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2018-04-08

弟子・藤井聡太の学び方

| 22:41

数ある「藤井本」の中から,師匠・杉本昌隆の著書を読んでみた。


弟子・藤井聡太の学び方

弟子・藤井聡太の学び方


昨年夏過ぎあたりからか,書店に「藤井本」がたくさん並んでいるが,ひとつも買ったことはなかった。藤井聡太六段のことは,小学2年生のころから知っていたし,エピソードもたくさん聞いたり,現に見たりもしていた。ネットの記事を見ても,だいたい知っていることが書かれていて,敢えて買う意味がないかなと思っていたからだ。また,将棋世界で大崎善生さんの連載があり,かなりそれで足りているだろうというのもその理由だった。


ところが,ツイッターの将棋クラスタの中で,本書を推す声があり,気になって買ってみた。面白かったので,一気に読み終えた。


本書は,決して,弟子自慢あるいは師匠自慢の本ではない。杉本先生の師匠から受けた師匠愛や,自身の将棋に対する情熱。そして弟子への指導,普及に対する思いなどに詰まっている。


将棋界では,師弟関係があるが,その関係性は師弟の組み合わせの数だけ異なるだろうと思えるほど,それぞれ個性がある。杉本先生の藤井六段に対する接し方は,マスコミの報道からだけではわからない,何とも言えない温かさが伝わってきた。藤井六段の強さは,もちろん本人の努力と才能の賜物だろうけれども,良い師弟関係がサポートしていたことも間違いないだろう。


いろんなエピソードにジワっとくるのだけれど,一つは,藤井六段の兄弟子の一人が奨励会を退会するときのエピソードだ。退会することを決めた最後の研究会。対局相手は,杉本先生の計らいにより,藤井二段(当時)。


その兄弟子は将棋を指しながら,涙がぽろぽろ流れて止まりません。その横で彼と指している藤井も含めて,部屋にいる四人全員が泣いていたそうです。

(150頁)


本書には,随所に,「将棋を指す子」の親に対するメッセージもちりばめられている。なので,わが子が将棋に夢中になっている親たちも読むことをお勧めする。中には「あるある」と膝を叩きたくなるシーンもあれば,やはり指導者から見た景色と親から見た景色は違うものだなあと感じる場面もある。その感じ方は人それぞれだろう。


長男の師匠は宮田利男八段。年齢は,長男とはちょうど50歳違う。最近の関係は,年齢が離れていることもあって,杉本先生からみた藤井六段への関りよりも薄いのだが,奨励会に入るまでは,徹底的に丁寧に指導していただいた。おそらく指導対局は2000局や3000局では済まない数を指していただいているのではないか。杉本先生は,私と二つ違いだし,藤井六段は長男と同い年だということもあり,いろいろ重ね合わせながら読むことができた。

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