UNDERGROUND MARKET

ボーンデジタル小説として大ヒットした「GENE MAPPER」の著者、藤井大洋の短編小説です。

フリーランスでシステムを請け負う三人が、ビジネス上のトラブルに巻き込まれてしまい、事態を収集するまでのたった一日の出来事が描かれています。

物語の世界では、日本の経済状況と雇用状況がますます厳しくなっていく中、「アイペイペイ」という中国系の仮想通貨が消費税(この世界では15%)がかからない地下経済を形成しています。

彼らが請け負った仕事はファッション系のWEBサイトの決済をアイペイペイに繋ぎこむこと。もちろん消費税がかからない地下経済への接続も込みのよくある仕事だったが、、、といった内容で、登場人物たちは多少キャラが立ってはいますが、極めて身近に感じられる人たちばかり。悪役もやってることがセコイw たちの悪い小悪党です。

5年後の東京が舞台となっているため、世界設定や出てくる地名などは馴染みのあるものばかりで、描かれている日本の経済状況もまたリアルです。そして事件もまたリアルで、大なり小なり日々の仕事の中で経験しそうな、一歩踏み外せばこの物語の状況に巻き込まれてしまいそうな(引き起こしてしまいそうな)現実味があります。

この物語からは、決してエリートなどではなく日々を必死に生きている人たちのエネルギー、そしてそういった人たちが、それぞれのやり方で、いつの間にか社会を変えていくんだろうな。という人間のパワーを感じます。頑張るというのは、きっとこういうことなんでしょうね。オススメです。

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