「ゆかり」は普通名称ではなく登録商標

不服2004-14614 条文:3-1-3,4-1-16 登録審決 2007/05/29審決日

「ゆかり」(30類:むすび,べんとう)は「赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの」を認識させるため識別力なしとした拒絶査定を覆し、識別標識としての機能を認めた事例。

当審の判断(抜粋)
たとえ、株式会社岩波書店発行の「広辞苑第5版」に、「ゆかり」の語義の一として、「赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの。」という記載があるとしても、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、いまだ、「ゆかり」の語が「赤紫蘇の葉を乾燥させ粉末にしたもの。」を指称する一般的名称であると認識されるに至ったものとは認め難いというのが相当であるから、本願商標をその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。

請求人は登録商標「ゆかり」(第561358号の2)の権利者。ボンドと同様、他者の同種製品を見かけないほど市場における占有力が高いと、あたかも普通名称であるかの錯覚が生じてしまう。周知・著名商標権者にとっては頭のいたいところだ。ちなみにこのケースでは、審判請求後、「証拠調べ通知書」が出されており、これに対する意見書にて、請求人は自己の「ゆかり」(赤紫蘇ふりかけ)に使用する赤紫蘇使用量が国内消費量の40%を占めるほどである点、食品卸業者によっても商標「ゆかりとして認識されている点等を細かく説明している。「「広辞苑」記載=識別力なし」とも限らない。