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2015-11-18 Symposium 2015-11-30 on academic ethics

11月30日【シンポジウム】高校保健・副教材にみる専門家の倫理と責任―データ改ざんと出産誘導

女性の「妊娠のしやすさ」は22歳がピーク、という改ざんグラフ が文部科学省編集の高校生用保健副教材『健康な生活を送るために(平成27年度版)』(2015年8月発行) に載った件。

この件に関連する科学者・専門家の倫理と責任をテーマとするシンポジウムを11月30日夕刻に東京で開催します。

ポスターPDF 200kb

―――――以下、転送・拡散歓迎――――

高校生にウソを教えるな! 保健・副教材問題緊急集会 第2弾

【シンポジウム】高校保健・副教材にみる専門家の倫理と責任―データ改ざんと出産誘導

日時:11月30日(月)18時30分〜20時45分(開場18時)
会場:東京ウィメンズプラザ 2F 第1会議室 http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp (交通案内)
参加費:無料(資料代等500円程度のカンパをお願いします) 
申込み:不要(先着80名)

「22歳が妊娠しやすさのピーク」という改ざんグラフ、「訂正」が出されましたが、まだ間違っています。その他にも間違いや不適切な箇所がたくさんあります。
私たちは文科省・内閣府にこの副教材の「使用中止・回収」を要請しましたが、両府省は使用中止どころか、再訂正さえ行わない方針です。
来年度も配布されるこの副教材、せめて、間違いや不適切な箇所をきちんと直して配布するように要求していかなければなりません。

そもそもなぜ、データの改ざんや妊娠・出産誘導が「科学」の名のもとに堂々とまかり通ったのでしょう。
「少子化対策」を後押しする科学者・専門家の倫理や責任を問う必要があります。

文科省・内閣府に提出した私たちの会の質問(※)に対する回答も報告します。
さらに、全国自治体の出産「啓発冊子」の頒布、「婚活」関連施策の問題についても考えます。
菅官房長官の「たくさん産んで 国家に貢献」発言、「一億総活躍社会」や「希望出生率」など、安倍政権の新政策についても議論しませんか。

ぜひご参加ください。

【発言予定・順不同】

◆ 柘植あづみ(明治学院大学教員/生殖医療問題)
「副教材、これからどうする―文科省と内閣府の回答」
◆ 高橋さきの(お茶の水女子大学非常勤講師/科学技術論)
「妊娠に関する知識の国際比較―ほんとに日本がダントツに低いのか」
◆ 田中重人(東北大学教員/家族社会学)
「改ざんグラフを持ち込んだ吉村泰典内閣官房参与と関連専門9団体への質問状」
◆ 大橋由香子(フリーライター、SOSHIREN女(わたし)のからだから)
「『産む・産まない選択』はどこへいったのか」
◆ 大塚健祐(レインボー・アクション)
「同性愛・両性愛の不可視化と性的自己決定権の侵害に抗議する」

主催・共催:「高校保健・副教材の使用中止・回収を求める会」/レインボー・アクション
問合せ先:stopkyouzai*gmail.com (*を@に置き換えてください)
※「高校保健・副教材の使用中止・回収を求める会」サイト、http://fukukyozai.jimdo.com をご覧ください。
f:id:remcat:20151118082109p:image
ポスターPDF 200kb

学術倫理に関する資料集

日本学術振興会 (2015)「科学の健全な発展のために:誠実な科学者の心得」

 科学は,信頼を基盤として成り立っています。科学者はお互いの研究について「注意深くデータを集め,適切な解析及び統計手法を使い,その結果を正しく報告」しているものと信じています。また,社会の人たちは「科学研究によって得られた結果は研究者の誠実で正しい考察によるもの」と信じています。もし,こうした信頼が薄れたり失われたりすれば,科学そのものがよって立つ基盤が崩れることになります。
(p. 10 注番号を省略)
……
 そもそも科学者には,真理の探究である研究活動を誠実に行う責任がありますが,科学と社会の関係がより緊密になっている中にあっては,社会からの信頼と負託を得た上で,科学の健全な発達を進めることが不可欠です。そして,このためには,社会的な理解を得られるよう,科学者自らが研究活動を律するための研究倫理を確立する必要があります。
(p. 11)
……
 社会における科学者の責務とは何でしょうか。科学者には,その英知をもって新たな発見をしたり,社会が抱えるさまざまな課題を解決してほしいという社会からの期待があります。こうした期待に応えることが一つの責務といえるでしょう。また,その過程において公的な研究資金を使用するケースも多いだけに,そうしたものに込められた社会からの期待についても自覚しておかなくてはなりません。さらに,自分が携わる研究の意義と役割を一般に公開し,かつ積極的に分かりやすく説明すると共に,その研究が人間,社会,環境に及ぼしうる影響や起こしうる変化を,中立性・客観性をもって公表し,社会との建設的な対話を行っていくことが求められています。
 科学はさまざまな形で社会に貢献しています。この中で科学者は,自分が生み出す専門知識や技術の質を担保する責任を持ち,さらに自分の専門知識,技術,経験を活かして,人類の健康と福祉,社会の安全と安寧,そして地球環境の持続性に貢献する責任を持っています。このため科学者は,常に正直かつ,誠実に判断,そして行動し,自分の専門知識・能力・技芸の維持向上に努め,科学研究によって生み出される知の正確さや正当性を科学的に示す最善の努力を払うことが求められます。また科学技術と社会・自然環境との関係を広い視野から理解し,適切に行動することが求められているのです。さらに,科学者の意図に反して研究成果が悪用されるという可能性も,深刻な問題として登場しています。科学者はこのような研究の両義性についても認識しておく必要があります。
(pp. 11-12)
……
 具体的な研究活動において,人間を被験者として研究に参加させる場合には,被験者の人格,人権を尊重し,十分な説明を行い,約束を守り,不利益が利益を上回ることのないようにしなくてはなりません。また,動物を扱う研究でも,その苦痛を可能な限り抑え,彼らの貢献が無駄とならないよう,真摯な態度で臨まなくてはなりません。
(p. 13 注番号を省略)
……
科学者は公共の福祉に資することを目的として研究活動を行い,客観的で科学的な根拠に基づく公正な助言を行う役割を担っているのです。その際の注意点として,科学者の発言が世論および政策形成に対して与える影響の重大さと責任を自覚し,権威を濫用しないようにしなくてはなりません。また,科学的助言にあたっては,その質の確保に最大限努め,同時に科学的知見に係る不確実性および見解の多様性についても分かりやすく説明することが求められています。
 また,政策立案・決定者に対して科学者が科学的知見に基づいて行う助言は尊重されるべきものですが,それが政策決定の唯一の判断根拠ではないことも認識しておかなくてはなりません。その一方で,科学者コミュニティの助言とは異なる政策決定がなされた場合,必要に応じて政策立案・決定者に社会への説明を求めることも科学者の役目です。科学者以外にこの役を担える者はいないのです。
(pp. 13-14)

https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/rinri.pdf

そのほか、日本学術振興会の資料「研究公正」 https://www.jsps.go.jp/j-kousei/

文部科学省 (2014)「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」平成26年8月26日文部科学大臣決定

 科学研究における不正行為は、真実の探求を積み重ね、新たな知を創造していく営みである科学の本質に反するものであり、人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げ、冒涜するものであって、許すことのできないものである。このような科学に対する背信行為は、研究者の存在意義を自ら否定することを意味し、科学コミュニティとしての信頼を失わせるものである。
 科学研究の実施は社会からの信頼と負託の上に成り立っており、もし、こうした信頼や負託が薄れたり失われたりすれば、科学研究そのものがよって立つ基盤が崩れることになることを研究に携わる者は皆自覚しなければならない。厳しい財政事情にもかかわらず、未来への先行投資として、国民の信頼と負託を受けて国費による研究開発を進めていることからも、研究活動の公正性の確保がより一層強く求められる。
 また、今日の科学研究が限りなく専門化を深め複雑かつ多様な研究方法・手段を駆使して行われる結果、科学的成果・知見が飛躍的に増大していく反面、研究者同士でさえ、互いに研究活動の実態を把握しにくい状況となっていることからも、研究者が公正に研究を進めることが従来以上に重要になってきている。
(p. 1)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/__icsFiles/afieldfile/2014/08/26/1351568_02_1.pdf

そのほか、文部科学省による資料等「研究活動における不正行為への対応等」 http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/

総合科学技術・イノベーション会議 (2014)「研究不正行為への実効性ある対応に向けて」(2014年9月19日)

・科学技術の研究は、それに関わる多くの人間が生み出した成果の集大成であり、また過去からの研究成果の積み重ねを受け継ぎ、それを発展させて未来へ受け渡していくという一連の営みである。これらは個々の研究者の創造性や知的好奇心に基づいて行われるものであることから、研究者の自主性、自律性は尊重されるべきものである。しかしながら、研研究不正行為は、虚偽の成果を発信することであり、このような研究成果の積み重ねという営みそのものを破壊しかねない。
・一方、科学技術の研究は人類の未知への挑戦、共有されるべき知の蓄積・伝承、社会的な課題の解決、国民生活の質の向上などに貢献するものとして、社会・国民からの大きな信頼の上に成り立つべきものである。従って、研究者は、社会・国民からの有形・無形の負託に対して応える必要があり、その役割を果たす責任がある。研究不正行為はこうした国民との社会契約に背くものであり、科学技術の研究の根幹をなす社会的な信頼や負託を失うことにもつながりかねない。
(p.3)

http://www8.cao.go.jp/cstp/output/iken140919_3.pdf

そのほか、内閣府内の資料「研究不正行為に対する政府方針」 http://www8.cao.go.jp/cstp/fusei/