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2007-09-09

[]『どくそせん』 『どくそせん』を含むブックマーク

 萌えミリタリーというジャンルも定着した観がありますが、そのなかでも気合いの入った本が出ましたよ! 二次大戦の独ソ戦全体を初心者向けに解説したものです。僕は何もしてないんですが、ありがたいことに編集部から一冊頂きました。

 著者は内田弘樹さんにEXCELさんという、やりたい放題のタッグです。主人公は縞ぱんつ履いたバウアーちゃんという神をも恐れぬ所業。作中でもえらいいじられ方だし。や、ちゃんと小林源文先生の許可は取っているそうですが。しかし本文はきっちり真面目に独ソ戦を解説しており、この辺「MC☆あくしず」を踏襲していますね。個人的には、ややしっかり書きすぎていて、入門本にするならもう少しわかりやすく見せる仕掛けがあってもいいんじゃないかと思いましたが。たとえばそれぞれの戦線を別々に見るのではなく、東部戦線全体を俯瞰できるような図版を入れるとか(でないとレニングラード戦線とかつながりがよくわかりませんし)。まぁ、ホントの客は初心者ではなくもののわかっているミリオタなのかもしれないけど。

 面白かったのは、43年をクルスク戦だけ取り上げるのではなく、むしろクルスク戦以降を重視している点などでしょうか(一方でドイツ者が狂喜乱舞する第三次ハリコフなどはさらりと流してますし)。ロシア側の対独協力者のことを大きめに取り上げていたり、最近のトレンドを生かした解説という印象です。あと内田さんらしいのが、スロヴァキア蜂起などもちゃんと書いているところ。ドゥクラ峠戦とか解説している入門書って!

 そうそう、不粋だと思うけどひとつだけツッコミを……「ゴリーキー」じゃないですよ「ゴーリキー」ですよ(どん底から)。あと「マキシマム・ゴリーキー」てな個所もあって、それ人名じゃねえ。

 さて、親ロシア派としての感想をここから。

  • 次はロシア視点の大祖国戦争本が欲しーい! 『どくそせん』は基本的にはドイツ視点です。まぁ、これは仕方ないでしょう。むしろロシア側の事情もちゃんと書いてくれている方です。でも内田さんはやはりドイツ好きマンであって、文章の端々からそれが洩れてきます。特に末期戦の、ドイツ将兵への思い入れは半端じゃありません。や、これはこれでいいのですよ。味気ない文章よりは、作者の主観や好みをしっかり通したものの方が面白いに決まってますから。でも次は……次はッ。ロシア兵にも愛をッ。
  • シュガポフがおとなしいぞ! 主人公のバウアーちゃんがナニがアレ過ぎて、敵役たるシュガポフがすっかり常識人に……(涙)。ボケがナニがアレなんだから、ツッコミももっと常軌を逸して欲しかったですハイ。キャラが薄い! しかし、普通のイメージならロシア兵がボケでドイツ兵がツッコミなんでしょうね。いや、ドイツもボケかな。むしろ壮大な天然と考えるのが正しいのかも。
  • 対独協力者やドイツ難民、ドイツ兵捕虜のことを書くなら、ドイツ側の特別行動隊やロシア兵捕虜の扱いなども書いて欲しかったですよ。まぁ、「独ソ戦の暗〜い部分に踏み込むことはできない」と断ってあるけれど。

 いろいろ書きましたが、でも力作です。独ソ戦をまとめた一冊としてお薦めですよ。EXCELさんの絵はネタてんこ盛りで愉快すぎて、なんというか萌えどころではないという気が。

どくそせん

どくそせん

[]六甲おろしに颯爽と 六甲おろしに颯爽とを含むブックマーク

 阪神、延長で巨人戦勝利! 3タテ万歳。しかしどれも全然安心できない試合ばかり。特に今日は取ったら取られて、上原を打ったと思ったら藤川が打たれて最後の最後まで心が折れそうだったわ(ぐったり)。

 途中からラジオで中継を聴いていたのだけど、ラジオの野球中継って結構好きなんですよ。なんてことのないフライを大げさに絶叫するので心臓に悪いけどな。今日は延長にさしかかった辺りでアナウンサーの咳が止まらなくなり、控えと交代する椿事が。ラジオだとアナウンサーが喋れなくなるのは困るよね。

桂令夫桂令夫 2007/09/09 12:54  自分も読みました。面白かった。
 山崎雅弘さんの『完全分析独ソ戦史』のときも思いましたが、やはりこのテの本では「どこを涙を飲んで叩っ切るか」が重要だと思いますね。そしてどっちの本も効果的に叩っ切っている気がします。
 それはそうとして叩っ切られた部分への愛着というものは断ちがたく(笑)
 あと、こういうことを考えてみると「自分が歴史のどこを偏愛しているか」が自覚できていい気がしますよ。自分の一番好きな独ソ戦本は(いまどき)ドイッチャーの『スターリン』後半なのですけれど、あれは外交主体かつ人物描写主体で。「テヘラン〜ヤルタ〜ポツダム」の章など全編の白眉といってよいできばえでした。

rasenjinrasenjin 2007/09/09 23:38  独ソ戦なんていくらページがあってもきりがないわけで、しかも自分の書きたいことを盛り込もうと思えば上手い叩っ切り方が必要になりますもんね。僕の一番好きな独ソ戦本はなんだろう……ハリソン・ソールズベリーの『燃える東部戦線』は今でも大好きですね。あれも大戦後半の地上戦をばっさり叩っ切った本でした。バルバロッサをソ連側から見た、悪い夢のような現実感の無さが印象的です。あとタリンからの脱出船団のくだりとか。

crow_henmicrow_henmi 2007/09/09 23:47 その昔ブックオフで見た、ソビエトの現役の将軍が書いた独ソ戦史というものを見かけまして。この内容がソビエト的プロパガンダに満ち溢れつつも、ソビエトが独ソ戦で受けた衝撃を赤裸々に書いており、なかなか面白かったのですが買わなかったことを後悔しています。今ではデビッド・グランツ「詳解独ソ戦全史」を紐解く日々。これはこれでいい本ですね。

rasenjinrasenjin 2007/09/09 23:47 それこそ『萌える東部戦線』てぇ本は出ないのかしらん。元ネタの本が微妙にマイナーだからダメかな……。

rasenjinrasenjin 2007/09/09 23:51 ソ連の将軍による大祖国戦争回顧録は、いろいろ訳されてたみたいですね。グランツも「ソ連の公式資料はプロパガンダに満ちていると思われがちだが意外と正確である」的なことを書いてましたっけ。最近の独ソ戦定番はアントニー・ビーヴァー先生だろうなぁ。

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