ました。

よう太にとっては、初めての実写映画体験(DVDですが)になりますが、面白く見ることが出来ました。(夏ちゃんも7割くらい見てました)

フラテリ一家のハゲネタとか、チャンクの食べ物ネタとか、データの発明ネタとか、子ども向けにつくられたお笑いネタが、ことごとくヒットした感じです。洞窟で後ろから岩が転がってきたり、足元が崩れたり、というようなお約束展開も、非常に分かりやすかったです。説明が必要だったのは、前提となっている立ち退き(主人公の家は買収されてゴルフ場になる予定)の部分くらいで、あとは頭をひねるような場面もほとんどありませんでした。

1985年公開作品ということで、自分は小学5年生のときに見たようです。当時は、1984年の『グレムリン』や『ゴーストバスターズ』など、家族で見に行くようなハリウッド映画が多かったような気がします。


ジャングル・スピードと悔し涙

ジャングルスピード 日本語版

ジャングルスピード 日本語版

クリスマスプレゼントに買ったミッドナイト・パーティと、ジャングルスピード。

ジャングル・スピードが結構盛り上がりました。

自分のカードを無くせば勝利するゲームですが、条件が合えば真ん中のトーテムの取り合いになり、ミスをするとカードが増えていきます。母、自分、よう太、夏ちゃんの3世代対決、妹夫婦を交えた対決のいずれでも、よう太は重要なシーンでお手付きを連発し、最後は「泣いてない!」と言いながらも目に涙を溜めてゲームを続けていました。他人からの攻撃ではなく、自分のミスで勝利が遠のくのが辛かったのでしょう。カードをバラバラにして駄駄っ子のように寝転がり足をジタバタさせるシーンもありましたが、ゲームを続けようとする意志があるのは良かったです。

最近は将棋五目並べなど、と他人と勝負するゲームもやるようになりましたが、諦めずに本を読んで勉強したり、夏ちゃんに(半ば無理やり)ルールを教えたりしているさまを見ると、成長を感じます。

ミッドナイト・パーティは、直感的にツボが分からなかったので、改めて試してみることにします。

なお、ジャングルスピードは、Youtubeで海外からの投稿動画が多く、どれも楽しそうです。流血を覚悟してやる人達がいるのも分かる気がします。

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レイトン教授

レイトン教授と不思議な町 フレンドリー版

レイトン教授と不思議な町 フレンドリー版

サンタさんからのプレゼントは、DSソフトの『レイトン教授と不思議な町』他でした。

レイトン教授は、よう太には難しい問題もかなりありますが、すぐに答えを見てしまう、という、よう太の必殺技が使えないので非常にいい感じです。いくつか行き詰まった問題を聞かれましたが、かつて多胡輝『頭の体操』で通過してきたはずの問題でも、やはり一筋縄ではいきません。ボートを往復させて狼と小鳥を対岸に渡すクイズなどは、わざわざメモ用紙に書きださずとも、直接画面上で確認できるのがいいですね。


リカちゃんのアイスクリーム屋さん

リカちゃん サーティワン アイスクリーム ショップ

リカちゃん サーティワン アイスクリーム ショップ

夏ちゃんへのサンタさんからのプレゼントは、リカちゃんのアイスクリーム屋さん。

この手の玩具は、遊び始めるまでに、シールを貼ったり組み立てたりと、非常に親の手がかかります。さらに、小さなアイスのパーツなど細かいものが沢山あるのが問題ですが、片付け好きの夏ちゃんなら、問題無く遊ぶことができるでしょう。

なお、最近の夏ちゃんの口癖は「ワーオ」。誰の影響を受けたのか不明。幼稚園の友達なのか。

atnbatnb 2011/12/27 01:19 グーニーズで思い出すのは、シンディ・ローパーとゲームブックとコナミのファミコンゲーム。たしかに隠れた名作かも。先日、同級生の友人が、会社の後輩にもうグーニーズが通じないとショックを受けていました。▼こういうと嫌がるかもしれませんが、ようたくん、本当に私の子供の頃に似ていると思いながらいつも読んでいます。私には子供がいませんが、ゲームに負けて本気で悔しがる、というのは最良の教育の一つではないか、と常々考えています。ぜひ今度お手合わせを。

rararapocarirararapocari 2011/12/28 22:30 プレイ回数が非常に少ない、もしくは実際にはやっていないのにも関わらず、思い入れのあるゲームというのがいくつかあり、グーニーズは、その中の一つですね。ファミコンゲームの一つの典型という気がします。勿論ゲームでも使われていたシンディローパーのテーマ曲も良かったですね。▼最近は、ただ楽しむだけではなく、ルールを覚えて、かつ自分が有利に進めるように色々考えるようになりました。

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2011-12-24 Sat

[]やっぱ12月になったら誰もが彼もがソワソワしている♪

メリークリスマス!

クリスマスソングと言ったらやっぱりこれです。>岡村靖幸の「Peach X'mas」

というか、これ以外考えられない。

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ちょうど、今日の昼頃から公式HPhttp://okamurayasuyuki.info/)で何か発表があるとのことですが何でしょうか、楽しみです。

楽しみなのと反面、岡村ちゃんには働き過ぎないように、アクセルとブレーキのバランスを上手く取って欲しいなと、今回、これまで以上に強く願っています。

[]リアルコナンへの道(3)〜漫画で日本の歴史を学ぶ!

よう太が、真にリアルコナン*1としてさらなる飛躍を遂げるために、さまざまな課題を乗り越えていくコーナーの第3回目。

いつの間にかもう年末なのですが、12/31にSCRAPのイベント『終わらない合戦からの脱出』に行ってきます。リアルコナンに近付くには、何より実践が大事なのです。

今回のイベントは、「信長の野望」で知られるコーエーと組んでのイベントなので、よう太に日本史を学んでもらういい機会だということで、11月くらいから戦国時代のことを学べる本を図書館で借りたり、ブックオフで買ってきたりしたのでした。


まずはこれです。

豊臣秀吉―安土桃山時代 (小学館版学習まんが―ドラえもん人物日本の歴史)

豊臣秀吉―安土桃山時代 (小学館版学習まんが―ドラえもん人物日本の歴史)

ドラえもんが登場するのは導入部だけで、基本的には後述する「小学館版学習まんが少年少女日本の歴史」の別冊「人物日本の歴史」シリーズの再編集版ということになります。追加されているドラえもん部分の絵のクオリティが本編よりは落ちるので、個人的には、ドラえもんが無い方が読みやすいように思いますが、よう太としては、ドラえもんがあることでとっつき易かった様子でした。ブックオフで購入。


次にこれです。

今の子ども用の本のコーナーには、漫画のキャラクターが小学生用の学習内容を解説する本が溢れています。ここ10年くらいのことなのかもしれません。両さんのシリーズなんかもありますが、多いのは、ドラえもんちびまる子ちゃん、そして、この名探偵コナンのシリーズです。

内容自体は、その本によって異なるのですが、コナンシリーズの凄いところは、その学習内容に合わせた事件が起きることです。この本では、川中島の戦いに絡めた殺人事件(未遂)、盗まれたルイス・フロイスの文書を巡る事件、千姫と徳川家康に絡めた殺人事件(未遂)の3つの話が入っており、どれも力作です。中でも、ルイス・フロイスの文書(最後に偽物と分かる)の話は、日本を足掛かりに中国を支配しようとしていたスペイン宣教師たちが、思い通りにならない信長暗殺を明智光秀に命じた、というストーリーがベースになっており、なかなか読ませます。しかも「黒の組織」が絡んでいるという、日本史だけでなく名探偵コナン的にもなかなか盛り沢山の内容。

ただ、よう太は、歴史関連のセリフは全部飛ばして、事件と事件の真相部分のみを読んでいた模様。これは新刊を購入。


最後にこれです。

本屋で児童用書籍の棚を眺めていても、日本の歴史を謳って出されるシリーズ漫画は全てイマイチ。やはりこのシリーズの完成度の高さは凄いです。勿論、漫画を担当されているあおむら純さんの力量なのかもしれませんが、文字と絵の分量も非常に読み易く、人物の描き分けや表情、そして、時代考証に基づいた服装に至るまで、全てが他を圧倒していると思います。

今読んでも面白く、ためになります。中学生時代には試験前に該当する部分を繰り返し読んでいたことを思い出します。これは全部売ってしまっていたので図書館で借りましたが、全巻家にあった方がいいかも。

コナンとは異なり、よう太もかなり真剣に読めているようで、織田信長→豊臣秀吉→徳川家康という基本的な流れはつかんだようです。


さて、リアル脱出ゲームに戻りますが、実際のイベント本番も12/22に既に始まっていますが、今回は、デバッグ公演の感想がゲーム雑誌等のページにアップされているので、リンクをします。(当然ネタバレはありません)

さて、これらのリンクにも書かれているように、そして、これまでのリアル脱出ゲームでもそうだったように、“戦国野球の知識がなくても楽しめる”というのが基本コンセプトのようですが、おそらく「さらに楽しむ」ために日本史の知識がある方が有利なのではないかと思っています。さて僕らの出陣は12/31の大晦日ですが、晴れて脱出となりますでしょうか?


参考(過去日記)

*1:SCRAPのリアル脱出ゲームで、春によみうりランドで行われる予定のリアル捜査ゲーム第二弾で、リアルコナンとして活躍することを目標としています。

2011-12-22 Thu

[]石川啄木が嫌いになれるエピソードベスト4〜関川夏央谷口ジロー『かの蒼空に』

『坊っちゃん』の時代 (第3部) (双葉文庫)

『坊っちゃん』の時代 (第3部) (双葉文庫)

盛岡駅を正面から見上げると、駅舎の高い場所にあるプレートに「啄木」の字が映える。石川啄木は、それほど岩手の人間に愛されている人物ながら、その生活実態は、知れば知るほど酷いもので、絶対に友人になりたくないタイプ。

今回、久しぶりに読み直した本書から「石川啄木を嫌いになれる素敵なエピソード ベスト4」を抜粋した。これらのエピソードは、確かに衝撃的だが、石川啄木自身が書いた「ローマ字日記」が題材になっているようで、ほぼ事実なのだろう。

啄木・ローマ字日記 (岩波文庫 緑 54-4)

啄木・ローマ字日記 (岩波文庫 緑 54-4)


第4位:借金返済のために文学書を全て売り渡して救ってくれた恩人に懲りずに借金

石川啄木にとって、金田一京助は、彼がいなければ、啄木の名が残らないどころか生活していけたのか、というくらいの「生活必需人物」。

函館に家族を残して一人上京した啄木は、同郷の金田一を頼って同じ下宿に転がり込む。しかし、たちまち生活は破綻し、下宿代も滞納。見るに見かねて金田一が、自分の蔵書を全て売り払ってお金をつくり、啄木とともに別の下宿に引っ越したのだった。

その後も啄木のために、服を質に入れたり、啄木生活の惨状を見かねて金を貸したり、至れり尽くせりで、かつ自身は言語学の分野で後世に名を残しているのだから、人が良いだけでは無い、相当のスーパーマンのように思う。

そして、啄木は、そんなんで、よく恥ずかしさを感じずに生活出来たなと思う。


第3位:奢ってもらった相手に借金

ある日、啄木は、勤めの帰りに「奢るから」と言って森田草平を飲みに連れ出す。盛り上がった所で会計となり、逆に奢ってもらうことになる。

さらに、森田が「仕事があるから」と帰りかけると「今度こそ僕が」と無理を言って次の店に行き、平塚明子(平塚らいてう)との仲*1についてさんざん語らせた揚句、やはり奢ってもらう。まだ続きがある。

さんざん奢ってもらった森田に、さらに金を借りて、帰りに須田町で途中下車して娼婦を買う。(借りたお金で!)

これが啄木の日常みたい。この人、ダメだ。


第2位:売り渡した芸者に借金

4ヶ月程度滞在した釧路懇意になった小奴という芸者について、釧路を離れるときに他の男から「これで別れてくれ」と金(15円*2)を受け取る。つまり小奴を売り渡すのだが、その際、小奴からも餞別(5円)を受け取る。(ちなみに、このエピソードは奥さんと娘を函館に残してきて直後の話です。信じられませんが。)

これだけでも十分ひどいのに、別れてから1年以上経ってから、この小奴に電報で借金を申し込むのだった。このエピソードは強烈で、人間としてあり得なさ過ぎると読むたびに思う。


第1位:結婚式をボイコットした挙句、借金

東京から結婚式のために郷里に帰る啄木は、仙台で途中下車。国分町の旅館でぐずぐず何泊かした挙句、宿泊代を払えずに、土井晩翠に(得意技の)無心の手紙を送る。母が危篤で郷里に戻る金が欲しいと嘘をついて。で、お金を持ってきた土井晩翠嫁に叱られる。

しかし、ここで帰らないのが啄木らしいところ。結局仙台に十日滞在して結婚式はすっぽかし、さらに旅館代も踏み倒す、という完全に理解の範疇を超えている。


もはや「憎めない」という言葉で笑って済ますことの出来ないくらいの悪行非道の数々。

『石川くん』でも、これらのエピソードが一部出てくるが、本書で詳しいエピソードを読むと、初めて写真を見た時に抱いた誠実そうな人物像は完全に吹っ飛ぶ。ただ、この本には、石川啄木をずっと悪しざまに描いているわけではなく、良い面も交えつつ、ギリギリで、石川啄木を愛すべき人物と言う印象にとどめているのが素晴らしいと思う。この後、27歳と言う若さで啄木は亡くなってしまうのだから、そういう意味では、悪く言いにくい人物であることは確かなのだが。

なお、この本は、明治時代著名人が数多く出てくる『坊っちゃんの時代』全五部の第三部で、漱石は勿論、スリの銀次なんかも継続して登場しているらしい。自分は三部しか読んだことがないので、他の巻にも手を出したい。


参考(過去日記)

⇒個人的には『石川くん』は、石川啄木の良い面も悪い面も写した金字塔だと思う。短歌という視点から石川啄木を眺めてみたい人(普通はそうだと思いますが…)には、絶対にオススメの一冊です。

*1森田草平平塚明子と「塩原事件」の名で知られる心中未遂事件を起こし、その事件を題材にした『煤煙』という小説が、当時流行したようだ。石川啄木は、そういったゴシップも好きだったのだろう。多分、モテるために。

*2:現在のお金に直すと15万円くらいみたいです。

2011-12-19 Mon

[]もっとカウフマンの心を知りたかった〜手塚治虫アドルフに告ぐ』全5巻

アドルフに告ぐ (1) (文春文庫)

アドルフに告ぐ (1) (文春文庫)

神戸に住むドイツ領事の息子のアドルフは、パン屋の息子でユダヤ人のアドルフを通じて、アドルフ・ヒットラーの秘密を知る。その秘密とは……!?第2次世界大戦を背景に、3人のアドルフの運命を描く著者の代表作(Amazonあらすじ)

十数年ぶりに『アドルフに告ぐ』を読み返した。

文庫版全5巻を読み返してみて、確かに傑作だと思ったが、不満も目立った。

具体的には、全体を通して、語り手の人物や、舞台が速いテンポで変わっていくため、思っていたよりも分かりにくい。明確に記憶していたのは、アドルフ・カウフマンとエリザのエピソードくらいで、その他についてはほとんど覚えていなかったのはそのせいだろう。


同じような歴史的事実を元にした創作漫画には、最近は、有名なものだけでも『エウメネス』『へうげもの』『大奥』などがあるが、どれも、話が整理されていて分かりやすい。

アドルフに告ぐ』の読みにくさは、内容を詰め込み過ぎというのとは少し違う。

登場人物も必要最小限だと思うし、彼らの人生が物語の要所要所で交差する部分も、理解できないほど複雑ではない。物語が(虐げる立場としてのユダヤ人*1にスポットが当たる)1983年のイスラエルで終わり、最後にタイトルの意味するところ*2が分かるという点まで含めて図式としては完璧だし、手塚治虫でなければ、ここまで上手く物語をまとめることは出来なかったのではないかと思う。


つまり物語の構造ではなく、話の進み方、いわば「間」に問題があるように思う。一般週刊誌の連載漫画ということもあったのかもしれないが、場面転換が全体的に早過ぎる分、登場人物へ共感しにくくなっているように感じた。

中でも、もっと丁寧に語られるべきと感じたのは、3人のアドルフのうちの一人、ヒットラー・ユーゲントに入ってヒトラーに忠誠を尽くしたアドルフ・カウフマン。物語を通してもっとも感情だけでなく性格(人格)の動きが激しい人物だ。

  • 幼少の頃はアドルフ・カミルへとの友情からユダヤ人に親しみを感じる
  • ヒットラー・ユーゲントに入り、ユダヤ人に対する思いは変えないまま、ドイツ人アーリア人)としての誇りを強く持つ
  • カミルの父親を殺害するなど、組織の中で、ユダヤ人弾圧を行うことに慣れるも、一目惚れしたエリザ(ユダヤ人)には優しくする
  • Uボートで日本に来た頃からドイツの敗戦が濃厚となり、人々の心がヒトラーから離れてもなお、ヒトラー崇拝の心がむしろ強くなり、周囲とのずれが目立つ
  • カミルがエリザと婚約したことに腹を立て、エリザを奪う
  • ヒトラーの死を知り、全ての希望を失う
  • 戦後、パレスチナ解放戦線の組織に入り、ユダヤ人と敵対しつつも妻子を得る
  • 妻子をイスラエル軍(カミル)に殺される
  • 個人的な復讐のためにカミルと対決する

ざっと流れを書いただけでも、相当に波乱万丈な人生だ。読者からすると、子どもの頃は非常に共感しやすいキャラクターだったが、カミルの父親殺害あたりから、次第に不快な人間になり下がっていく。特に後半部は、周囲から狂人扱いされているヒトラーを崇拝するという、やや憐れなタイプのキャラクターに見えて、とても共感などできない。

特に、この漫画が恋愛について、かなり重きを置いて書かれているからこそ、カウフマンがエリザを強姦するシーンは、嫌な気持ちが最高潮だった。

自分は、そういうカウフマンに対して、もう少し共感を抱ける、少しでも同情の余地を残すような流れにしてほしかった。そういった共感できる軸があってこそ、民族問題というテーマについても深く考えられたように思う。

勿論、進行についての問題は2度3度読むことによってマイナス部分は減っていくのかもしれないが、もっと出来たはずなのに…と感じてしまう。

ただ、パレスチナ問題や第二次世界大戦などに対する強いメッセージ性があり、国際的な問題を考えるきっかけとなるという点は、素晴らしかった。関連漫画として、『虹色のトロツキー』なども読んでみたい。

虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)

虹色のトロツキー (1) (中公文庫―コミック版)


(参考)ヒトラー出生の秘密とJ・エドガー

J・エドガー』(J. Edgar)は、2011年の伝記映画。クリント・イーストウッド監督、ダスティン・ランス・ブラック脚本で、レオナルド・ディカプリオがジョン・エドガー・フーヴァーを演じた。

FBI長官のエドガー・フーヴァーの生涯に基づき、1919年から20年までの彼のキャリアに焦点を合わせ、さらにクローゼット・ホモセクシュアルであったと言われる彼の私生活にも触れられている。

J・エドガー - Wikipedia

先日の町山智浩のキラキラpodcast*3で、ディカプリオ主演映画の解説を聴いて知ったのだが、1924年から1972年に亡くなるまでFBI長官を務めていたエドガー・フーヴァーは、自らが同性愛者ゆえに、同性愛者を憎み、冷酷にふるまったそうだ。(事実というより説)

アドルフに告ぐ』の中心にある「ヒトラー出生の秘密」を暴く書類は、彼がユダヤ人の血を引く者であることを示していた。そのようなヒトラーが、ユダヤ人に対して非道の限りを尽くしたことは、エドガー・フーヴァーの例を引くまでも無く、同族嫌悪や自尊心などの言葉を使って説明できそうだ。なお、ヒトラーの血統については、ほぼ否定された事実だという。

本作品は「アドルフ・ヒトラーはユダヤ人である」という仮説を前面にして創作されたものである。この仮説は手塚が連載を始めるかなり前に、プレラドヴィクやクライン、マーザーという歴史学者の綿密な調査によってほぼ否定されている。

アドルフに告ぐ - Wikipedia

*1:カウフマンの妻となったアラブ人女性の言葉「あなたはユダヤ人がどんな仕打ちをパレスチナにしたかご存知でしょう?あいつらは冷酷に女子ども虐殺するのよ、何百人も。ユダヤ人を殺すことは正しいことだわ」

*2:『アドルフに告ぐ』は3人のアドルフについて峠草平が書いている本のタイトル。峠は、この本を世界中の何百万といるアドルフ名の人物に読んでもらいたい、そしてその息子、孫へと伝えることにより、「正義ってものの正体をすこしばかり考えてくれりゃいい」との願っている。

*3:TBSラジオ小島慶子キラキラのpodcastダウンロードできる期間は1週間くらいで今は聴けません。

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2011-12-18 Sun

[]氷と雲と視覚体験ベスト3〜『驚くべき雲の科学』

いつも、その幅広い分野の良書を紹介して下さるブログ「スゴ本」(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)。スゴ本でオススメされる本は、結構敷居の高いものも多いが、久しぶりに、お!これは読めそう!と思った紹介本を、新刊コーナーにあった『地球の神秘』と一緒に図書館で借りてきた。

驚くべき雲の科学

驚くべき雲の科学

地球の神秘

地球の神秘


地球の神秘』は「一度はみたい感動の自然現象」という副題の通り、それぞれの写真について、どこでどのような観測条件のもとで見ることができるのかが記されている。そういう意味では、科学よりも観光に近い視点で書かれている。

雲や天候に関しては『驚くべき雲の科学』と重なる事象がかなり多いが、それ以外の部分だと、諏訪湖などで見られる「御神渡り(おみわたり)」や岡山県鏡野町の「氷紋」などは見てみたいと感じた。ただし、全体的に淡々としていて、心惹かれる部分は少なかった。


これに対して『驚くべき雲の科学』は、「科学」部分を重視した写真選定と解説になっている。また、分野を限定しているだけに、同じ項目の写真でも見た目のインパクトの強いものが多く、乳房*1の写真なんかは圧倒的。謝辞等を見ると、英国気象局の協力を受けているだけでなく、ネット等から収集したあとに撮影者の許可を取りに行っているものも多いようで、いわば雲マニアの人たちの成果の結晶ともいえるのだろう。

そして、解説は気象学的な視点から書かれており丁寧でわかりやすい。先日(またもやバルスで盛り上がった)『天空の城ラピュタ』を見ていて思ったのは、動きのメカニズム(どのような仕組みでエレベータが上がるのか、鉄砲から弾が出るのか、そして、どのように飛行するのか)が直感的に理解できることが、物語に深く入り込む重要な要因になっているということ。(逆に、だからこそ、それが分からない飛行石が持つ価値が高まる)その点、本書は、簡潔かつ気象学的な説明が加えられており、それが「雲萌え」に繋がりやすいのだと思う。

ただし、個人的な思いからすると、もう少しメカニズムの解説重視でも良かった。この点は児童書の方が自分の期待を満たしてくれて、例えば、「子どもの科学サイエンスブックス」のシリーズなんかは、解説も詳しくてとても面白い。(下の2冊は、図書館で見かけて内容の充実ぶりに驚いた本。解説は丁寧だが写真が多くとっつき易い!)



スゴ本でも指摘があったが、(例えば『地球の神秘』なんかは顕著だが)写真で驚かせよう、楽しませようという意図だけの本は、今のインターネット環境では、ほとんど成功しないと感じる。動画も含めて多くの映像が無料で閲覧できる、しかも一覧の中から自分の興味のある写真を選べる点で、本はネットに勝てない。だから勝負できるポイントを絞り、雲マニアの粋を集めた写真を厳選し、分かりやすい解説を載せた『雲の科学』は、いわばキュレーション的な意味で成功しているのだと思う。


都内で行ってみるべき視覚体験ベスト3

さて、視覚情報は本よりもネット、と書いたところで、ネットでは到底体験できない視覚体験が味わえる都内スポットについて紹介します。自分もそこまでいろんなところに行っているわけではないので、是非、他にオススメがあれば教えてください!


第3位:日本未来科学館ドームシアターガイア立体視プラネタリウム

http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/birthday/

先日初めて「バースデイ」を見ました。

親子で3D映画を見に行ったこともあるのですが、名作と呼ばれる「ヒックとドラゴン」でさえ、子どもはメガネの装着感が気になるようで、集中しきれない。そこを行くと「バースデイ」は、メガネの装着感もよく、完全に映像に没入できる視覚体験で大満足でした。よう太は何度も目の前に近づく星を探ろうと手で探っていました。

ただし、「バースデイ」は、中盤がやや眠くなるので、他のプログラムも見てみたいです。

なお、未来科学館のプラネタリウムはいつも混んでいて、これまで2度ほど売り切れで入れなかったことがあったので、今回は開館と同時に入場し予約しました。ここは、入場料600円の中にプラネタリウム代も含まれていると考えると非常に安いし、逆に未来科学館に行くのであれば、プラネタリウムに行かないと損かもしれません。


第2位:国立科学博物館 全球型映像施設「シアター36○」

http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/theater360/index.html

「シアター36○」とは、2005年「愛・地球博」の長久手日本館で人気を博した「地球の部屋」が国立科学博物館に移設され、「THEATER36○(シアター・サン・ロク・マル)」として生まれ変わりました。直径12.8m(実際の地球の100万分の1の大きさ)のドームの内側すべてがスクリーンになっていて、その中のブリッジに立ち、映像をご覧いただけます。360°全方位に映像が映し出され、独特の浮遊感などが味わえる世界初のシアターです

プラネタリウムでは見えない「足元」までを映像で包まれる体験はここでしかできないでしょう。橋の上から全方位の映像を眺めることになりますが、映像が動くことによって、橋自体が移動しているような浮遊感を味わえます。

3Dメガネも不要だし、解説も内容が分かればさらに面白いという程度で、未就園児の子どもでも楽しめると思います。

最近行っていないので、久しぶりに行きたいです。


第1位:ダイアログインザダーク

http://www.dialoginthedark.com/

今年の夏に、よう太と友人*2と一緒に行きました。完全なる闇というのが、日常世界ではなかなか体験できないことを考えると、消防関連機関の了解を取ってまで、完全な闇にこだわるダイアログインザダークの提供する場は、まさにここでしか体験できないと思います。

5000円の料金は、あの体験を考えると高くありませんでしたが、繰り返し行ってみたいということを考えると、3000円程度まで下がってほしい感じではあります。ダイアログインザダークについては、近いうちに改めて書きます。なお、12月の親子参加は小学生無料とのことです!オススメです。

*1GigazineHPで紹介されている上から2枚目の写真と同じもの。http://gigazine.net/news/20060413_mammatus/

*2:リアル脱出ゲームの軍師

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2011-12-14 Wed

[]パズルで告白!〜東田大志『パズル学入門』

パズル学入門――パズルで愛を伝えよう (岩波ジュニア新書)

パズル学入門――パズルで愛を伝えよう (岩波ジュニア新書)

「ビラがパズルの人」の本。

この人は最近ニュースにもなった人で京都大学大学院生

日本でただ1人のパズル学研究者として知られる京都大学院生がいる。人間・環境学研究科博士課程3年の東田大志さん(27)。パズルの楽しさをPRしようと、4年前から自作パズル付きビラ配り活動を全国各地で繰り広げ、来月に行う横浜での活動で「全国制覇」を達成する。

パズル学、全国制覇だ 日本ただ1人の研究者 京都大学院生・東田さん - MSN産経ニュース

ブログ(タイトルは、ずばり「ビラがパズルの人オフィシャルブログ」)を見ると、さらに、その精力的な活動が分かる。と同時に、一体この人は何をやりたいんだろう?という疑問で頭がいっぱいになる(笑)


で、その謎が解けるのがこの一冊。

第1章、2章、4章で、パズルの歴史や分類、これからの発展について述べ、第5章、6章で、自ら作成したパズルの出題やパズルの作り方について説明を加えながらも、メインテーマは「第3章 パズルでコミュニケーション」であり、本書の副題の「パズルで愛を伝えよう」だ。

『パズル通信二コリ』の安福良直編集長の言葉「できあがった問題には必ず作った人の個性が表れてくる」を引きあいに出しながら、芸術作品としてのパズルについての説明が、まずなされる。次に、東田さんは、作者にとってパズルを製作するとは、単に問題をつくるだけでなく、「どうやって自分の作った問題を世間に発信していくかということ」までを含んでいるのだという。その手段としてビラ配りがあり、ビラ配り活動を通して、さまざまな人と交流を重ねているというのが、特殊な形だとは思うが、確かに立派なコミュニケーションだ。そして「愛」についてまで語ってしまうのは驚きだが、高校時代に実践しているのは本当にすごい。

恥ずかしい話ですが、わたしはパズルを作るようになって間もない高校生のとき、クロスワードパズルで好きな女の子に告白しようとしたことがあります。そのクロスワードパズルは、解き終わると対角線上に「ツキアツテクダサイ」という文字が並ぶはずでした。しかし、実際に出題してみたところ、難しすぎたのか「解けない」と返ってきました。P60


先日紹介したファイ・ブレインでは、パズルが「美しい」とか「優しい」とか「愛がこもっている」等の表現がたくさん出てきて、やや寒いような気持ちもしていたが、これを読んで納得した気分だ。パズルでのコミュニケーションのために、モザンビークにパズルを教えに行ったエピソードも含めて、とにかくスケールが大きいし、楽しい。

岩波ジュニア新書ということで、軽い気持ちで読み始め、はじめは笑ってしまう部分もありましたが、読後の今は、その壮大な夢を応援したい気持ちでいっぱいです。

日本を回り終えたら、次はぜひ世界各地でビラ配りをしたいと思っています。きっと、世界中の人とコミュニケーションが取れるに違いありません。

そして、最終目標はもちろん宇宙でのビラ配りです。わたしの生きている間に宇宙開発が進み、宇宙人が発見されたなら、太陽系惑星やその外側のカイパーベルト天体でビラ配りをしたいと思っています。P56


なお、実際にパズルの中に人間が入り込むボディパズルの一種として「リアル脱出ゲーム」について取り上げられていました。ここでは、リアル脱出ゲームの人気を受けて「脱出ゲームDERO!」が始まったとされています。これらについて、個人で活動することの多かったパズル作家の連携・協力が必要となるとの指摘は、その通りなのでしょう。(P36〜37)

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2011-12-13 Tue

[]リアルコナンへの道(2)〜ファイ・ブレインと算数

よう太が、真にリアルコナン*1としてさらなる飛躍を遂げるために、さまざまな課題を乗り越えていくコーナーの第二回目。

なお、リアル脱出ゲームを知らない方のために、良い記事があったのでリンクします。


とんち番長ファイ・ブレイン

10月から放送しているNHKアニメファイ・ブレイン』は、1週間、よう太が楽しみにしている番組の一つだ。公式HPを見ると「パズルタイムの始まりだ!〜「パズル」+「学園アドベンチャー」脳を鍛えるオリジナル・アニメ」とある。


自分は初回から数回見逃しており、イマイチ分からない部分もあるが、パズルを出す側が悪の秘密組織*2で、パズルに挑む人たちの命を奪ったりする不条理な設定で、主人公・大門カイトの両親は、パズルで命を落としたようだ。感覚的には、『サル漫』*3に出ていた「とんち番長」に設定が似ている。*4

さて、このアニメの売りは、一話ごとに取り上げられるパズルに対して、アニメーションと並行して、デジタル放送のパズル画面で解法が映し出されること。さらに、アニメ終了後のミニ番組「もっと×2 神のパズル」で関連パズルの紹介を、パズルの王子様(笑)がしてくれること。先日の放送(第12回)では、2011年11月にハンガリーで開催されたナンプレ世界大会(2位、4位に日本人入賞)のニュースも紹介されるなどレア情報満載。


ナンプレと本屋

話は長くなったが、ここで、よう太は「ナンプレ」(ナンバープレイス、別名「数独」)を知ることになる。

ナンプレ、絶対にやる!」と自分はナンプレをするために生まれたくらいの勢いで言うので、初心者用のナンプレを探しに本屋に行った。どこの本屋に行っても、手帳大くらいのパズル本が並んでおり、中でもナンプレの本は数が多い。今回、購入目的で行ってみて驚いたことは、その並び。難易度別に並べられた本はこんな感じ。

中級、上級、上級、上級、超上級、超上級、ハード、ハード、スーパーハード、難問、難問、激辛、激辛

激辛って何だよ!

どんな人がナンプレ本を買うのかは、一目瞭然で、基本的に初心者向けはシリーズとして用意されていても、店頭には並んでいないのだった。


結局、買ったのはコレ。

宮本算数教室の教材 賢くなるパズル―入門編

宮本算数教室の教材 賢くなるパズル―入門編

賢くなるパズル 基礎編 (宮本算数教室の教材)

賢くなるパズル 基礎編 (宮本算数教室の教材)


ここ数年、パズル関係の知育本が流行している*5が、その先駆けが宮本先生の本らしい。

内容は、ナンプレスリザーリンク(というパズル名は最近知った)の簡単なやつなど数種類のパズルに一日一問ずつドリル形式で取り組むタイプの本だ。ナンプレの初心者向けに比べると、こちらは断然店頭に並んでいる確率が高い。

パズルの種類によって得意不得意はあるものの、よう太もナンプレ気分を味わって大満足するとともに、リアルコナンへの歩みをまた一歩進めたのでした。


参考(過去日記)

*1:SCRAPのリアル脱出ゲームの猛者たちに負けない力を身に付けることを目的としていますが、今のところ一番の目的は。春によみうりランドで行われる予定のリアル捜査ゲーム第二弾です。

*2POG〜puzzle of godと呼ばれる世界的組織。前回の放送(第12回)で、主人公の攻略に手こずる極東本部長が更迭されたりして、組織としてはしっかりしているみたいだけど、何をして稼いでいるのかは不思議。

*3サルでも描けるまんが教室の略。1990年代に週刊ビックコミックスピリッツに連載された漫画で、簡単に言うと、バクマン。から青春要素を除いて、溢れるほどの蘊蓄を詰め込んだ作品。

*4とんち番長で重要なカギを握った「女性に見えるけど本当は男」というキャラクターも出てくる。笑

*5:受験研究社もこんな本を出している→算数パズル道場 トレーニング〈1〉年長~小学1・2年

D16D16 2011/12/14 00:07 行き帰りの公園で子供がDSでポケモンとかやってるのと、大人が電子メディアから離れて実体験や実物としてのオモチャに向っているのを見ると、どんな風にでも人は遊ぶんだなあ、と実感します。
ちなみに、その記事書いた方は僕の前の担当編集の方です。

rararapocarirararapocari 2011/12/14 23:58 コメントありがとうございます。遊び方は世代によって大きく違いますよね。
ドラクエ並びで隊列組んでモンハンやりながら歩いている子どもとか見ると「何かなあ」と思う自分に、年取ったなあ、と突っ込む自分もいます。いや、モンハンはいいけど、GREEとかのゲームに金かけるのだけは止めてほしいなあ。
こどもは好きなようにさせるとしても、ゲーム・漫画等の娯楽については、文化として、それが残るような楽しみ方を、大人は心がけるべきかと思っています。

2011-12-12 Mon

[]朝日新聞大阪本社科学医療グループ『iPS細胞とはなにか』

久しぶりにしっかり読めた科学関係の本。読み易かった。

第一章「山中伸弥ストーリー」では、iPS細胞研究の第一人者である京都大学山中伸弥教授の足跡を辿る。整形外科から研究の道に入り直したエピソードは面白いだけでなく、自らの使命を誠実に考えている様がうかがえる。ラストの第10章にも山中教授のインタビュー記事を載せながらも、全体を通して山中教授成功譚のようにならないのは、iPS細胞をはじめとする万能細胞研究の争いの熾烈な状況が現在も進行中であるからに他ならない。頻繁に報じられる再生医療のニュースの意味についていくためにも、とても有用な本だった。


以下は内容のメモ。


iPS細胞人工多能性幹細胞)とは

  • induced(誘導された)
  • pluripotent(多能性)をもつ
  • stem cell幹細胞
  • 特定の4種類の遺伝子を人工的に体細胞に導入してつくった多能性を持つ細胞
  • 頭文字が小文字なのは、命名者の山中教授が「iPod」を真似た
  • 4種類の遺伝子は「山中ファクター」と呼ばれる
  • 2006年 マウスiPS細胞を作ることに成功(山中教授)
  • 2007年 ヒトでiPS細胞を作ることに成功(アメリカの教授と同着)

幹細胞とは

  • ヒトの体を形成する約60兆個の細胞も、元を辿ればたった1個の受精卵
  • 細胞が分化(目的に合った形や機能をもつように変化していくこと)することにより、あらゆる細胞や臓器がつくられる
  • ふつうは、いったん分化した細胞体細胞)は、さらに分化しない(心臓の細胞肝臓細胞に変化しない)→時計の針を巻き戻せない
  • 「自分自身」と「他の細胞に変化する細胞」に分裂する細胞を「幹細胞」という。ヒトにはほんの少数しかない。(赤血球白血球をつくる造血幹細胞など)
  • 体内のどんな細胞でもなれる幹細胞を「多能性幹細胞」といい、プラナリアにはこれがあるため再生が可能。ヒトの体内にはない。

ES細胞

  • ヒトの受精卵からつくった多能性幹細胞
  • 胚(受精卵が分裂をはじめて胎児になるまでの、細胞の塊の状態)の内部の細胞を取り出して培養してつくる
  • 受精卵を壊してつくるため、倫理的な問題がある
  • 患者にとっては「他人」の細胞であるため拒絶反応の心配

初期化(リプログラム


ヒトクローン胚からのES細胞作製

  • 患者の体細胞から核を取り出し、あらかじめ核を除いた卵子に移植してつくるクローン胚からES細胞を作製することができれば、拒絶反応の心配がない。
  • 2005年に、これに成功したとした韓国の黄教授は、のちにそれが捏造だとわかる
  • 現在も実現していない。

ES細胞クローンの倫理的な問題


iPS細胞の利用方法

  • 難しい病気の患者のiPS細胞を作ることによって病気の仕組みを探る
  • 薬の開発・薬の毒性調査に使う
  • 細胞移植には「がん化」という課題がつきまとう(80年代の遺伝子治療の苦い経験)

iPSバンク

  • あらかじめ安全性を確認したiPS細胞を用意し治療に使う計画
  • 安全面、コスト面でのメリットがある
  • 他人の細胞を移植することになるので拒絶反応が問題になる
  • ただし、HLAと呼ばれる白血球の型を50種類集めておけば日本人の9割をカバーできるという試算もある(P127)
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2011-12-09 Fri

[]これでいいのか?〜手塚治虫ブッダ』(3)

ブッダ 3 (潮漫画文庫)

ブッダ 3 (潮漫画文庫)

さて、すっかり話は、ブッダを中心に動き出した第三巻。

  • タッタとの出会い
  • 女盗賊ミゲーラへの一目惚れと別れ
  • ヤショダラ姫との結婚
  • ヤショダラ姫の妊娠
  • 出家

まさに波乱万丈。多くのことがシッダルタに降りかかる巻。

また、宗教的な課題も多く登場する。そのひとつに対して、サモン(沙門)のデーパは「人間はなぜ生きているのか?苦しむためなのだ!だれもかれも苦しむ!それでこそむくわれるのだぞ!」と答え、ミゲーラを諭すが、果たしてシッダルタの答えはどうなのだろうか。


シッダルタは、自分を、そして世界中の人間を救うために自ら苦行を始める。

しかし、ヤショダラ姫や自らの子どもへの冷たさについては疑問だ。

当初から、ヤショダラ姫との結婚は本当の愛ではないと本人に向かって説明し、

  • こどもなんか生んだらもうおしまいだ。それが障碍(ラーフラ)になって…ぼくは一生しばられるんだ。

と言い続け、実際にヤショダラ姫が妊娠すると、雷に打たれるような衝撃を受けた後

  • なぜこどもなんかできた……。障碍(ラーフラ)だ!!その子にはラーフラとでも名づけるがいいっ。ぼ…ぼくは…それでも出ていくぞ!!

といって、実際に、城の一郭で苦行を始める。

世界や自らの救済(悟り)を求めるのは、あくまで実生活の中での悩みを抱えているからこそであって、身の回りの問題(特に周囲の人々)から目を背けて、それを追求するのは、そもそも方法として誤っているような気がするが、これでいいのだろうか。

3巻までの『ブッダ』は、確実に、悩めるエリートたちが、かつてのオウム真理教へ入信することを後押しすることになってしまう。


さて、タッタは、悩むシッダルタと比べるとサッパリしているように見えるが、コーサラ国への怒りは未だに収まらない。コーサラを打ち負かし、社会を変えるために、シッダルタを後押ししているのだ。

コーサラ国はコーサラ国で、シャカ族の王族の娘と偽り嫁に出した侍女がパセーナティ大王の子を産む等、今後の展開にどうつながるのかは楽しみだ。

2011-12-08 Thu

[]全てが軽やかな14歳〜石田衣良4TEEN

4TEEN (新潮文庫)

4TEEN (新潮文庫)

石田衣良を読むのは何年ぶりだろうか。池袋ウエストゲートパーク関連を3冊くらい読んで、とても満足度が高かった覚えがある。その後、人気者になり、メディア露出が増えて、何だかなあ、と思ったときもあったが、その悪いイメージも払しょくしてほしいと思い、直木賞受賞作を手に取った。(本当は、図書館で物色していてたまたま見つけた)


8個の短編それぞれで中学二年生の男子生徒4人が直面するのは、難病、売春、拒食症、いじめ、不倫DV同性愛アルコール依存症、父親の死、虐待、妊娠…と重々しいテーマばかり。おそらく、この本への一番多い批判は、これらのテーマを軽く扱い過ぎだ、というものだと思う。*1自分もその意見には半ば同意する。しかし、それは大人的感性で考えた場合であって、小説内にどっぷり浸かると、次々に起きる事件を、これくらい軽く考えることが、登場人物ら4人の感覚として正解だと感じる。

一時期、酒鬼薔薇事件や、エヴァンゲリオンに絡めて14歳が騒がれたときには、14歳という年齢は、危険な年齢として捉えられていた気がするけれど、この小説ではむしろ前向きを通り越して脳天気な感じだ。

自分を考えても14歳の頃は、何故か部活をやめて新聞配達のアルバイトを始める等、今考えるとどうしても意味不明な行動に出たりして、深く考えずにいろいろなことが出来ていたように思う。だから、読んだ人にとっての14歳的感性と合えば、とても面白く読める小説だ。そして、この小説の「軽さ」と、8つの短編を通して登場する自転車という乗り物は相性がいい。巻末のあとがきで書かれているように、自転車の持つ「あのスピード感と明るさと吹き抜ける風」こそが、石田衣良の“14歳”観なのだろうし、自分も共感できる。


ぼくが怖いのは、変わることだ。みんなが変わってしまって、今日ここにこうして四人でいるときの気もちを、いつか忘れてしまうことなんだ。ぼくたちはみんな年を取り、大人になっていくだろう。世のなかにでて、あれこれねじ曲げられて、こうしていることをバカにするときがくるのかもしれない。あれは中学生の遊びだった。なにも知らないガキだった。でも、そんなときこそ、今の気もちを思いだそう。変わっていいことがあれば、変わらないほうがいいことだってある。

(略)

今から何年かして、自分がだめになりそうになったら、今日のことを思いだすようにしよう。あのときすごくいいやつらが四人いた。自分だって人生の最高のときには、あのメンバーにはいれるくらい絶好調だったって。今の弱さや不安を忘れないようにしよう。そうしたらきっと…

(略)

それができたら、どんな悪いことにもなんとか耐えられる。なんとか生き延びて、悪い時期を我慢できるなら、もうゲームなんて勝ったも同然さ。

(p318テツロー)

こういう14歳っぽい名言に感動する。というか微笑ましく思う。結構良い本。


補足

続編もあるんですね。

6TEEN

6TEEN

ドラマ版も見てみたい。

4TEEN スペシャル・エディション [DVD]

4TEEN スペシャル・エディション [DVD]


参考(過去日記)〜芥川賞直木賞作品

*1:同じく重いテーマを軽く扱って見せたのが、やはり直木賞作品の奥田英朗空中ブランコ』。アプローチの仕方は全く異なるが…。

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2011-12-07 Wed

[]悩みつづけるシッダルタ〜手塚治虫ブッダ』(2)

ブッダ 2 (潮漫画文庫)

ブッダ 2 (潮漫画文庫)

人間こそが最も弱く、最もみにくい、生き物である。

巻末解説で、大沢在昌は、ヒューマニズムの作家−−−安易で簡単で、センチメンタルなヒューマニズムではなく、核にヒューマニズムを持った作家として、手塚治虫を称えている。

?悩みつづける、傷つき、そして傷つけつづける”ブッダを描いたこの作品こそ、その核の部分がそのまま表れた作品なのだという。


2巻になってようやく誕生を迎えるシッダルタは、生まれた直後に母を亡くす。学校では、身分の違いに悩み、放課後の遊びでウサギを射た友人が溺死するのを目の当たりにし、死に悩む。そして、ウサギの心に入り込み、死を体験したあとの叫びのシーン(台詞よりもコマ)が印象的。

いやです ぼく 死ぬのなんかいやだ!!

ぼく生きたい!

ずーっと生きたいんです 人間として

大沢在昌の言うとおり、ブッダは完全無欠な存在として描かれず、読み手の立ち位置から宗教的疑問(人間の生死など)にアプローチするので、共感・理解がしやすい。2巻末で10歳前後のシッダルタがこれからどのように成長するか、楽しみだ。


さて、1巻の登場人物達のうち、コーサラ国の勇士となったチャプラ(実質的に1巻の主人公)は、スードラであることがばれ、母とともに命を失う。ナラダッタは、チャプラの命を救うために多くの犠牲を払ったことを咎められ、師匠アシタによって、生きながらけものの世界に身を落とすことになる。

そして残ったのは、タッタ一人。身分階層では、スードラよりも下のバリアであるタッタは、シッダルタのように概念としてではなく、自らが生きていく中で実感として、社会に不満・疑問を持つ人物。動物の心に乗り移る超能力もあり、シッダルタにやや近い存在だが、3巻で二人は出会うのだろうか?

2011-12-06 Tue

[]戸羽太『被災地の本当の話をしよう 〜陸前高田市長が綴るあの日とこれから〜』

先日、東北出張と絡めて、陸前高田に行く機会があり、そのときに盛岡駅のさわや書店*1で購入。

本の内容は、3.11当日と復旧の日々、そして復興未来予想図について、陸前高田市長という立場から綴られたもので8/25に出版されたもの。

本を出した目的が「はじめに」に書いてある。

驚かれる方もいるかもしれませんが、7月の段階になっても、まだライフラインは完全に復旧していません。

駅が消滅し、線路もバラバラになってしまったので鉄道は不通状態。道路もまだ応急対応のみで、災害の爪あとは依然として残ったままです。

ひとりでも多くの方に、このような被災地の現状を知っていただきたい。

そんな切なる思いから本書の出版を決意したのです。

報道される機会が激減していることによって、復興が進んでいると錯覚されてしまうのが怖いという思いが市長の根本にある。しかし、本の中で繰り返し触れられるように、被災地復興はそれほど芳しくない。11月末に見た気仙沼陸前高田は、未だに瓦礫が片付いていない状態で、あれから8ヶ月以上が経っているとは、とても思えなかった。

そういった現実と被災地以外の人達の認識のずれによって、3.11が忘れられていくと、これまで持ちこたえてきた陸前高田の、そして被災地住民の心が折れてしまう、そのことも心配だという。

これまで長くて辛い日々にどうにか耐えてこられたのは、日本全国、そして海外からの励ましの声があったからです。あぁ。私たちは忘れられていない。私たちはひとりじゃないんだ、という思いが生きている「実感」につながり、復興へのエネルギーになってきたのです。

市長自身、津波で家を失い、奥さんを失い、知人友人を失って、辛い日々を過ごしたのだろう。復興に向けた取り組みは、勿論、市や県そして国が中心になって進めることになるにしても、それらを成功させるための原動力は、周りの支えがあってこそなのだ。


多忙を極める被災地復興の仕事の合い間を縫って作った本なので、分量的には少ないし、復興に向けた提案事項の根拠も曖昧だったりして、夢だけを語っていると言われかねない部分もある。しかし、2011年2月に市長になったばかりとは思えないほどのリーダーシップと熱い思いが伝わってくる、良い本だと思う。

この本を読んで、被災地に思いを寄せることは重要だし、自分に何が出来るかを考えることはさらに重要なことだと思う。

話は脱線するが、そんな中、ひとりソウルツアーのついでにボランティア山元町のスコップ団)に行った田島貴男のことを自分はとても尊敬するし、田島に背中を押してもらうかたちで、実際に現地に作業に行ったファンの方も凄いと思った。無理をして遠征したり、何かを我慢して寄付するのではなく、普段の生活の中で、もしくは何かのついでに自然に被災地のために出来ることをしている、この人たちを見本にして、息の長い支援を個人的に続けていきたいと思う。

*1盛岡駅の駅ビルフェザン内にある店で、独自ポップ等が充実しており、書店員さんの熱意を感じます!ファンです。かっこいい復興缶バッジも購入しました。→f:id:rararapocari:20111128205309j:image

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2011-12-05 Mon

[]ラノベ初体験〜谷川流涼宮ハルヒの憂鬱

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

いわゆるラノベを読むのは初めてだと言っていいと思うが、さすがに有名作品だけあって、普通の小説を読むのと比べて全く違和感なく読めた。また、最近続けて読んだ学園物の中でも、テンポよく話が進み、やや類型的に過ぎるキャラクタも、突き抜けている展開の良さが際立つので気にならなかった。

そもそもこの小説は、第8回スニーカー大賞の<大賞>受賞作。先日読んだ米澤穂信氷菓』は、その姉妹版?(現在は統合)に当たる角川学園小説大賞の<奨励賞>受賞作なので、それよりも面白いに違いないし、実際面白かった。(どちらも高校入学後に、主人公男女を中心に作ったサークルが舞台。学園物の鉄板の設定なのでしょうか)


「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい」

伊藤計劃『ハーモニー』にも引用?された、あまりにも有名なこの台詞。このセリフから、主人公(男子高校生キョン)が、破天荒な女子生徒に巻き込まれて、学園生活にとんでもないことが…という展開を予想したが、それは中盤で見事に覆される。

実際には、涼宮ハルヒだけが「進行している事態」に気づかないのだ。ハルヒが暴れまくるSOS団の活動は実は「ごっこ」で、実際のストーリーが進行するSOS団以外の世界の二つで話が進んでいくという、設定上のちょっとした仕掛けは、次巻以降でどのように使われていくのか。この巻だけでも十分に楽しめたが、続刊以降に期待したい。(アニメは、その後で)


参考(過去日記)

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2011-12-04 Sun

[]田島貴男ひとりソウルツアー感想(11/26(土)渋谷クアトロ初日)

セットリスト

  1. フリーライド
  2. フィエスタ
  3. ローラー・ブレイド・レース
  4. Body Fresher
  5. 月の裏で会いましょう
  6. 春のラブバラッド
  7. サーディンの缶詰め
  8. 髑髏
  9. プライマル
  10. ミッドナイトシャッフル
  11. バイク
  12. Masked
  13. ブロンコ
  14. The Rover
  15. Jumpin’ Jack Jive
  16. ボラーレ

(アンコール1)

  1. 接吻
  2. カミングスーン
  3. 今夜はブギーバック
  4. 好運なツアー

(アンコール2)

  1. R&R

(アンコール3)

  1. 夜をぶっとばせ

やはり、この日の衝撃は「今夜はブギ―バック」のカバーに尽きます。

今さら説明するまでもありませんが、アルバム『白熱』には、スチャダラパーと初めてコラボした「カミングスーン」という曲が収録されています。購入時(ライブ会場での先行発売)には、一人で歌っていた元曲「ディランとブレンダ」からの変化の方に注目し過ぎて、ブギ―バックには思いが至らず、アルバム発売時の売られ方を見て、ああそうだった!と思った記憶があります。


f:id:rararapocari:20110726223641j:imagef:id:rararapocari:20110726223650j:image

上の写真は、タワレコ新宿店のポップですが、やはりブギ―バックを好きだった客層に猛烈にアピールしていることが分かります。つまり「俺は渋谷系じゃねー」のオリジナル・ラブが、これまで巧みに避けてきた「渋谷系」文脈をど真ん中に突っ走る楽曲が「カミングスーン」だったのです。勿論、田島貴男本人は今回、インタビューの度に、アルバム『白熱』のイメージとして〈新しいオールディーズ〉という言葉*1を連発しており、「渋谷系」文脈については特に意識していないし、受け取る側のファンもほとんど意識していませんでした

しかし、オリジナル・ラブ×スチャダラパーといえば、やはり渋谷系、そしてブギ―バックが思い浮かぶのは、今考えれば当然な気がします。


クアトロの初日のMC(カミングスーンは楽曲の途中で一旦切って長いMCをするのが恒例)では、渋谷クアトロで、田島貴男スチャダラパーが一緒にやるのは二十数年ぶりという話が出てきました。何と、そのときは、スチャダラパーは、オリジナル・ラブの前座を務めたそうです。そんなMCのあとに田島貴男が歌いだした

ダンスフロアに華やかな光

は、自分のオリジナルラブ史上で一番驚いた瞬間でした。まさに鳥肌物でした。

オザケンとの歌唱イメージの違いもあり、非常にカバーされることの多いブギ―バックの中でも、かなり上位に食い込めると思います。*2これは即刻、音源化を希望します。以前も書いた「カミングスーン」のシングル化*3に向けて一歩前進した気がします。(笑)


さて、今回のカバーは、今年、小沢健二が久しぶりにライブを行い、田島貴男もそれを見に行っていることを考えれば、タイミングとしても十分納得が行くものでした。また、ブギ―バック自体も『モテキ』絡みで、フジファブリックにもカバーされ、森山未来にも歌われるという、非常にスポットライトの当たる一年でした。それらのカバーについては、オザケンが、公式に発言しており、これも興味深いものでした。

歌を歌う人は、必ず標的を持っています。

(略)

歌が矢だとすると、矢が投げられる先には、何かがある。あるいは、あるはず、という予感がある。

それは、どんな標的なんだろう?カバーされた曲の場合、投げられている矢自体は確かに、いつか僕が削って磨いた矢なのだけれど、その矢が僕には全く見えない標的に向かって、でも自信を持って、力と喜びをこめて、投げられている。

公式サイトひふみよ「矢」

さすがの名文!

この文章は、主にフジファブリックに向けて書かれたものとは言え、田島貴男の放った矢がどこに向かっていたのかを考えると、とても興味深いです。一度、本人が日記でも取り上げていましたが、田島貴男オザケン愛を感じるし、それ以上に、クアトロでブギ―バックをカバーすることに、今更ながら(一時期否定的に捉えていた)「渋谷系のオレ」も愛する感じが出ていて、ファンとしては感無量でした。


その他

今回のツアーは、久しぶりの全国ツアーでしたが、セットリストが各地で大幅に異なるという事態が生じており、個人的には「あの曲が聴きたかったのに」という無いものねだりが多数あります。(たとえば「二人のギター」「女を探せ」)が、歌や演奏自体は、これまでで一番力強く、安定感がありました。特に「バイク」と「髑髏」が最高でした。

毎度恒例のほぼ日刊イトイ新聞*4が、初めて(笑)ミュージシャン田島貴男を大々的にフィーチャーしており、今回のライブ動画が多数掲載されていますので、ライブに行くことが出来なかった方もそちらで楽しむことができます。

自分もまだ全部見切れてませんが、オススメです。


なお、今回も、ファンの方たちと楽しく語らうことが出来ました。同じ趣味を共有できる人たちとの話は、もはやライブとともにかけがえのない物となっています。ファンの人たちを見て、自分の進んできた道は間違いじゃなかったって思うことってありますね。今後もよろしくお願いします。


補足

渋谷初日のトピックとして忘れてならないのは、白熱蛍光ブレスレット(ルミカライトとかサイリュームと言われるものです)の件。

田島貴男自身も「今日は、なんか凄いね」「クリスマスみたいだね」という感じのコメントで喜びを見せた会場内の光の波。

これは、なんと個人の持ち出しで用意して下さった方*5がいて、成立したものなのです。自分は、遅れて会場入りしたため、受け取ることができませんでしたが、今回のライブで忘れられないポイントの一つです。感謝カンゲキ雨嵐*6です。

なお、個人的には、その色が「白熱色」であることに、気づいて欲しかったのですが、田島貴男は「青く光ってる」と言ってました。残念。


参考

カミングスーンという曲の情報量過多な感じも、まさにブギ―バックです。


「白熱色」については、こちらを参考にしてください。

*1:例えば、バウンスの記事

*2:正直に言えば、「なごり雪」のカバーは、その文脈も含め、イマイチその良さがよく分かりません。

*3:調べてみたら、2回も書いている…http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20110930/OLShttp://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20110910/COMINGSOON

*4:略して「ほぼにち」ですが、「ほぼひ」と略す方がいて驚きました。自分が尊敬するオリジナル・ラブファンの一人です。笑

*5ツイッターでいつもお世話になっている@youcan3355さんです。当日、初めてお会いできました!

*6:最近のお気に入り曲です。嵐の歌。

yokoyoko 2011/12/06 01:01 ブギーバックから、渋谷系のオレも愛する、にまでたどり着くとは!さすが師匠!
そこまでは思い至りませんでしたが、みんな大好きなこの曲をやった、というところに、お客さんを楽しませようという精神を感じました。田島貴男、一回り大きくなったなぁ、と(上から目線)。
本当にこれからが楽しみです。

rararapocarirararapocari 2011/12/07 00:08 コメントありがとうございます。
さすが…のこじつけですよね。笑 自覚してます。
お客さんを楽しませようという精神は、ミュージシャンなら始めから出来ている人もたくさんいるのですが、田島貴男の場合、少し前までは自らのこだわりが強いと感じてました。最近のライブでは、自らのこだわりを無くすのではなく、バランスが取れてきた感じですよね。
身体的な部分や技術的な部分も含めて、今、非常にいい状態にいるのだと思います。「みなぎる」という言葉がぴったりです。ライブが一段落したら新曲を期待したいです。

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2011-12-03 Sat

[]日本人論×夫婦愛×膨大なサブカルネタ〜樋口毅宏『日本のセックス』

日本のセックス

日本のセックス

かつて週刊プレイボーイで「イチローSMを語る」という題されたインタビュー記事が掲載されたことがあった。イチローに「奥が深いですよ」とか言われると、そ、そうなのか、と思ってしまう。村上龍SMものをかつてよく読んだ経験からすると、SMには理屈が存在し、それなりに筋が通っていて、むしろ語る人物の聡明さを倍加する。

『日本のセックス』の主人公は、中国への留学経験もあり、やはり非常に聡明で、仕事のデキる既婚女性の容子。でもスワッピングマニア。そんなスワッピング夫婦のもとに訪れる激動の出来事が、この本で語られる物語。


前半部は、まさに酒池肉林、というか延々と続く異常なセックス描写に、これは何処まで行くんだ?と思ったが、ある事件を境に状況は一変し、後半部の舞台は裁判所に。

冒頭に挙げたような理論武装で、スワッピングを行う自分たちを、選ばれた人間のように思っていた容子は、結局、彼らマニアも窮地に立たされると、自らが蔑む「日本人」的な凡庸さが顔を出すことを知り、愕然とする。そう、この本のタイトルは、この本の持つ「日本人論」としての側面を示しているのだ。

この本の面白いのは、そういった日本人論と、夫婦愛というメインストーリーのテーマとしてよく出来ているだけでなく、登場人物によって語られる膨大なサブカルネタの面白さ。前作の『さらば雑司ヶ谷』では、オザケンについて語られた部分が、いろんなところで取り上げられていたが、今回、大フィーチャーされていたのは、GREAT3『METAL LUNCHBOX』収録の「ラストソング」。数ページに渡って展開される主人公のセリフは、聴いてみたいと確実に思わせる超絶レビュー。これを機会に聴き直してみたいと思う。あと、映画も多数取り上げられていたが『アメリ』や『奇跡の海』は観てみたい。そういうカタログ的な面白さを兼ね備えているという点は、他の本では味わえない、樋口毅宏でこその魅力なのだろう。

METAL LUNCHBOX Standard of 90’sシリーズ(紙ジャケット仕様)

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アメリ [DVD]

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奇跡の海 [DVD]

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2011-12-01 Thu

[]眩しすぎるエウメネス岩明均ヒストリエ』(7)

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

1年半ぶりの新刊発売。

誰もが認める傑作漫画で巻数もちょうどよいので、未読の人には非常にオススメ。アレキサンダー大王の書記官・エウメネスの生涯を描く作品。


この巻の前半は王子アレクサンドロスの魅力が全開。

額から鼻にかけての蛇型のアザという外見的な特徴に加え、もう一つの人格(不良のヘファイスティオン)が棲みついているという内面的特徴、さらには、男でもドキドキするほど優しく美しいという、これでもかというほど漫画的な要素を詰め込んだキャラクターは異彩を放つ。主人公のエウメネスが完璧すぎる才人だから、エウメネスが仕える相手は大袈裟に崩してみた、と言う感じなのだろうか。個人的には、アレクサンドロスの登場で、この後の展開がさらに楽しみになった。


後半は、いつもの通り、エウメネスという人物の秀でた部分にスポットライトが当たる。3年ぶりに訪れたカルディアで、父の仇ヘカタイオスと上下関係が逆転した状態で会うシーンなどは、非常にスカッとする良い場面。ただ、エウメネスの成長が眩し過ぎて、自分なんかは、登場するたびに、みすぼらしくなっていくヒエロニュモス(エウメネスの義兄)にむしろ共感を覚えるくらい。


それ以外のキャラクターとしては、「王家の両輪」とも称される元老アンティパトロスが異様な迫力を放つ。エウメネスとどう関わるのかは楽しみ。というか実在の人物が多数登場する物語なので、関連作品は8巻が発売される遠い先を待たずに、見てしまいたい。

アレキサンダー プレミアム・エディション [DVD]

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完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢

完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢


なお、この巻の初回限定版では、エウメネスが発明したとされるマケドニア将棋が付録としてついて2480円。誰が買うのかよ!と思いつつ、本屋でしばし見入ってしまった自分がいる(笑)

ヒストリエ 7 (アフタヌーンKC)

ヒストリエ 7 (アフタヌーンKC)

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