「地球環境政治」と「学」の間 RSSフィード

2014-07-28

環境NGOによるボン会議の報告のまとめ

NGOによる報告

1ヶ月以上経ってしまいましたので、ちょっと今更な感じもしますが、そういえばまだ紹介してなかったので、日本の環境NGOによるボン会議のまとめをご紹介。

まずは、文書として用意されているもの。

それから、NGO合同(CAN Japan)で行った報告会のまとめ。Ustream動画へのリンクと、プレゼン資料へのリンクも下記ページにあります。

上のページではUstream動画で紹介してますが、下記YouTube動画でも、報告会の様子はご覧頂くことはできます。

D


政府などによる報告

日本政府による「結果概要」は下記に。

また、ほとんど公式文書化している、IISDによるEarth Negotiations BulletinのSummaryは下記にあります。記録的な文書をお好みの方はこちらがおすすめ。

次回は?

次回は、10月20日〜25日の日程で、ドイツ・ボンにおいて再び準備会合(ADP2.6)が開催されます。そして、その次が、今年のメインであるペルー・リマでのCOP20・COP/MOP10(12月1日〜12日)です。

2014-07-26

2050低炭素ナビ(日本版2050パスウェイ・カルキュレーター)

先日、低炭素ナビ2050っていう、オンラインで操作できる簡易シミュレーターの発表会に行ってきました。

ウェブ上で操作できるウェブ版と、Excelファイルをダウンロードして操作する2つのバージョンがあるんですが、どちらも基本的な中身は同じです。

何ができるかっていうと、エネルギーの需要側と供給側に関する想定をそれぞれいくつか選ぶと、自動的に排出量の経路が描かれて、それが2050年時点でどくらいの温室効果ガス排出量削減につながるのかを計算してくれるというもの。

f:id:rdaneelolivaw:20140726231612j:image

需要側・供給側の選択肢で選べるものが、わりあいと絞られているので、NGOが出しているようなシナリオをこのカルキュレーター上で再現するのは無理ですが、それでも、いくつかの選択肢をちょちょいと選ぶだけで、どんな感じになるのかが計算されるというのは、ツールとしては面白いですね。

どこのどんな想定が、どんな感じで効いてくるのかを知る上でも。

いじってみた想定とその計算結果は、シェアすることもできるようになってます。

ツールとして、こうしてオンラインで作業できる、っていうのは、これからの時代は必要な要素かもしれません。ひょっとしたら、政策議論参加にとっても大事な手法になるかも。

2014-07-25

気候サミット2014へのオバマ大統領と習近平総書記の参加?

気候”サミット”

今年9月23日に、潘基文国連事務総長の主催で気候サミット2014(Climate Summit 2014)が開催されます。

これは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づいて、継続的に開催をされている締約国会議(COP)などの会議とは別で、言ってみれば一過性のイベントなのですが、招待されるのが基本的に各国首脳なので、注目を集めています。

COPとの比較で言いますと、COPやそれへ向けた会議というのが、通常は1〜2週間の会期で開催され、各国から実務レベルの交渉官が集まって交渉が行われるのに対し、今回のサミットは基本的に一日だけのイベントで、首脳クラスが主役です。

そういう性質上、細かいルールやら何やらを議論するというよりは、気候変動問題に対して、各国首脳クラスがモノを言う事によって、政治的な勢い(英語ではよくmomentumと言ったりしますが)をつけることに主眼があります。

今回は、各国のスピーチの他に、色々な分野で、様々な国や地域が実施しているイニシアティブを発表しまくるということもされるようなので、すでに動いているものも含め、首脳クラスからお墨付きを与えることによって、さらに盛り上げていこうという意図があるんでしょうね。

オバマ大統領と習近平総書記の出席?

この気候サミットに、オバマ大統領と習近平総書記が出ることが確認されたとの記事が流れています。

RTCCの記事の書き方だと、直接両国政府に確認がとれたというよりは、フィゲレス国連気候変動枠組条約事務局長が両国首脳が来ると言ったというだけのようなので、ちょっと微妙です。

が、The HillやGreenwireの記事では、ホワイトハウスの確認もとれたと書かれているので、おそらくアメリカの方は確認がとれているようで。

中国の方はまだ確定かわからないですね。

出席すればいいってもんでもないですが、アメリカと中国の首脳レベルから、パリ合意へ向けた強い意志が発表されれば、それは間違いなく追い風にはなるでしょうね。

安倍首相にも出て頂くことを期待したいと思います。

2014-07-24

太陽と温暖化

Skeptical Science

Skeptical Scienceというウェブサイトがあります。気候変動(温暖化)の科学について解説しているウェブサイトで、特に懐疑論と言われる議論でよく出てきそうな議論について、1つ1つ、丁寧に解説をしているウェブサイトです。色々な国の研究者の人たちが集まって作っているウェブサイトで、長く更新が続けられており、つらつらと読んでいるだけでも、大変勉強になります。

先日の当ブログの記事で言及したYeas of Living Dagenrouslyの中で出てきた、Katharine Hayhoeという科学者が、ドン・チードルに、「今の温暖化自然現象だけでは説明できない」という説明をするシーンがあります。その時に、よく言われる太陽活動と気温変化の関係を示したグラフが出てくるのですが、「あのグラフ、どっかでみたことあるな〜」と思ったら、やはりSkeptcial Scienceで使われているのと同じでした。

Hayhoeさん自身、ウェブサイトでSkeptical Scienceを紹介しているので、やはりここからとったんでしょうね。

再現できる?

なんとなくその説明を読んでいるうちに、そのグラフ、再現できるかな〜と試してみたくなりました。最近は、科学的データのウェブでの公開は大変に広がってきていて、こういうの、意外と自分で作れちゃったりするんですよね。難しい統計的処理や数学的処理がされているグラフなんかは無理ですけど。

Skeptcial Scieneに載っているグラフは、少しデータとしては古くなってきていたので、ちょっと試してみることにしました。ちなみに、そのグラフというのは下記です。近年になると、太陽活動と平均気温の傾向には明らかな差があるので、太陽活動だけで説明しようとするのは無理があることが分かります。

f:id:rdaneelolivaw:20140721141937j:image

Skeptical Science: Sun & climate: moving in opposite directions

同サイトでは、画像データだけでなく、元データをExcelで公開しているので、結構自由に使うことができます。

PMOD、ACRIM、RMIB???

「まあ、元データの在りかもわかっているし、結構簡単に再現できるかな」と思ったのが間違いでした。やっぱ難しいもんです・・・。

最初、試しにIPCC第5次評価報告書を見てみると、第1部会報告書の第8章に太陽に関する記述がありました。そこに掲載されていたのが下記の2つの図。

最初のは、衛星による観測が始まって以降の記録から作られたデータ。。

2つ目のは、さらに遡って、太陽の黒点観測があった頃の記録から作られたデータを合わせたものです。

f:id:rdaneelolivaw:20140128143132j:image

Figure 8.10: Annual average composites of measured total solar irradiance:

f:id:rdaneelolivaw:20140128143133j:image

Figure 8.11: Reconstructions of total solar irradiance since1745

太陽から地球がもらっているエネルギー(放射)の総量のことを、太陽総放射照度(TSI)と呼ぶそうです。このTSIの観測は、ざっくり言うと、衛星による観測が始まってからの1979年以降は、基本、同じデータを使いつつも、3つの研究機関・グループによるデータの作成があるそうです。

「なんで同じデータなのに3つもあるのか」と思ったら、どうやら、データを一貫したものとして再構成する手法に違いがあるようです。もともと、人工衛星のデータというのは、人工衛星自体が数年から10年弱しか持たないので、データは基本継ぎはぎで、その継ぎはぎを一貫したデータとして再構成するのに、色々な手法があるようです。

で、その3つというのが、PMOD、ACRIM、RMIBというらしく、最も有名なのは前2者で、それぞれ、スイスとアメリカの機関によるデータです。

上述のSkeptical ScienceのウェブサイトではPMODのデータを使っていたので、私も、PMODのデータをお借りしつつ、気温データについては、日本の気象庁のデータを活用して、データの再現を試みました。ただし、PMODのデータは、衛星観測がされるようになってからのデータしかないので、それ以前のデータについては、上記Skeptical Scienceに倣い、 マックスプランク研究所の研究者ら(Krivova et al. 2007)がウェブサイトで公開している、過去の黒点の数から作ったデータを使ってみました。その結果が下記です。

f:id:rdaneelolivaw:20140721141939p:image

Skeptical Scienceのグラフでもそうですが、上のグラフでも、11年の移動平均でグラフを平滑化してます。これは、太陽の黒点周期が11年と言われており、その周期で変動があるから、だそうです。

しかし・・・です。残念ながら、きちんと再現できているとは言えません。同じPMODのデータ使っているはずなのに、カーブの形は同じでも、ちょっと数字が違いますね。おそらく、何らかの補正がされているのだと思いますが・・・なんでだろ。

IPCCの数字を使用してみたグラフ

少し色々考えたみたのですが、よくわからんので、別のアプローチをとってみることに。

先に見たIPCCの第5次評価報告書の8章には、補足資料というのがついており、そこに、最終的にIPCCが使っているTSIのデータが掲載されています。それだと、1740年からのTSIの数字が一貫した形で掲載されています。

f:id:rdaneelolivaw:20140721141938p:image

形としては、大した違いはないのですが、こっちの方が、データに一貫性があるのでむしろいいかもしれませんね。生データに近い方を重視する人は、むしろPMODとかのデータに立ち戻った方がいいのかもしれませんが。

まあ、いずれにせよ、素人が作成したグラフですので、学術使用には耐えませんが、それでも、こうしたグラフが作成してみることができるだけ、科学データが公開される環境になってきていることは大変にありがたいことです。今回作ったデータは、下記です。

いずれのグラフでも、近年は特に両者の傾向に大きな差がありますね。

IPCCでの結論

太陽と気温の関係については、よく「温暖化は太陽活動の周期のせいだ」とか「いやそうじゃない」という二元論に陥りがちですが、IPCCの結論は、「太陽「だけ」じゃ説明できなくて、人為的なCO2も、諸々含めないと説明できないよね」というものです。それを端的に示したのが下記のグラフ。

f:id:rdaneelolivaw:20140128143136j:image

Figure 8.18: Time evolution of forcing for anthropogenic and natural forcing mechanisms.

上の方にのっかっているオレンジが太陽活動の影響で、真ん中の灰色がCO2の影響です。

太陽活動による影響は、直接的なものだけでなくて、実は(ひところ話題になった)北極振動にも影響与えているなどの説もありますし、宇宙線の量に対する影響もあるという説なんかもあります。後者については、まだまだ研究が蓄積されておらず、かつ影響もそんなに大きくないだろうというのが、IPCCでの科学者たちの結論のようですが、まだまだ色々な研究がされているようです。

2014-07-23

気候変動ドキュメンタリー:Years of Living Dangerously

ジェームズ・キャメロン監督

仕事で関係してもらっている人から教えてもらったドキュメンタリーです。

米テレビ局のShowtimeが作成したものです。ハリソン・フォードドン・チードルやトーマス・フリードマンなどの著名ジャーナリストが出ているもので、基本、彼らが同時並行で世界の色々な所にいって気候変動の実情を見てくるというもの。

初回は上記で言及した3名だけですが、他のエピソードでは、ジェシカ・アルバマット・デイモン、アーノルド・シュワルツネッガーも出てきます。

監督はあのジェームズ・キャメロンです。こんだけビックなメンツを気候変動ネタに終結し、良質なドキュメンタリーに仕上げられるのはすごいですね。

というか、そもそも俳優や著名人が、こうした問題に関心を持って、自分の顔を出して発言するだけの意識があるのが、ややうらやましい。

初回話は日本でも見れる

下記のYouTube動画で見ることができる初回話では、ハリソンフォードがNASAで気候変化の状況を教わり、さらにインドネシアの森林伐採を見に行く一方で、ドン・チードルはテキサスに行って干ばつの影響を見たりしています。また、フリードマンは、シリア内戦に対する干ばつの影響を調べたりとか。

D

見れるのは残念ながら初回だけで、あとのエピソードは、一般の海外ドラマと同じく、見る事はできません。

日本のテレビ局やらどこかで、字幕版作ってくれないかなー。