第3巻 第23章から第24章まで。

第7篇 崑崙山

第23章 鶴の一声[123]
崑崙山は、紅色の国魂を紅能宮を造営しそこに鎮祭し、八王神を磐玉彦に任じ、妻神、磐玉姫が補佐をし、八頭神を大島彦に任じ、妻神、大島姫が補佐をし、紅能宮の司は、明世彦、明世姫の二神が奉仕し、崑崙山一体は極めて太平無事に治まっていた。
ある時、磐玉彦は、八王神の聖職に疲れ、八王神の聖職を辞退し、下へ下り、神人とともに神業を楽しむと決意し、大島彦に相談を持ちかけた。
大島彦をこれを残念に思い、引き止めるが、磐玉彦は、男子たるもの一度決心したことは曲げられないと話す。
この裁断は、地の高天原の神示をこうむり、結果を採用するということになった。
神示の結果としては、八王神の聖職を辞退することは、天地の真理に違反するということとなり、磐玉彦は、八王神の聖職に留まり、その後数百年の間は、実に至治至楽、泰平の聖代は継続された。


第24章 蛸間山の黒雲[124]
蛸間山には銅色の国玉を鎮祭し、吾妻別を八王神に任じ、妻の吾妻姫はその補佐をし、八頭神を国玉別とし、妻の国玉姫がその補佐をした。
この蛸間山には、言霊別命の神命を奉じて、二個の国玉を並べ、祭祀されることとなっていた。
二つの国魂は、互いに主権を争い、蛸間山は、山は常に風雲たちこめ、時には暴風起こり、樹木を倒し、河川の堤防を破壊し、濁水は地上に氾濫し、神人を困らせていた。
荒ぶる国魂の二柱の精霊は、一つは、八王神に憑依し、一つは、八頭神に憑依し、これにより、二柱の神は、権利を主張しあい、犬猿の中となり、蛸間山は、荒れ果て、邪霊が地上に満ち溢れた。
これが、国祖の耳に入り、大八洲彦命、大足彦は、蛸間山へ向かい、二つの魂を別々の鎮祭し、八王神、八頭神に神示を説き諭せむとした。
八王神は、説示を承り、前非を悟り、正心誠意をもって神業を厚く奉仕することを誓約した。
八頭神は、大足彦が諭すも、これに答えず攻撃をせむとすると、大足彦の言霊により悶え苦しみ、やがては、体内より、黒煙立ち上り、見ると金毛八尾の悪孤の姿が現れ西の空へ逃亡した。
これは、国魂の狂態を洞察した、常世国の邪神が憑依したのだった。
これにより、八頭神も正心に立ち返り、今までの罪を悔い改めた。
その後、蛸間山は、清く晴れ渡り、神人和楽の極楽浄土となりた。