Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

「担任運」の悪いコウキママ〜宇仁田ゆみ『うさぎドロップ(3)』

うさぎドロップ (3) (Feelコミックス)

うさぎドロップ (3) (Feelコミックス)

何があってもこれだけは変わらない。俺は俺で、りんはりん――。りん、小学校に入学! 保育園からの友達・コウキと共にランドセルを揺らし通学する日々が始まった! 子どもも大人も戸惑いつつ、どんどん世界は広がって…。(Amazonあらすじ)

りんは小学校入学。
記念樹の話や、世代間の意識差の話、そして巻末で大吉が出会ってから一年を噛み締めるなど、長いスパンでの時間経過を意識させる巻。
正子については、その対極にあるものとして「安心感」という言葉が使われる。同僚の父親達にも、コウキママにも感じられる「安心感」が正子にはない。それは子どもへの愛情から来るものだろうか、と大吉も考える。この問題については少し宙ぶらりんだ。



この巻のセリフからは正子は少しだけ人間的に見えてくる。正子自身は、家庭と仕事の両立はハナから考えず、家庭(生まれてきた娘)を切り捨てて仕事を取ったのだと考えている。こういう考え方は女性の場合はレアケースでも、男性だったらいくらでもあるケースのように思う。子を産むのに籍を入れないところも、よくあるパターンとしての「認知するかしないかの話」を逆になぞっているように見える。仕事をやはり男女逆転させて問題を捉えようとしているのかも。


ところで、メインの話題ではないけど、「低学年のときの担任との相性」問題は、実は小学校生活において、かなり大きなポイントとなってくると思う。りんはどの担任でもそれなりに順応できるが、コウキみたいなのは、担任との相性によって自信の持ち方も変わってくる。(大勢の前で叱られる経験が多い少ないは性格に影響してくると思う。)もちろんコウキ自身の問題もあるわけだが、少し運が悪かった。コウキママは可哀想だ。


また、これまでの巻もそうだったが、新人育成など、会社組織の悩みについて妙にリアルな視点が入っているのが不思議だ。大吉の「女性社員は扱いにくい」という言葉に嫌味が感じられないことも考えると、作者は数年企業勤めをしているのではないかと感じてしまうが、どうなのだろうか。


(作者の分身と思っていた)後藤さん出ないのかよ!