思考の遊戯(雑読雑感の裏側)

2017年12月17日(日)

空軍大戦略

☆☆☆★

飛行機映画としては見所満載。スピットファイアや、ドイツフォッケウルフ(?)や爆撃機が画面狭しと飛び回る。

大編隊や、爆撃を俯瞰から捉えたショット臨場感満載である。特に後者は、現代でも、爆弾が1つ爆裂するカットは撮れるが、俯瞰から十数発の爆弾があちこちで炸裂するかっとは稀。逆に、もっと上空からのCGで作った映像ならあるが、こういう中規模の範囲リアルに実写で作った大作映画は貴重。

原題は『Battle of britain』で、ドイツイギリス本土侵攻を阻止する戦いの最初から最後まで描いたもの。

大局的なストーリーはともかく、いち将校とその女性士官である妻とのエピソードなんて不要ロンドン爆撃で、いちゃついている最中爆弾で死んだら良かったのに(´д`)

ミリオタ的には、スピットファイアの魅力って分からなかったのだが、確かに飛んでいる姿を見ると格好いいかも、と実感。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2017-08-02

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2017年12月16日(土)

序盤は、トム・クルーズのあまりにも「リア充」ぶりに嫌になりそうになったが、セックス・フレンド(作中で言及される)であるキャメロン・ディアス嫉妬で車を暴走させて心中しそうになるところから様子がおかしくなってくる。

それまでもトム・クルーズ幻覚を見たりと、信用できないところもあったが、中盤以降は一体何が怒っているのか?映画としての仕掛けは何なのか?が焦点のミステリーサスペンス映画)であることが分かってくる。

面白いかと言われれば微妙なのだが、公開当時は割と衝撃的なオチだったのかもしれない。

キャメロン・ディアスブサイクにしかみえないが、ペネロペ・クルスおっぱいが見られるのがオトクかな(^_^;)

以下、ネタバレ

類似作品では、『マトリックス』や『トゥルーマン・ショー』『ダーク・シティ』など、現実が偽物であることが明らかになるタイプのどんでん返しもの。

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キャメロン・クロウ

パラマウント ジャパン 2006-04-21


篠田節子アクアリウム』みたいな出だし。

犯罪小説家犯罪小説家
雫井 脩介

双葉社 2008-10

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2017年12月14日(木)

『ザ・フューリー 烈火戦場

☆☆★

言うまでもなく『フューリー』の便乗タイトル共通点は、アメリカ戦車乗りが主役ということくらい。その戦車は、模型誌とかでも見たことがなかったので、適当でっち上げたのか?と思って調べたら、ヘルキャットは、戦闘機みたいな名前だが、実在した自走報砲だった。まあ、いかにもシャーマンのパチもんっぽいダサダサさ

なので、プラモ化あるいは作例が載ったことがないのも頷けるかも(^_^;)

とあるドイツ郊外で、街道外れに陣取る4号戦車撃破する、という話。

便乗タイトルを付けなければならなかったことでも分かるが、画や、華のないキャストなど、いかにも低予算。そこは銃や砲撃の迫力に直結するので、本家(?)『フューリー』とは曳光弾もなければ、砲弾反動描写もないに等しい。

戦場の苛酷さ、悲惨さをリアルに描いた同作とは異なり、本作のテーマは、第二次大戦中の黒人差別(´д`)

お察しの通り、最後には人種を越えて、戦友として認め合うのだが…。

第二次大戦中の黒人差別問題と、ある自走砲部隊での黒人兵士活躍』なんてタイトルにしたら、誰も観ないだろうしなぁ…。

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アメイジングD.C. 2014-12-03

サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(3)』

☆☆☆★

確かに異星人の宇宙船や、そことのファーストコンタクトは描かれる。まあ、全く予想もしないものではないにせよ、異星人のコミュニケーション手段面白いが、せっかく盛り上がって来たと思ったら、舞台国連の査問委員会と、またリアルというよりどうでもいいところに戻ってしまう。

この、三歩進んで二歩下がるようなところが本作が掻く下そうようなところなのだ。場面もコロコロ変わるし、異星人とのコミュニケーションジェニーは参加しない。電脳知性リチャードとは常にコミュニケーションしているが。

というより、そもそもこのシリーズジェニー冒険を描くものじゃあない。原題にはジェニー名前が欠片もないことでも分かるように、未来世界でのファーストコンタクトカナダ中国対立の中で描いた群像劇なのだ。売らんかなの邦題に騙されてはいけない。

ただし、そのへんを差し引いても、地味さとセンス・オブ・ワンダーケンカした、どちらにもノリが悪い分裂症気味の作品。『Vガンダム』の富野監督風に言えば、失敗作だが、駄作ではない、という感じか。

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2017年12月12日(火)

サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(2)』

☆☆☆★

舞台宇宙でのカナダ宇宙軍中国宇宙軍に…とは行かず、すぐに地球舞台にした、前巻同様のハードボイルド路線に戻ってしまう。

それが済めば、終盤は再び宇宙船からの攻撃、あちこちに出没する人工知性、ナノテク世界規模のスペクタクル、異星人の目的など、盛りだくさん。

と、プロットやガジェツトだけ見れば、サイバーパンクほか、SFの要素てんこ盛りの佳作に見えるが、いかんせん六百ページ弱は長すぎる。『天空の劫火』他、グレッグ・ベアのいくつかの作品連想させるが、やはり三百ページくらいにまとめて欲しかったところ。

ナノテク作品にありがちだが、本作では、それに加えて人工知性万能論という、輪をかけたご都合主義が少し気になる。ただ、ナノテクのほうは、『ブラッドミュージック』っぽかったり、後者は、どこにでも介入できそうで、事態を回収できなかったりと、逆に作者に都合良くピンチ演出するストーリー展開上のご都合主義的に使われている気も。

ただし、これらのてんこ盛り要素や長すぎる原因であるグランドホテル登場人物の多さは、次の完結編で、うまく風呂敷を広げかつ回収できれば、3巻まとめての傑作として大化けする可能性もありそう。

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2017年12月08日(金)

エイリアン

☆☆☆

小学生の時にテレビで観た時は、あまりにも怖くて最後まで観られなかったものだが。現在見ると、定型的なモンスター映画フォーマットで出来ているなぁ、という印象。

時代性というか、流行問題かもしれないが、演出テンポが悪い。間を取りすぎなのも気になった。ディレクターズ・カット版だからかもしれないが。

エイリアンのデザインで、黒一色なのは現在の目で見ても素晴らしい。特に口のアップで、ヘルメット(?)、口周り、唾液のツヤの違いが芸術的

逆に、数カットだけ映る全身像は、人が入っていることが丸わかり。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (FOXDP) 2012-07-18

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2017年12月07日(木)

モデルグラフィックス 2018年01月号』

☆☆☆☆

映画ダンケルク』公開を受けてのスピットファイア特集。様々な超絶作例ではなく、あくまでもにわかモデラーのためのガイドであるのが嬉しい。スケールモデラーのヤタガラス氏と、ガンプラモデラー小森氏という、異ジャンルの二人が、往年の名キット・タミヤのヨンパチのハウツーをそれぞれ紹介。

もちろんMGらしく、各メーカー別のスピットファイアのキット紹介も。

今年は『ZZ』30周年らしく、同作の模型を断続的に紹介するスタンスらしい本誌。今回はミキシングビルドで1/100のザク3を作る。ハイザックからサザビー、果てはガザCのスタンド(!)までを駆使した力作だが、惜しむらくは、ザク3そのものに魅力がない(´Д`)ことか(^_^;)

スナップフィットのカーモデルを本気で塗装する等も興味深い。

それだけなら、今月号はスルーするつもりだったが、なんと、引退したと思われていた哀原義行氏が復活しているではないか!?まるで高石誠氏のような復活劇。

その作品は、「理論裏付けられた」超精密工作のたまものなのだが、ボトムズATという素材じたいのせいで、大きな変化がパッと見て分かりづらいのが惜しい。ボルトを全て然るべき位置に植え替えるとか、凄まじい工作の割に、元デザインやキットを舐めるように把握している人以外には、効果・変化が分からん(^_^;)

(逆に言えば、ガンダムならそのへんは頭に入っているからこそ、哀原作品凄さがすぐ分かるのかも)

MGジム・スナイパーカスタムも意外と全身に手が入っていて格好良い。

モデルグラフィックス 2018年 01 月号 [雑誌]モデルグラフィックス 2018年 01 月号 [雑誌]

大日本絵画 2017-11-25


ジャック・グラス伝』

☆☆☆☆

3作からなる連作中編。あとがきによれば、黄金時代SFミステリを融合させた作品。なので、当時のミステリ作法に則って、読者への挑戦状が長編としての本作の“冒頭に”おかれている。それによれば、全ての犯人ジャック・グラスその人だという。では倒叙ものか、ピカレスクロマンかと思えば、読み進めてみれば、そうではない。否が応でも期待させられるのだが果たして…。

『箱の中』☆☆☆☆★

極刑のとして数人で11年間、小惑星の内部という色々な意味での極限状態での開拓を言い渡された数人の物語。挑戦状によれば、脱獄ものになることは容易に想像できる。その閉鎖空間描写は、本格SFとしても普通に面白く、ラストの意外な展開は、SFかつ本格ミステリとしてどちらも高レベルのでき。小説としての味付けまで含めて、小林泰三あたりが書いたと言われてもおかしくない。

『超光速殺人』☆☆☆

ここで本シリーズヒロインダイアナが登場。あれ、ジャックは?そう、本作のラストで登場すると、○○であることも含めて、黄金時代ミステリらしいところ。だが、長編エピローグにいたると、アンフェア記述ではないことが明らかになる。それらの仕掛けと、ジャックとの関わりという、長編構成するピースとしての仕掛けはともかく、単独の中編ミステリーとしてのトリック凡庸

『ありえない銃』☆☆★

ここでは、これまでも名前だけは登場していた、銭形のとっつぁん的キャラが登場…したと思ったら、あっさり死亡。不可能状況での殺人ハウダニットまたは“消えた弾丸”ものミステリーである。

ミステリとしては極めて冗長で、(SFならではのテレポートなんかも含めて)あらゆる可能性を考慮しているようでいて、実は同じことしか言っていない。約140ページもあるが、半分で充分の内容だ。トリックじたいも、ほとんどアンフェアで、SF的なこじつけ(言い訳)とビジュアルで、なんとか取り繕っている感じ。

ミステリSFファンなら必読ではあるけれど、『箱の中』だけで充分かも。ただし、作中に出てくる「箱」については、最後まで読まないと説明されないのが欲求不満かも。ただし、説明されても、腑に落ちるとは思えないが…。

ジャック・グラス伝: 宇宙的殺人者 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)ジャック・グラス伝: 宇宙的殺人者 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
アダム ロバーツ Adam Roberts

早川書房 2017-08-24

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2017年12月04日(月)

ディレクターズ・カット

☆☆☆☆

サイコパスによる連続殺人と、画を売るためならなんでもやるテレビ屋の実情。『壺中の天国』と『ナイトクローラー』を貫井徳郎が書いたような感じ。だが、登場人物たちの自己中的な心情と言動は歌野らしい、胸くそ悪いもの(^_^;)

終盤へのエスカレートは『ナイトクローラー』と同じだが、最後に至って、大きなドンデン返しが仕掛けられていたことが明るみに。

ただし、これは読み返して分かるタイプであって、初読では、伏線存在すら気づかないタイプのトリック

とはいえ、ドンデン返し好きなら楽しめる。ただし、上に挙げた作品同様に、読後感は良くないけどね。

ディレクターズ・カットディレクターズ・カット
歌野 晶午

幻冬舎 2017-09-07

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2017年12月03日(日)

『アポロ18』

☆☆☆★

全編、アポロ計画資料映像を模したモキュメンタリー映画

劇伴エンディング以外に全くない。

映像は、記録用のハンディカメラか、宇宙船に据え付けられたカメラのもののみ。ただし、数カ所だけ「どこの誰が撮ったの?」というカットがあったのが気になったが…。

ジャンルを言えばネタバレになるのだが、これはホラー映画。(未見だが、外聞情報によれば『ブレアウィッチプロジェクト』や『クローバーフィールド』と同じ。ただし、本作の場合NASA国防省の極秘映像を集めてきて、ドキュメンタリー映画として再構成した、という体裁になっているのが大きな違い。なので、別に劇伴があっても良かったのだが。ただ、劇伴がない事で、いかにも本物っぽい感じを出していることは間違いない。

映像的にはほぼ完璧で、第三者視点での派手な映像がないぶん、余計にリアル

ま、主題のものが、いかにも陰謀論的な安っぽいものなので、ぐいぐい観させるが、観終わって見れば、すぐに忘れてしまうようなC級作品なのだが。

映像は☆☆☆☆、内容は☆☆という感じ。

アポロ18 [Blu-ray]アポロ18 [Blu-ray]

角川書店 2012-09-21

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2017年11月30日(木)

スケールアヴィエーション 2015年5月号』

☆☆☆☆★

立ち読みまでしたのに、買い逃したのを後悔していた号。中古プレミア価格ばかりだったが、ようやく送料込みで定価相当のを見つけた。

A-10特集バリエーションもほとんどないのに、9つもの作例が乗っている。しかも1つしかない複座型の作例を除けば、殆ど差がないA型C型。つまり、ほぼ同じ機種の作例が、メーカースケール違いで8つも載っているのだ。冒頭のヘッドラインにもそれに類する記事があるが、これはほとんどガンダム的な、キャラ立ち意味する。RX78なら、それだけで別冊が出るのも当たり前の世界だし。

圧巻は、表紙にもなっている、大型キットと言えば、のトランペッターの32。ただでさえ大きくて解像度が高いのを、フルディテールアップ。特に14ページの後部カットなんか、サイズによるパースが格好良過ぎる。

A-10も登場するとはいえ、何故か1ページまるまる『エリア88』の紹介もあったり。

アーマーモデリング』のメルカバ特集でも、4台を一気に作っていたMAX渡辺氏が、ここでは72のA-10メーカー違いで4機製作。前誌での記事と同じく、今回も、すぐに組み立てられるキットのメリットと、完成させることの重要性について語っている。それは、最新号でも同じで、氏の持論なのだろう。

特集に合わせ、グラビアでは、ターミネーターばりのガトリングガンと一緒のショットもある(さすがにモデルガンはいえ重すぎたのか、手に持ってはいない)。

Scale Aviation 2015年 05 月号 [雑誌]Scale Aviation 2015年 05 月号 [雑誌]

大日本絵画 2015-04-13

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2017年11月28日(火)

『hammered サイボーグ士官ジェニー・ケイシー(1)女戦士の帰還』エリザベスベア著/月岡小穂

☆☆☆★

カバーイラストではブロンド美女として描かれているが、内容を読むとそれはJAROスパニッシュ系の五十歳くらいのおばさんである。とは言え、サイボーグなので、『グリーン・ディスティニー』の…誰だっけ?後はブリジットリンみたいなイメージか?

内容は視点も変われば、内容も4冊分くらいがシャッフルされるように詰め込まれているので、非常にノリにくい。

主人公老朽化したサイボーグ機関を再手術するかどうかの話、マフィア組織を率いる主人公の姉を追い詰める話、火星発見された異星人の宇宙船の正体、そして人工知能脱出劇の4つだ。

それぞれが、登場人物クロスオーバーして顔を突っ込むので、それが理解するのが難しいとも言えるし、縦糸と横糸がしっかり絡み合った巧みな構成とも言える。

また、視点人物コロコロ変わるのもノリにくい要因。いちいち日付と場所を章こどとに記すくらいなら、視点人物もついで書いておいて欲しい。

つの中編で1冊という構成にしてくれたら、★半分は評価が上がったのに…。それか、(3部作を読み終えた後に)再読すれば、評価が上がるかもしれない。なにしろ、はっきりと1巻と書いてある3部作の序なのだから。

なお、原題は『hammered』とシンプルなのに、邦題は何がメインタイトルなのかさっぱり分からないことになっているのも問題。ちなみに、hammeredとは、冒頭に出てくる、物語きっかけとなる、軍隊でも利用されているとされる麻薬名前

HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)
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