セルロース利用技術の最先端

技術者・研究者向けの専門書籍紹介

セルロース利用技術の最先端


発刊日 2008年3月 ISBN978-4-7813-0010-8 C3058
体 裁 B5判,405頁


刊行にあたって
 セルロースは,材料としてもエネルギーとしても石油代替となりうる非可食性のバイオマスであり,その量と質の観点から重要性は最近になって再認識されるようになった。関連して,これまで基礎科学の領域が主体であったセルロースに関連する幅広い研究の蓄積が,新しい産業や文化の創生につながる実用化技術として更に展開されることを予感させる動向が見えつつある。

 セルロースは植物の光合成により二酸化炭素を固定化して生産されており,特に森林資源として地球上で最も多量に蓄積されている。元々植物自らの生命を維持するために結晶性の構造多糖として,ヘミセルロース,リグニンとともに植物細胞壁の主成分を構成している。したがって,セルロースは一部では分子レベル〜ナノレベルで複合化されており,安定な高分子である。単離-精製プロセスも含めて,石油系合成高分子のように自由な分子設計や分子量制御,材料特性制御は容易ではない。セルロース科学の最先端を知ると同時に,改めてセルロースの特徴と課題を認識し,その特徴を生かす形で利用することが望まれ,そうでなければ基礎研究の領域を超えることはできず実用化は不可能である。

 そこで本著書では,第I編を概論・基礎編とし,第II編で単離・評価・分解・合成技術の最前線の知見の執筆をお願いした。第III編では異分野異業種融合や新しい文化・産業の創生につながる,あるいは既にそれを達成しつつある新技術を紹介し,第IV編では,セルロースの応用展開分野として特に最近注目されているナノファイバー素材と,バイオエタノールに関する最前線の研究成果の紹介をお願いした。

 今はセルロースの夢を語る時期ではなく,基礎研究の更なる発展とともに,夢であった個々の発見・発明を実際に社会還元するための技術,実用化を目指した取り組みを検討する時期にきている。それだからこそ,本書ではセルロースの近未来の応用展開の可能性を紹介するだけではなく,セルロースを扱う上での課題や特性を十分に紹介することが重要であると考えた。現在のように,これだけ科学や技術が細分化されてくると,ひとつの研究室やグループで基礎から応用にいたる研究や技術開発を進めることは不可能である。本書で紹介されたシーズや応用につながる技術が,産学あるいは産官学連携のきっかけになり,持続的で循環型社会基盤の構築にセルロースの科学技術が効率的に生かされることを願うとともに,それが可能となる時期にきていると考える。

(「はじめに」より抜粋)

2008年2月  東京大学 磯貝明


書籍の内容

<概論・基礎編>

第1章 セルロースの化学構造と基本特性
                                                   (磯貝明)
1. はじめに
2. セルロースの化学構造
3. セルロースの基本特性


第2章 セルロースの生分解機構
                                                   (鮫島正浩)
1. はじめに
2. セルラーゼの分類と特性
3. セルラーゼによるセルロース分子鎖の加水分解反応機序
4. トリコデルマ菌由来Cel7Aの構造と機能
5. セルロース酵素分解
 

第3章 セルロースの化学反応の種類と特徴
                                                   (西尾嘉之,青木弾)
1. はじめに
2. 置換反応
3. 酸化還元反応
4. グラフト重合反応
  4.1 開環重合法によるグラフト化
  4.2 原子移動ラジカル重合(ATRP)法による精密グラフト化
5. 最近の進展研究例


第4章 セルロース溶剤の種類と特徴
                                                   (山根千弘)
1. はじめに
2. 水素結合と溶解性
  2.1 分子内水素結合の影響
  2.2 分子間水素結合の影響
3. 溶解状態
  3.1 相互作用―錯体形成
  3.2 相互作用―誘導体化
  3.3 相互作用―溶媒和
4. セルロース溶剤の種類と特徴


<単離・評価・分解・合成技術編>

第1章 脱リグニンによるセルロースの分離
                                                   (岩崎誠)
1. はじめに
2. 木材の構造
  2.1 非木材と木材との比較
3. 木材からの脱リグニンの方法
  3.1 製紙用パルプの製造方法
  3.2 溶解パルプの製造方法


第2章 各種セルロース試料の調製方法と特徴
                                                   (磯貝明)
1. はじめに
2. セルロースの基本特性評価方法
3. 各種セルロースの入手あるいは調製


第3章 セルロース結晶多形の調製法と構造
                                                   (和田昌久)
1. セルロースの結晶多形
2. セルロースI型
  2.1 セルロースIαとIIβ
  2.2 セルロースIIII
  2.3 セルロースIVI
3. セルロースII型
  3.1 セルロースII
  3.2 セルロースIIIIIとIVII


第4章 各種亜臨界及び超臨界流体でのセルロースの分解
                                                   (坂志朗)
1. 各種亜臨界及び超臨界流体について
2. 亜臨界及び超臨界水技術によるセルロース及びヘミセルロースの化学変換
3. 亜臨界及び超臨界アルコール技術によるセルロース及びヘミセルロースの化学変換
4. 非プロトン性溶媒によるバイオマスの超臨界分解


第5章 セルロースの分子量および分子量分布の評価方法
                                                   (柳澤正弘)
1. はじめに
2. セルロースの分子量および分子量分布の評価方法
  2.1 粘度法によるセルロースの分子量測定
  2.2 SECによるセルロースの分子量および分子量分布測定
  2.3 LiCl/アミド溶剤を用いたセルロースのSEC分析


第6章 セルロースの化学合成と特徴
                                                   (上高原浩)
1. はじめに
2. セルロース化学合成法の一般的特徴
  2.1 グリコシル化によるセロオリゴ糖セルロースの化学合成
  2.2 重合法によるセルロースの化学合成
3. 化学合成法の特徴を生かしたセルロース誘導体の合成例
  3.1 位置選択的メチル化セルロース
  3.2 ブロック的メチル化セロオリゴ糖
4. おわりに


第7章 セルロース酵素合成と特徴
                                                   (正田晋一郎,小林厚志,野口真人)
1. はじめに
2. 糖加水分解酵素によるセルロース合成
  2.1 フッ化糖の重縮合反応
    2.1.1 重縮合の立体と位置の制御
    2.1.2 重縮合反応における高次構造の制御
  2.2 脂質被覆セルラーゼ酵素によるセロビオースの脱水重縮合
  2.3 トリアジン系脱水縮合剤による一段階活性化とセルラーゼによる重縮合反応
3. グライコシンターゼによるセルロース合成
4. ホスホリラーゼによるセルロース合成
5. おわりに


<開発編>

第1章 フィルター
                                                   (濱義紹)
1. エアフィルターとオイルフィルター
2. 自動車エンジン用フィルターの素材による棲み分け
3. 自動車用濾紙の種類
4. エアフィルター
  4.1 エレメントの構造
  4.2 フィルターの性能
  4.3 濾過の原理
  4.4 設計時の目安となるパラメーター
  4.5 使用できる繊維
  4.6 繊維の変遷
  4.7 フィルターメディアの動向
  4.8 究極のエアフィルター
5. オイルフィルター
  5.1 オイルフィルターの基本的役割
  5.2 構造
  5.3 性能
  5.4 濾過の原理
  5.5 耐熱性
  5.6 設計時の目安となるパラメーター
  5.7 使用できる繊維
  5.8 フィルターメディアの動向
  5.9 究極のオイルフィルター
6. 濾紙の性能評価
7. 循環型社会に向けての今後のフィルターメディア


第2章 スピーカ用振動板
                                                   (戸川英二)
1. はじめに
2. スピーカの原理・構造
3. スピーカ振動板に求められる性質
4. セルロースを使用した振動板の開発動向
5. おわりに


第3章 衣料用洗剤用添加剤としてのセルロース
                                                   (宮前喜隆,掬川正純)
1. はじめに
2. 再汚染防止剤
3. タブレット型洗剤への応用
4. 衣料用洗剤に対するセルロース誘導体による新機能付与
  4.1 製品開発の背景
  4.2 セルロース誘導体を用いた洗濯浴中における衣類の摩擦低減技術
  4.3 セルロース誘導体による綿繊維の風合いの改善
5. おわりに


第4章 化粧品原料
                                                   (吉田尚之)
1. はじめに
2. 結晶性セルロース
3. 添加剤的セルロース
4. カチオン性セルロース
5. セルロース誘導体
6. SS-セルロース
7. SS-セルフロー
8. まとめ


第5章 バイオ医薬製造用クロマトグラフィー用充填剤(セルファイン)
                                                   (戸所正美)
1. バイオ医薬とクロマトグラフィ
2. クロマトグラフィーの歴史
3. クロマトグラフィー材料の高機能化
4. セルファイン
5. バイオ医薬製造例
6. まとめ


第6章 薬剤放出担体
                                                   (斎藤秀直)
1. はじめに
2. 薬剤放出担体としての多孔質体
  2.1 構造
  2.2 材質
3. 多孔質セルロース粒子「ビスコパール(R)」
  3.1 ビスコパール(R)の種類
  3.2 ビスコパール(R)の特性
4. ビスコパール(R)の薬剤放出担体としての応用
5. 徐放技術
  5.1 揮散性薬剤の徐放
  5.2 水溶性物質の徐放
6. おわりに


第7章 高成形性結晶セルロース
                                                   (大生和博)
1. はじめに
2. MCC各種グレードの物性
3. 高成形性グレードの一般的性質
  3.1 MCCグレードの粒子形状
  3.2 成形性に及ぼす粒子L/Dの影響
  3.3 粒子L/Dと粒子の凝集構造
  3.4 高成形性グレードの塑性変形性
  3.5 MCCの圧縮成形機構
4. 高主薬含有錠剤への応用
  4.1 VC含量50%
  4.2 VC含量60%,75%
5. おわりに


第8章 食品添加物用微小繊維状セルロース
                                                   (山脇幸男)
1. はじめに
2. 微小繊維状セルロース製剤「セラージュ(R)」とは
  2.1 構造と組成
  2.2 特性
    2.2.1 粘性挙動
    2.2.3 多糖類との相互作用
  2.3 大きな粒子の懸濁安定性
3. 「セラージュ(R)」の応用例
  3.1 ヨーグルト製品への応用
  3.2 レトルト食品および加熱ゲル食品への応用
  3.3 ドレッシング類への応用
4. おわりに


第9章 セルロース系の医薬用製剤のコーティング剤
                                                   (恩田吉朗,早川和久)
1. はじめに
2. 胃溶性のコーティング用セルロース誘導体
  2.1 メチルセルロース(MC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
  2.2 ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)
  2.3 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
  2.4 エチルセルロース
3. 腸溶性のコーティング用セルロース誘導体
4. おわりに


第10章 海水淡水化装置用逆浸透膜(酢酸セルロース
                                                   (熊野淳夫)
1. はじめに
2. 逆浸透膜の原理と特徴
3. 逆浸透膜の素材・構造・形状
4. 逆浸透膜の製法
5. 逆浸透膜モジュール
6. 応用と最新の動向
7. おわりに


第11章 TACのLCD構成材料としての応用
                                                   (森裕行)
1. はじめに
2. TACフィルムの製造方法
3. 偏光板保護フィルムとしてのTAC
4. TACフィルムを利用したLCDの視野角拡大フィルム
  4.1 光学特性を制御したTACフィルム
  4.2 視野角拡大フィルム「WVフィルム」
5. 表面フィルム
6. おわりに


第12章 セルロースを用いたパン
                                                   (山根千弘)
1. はじめに
2. セルロース粒子を利用したセルロースパン
3. セルロース成形体を利用したセルロースパン
4. セルロースパンの特徴
5. おわりに


第13章 アミロースの合成
                                                   (大段光司,高原純一,砂子道弘)
1. はじめに
2. セルロースアミロース
3. 酵素合成アミロース
4. セロビオースアミロースへの変換
5. アミロース用途開発
6. おわりに


第14章 熱でゲル化するセルロース誘導体
                                                   (深澤美由紀,早川和久)
1. はじめに
2. 熱可逆ゲル性の食品用途への応用
  2.1 加工ポテトへの応用
  2.2 フィリングへの応用
  2.3 ソース製品への応用
3. 工業用途への応用
  3.1 芳香剤への応用
  3.2 点眼剤への応用
  3.3 セラミックの押出成形への応用
  3.4 カプセル用途への応用


第15章 透明セルロースゲル
                                                   (空閑重則)
1. はじめに
2. セルロースゲルの透明化
3. セルロースエアロゲル
4. おわりに


第16章 住宅用断熱材セルロースファイバー
                                                   (小泉昭雄)
1. はじめに
2. 製品の概要
3. セルロースファイバーの製造
4. 製品性能の基準値・許認可の動向
5. おわりに


第17章 セルロース繊維の光触媒加工
                                                   (大島直久)
1. はじめに
2. セルロース繊維の機能加工
3. 可視光応答型光触媒加工Catlight(R)の開発
  3.1 有機汚れの分解
  3.2 抗菌性能
  3.3 消臭性能(汗臭)
  3.4 紫外線カット性能
4. 広がるCatlight(R)
  4.1 Catlight(R)+抗菌
  4.2 Catlight(R)+pHコントロール
  4.3 Catlight(R)+吸汗速乾
  4.4 Catlight(R)typeL(工業洗濯対応加工)
5. 多機能型光触媒加工
6. おわりに


第18章 水素をつくるペーパー触媒
                                                   (北岡卓也)
1. はじめに
2. 抄紙成型によるペーパー触媒の調製
3. ペーパー触媒によるメタノール水蒸気改質
4. オートサーマル改質性能と触媒耐久性
5. 改質反応のシミュレーション解析
6. まとめ


第19章 溶融紡糸法によるセルロースの繊維化
                                                   (荒西義高,西尾嘉之)
1. はじめに
2. 既存のセルロース系繊維
3. セルロースの熱可塑化に関する研究
  3.1 水酸基の反応性を利用したセルロースの誘導体化
  3.2 セルロース誘導体へのグラフト重合
4. 熱可塑性セルロース繊維“フォレッセ”
5. “フォレッセ”の特徴
6. おわりに


第20章 通気性制御素材の開発
                                                   (黒田久)
1. はじめに
2. 通気性制御素材の概要
3. “動く繊維”の原糸設計
4. 可逆捲縮特性の実用化
5. おわりに


第21章 抄紙法を用いたセルロース発熱シート
                                                   (熊本吉晃)
1. はじめに
2. 発熱シートの構造と発熱原理
3. 発熱シートの調製
  3.1 セルロース繊維への鉄粉及び活性炭の捕捉性能
  3.2 フロック形成方法と抄造歩留まり
4. 発熱シートの温熱・蒸気発生性能
5. おわりに


<展望編 セルロースナノファイバー>

第1章 セルロースナノファイバー複合材料
                                                   (矢野浩之)
1. 緒言
2. セルロースミクロフィブリルの構造と特性
3. セルロースナノファイバーおよびウィスカーの製造
4. セルロースナノウィスカー複合材料
5. 高強度セルロースナノファイバー複合材料
6. ナノファイバー繊維強化透明材料
7. おわりに


第2章 水中カウンターコリジョンによるセルロースのナノファイバー化
                                                   (近藤哲男)
1. はじめに
2. ナノファイバーとは?
  2.1 ナノサイズファイバー
  2.2 ナノ構造ファイバー
  2.3 ナノファイバーテクノロジー
3. 水中カウンターコリジョン法によるセルロースナノファイバーの創製
4. 微生物産生セルロースナノファイバー・ネットワークへのACC法の応用
  4.1 マイクロバイアルセルロース・ネットワーク(ペリクル)
  4.2 マイクロバイアルセルロース・ネットワーク(ペリクル)からナノセルロースの創製
5. おわりに


第3章 セルロースナノファイバー新素材
                                                   (齋藤継之,磯貝明)
1. はじめに
2. セルロースのTEMPO触媒酸化
3. 天然セルロースのTEMPO触媒酸化
4. セルロースシングルナノファイバーの調製
5. おわりに


第4章 セルロース透明ゲル
                                                   (小野博文)
1. セルロースのナノファイバー性について
2. TransparentCelluloseHydroGel(TCG)について
3. TCGの調製
4. TCGのキャラクタリゼーション
5. TCGの物性


第5章 微粉砕化セルロースとプラスチックの複合化
                                                   (遠藤貴士)
1. はじめに
2. ボールミル粉砕の特徴
3. セルロースの粉砕
4. 粉砕によるセルロースの物性変化
5. 微粒子化するために
6. 扁平粒子の生成
7. 粉砕による分子の混合
8. 汎用樹脂との複合化
9. 粉砕技術の発展


第6章 バクテリアセルロースのバイオ医療計測と化粧品への応用
                                                   (田渕眞理)
1. はじめに
2. 既存のナノテク化粧品の特性と課題
  2.1 ナノテク化粧品の光散乱特性
  2.2 ナノテク化粧品のその他の特性と課題
3. バクテリアセルロースの光散乱特性とバイオ医療計測への応用の試み
4. バクテリアセルロースの化粧品応用への試み
  4.1 紫外部の光散乱効果
  4.2 保湿性,吸湿性,薬剤透過・浸透性
  4.3 安全性
5. おわりに


第7章 酵素によるセルロースのフィブリル化
                                                   (林徳子)
1. 酵素セルロースを「割る」
2. セルロース酵素分解
3. セルロースミクロフィブリルの酵素分解
4. TrichodermaCBHIおよびそのCBDの微結晶セルロースへの応用
5. エンドグルカナーゼと物理的処理の組合せによるナノファイバー生成の可能性


第8章 微細フィブリル化セルロースの製紙用添加剤としての利用
                                                   (松田裕司)
1. はじめに
2. MFCの評価法
3. 填料含有紙へのMFC添加の影響
4. MFCの染料吸着特性
5. 製紙用添加剤としてのMFCの利用


<展望編 セルロースバイオマス

第9章 微生物機能を用いたバイオマスの前処理技術開発                                                   (渡辺隆司
1. バイオマスの糖化・発酵前処理
2. バイオマス前処理に適した木材腐朽様式
3. 木材腐朽菌による飼料化前処理
4. 木材腐朽菌を用いた糖化・発酵前処理
5. 白色腐朽菌のリグニン分解の選択性の制御
6. 微生物コンソーシアムを用いたバイオマス分解
7. 微生物を用いたバイオマス前処理の展望


第10章 イオン液体を用いたセルロース類の省エネ溶解
                                                   (大野弘幸,深谷幸信)
1. はじめに〜イオン液体とは〜
2. イオン液体のセルロースの溶媒としての評価
3. カルボン酸アニオンを用いた新規高極性イオン液体
4. リン酸誘導体アニオンを有する高極性イオン液体
5. イオン液体中でのセルロースの分解
6. 将来展望


第11章 セルロースバイオマスの糖化に用いられる酵素
                                                   (森川康)
1. はじめに
2. セルロースバイオマスの糖化に用いられる酵素
  2.1 セルラーゼ
    2.1.1 セルラーゼの機能と構造
    2.1.2 セルラーゼ生産微生物
    2.1.3 糸状菌セルラーゼ
  2.2 ヘミセルラーゼ
    2.2.1 キシラナーゼ
    2.2.2 その他のヘミセルラーゼ
3. 酵素糖化に用いられるセルラーゼ
  3.1 酵素糖化
  3.2 セルラーゼ生産
4. 酵素糖化に関する課題
  4.1 最適なセルラーゼ成分の量比の解明
  4.2 最適量比を持つセルラーゼ標品の生産
  4.3 重要なセルラーゼの改変
  4.4 他の微生物由来のセルラーゼ
  4.5 糖化に関わるタンパク質
  4.6 セルラーゼの回収・再利用(バイオマスへの吸着制御)
  4.7 糖化反応の課題
  4.8 セルロースバイオマス酵素糖化の将来性


第12章 セルロースの結晶構造改変に基づく酵素糖化の高効率化
                                                   (五十嵐圭日子,和田昌久,鮫島正浩)
1. はじめに
2. 結晶性セルロース酵素分解機序
3. 最大吸着量によるセルロースの比表面積の評価と表面密度という概念
4. 高結晶性セルロースとセロビオヒドロラーゼを用いた実験例
5. セルロースIIIIのセロビオヒドロラーゼによる分解
6. セルロースバイオマス酵素糖化を高効率化するためには


第13章 草本バイオマスの特性と前処理・糖化技術
                                                   (徳安健)
1. はじめに
2. 背景
3. 草本バイオマス原料の特徴
  3.1 単子葉原料の特徴
  3.2 双子葉原料の特徴
4. 草本バイオマスの変換技術
  4.1 単子葉原料の前処理・糖化技術
  4.2 双子葉原料の前処理・糖化技術
5. おわりに


第14章 セルロースバイオマスからのバイオ燃料製造技術
                                                   (沖野祥平,湯川英明)
1. はじめに
2. セルロースバイオマスからのバイオエタノール生産における必要な技術要素
3. 糖類からエタノールへのバイオ変換工程技術開発動向
  3.1 酵母(Saccharomycescerevisiae)を用いたエタノール生産技術
  3.2 Zymomonasmobilisを用いたエタノール生産技術
  3.3 大腸菌(Escherichiacoli)を用いたエタノール生産技術
  3.4 コリネ型細菌(Corynebacteriumglutamicum)を用いた新規バイオプロセスによるエタノール生産技術
4. 次世代バイオ燃料:バイオブタノール
  4.1 バイオブタノールの動向
  4.2 バイオブタノール生産に関する研究動向
5. おわりに