どうかあなたのお恵みを

またしても Tumblr でそこそこ reblog 数を稼いだネタを再利用する試み。「自分はこんなに不幸です」てのを段ボール紙に書いて首から下げて同情を買おうとする物乞いの人って特にアメリカには多いんですが、この写真の人はちょっと違った。
どうかあなたのお恵みを
私の家族はニンジャに殺されました。カンフーを習ってニンジャを倒すためにお金を恵んでください。
素晴らしい。もはや物乞いを超えたエンターティナーの域に達しておるよのう。

騙し合いゲーム

レジデント初期研修用資料の 欺瞞と匿名がネット社会の本質 を読んで、20年前に電子メール経由で ディプロマシー をプレイしてたのを思い出した。
20年前の Internet は実名制でした。メール出すときも NetNews に投稿するときも、必ず大学・研究室名や会社・部署名込みで実名で署名するのが当然だったんぢゃよ。「パソコン通信は匿名だけど Internet は実名だ」なんてことが当たり前のように fj で言われてた時代だった。なので「ネットの本質は匿名」なんて話を聞くたびに「この何も知らん若造が!」と思ってしまうんだけど、年寄りの悪い癖だな。当時は ISP なんてものが存在せず、大学や企業のボランティアによって接続が支えられて、Internet に接続するってことはその責任の一部を担うということだった。研究室には root と呼ばれる人がいて、Internet を使う上で注意しなきゃならんことをその人に習ってた。変なことをすればすぐ root にバレて叱られてた。やがて ISP というものができて、我々は ISP に金を払うことで匿名性を買うようになった。それが果たして良かったのかどうか、まだ決着がついてない。
そんなオール実名の20年前の Internet 環境でも、我々は手練手管を駆使して騙し合ってましたよ。例えば「メールの宛先を間違ったふりをする」ってやつ。A国とB国が同盟を組んでるときに、その仲を裂くために、「次のターンで一緒にB国を攻撃するときのフォーメーションだけどやっぱりこうしよう」とかいったメールを、A国に送るつもりが宛先を間違ってB国に送ってしまった、かのように見せかけてB国に送るわけですよ。するとB国は「A国め! 俺との同盟を裏切ってこっちに攻め込んでくるつもりだったのか!」と怒りだす。
こんな風に、実名環境でも騙し合いの妙味てやつはいくらでもあります。ライアーゲーム人狼 も対面で騙しあってるしな。何が言いたいかと言うと、騙し合いは、ネットの本質ではなく、ゲームの本質である てこと。匿名ネットには匿名ネットなりの、実名ネットには実名ネットなりの、対面なら対面なりの、騙し合いの妙味があって、どれも面白い。このことのコロラリとして次のようなことも言えるぢゃろな。ネットを遊び場だと思う人は匿名・詐欺を騙し合いゲームのツールとして面白いと感じるし、ネットを生産性向上のツールと捉える人は匿名・詐欺を邪魔だと感じる。 私なんぞは両方の板ばさみになってるわけだが。
もう一つ思ったこと。私なんぞは Internet に触れるずっと前からボードゲームの騙し合いを散々経験してるから「ネットの騙し合いはボードゲームの騙し合いの延長に過ぎない」て思う。でも、ゲームというものをコンソール機のRPGあたりしか知らなくて、ネット環境になって初めて騙し合いゲームというものを経験した人だと、「ネットの(匿名の)騙し合いって面白れー! これがネットの面白さだ!」と誤解するのかもしらん。むしろ、小学校の授業で対人ゲームのような無害な教材を使って生徒同士騙し合わせて「他人の騙し方」を教えるべき なんじゃないか。DSもいいけど、もっと他の方法も。それがそのまま「実生活で騙されないためにはどうするか」を学ぶことにもつながるはず。

LIAR GAME 1 (ヤングジャンプコミックス)

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