真央ちゃんの中京大学が偏差値10以上も上がった理由

「腰パン学生」の目の色を変える:日経ビジネスオンライン
 日本の大学卒業生のうち、就職希望者はこの20年で1.5倍の45万人程度にまで増えた。大学生が増えすぎれば、就職が難しくなるのは当然だ。生き残るためには「就職に強い大学」に飛躍するしかない。


 数少ない成功大学とされるが中京大学だ。フィギュアスケート浅田真央選手が学ぶことで有名なスポーツ強豪校だが、この10年間で偏差値を10以上も高め、就職実績も難関大学レベルになっている。
 

 この改革を担ってきた同大学の増田栄太郎・入試センター部長と、藤形正俊・キャリアセンター部長に、これまでは門外不出としてきた「成功の秘密」を聞いた。


毎年1つ目玉の改革をぶち上げる
 大切なのは、毎年1つ目玉を作り、それを学生や高校の進路指導の先生にアピールすることです。広告宣伝費がふんだんにあるわけでもありませんからね。毎年、大学として売り物になる目玉を常に用意することが重要です。


― 中京大学は偏差値がこの10年で、10以上もアップしています。これは文系を主体とするマンモス大学では異例ですね。

 大切なのは、学部を見直したりしても、定員を増やさないということです。入口はきっちり締めておく。現代社会学部なんて改革をすると同時に定員を減らしました。

 失敗する大学は逆なのです。新しい学部を設置しても、そこに誰でも入れるように合格者を増やす。それが偏差値と社会的な評価を下げ、就職で苦戦する。そして、受験生をまた増やすために、再び新しい学部を作るが、同じような負のスパイラルに陥る。それで、最後は破たんに追い込まれるというパターンなのです。


― 中京大学では優秀な学生をどのように集めているのでしょうか。

 学部のカリキュラム改革は学生の質を高めるためです。大学がビジネスである以上、そこがポイントになります。優秀ではない学生を集めて、しっかり教育するのも良いでしょうが、それでは手間がかかりすぎる。中京大学では学部の改革で就職の実績を高める一方で、優秀な高校生をターゲティングして集めています。


改革を行うことの意義を感じました。
確かに大学というものに対して、そんな専門学校のようにちょこちょこ小手先のテクニックで改革とか言っているんじゃないという意見があるのも分かります。
教育・研究を行う上で、流行りに左右されるようでは、学問の探求はままならないと。
しかしそれは一部の有力大学に対する批判でしょう。
中堅以下の大学の使命は、10年前は専門学校を選択していた学生をターゲットとしているわけです。(せざるを得ない)
さすれば、流行りに左右されて当然ですし、しかるべき手段です。


中京大学の改革の特筆すべきは、自分の立ち位置をしっかり把握して、日々実践しているところです。
好循環に入りそうな勢いがありますね。
ただし、これ以後の中京大学としてのジレンマは、中堅上位から上位層への進出を阻む「伝統」という高い壁でしょう。
伝統は小手先の改革で得られるものではありません。


話が前後しますが、大学としては中堅上位の地位を継続しさえすれば、この淘汰の時代でも経営としては安定します。
ですから、それ以上を無理に目指す必要はないとも言えます。


とはいっても、中堅上位を目指す大学は多数ですから、歩みを止めれば後ろは奈落の底です。
ですから、日々改革を続けなくてはならない。


留まってじっくりと社会的評価を得たい気持ちと、留まったら追い抜かれるという不安と複雑な中堅大学の悩みが垣間見えますね。