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小規模組織のためのフリーIT(ソフト、Webサービス)活用伝道日記 RSSフィード Twitter

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2010-09-09

Asterisk オープンソースのIP-PBXでワールドワイドに内線化

| 12:34

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オフィスにはNTT光回線を引いている場合は、おそらくIP電話の一種である『ひかり電話』を導入していると思うがどのようにお使いであろうか。これまで使っていたアナログ電話をそのまま使っているケースも多いと思う。NTTの光電話ルーターだと直接接続できるアナログ電話は2台。IP電話で4台である。無線のルーターなら無線IP電話を5台まで接続できる。電話を増設には、別途VOIPアダプターというのに変えるか、IP-PBXすなわち IP電話用の構内交換機と言われるものを追加する必要がある。
Asteriskは、世界で初めてオープンソースIP-PBXとしてリリースされたソフトウエアである。つまり、無料で使える。IP電話の交換機は実はコンピューターなので、Asteriskはパソコンにインストールすることができる。ただし、OSは通常Linuxを使うので、この辺の知識経験がないと残念ながら初心者では難しいが、余ったパソコンの再利用として使うこともできるのでエコである。Asteriskが開発された経緯は、Asteriskの開発元ディジウム社のマーク・スペンサーが創業当時にお金がなくてPBXが買えなかったので自分で開発したとのことである。つくづく米国のITベンチャーはすごいなーと思う。Asteriskの主な機能は次である。
 ● 外線受発信
 ● 内線通話
 ● 転送
 ● ボイスメール
 ● IVR(音声自動応答機能)
 ● ACD(自動着信呼配分機能)
 ● スケジュール
 ● 電話会議
 ● 通話記録
しかし、これだけだと従来アナログ電話で使っていたPBXと変わらない。もちろん、高機能なPBXが無料で使えることは大きな意義がある。ただし、アナログ電話からIP電話に変わって、IP-PBXオープンソースとして無償で公開したことはそれ以上の価値がある。IP電話ならではの特徴を次に述べる。
(1) 特定の電話メーカーに縛られないで、柔軟な電話システムを構築できる。
これまで、企業が使うビジネスフォンはPBXと電話機が同一メーカでなければ使えなかった。つまりA社のPBXとB社の電話機を組み合わせて使うことができなかった。これは、メーカーによる囲い込みであり、このためビジネスフォンの導入には結構な費用が掛かっていた。これは実にユーザーにとって不利なことで、あたかもパソコンが同一メーカーでないと相互にデータ共有できない、あるいは無線LANの親機と子機が同一メーカー品でないと繋がらないことということと同じである。当然ながら、移設も増設も変更も業者に委託するしかなく、この面でも煩雑で費用がかかる。このように、電話の世界は一般人が触れることができない特殊で閉鎖的な世界であったが、電話のIP化によりオープンとなった。IP電話だとIP-PBXと接続する規格が決まっているので、その規格に合っているいるならば、原則メーカーに縛られず自由に組み合わせることができる。特にオープンソースのPBXが出現したことにより、自分で電話システムを構築できるようになった。むろん、それなりの理解力、技術力がないと扱えないが、従来に比べて電話を扱う敷居が非常に低くなった。
秋田県大館市で市の職員が自力で勉強して市役所の電話システムを入れ替えたという事例がある。2億円の見積もりの電話システムを市の職員が自力でLANの敷設までやって880万で導入したとことで話題となったが、実際は費用的には業者に委託するに比べて数分の1ということらしい。それでも費用効果はそれなり十分あったわけで、特に電話の専門家でない素人が電話システムの交換を行ったということはすごいことである。
(2) 国内の離れた拠点や海外拠点も内線化
f:id:rascal2001:20100908143731j:image:left  [図はMarc's Reportより] 
IP電話を使うと内線通話できる範囲は同じオフィスや敷地内に限定されない。すなわち、国内の離れた拠点をIP-PBXで内線化することができる。それだけではない、海外の拠点も内線化することができる。市外電話料金や国際電話料金を一切払うことなくワールドワイドに拠点間を無料で通話できるのは大変経済的である。当然ながら、内線電話がオフィスにある必要はなく、自宅にIP電話を設置して内線化して自宅で会社宛に掛かってきた電話を受けることができる。さらに、オフィスを持たないで、自宅をオフィスにして全国に散らばった在宅ワーカーをIP電話で結んでバーチャルオフィスを実現できる。台湾中国、日本の拠点を結んで内線化している例がMarc’s Reportにあるので是非読んでいただきたい。
また、iPhone等のスマートフォンではIP電話アプリを使うと、スマートフォンを会社の内線電話として使うことができる。新幹線の無線LANを使って会社に内線通話した例がある。
内線化するのは自社に限定する必要もない。頻繁に通話する会社間をIP-PBXで内線化することもできる。これも電話料金無料で通話できる。IP-PBXを一箇所に設置して内線網を集中監視するのをIPセントレックスというが、IP-PBXを持たないで電話会社のサービスを受ける方法もある。有料のサービスではあるがPBXの導入や管理が省けるという利点がある。NTTKDDIなどでサービスを提供しているが、アジルフォンではアジルクラウドPBXというサービスを提供している。
内線電話網を拡大すると、極端なことを言えば小型の電話会社を作るようなことができる。
(3) CRMなどのアプリケーションとの連携
AsteriskオープンソースAPIが公開されているので、CRMなどのアプリケーションとの連携が可能である。実際、SugarCRMとの連携例があり、電話が掛かってくるとCRMの顧客情報をポップアップ表示する、CRM側から顧客の電話番号をクリックすると電話を掛けることができる。
(4) ワールドワイドにビジネスサポート
先ごろ、Google米国Gmailから電話できるサービスを始めたが、GoogleにはGoogle Voiceというサービスがある。日本ではまだサービス開始されてないが、これは1つの電話番号で着信してオフィス、携帯電話、自宅等に転送する電話の転送サービスである。これとは逆に世界中の各国の公衆電話番号を取得してそれらに掛かってきた電話を一箇所の拠点に転送するサービスがある。日本で取得可能な電話番号は03である。これとIP-PBXを組み合わせるとワールドワイドに電話サポートが実現できる。例えば、インターネットで世界各国向けに製品を販売している場合、各国に電話サポートの窓口を置くことは費用的に大変であるが、物理的に各国に電話を置かないでIP-PBXをこのサービスに接続し、このサービスで電話を日本に転送してもらって電話サポートすることができる、電話プロバイダの例はここを参照。また、これらのサービスでは国際電話がひじょうに安い。また、iPhone等で固定電話や他社携帯に電話を掛けると料金が高いが、iPhone等のIP電話アプリGoogleskype、またはこれらの転送サービスを使うと日本国内の固定電話に1分間2セントで電話できる。中国に至っては1セントである。となると、スマートフォンの番号は受信専用にして、電話するときにこれらのサービスを使うことで携帯電話の通話費用を下げることができる。まさにIP電話ならではのサービスである。こうなると携帯電話会社も従来のビジネスモデルではやっていけず、ビジネスがどんどん変わっていくと思われる。

AsteriskLinuxインストールするのは多少手間がかかるが、AsteriskNOWというOSと一緒になったパッケージがこれまた無料で配布されている。CDイメージなのでダウンロードしてCDに焼いて、CDからパソコンに簡単にインストールできる。設定の仕方については、日本語で解説したサイトや本が出ているのでそれを参考にできる。ただし、AsteriskNOWの最新バージョン1.7ではユーザーインターフェースが変わってしまったので、本質的な変更はないが注意が必要である。
無料で使えるIP-PBXAsteriskだけでなく、その派生製品のTrixBoxWindows版の3CXなどいろんなものがある。特に3CXはWindowsパソコンに簡単にインストールできるのでIP-PBXのテストしてみるにはちょうどいいかもしれない。かつて、自分がAsteriskNOWや3CXをテストした時に、PCのソフトフォンからGZIMO経由で自分の携帯や固定電話に通話したことがある。おそらく、米国サーバー経由で日本に転送したと思われるため音声の遅延が多少あったが、十分使える品質であった。
Asterisk等のIP-PBXのソフトを使うのに自分でインストールしなくても、これを組み込んだ専用ハードウエア、すなわちIP-PBXが販売されているのでそれらを購入する方法がある。価格は2万円台から10数万、日本製で80万というものもある。よほど節約するのでなければ購入したほうが耐久性の点やインストール作業面ではいいであろう。設定は多機能なため複雑であるが、自分でできないときには業者に頼まなければならない。IP電話機もピンからキリで、中国製だと6千円台からある。
一般にIP電話というと費用が安い面だけが強調されるが、IP-PBXを導入してIP電話の特性を生かした使い方でビジネスを展開するのはどうであろうか。
−関連サイト−
Asterisk- The Open Source Telephony Projects
AsteriskNOW
第19回 AsteriskNOWのインストールと設定 - Asteriskを使う:ITpro
TrixBox
3CX
Marc’s Report » ITSPのSIP トランク とMINI100 IP-PBX でどれくらいの電話料金が安くなるだろうか?その比較表を作ってみた。
見積もり2億円のIP電話を820万円で構築した秋田県大館市から学べること - 記者の眼:ITpro
Asteriskとひかり電話で外線接続
ひかり電話対応 - VOIP-Info.jp Wiki