思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンダム マーク2



カトキ版のマーク2って、何故か人気がない。『モデルグラフィックス』ですら作例が載ったことがないし、Twitterなどでも見たことがない。GFFの時点でも、だいぶアニメ設定画寄りになっていたので、ここはHGのインスト寄りのプラモも見てみたい、ということで、作らざるを得なくなった。
実は裏テーマとして、カトキ版の味付けを出しているのがRGシリーズ。立体としての整合性と、工業製品としての説得力を表現しようとするとカトキ版的な形状になる、という必然性もあるのかもしれないが。
カトキ版の特徴で、なおかつプラモとはもっとも差異が大きいのが肩。当初はここだけ左右に延長した、お手軽改造で済まそうと思った。でも組んだものを眺めていると気になってあちこち手を入れ、結局、最初に手をつけて、最後まで調整と表明処理をすることになったのが肩だった。
下腕は、ある意味最も難しい部分かも。カトキ版RX78の下腕からさらに、外側に向けて折れ角を足したような形状。ここも低級なんちゃって工作なので真ん中で延長して、折れ角は削り込みのみで再現。手首側の三角の突き出しはプラ板で足しただけ。
胸部は、上面を水平に近くなるように。要するに試作1号機のカトキ版に近いようなシルエットにするべく、プラ板を貼って整形。本当は胸部下面も整形しないといけないけど、インテークを上に上げただけでごまかす(^^;) ダボを削ってずらしてはめこめるようにした。コクピットも同様に、天面だけプラ板で角度を変更。
腰アーマーは、前後左右、それぞれプラ板を貼ったり削ったりしてら角度を調整。
太ももは、直方体に近いようなバランスが難しい上に、内部フレームがあるので、モナカキットよりもかこうが難しくなっている。というか、形状だけを追求するなら、普通のHGを使うほうが確実だったねぇ(^^;) お手軽改造のつもりが、沼に引き摺り込まれた感じだ。
ピザアーマーも、バランスが難しく、左右の幅増しと、折れ角の位置を何度も調整した。脛は、前面のアールを均一にする感じで削ったくらい。
アンクルアーマーは、そのままにしようと思っていたバーニア状のディテールだが、何度も(10回くらいはやり直してる)アクリジョンを筆塗りしているうちに、ディテールも甘々になってきたし、結局旧HGのインスト通りにフラットにした。足首は、C面を少し広く削ったくらいで、ほぼそのまま。
頭部は、サイドインテークを削り込んで、クチ(アゴ)の上に瞬着で、直方体に近い形状に修正したくらい。
あと、シールドも、左右に折れる部分のC面を広げたりしたのだが、腕の延長をしてる間に、シールド接続パーツを入れるのを忘れたので、つけられない(^^;) インストでも、何も付けてないしね(周囲に浮いてる)。
塗装は、インストのモノクロなのに、なんとなく緑がかった感じを出したくて、何回も塗ったが、どうしてもネモ的な緑になってしまう。結局ベースグレーとベースホワイトに、ほんの少しベースグリーンを足したツートン。もうちょっと緑味を足したかったんだけど。そのほかの色味として、バーニアのメタリックレッドと、各部カメラに整形色のクリアグリーンが残っている。
ツインアイは、頑張って白でカトキ風のスクウェアな感じに塗った。

エンゲージSR3



ウェーブ
『』で一目惚れして以来、数年経ってようやくプラモを入手できた。
『デザインズ』の中のあるモーターヘッドの解説で「あとはアドリブのデザイン」という文章を読んで以来、なんとなく好みの判断基準が厳しくなった。エンゲージも、好きなのはこの3のみだ。
ガンプラなら、HGくらいのパーツ数でできていそうなのに、倍以上の細かいパーツかある。たとえば、胸から生えている棒状のパーツも、HGなら1パーツだが、3パーツなのだ。
基本的には合いの良いキットだが、最も目立つ部分であるスネに隙間が出たので、瞬間接着剤を塗ってやすりがけして、を、何回も繰り返すことになった。このMHの下半身のキモでもあるので、デザイン上の本来の面を整えるのと、エッジを出すのが難しかった。
例によって、永野信者からは罵倒されそうな、私のデザイン感覚に依拠した改変も。どれもパーツを付けないだけのお手軽改造。ひとつがランスの針のような飾りパーツ。もうひとつが、肩の上の、謎の半楕円パーツ。後者は、唐突に肩に付いているのだが、ふと気づいた。軍服の肩に付いているピラピラを模したものだ(^^;) こちらは、四角いダボを切り飛ばして整形した。
いわゆる腰のフロント、リアアーマーは、説明通りの順番でパーツを付けたのだが、見事に左右(つまり前後)間違えた(^^;) 無可動で強引に接着したそのせいで、特にフロントアーマーの角度が何か違和感があるものになってしまった。ちゃんと作っていても、これ以上は下に垂れないと思うのだが……。
カラーリングは、前述の膝の合わせ目消しのせいで、全塗装するハメになってしまった。シャープな造形を活かすために、塗膜の厚いアグリジョンは避けさるをえず、タミヤアクリル。それには、ほぼ白のカラーがないのが難点。特に白は、何回重ねるハメになるか想像もつかないので、混色は避けたい。消去法で、つや消しホワイトに。今思えば、水性ホビーカラーなら、グランプリホワイトにする手もあった。結果として、塗っては段差をペーパーがけして、を7、8回は繰り返したかも。色味を加えるために、ウェザリングカラーのグリーンをフィルタリングしようかと思ったが、取り返しのつかない滲みだらけになりそうだったので、やめに。
ちなみに、カラーリングは、そもそもデザインが、登場ファティマたるクローソーを模しているので、クローソーのファティマスーツの色、すなわちピンクっぽい赤紫にしようかと思ったが、アクリルの筆塗りでは絶対無理だと判断して、差し色の緑をそれっぽい赤にした。今思えば、水性ホビーカラーで、色の源を使えば(せっかく買ってあるのに、宝の持ち腐れだ)なんとかなったのかも。
スピアは、本物の騎士のそれに倣って、銀色に。

レッド・エージェント

☆☆☆

ソ連のスパイものは、なんでも邦題に『レッド』をつけるよなぁ(´Д`)
50年代のソ連で、アメリカから送り込まれたスパイが、ソ連の外交官(?)にハニートラップを仕掛けたら、ミイラ取りがミイラになる、という間抜けな話(悲恋??)。
60年代のソ連で、アメリカに亡命したその外交官の娘が、父の所在を調べに来るストーリーが、交互に描かれる。『踊る骸』なんかよりもよっぽどうまくカットバックが機能していた。

レオパルト メクサス



タコム 1/35 レオパルト メクサス
頭悪い言い方をすれば、フォルムが格好いい現用戦車。
増加装甲の形状とかは、イギリス系でも、イラン系でも、アメリカ系でもない。敢えて言えばイランでパットンに増加装甲を付けた、ティランに似てけど。
輸出元のドイツでカスタムしたのか、カナダ陸軍が買ってからイスラエルみたいに魔改造したのか、どっちだろう? 現用戦車図鑑とかに載ってる以外では、ほとんど詳細を読んだことがないんだよなぁ。カナダ軍じたいがマイナーなのか。
増加装甲は箱組みで、砲塔はすきまなく組むのが難しい。後部と両サイドを一気に組んで、マスキングテープで強引にくっつけた。逆に、前部の増加装甲は、同様にやったのだが、右に隙間が空いてしまった。
後は、まいどミスしてる気もするが、牽引ケーブルの長さ。書いてないので、そのまま半分に切ったら長すぎた(^^;)
書いていないと言えば、履板を何枚作るかも書いていないが、こちらは現物合わせでそんか問題なかった。連結は履板の両サイドにあるピンに、軟質素材のコネクターを差し込むだけ。あとはセンターガイドも接着剤いらずで連結可動履帯ができる。そういえば同じタコムのメルカバ2もそうだったかな。すごいぞタコムの技術力! ただし、2、3個、履板のピンは折れたけど、予備は充分あったのデザイン問題なかった。
説明書的には、塗り分け指示がほぼ皆無なのは困った。ネット上でも画像がほとんどないんだもん(´Д`) しょうがないので、箱絵だけを頼りに、あとはテキトーというか、これまでの現用戦車の経験値から類推して塗り分け。いちばん気になったのは、後部中央にある、なんか十字のマークみたいなところ。ここは赤とか黒で塗り分けというか、マークが図形だと思うんだけど、わからないので車内色のまま。
塗装といえば、予想はできたので、車体のほうはリアクティブ・アーマーの接着前に塗っておいたのだが、砲塔は増加装甲が複雑で、メルカバの時のように、斜めになったり隙間が開きそうだったので、先に接着したのが失敗。細い筆を突っ込んだり、シャバシャバの塗料を流し込んで黒っぽく塗れると思ったんだけど、予想以上に空間があって、成形色が残る結果になってしまった。なんとか、目の前で覗き込まないと見えないくらいまでは頑張ったけど。実車の構造的にも面白く、この増加装甲は、スラットアーマーくらいの距離に本体と離してあるのがわかった。てっきりメルカバみたいに砲塔にくっつけてあると思っていたので。
そういえば、車体の前半分はドイツ旧軍の重戦車マウスっぽいよね。
付属のフィギュアは、なぜかカナダとは何の関係もなさそうな、中東の民兵? シワのつながりがおかしいのは分かったんだけど、整合性が取れるように修正出来なかった(^^;)こだわるほどの愛ちゃくもなかったし。
そういえばエッチングパーツも割と使ったほうだけど、砲身の基部とか、よくわからん、しかも見えづらいところばかりで、あんまり効果なかったかも。
なお、ウェザリングは戦車模型製作の醍醐味でもあるが、現用戦車である事に加えて、実戦のイメージがわかなかったこと、スクウェアなデザイン的に、なしとした。履帯だけは、ポリ素材のサイドキャップがあるので、全体的に砂ぼこり汚れをつけた。アクリジョンの下塗りからのミスター・ウェザリングカラーによるもの。
本体色は、ちょうとイメージにピッタリだった、タミヤアクリルのスカイに、ちょっと他の色を混ぜたり、ミスター・ウェザリングカラーの白、緑、青でドッティングやカラーモジュレーションっぽい感じに。要するにムラをつけて、退色表現っぽく。

萌えよ!戦車学校 戦後編(5)

ベトナム戦争湾岸戦争
文 田村尚也/絵 野上武志
☆☆☆★
イカロス出版

副題以外に、インドシナ戦争、イライラ戦争、イラク戦争、アフガン戦争編を収録。
大東亜戦争中のインドシナ戦争以外は、戦後の紛争なので、戦車同士のガチンコは少ない。むしろ、現代史、戦史的な勉強という側面が強かった。『イスラム戦争史』とかに近い感覚。
特に、インドシナ戦争以外は、イスラム世界と白人国家の戦争、という意味で一貫していることがわかったのは収穫。
特に、イライラ戦争で勝ったイラククウェートの石油増産で、経済的に打撃を受けたイラクがそこへは攻め込み、欧米が攻撃。湾岸戦争があまりにも電撃的だったので、イラク軍の地上戦力が温存されたので、イラク戦争に繋がる、というのは、本書を一気読みしなければわからなかった点。

そして父になる

☆☆☆

宇多丸師匠の絶賛の噂は聴いていたのだが、いかんせん是枝監督作品は、食指が伸びないんだよなぁ。『海街ダイアリー』は好きだけど、『真実』はダメだったし。
ネタバレなしで感想をひと言で言えば、『演出は良いけど、意外な展開は全くない』という感じ。
キャストも、この手の邦画でよく見る、「またリリー・フランキー」「尾野真知子か」(´Д`) という感じ。どちらもソツなく演じているだけにタチが悪い(私の中で)。これが、演技がヘタだったり、役に合ってなかったらボロクソに貶せるのだが(^^;)
中立なスタンスで貶すなら、子供の取り違えという、『キン肉マン』からの、深刻な題材を、父親の自覚というテーマのための道具としてしか扱っていないこと。嬰児の取り違えをもってこなくても、描けたテーマだと思うのだが。原作があるらしいので、原作の映画化ありきで、是枝監督に依頼したのかもしれないけど。

以下ネタバレ

プロットとしては、取り違えた子供を、遺伝子通りの組み合わせにしてみるが、6歳となると、簡単には行かないので、元の鞘に収まる。「生みの親より育ての親」という、それだけの話なのだ。途中、福山サイドが、金に物言わせて、二人とも自分のものにしよう、という意外な展開はあるが。
これは、非道な性格として演出されているが、けっこう有効な策かもしれない。もちろん、相手が承知すれば、だけど。

祇園の姉妹

☆☆☆★

昭和12年の、溝口健二監督作品。素朴なポスターから、いわゆる日常系のような話を予想していたが、ちょっと予想外のオチだった。ファーストカットが、『小原庄助さん』にあったような、室内をドリーで横断するような大胆なカメラワークで、まず驚かされた。
さらに、登場人物の会話が、今では上方落語ですら聴けない、大阪弁で、心地よかった。祇園が舞台だが、いわゆる吉原みたいな芸者言葉でも、京都弁でもなく、大阪の商人言葉に聞こえた(いや、そんなに詳しくないんだけど)。ちゃんと商人の店に入ったら、店主は「おいでやす」と言うしね。「てんご」は、だいたい覚えていたが、念の為意味を確認した(^^;)
そうそう、物語は、売れない芸者の姉妹が、男たちに翻弄される、と言う話。現代なら、キャバ嬢に置き換えても通用しそうな物語である。

以下ネタバレ

売れない芸者だから、旦那さんを見つけないと、いつまでも鳴かず飛ばず。序盤に、見せを潰した商家の旦那が転がり込んでくるのだが、姉妹はお互いに、相手に良い旦那を見つけようとする。とある反物屋の番頭は、使い込みがばれて、その旦那がミイラになるのだが、最後にはそのカミさんにバレておじゃんになり、妹は交通事故に遭い、世の中の不公平・不条理を嘆いて終わる。こんなシビアな話しだとは想像もしなかったわ(^^;)