経営者の条件

ドラッカー著。あの「もしドラ」で経営学に疎い人たちにも名前が広まった、あのドラッカー


ドラッカー名著集1 経営者の条件

ドラッカー名著集1 経営者の条件


このタイトル、どうかと思う。
いや、そりゃいろいろ考えてこういうタイトルになってると思うが、原題は「THE EFFECTIVE EXECUTIVE」となっているし、まるでこの日本語タイトルだと経営者、すなわち組織におけるトップが読むべき本のよう。
しかし内容を見れば分かるが、例えばあの「もしドラ」の場合、野球部という組織をどうマネジメントしていくか、ということに焦点が当てられていたけど、これは組織において知識労働者という一個人が成果をあげるためにどのように自分自身をマネジメントすればよいかが書いてあるわけで。
要は、シャチョーサンだろうがヒラであろうが、組織人であればかなり有用だってことである。
タイトルに限らず、中身の文章の訳し方一つ一つをとっても何だか妙にまわりくどい(時にはあえてわざと分かりにくく直訳してるだけじゃねーのかと思えるくらい)表現技法がとられているので、人によっては非常に読みにくい。
(少なくとも口語ベースの文章しか書けない俺はちょっと読みにくいところがあった)


が。
とりあえず否定から入ってしまったけど、書いてあることは「にゃるほどにゃるほど」と妙に納得したり「あーそういう考え方もあるわけね」と勉強になったり。
書かれた時期はもう60年近く前だけど、ものすごく勉強になる。
具体例も随所に散りばめられていて、もし自分がこの立場だったら…と想像し易い。
一通り全部読んだけど、どれもこれも重要な気がして、省ける部分などない。(気がした)


だから概要を書けなどといわれても書ける筈もなく。
しかしそれでも何か書けと言われれば、第5章かな。


「最も重要なことに集中せよ」
・意思決定の際は、一つのことに集中すること
・過去の計画的廃棄
・劣後順位の決定(≠優先順位の決定)


まあ、仕事を散漫にあっちに手をつけこっちに手をつけで状況に流されないよう、集中的に処理すべきってのは何となく分かる気がする。
問題はその次からで、特に俺らの事務仕事は過去の事例に縛られすぎるきらいがある。(ような気がする)
もともと俺はあんまり前の担当者のファイルだとか過去の事例だとかは気にしないタチなんだけど、それでも「違和感のある現状況」(変な表現だとか変な数字だとか変な制度設計だとか)は、必ず昔、なんかあったわけで。
それがなかなか覆せない仕事をしている。
そこで「計画的に」廃棄していくシステムの必要性が説かれている。
また、「仕事に優先順位をつける」というフレーズは比較的よく聞くけど、そうではなく、「やめるべき仕事」の優先順位(すなわち劣後順位)をつけるという考え方。
これはかなり新鮮だった。
同じことを言っているようにも見えるが、やってみると全然違う。
ってゆうか、物事の優先順位を考えるのは実は意外に簡単で、逆の劣後順位は非常に難しい、というか勇気がいる。
しかしこれらを身近なところからでもいいので、冷静に分析して整理していくってことが、成果を出す、ここでいうエグゼクティブに近づける、というわけで。



……とまぁこんなかなりためになるお話が第7章まで(序章と終章をいれると9章)書いてある。
正直読むのに体力が必要だったが、目からウロコの連続だ。
もし俺に時間がもっと潤沢にあったら、この本をもっとじっくり読んで気になる部分をチェックして自分なりにコンパクトにまとめ、仕事で行き詰ったときに振り返られる、みたいな使い方がしてみたい。(けど、そんなに時間がないのでやらない(笑))


今思うと、もしドラってやっぱエッセンスだけだったんだなーと、ふと思った。