強風、曇りときどき雨

  • 練馬はだいぶ暖かくなってきました。新しいサンダルを買いましたよ。
  • 伊藤計劃さんの『ハーモニー』がフィリップ・K・ディック賞の特別賞を受賞というニュースはとても素晴らしいことですが、やはり切ないものですね。死後賞をもらってもわからないものなぁ……いや、本当にわからないかはわかりませんが。
  • 英国王のスピーチ』のことを書いたら、吃音矯正法の営業ブログからトラックバックが送られてきてました。商売熱心なことです。善哉。
  • 森薫さんのblog「ヘリオトロープ」が近々店じまいされるとのことで、ああ残念無念。でも今はどしどし絵をアップされてましてこれが例によってすこぶる眼福なのです。アンビバレンツ!

sfこと古谷俊一

 急死されたとの報を知ったときは目を疑いました。まだ実感がありません。古谷さんはTRPG.NETというTRPGをはじめとする無電源ゲームのポータルサイトなどを運営されていた、ゲームファンの間では名の知られた方です。いまでこそ様々な場にコミュニティは拡散しましたが、ウェブ普及期にTRPG.NETが果たした役割はきわめて大きなものがありました。各種掲示板やIRCで、僕もずいぶんお世話になったものです。多くの出会いや若気の至り! 一度、盟友河嶋と一緒に奈良の猫いっぱいなご自宅を訪問したことがありまして(もう10年以上前のこと)、その優しい人柄が印象的でした。度量が広く、なにごとも楽しんで見る術を心得ており、そして細やかな気遣いができる、そんな古谷さんだからこそTRPG.NETの場には多くの人々が集っていたのだと思います。次第に僕もTRPG.NETからは遠ざかり、たまにウェブでご挨拶する程度だったのですが、僕の仕事をちゃんと観てくださっていたことはとても励みになったものです。多くのゲーマーさんが古谷さんを悼む文を上げていまして、ご人徳がしのばれると同時に「これを読んだらどう思わはるやろ。苦笑するやろなぁ」と感じてスイとIRCTwitterを覗きに行きかけましたよ。大勢の猫たちはどうしているのでしょうね。おつかれさまでした。本当にありがとうございました。

『孫文の義士団』

 清朝末期の1906年、日本に亡命している孫文が蜂起計画を話しあうため、数時間だけ英領香港を訪問する。その間に暗殺を企む朝廷の暗殺団と、守ろうとする革命党の間で壮絶な戦いが……というお話。充分に楽しんできましたが、孫文を扱うとなるとちょっと真面目になってしまうのでしょうか、もうちょっと明朗快活なアクションものを予想しておりました。いやアクションは満載です。悲壮感や血潮や汗が濃厚なのもよろしい。でもなんだか生真面目なのですよね。
 孫文を護衛する、一見素人な面々が決戦を前にどんどん隠された設定や人間関係を明らかにしてくところは、TRPGならプレイヤーが大喜びで演じているところでしょう。特にレオン・ライのいい気になりっぷりたるや、一人で世界法則をねじ曲げていると言っていいほどです。そうそう、革命党の活動家を演じるレオン・カーフェイ野上武志さんに酷似してまして、上映中ずーっと気になっておりました。香港のセットも素晴らしかったですよ。
 しかし、近代の人物をネタにした伝奇はいいですね。日本も幕末までは珍しくないですが、近代になると映画になったのは帝都物語以外になにかありましたっけ。孫文に匹敵する大物がいないかな?

仮面ライダーアマゾン

 河嶋宅で「迷宮キングダム」を遊んだあとに「四畳半神話大系」上映会としゃれ込みまして、そのあとなぜか「仮面ライダーアマゾン」の序盤9話ほどまでを観てきました。大昔に飛び飛びで観た程度で、1話からしっかり観たのははじめてかもしれません。いやーすごいですね。たしかにこれを観た子供は泣きそう。スタッフの新しいことをやろうとする意気込みに満ち満ちておりました。いまと作劇の方法論が違うせいもありますが、これぞエンターテイメントというサービスと思い切りに頭を殴られたようなショックがありまして、『ムトゥ』やミル・マスカラスの映画を観たときと同様に目から鱗がボロボロ落ちたといいます。いや待てアマゾンは視聴率が低迷したから打ち切られていたのだぞあまり参考にするな。それにしても、小学校で「理科室からカンガルーの標本を取ってきてくれる?」というセリフには腰を抜かしました。都会の小学校にはカンガルーの標本があるのか。倉庫に忍びこんでバナナを剥かずに食べるところなどポリティカルコレクトがどうこういわない時代を感じさせます。あとアマゾンはあまり喋らないのでナレーションが代弁するのですが、「ゲドンを許してはならないと思うアマゾンであった」てなところを「吉宗」に変えればえらく愉快になりますね。

百舌谷さん逆上する』6巻(篠房六郎

 どちらもすこぶる面白く、それ以上にぐぬーぐぬーと唸りながら読む漫画です。長い漫画描くようになると余計に身に沁みます。今更か!

イスラム社会のヤクザ』(佐藤次高清水宏祐・八尾師誠・三浦徹)

漱石書簡集』(夏目漱石

『図説 ソ連の歴史』(下斗米伸夫)

立山杉 高橋敬市写真集』(高橋敬市)

 NHK立山杉の番組をやっておりまして、その姿に度肝を抜かれました。恥ずかしながら、立山杉というものを知らなかったのです。屋久杉とも違う、雪と岩をものともせず堂々とそびえるその姿。素敵です。これはかっこいいです。いつかこの目で観に行かないとなぁ!

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)

百舌谷さん逆上する(6) (アフタヌーンKC)

百舌谷さん逆上する(6) (アフタヌーンKC)

イスラム社会のヤクザ

イスラム社会のヤクザ

漱石書簡集 (岩波文庫)

漱石書簡集 (岩波文庫)

図説 ソ連の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 ソ連の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

立山杉 高橋敬市写真集

立山杉 高橋敬市写真集

モーニング・ツー」44号

 お知らせするのが遅くなりましたが、今月は「大砲とスタンプ」お休みを頂いております。かわりに先月号がウェブで無料公開されていますので、未読の方は是非是非ご覧になってくださいな。

『魔道書大戦RPG マギカロギア』河嶋陶一朗

 ひさしぶりの「サイコロ・フィクション」新作ルールが出ました。世界に流出し、悪をなす「禁書」を追う魔法使いたち。その姿は魔道書使いや魔法生物、魔道書そのものなどさまざまで、憑依した禁書を探して戦います。たいへん格好いいものになっているみたいですよ……というのは、僕はまだ現物を見ていないせいなのですが! 今回もリプレイが一緒についております。僕は参加していないので、純粋に読者として楽しみですよ。皆さんもよろしくよろしく!

コミティア96

 5月5日、東京ビッグサイトで開催されますコミティアに参加します。スペースは「に16b」、ボストーク通信社です。今回は新刊がありますよ。下描きやラフを集めた小冊子になってまして、こういうの出すのは始めてです。また震災チャリティーで生原稿を頒布しようと思います。価格は特に決めず、皆さんにお任せする予定です。午前中の混む時間帯にやったらちょっと大変そうなので、午後空いてから始めようかと思案中。ひょっとしたら中止するかもしれませんので、そのときはあらためて告知いたしますね。来てね来てね。

魔道書大戦RPG マギカロギア (Role&Roll Books)

魔道書大戦RPG マギカロギア (Role&Roll Books)