ちょっと古い記事だけど――海外からみた同人誌の印象

2006年に書かれた、お茶妖精さんの翻訳記事です
以下引用


2006年08月21日
WiredNewsの同人誌に関する記事
WiredNewsは科学技術から文化までいろいろ面白い記事を扱ってくれるのですが、公式の日本版サイトが活動を停止してだいぶ経ちます。復活する様子がないので本家の面白い記事を勝手に訳してみようと思います。苦情が来たらすぐ消しますのでよろしく。

ハリーポッターはマルフォイが好き」
Harry Potter Loves Malfoy.
東京は東池袋、先週末のまんだらけで私は人ごみをかきわけながらスターウォーズの本を探していた。具体的には、ファンが製作したC−3POとR2−D2の間の語られぬ愛を綴った日本の漫画を探していた。
目的のアンドロイドポルノはなかったが(私はあると確信してるのだが)、代わりにハリーポッターとマルフォイ、アラルゴンとボロミアが織り成すロマンス本を見つけた。これが日本のドウジンシと呼ばれるファンによる商業キャラを使った自費出版物の世界である。
Yaoi(Yowieと発音する)のサブジャンルとして急成長するこれらは、アニメや漫画、あるいは西洋の映画さえ含めた男性キャラクターの同性愛を描いていることを特徴とする。ヤオイはファンの製作したものだが商業的なものでもある。これらが存在するだけでなく成功していることは、日本が著作権に対していかに寛容でそれが創造性と商業性を発展させていることを証明している。アメリカのメディア会社はここをメモにとってほしい。
東池袋は東京の外側にあるが、ここは女性による女性向けの作品を揃えた漫画店が並んでおり、従って女性のマンガファンの目的地になっている。ここには棚の上から下まで同人誌が並び、フィギュアやトレカ、文房具などのグッズもある。この地域はオタク(geek)の中心地である秋葉原に対して乙女ロードと呼ばれている。
先週、池袋のまんだらけを訪れたとき、私は通路がエネルギッシュに漫画を買う女性たちで埋め尽くされているのを見た。そこは山ほどの同人誌とお目当ての同人誌を探す女性たちであふれていた。道路には、友人を待っているかはたまたゴシック様式の服装で出かけるためか、キャラクタークイーン(女性のためのキャラクターショップ)の前で待つ女性の姿。男の姿はあまりない。乙女ロード執事カフェのような共同ビジネスも生んだ。両性具有のように美しい男性という設定の服装をした女性を配置するところもあるが男を雇用するところもある。9月まで予約で一杯というところも。私は秋葉原で男性のオタクの中心地にも行った。ここのまんだらけはあちらとは別方向の漫画やグッズを売っている。池袋の光景とは性別が逆だ。(中略)
日本の創造的エネルギーで驚くべきことはその膨大な量だ。先週のコミケ東京ビッグサイトで行われた巨大な展示会では約三万五千人の同人作家が様々な作品を売った。コミケは漫画の製作会社との共生関係を謳っている。会社のディーラーもファンとの信頼関係を評価してるのか、単に漫画の読者か著者のファンなのか、コミケに参加する。
コミケはより良い作品を作るために必要な作者と企業のコミュニケーションも促進している。「それはコミケにとって最大の目的だ」とはあるウェブサイトは言う。政治家やジャーナリスト、学者らはジャパニーズクールを数十億ドルの利益として輸出できるか否かを議論しているが、残念ながら、日本で成功した漫画はアメリカ市場ではンとドラえもんの違いから学んだ方がいいかもしれないが。

というわけです。同人誌の繁栄は訴訟国家アメリカから見ると面白いを通り越して不気味な現象なのかもしれません。作家と読者が互いを尊重するからこそ生まれた社会なので、我々読者は作家への敬意を失ってはいけません。白か黒かではなく製作者に敬意を払っているか否かがファン活動の防衛ラインかも。

以上引用おわり。