December 16
いまをきみが忘れても
いま、きみがぎゃんぎゃんと顔をバッテンにして泣いたり、
おとうさんのひざの上でキャッキャキャッキャと笑ったり、
わたしのおっぱいをフガフガいっしょうけんめい吸ったり、
やさしい保育士さんに抱かれてホワホワ眠ったり、
しなもんの毛をくしゃくしゃとつかんだりして、
いろんなことを経験しても、きみはすべて忘れてしまう。
そう思ったとき、一瞬、お母さんはむなしい気持ちになりました。
でもすぐに、それはちがうのだ、と思いました。
いっぱいに愛されて過ごすいまの時間が、
きみの心の種の芯みたいなものを作ってる。
近い将来、きみが芽吹いて葉を出して枝をのばして、
空高く、すっくと立つまっすぐな大樹になるために
いま、この瞬間、瞬間があるんだね。
お母さんは、広いこの世に飛び出す前のきみのことを
やわらかくあったかくしっとりと包む土のような愛情でもって、
きみのお世話をしたいと思う。
いまのきみとお母さんのふれあいが、
きみの記憶にぜんぜん残らなくても、
きっときみのどこかに刻み込まれていくはずだから。
そしてきみとのいろんなことを
お母さんはぜんぶおぼえておくからね。
ぜーんぶおぼえておくからね。
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