名というのは一番短い呪なのだよ、博雅。

で、この話題で思い出すのが、夢枕獏の「陰陽師」シリーズに繰り返し出てくる、「名とは呪である」というフレーズ。

あそこに花が咲いているであろう。あれに人が”藤”と名を付けて、みながそう呼ぶようになる。すると、それは”藤の花”になるのだ。それが最も身近な”呪 ”だ。

ちょうど少し前に、どんジレさんことid:hrkt0115311の人とFriendFeed上でそんなやりとりを交わしました。

hrkt0115311
名前というのは不思議なものだ。僕は「どんなジレンマ」「耳と余韻」「それ、たぶん違う。」「センスオブワンダーはどこですか」という四つのサイトをスタートし、残ったのが「どんなジレンマ」だった。他のが残ったら、僕は「それちがさん」とか呼ばれていたのだろうか。
9 月 24 日 Twitter 経由

夢枕獏の「陰陽師」シリーズを思い出しました。作中に繰り返し「『名』とは『呪』(しゅ)である」というフレーズが出てきます。「どんジレさん」と「それちがさん」はネット上で違った顔を見せるのかもしれません。 - Regicat

ああ、本当に本当に、獏氏の作品で「しゅ」が登場しましたよね。そうか、僕は「どんジレ」という「しゅ」にかかっているとも言えるわけですね^^ - hrkt0115311

私はHNやらペンネームやら、いくつも名前を持っている。はてなで日記を書けば「id:regicat」という呪をかけ、小説を書くときは「望月瞳子」という呪をかける。セカンドライフにログインすれば「Haruka McMahon」という呪でしばり、会社から給料をもらうときは実名という呪でしばる。実名も非実名も、「呪である」という意味においては等価なんじゃないだろうか。
今回の論議関連でのブログエントリで、その辺を見事に表現してる人がいた。

「nowokayというidで活動してるけど、xxxってサービスではそのidが取れなかったのでnaokiというidを使ってます。役場のサービスでは親がなおきって名前でアカウント作ってたのでそれを使ってます」

2009-10-07

そう、実名とはリアル空間で各種サービスを受けるために登録したアカウントにすぎないのだ。にもかかわらず、「実名なら責任をもって発言するはず」「実名を出せないのは後ろ暗いところがあるから」なんて、実名にやたらと重みをつけたがる人たちがいる。
それは呪であるところの名にさらに、「実名」という呪をかけているにすぎないのだと思う。