和泉亜子休載日ss"群青よりも蒼く"

救いなんか、ございません! 
和泉亜子が嫁な人は読まないほうが賢明です


記憶を失った挙句にオスティア廃都市群に投げ込まれた和泉亜子
はてさて。

"蒼い蒼い、海の底
ウチはただ沈んでいくだけ…
ここは何処、ウチはどなたはん? 
な〜んもかもわからずただ海の底に沈んでいく…"




「ここは…何処? 」
和泉亜子が目を覚ましたのは石造りの無機質な部屋の中。
しかも気が付くと何も身に着けていない。顔を真っ赤にする和泉亜子
「な、何で、ウチ裸なの? 」
「やっと気づいたんだ。イズミさん。」
入ってきたのは20〜30代位の男性。
「な、なんでウチの名前を知っとるの? もせやけどて、ウチ、誘拐されて裸にされて犯される? 」
「これに書いてあったけど…。」
1枚のカードにはラテン語で"Izumi Aco"とそれを聞いて顔を真っ赤にする和泉亜子
「ウチの服何処にやったん? 返して! 」
と、ベッドから立ち上がろうとするがよろけて男性に抱きかかえられる始末。
「むりに動いちゃだめだよ。君はオスティア廃都市群の神殿に横たわっていたんだから。この布と共にね。」
しかし、和泉亜子にとっては何がなんだか解らずにきょとんとしてしまう。
「ウチ…名前以外…思い出せへん。」
男性もその場で考え込んでしまう。
「これは困った…。」
「あの…あんはんは? 」
「僕? 僕はこのオスティア廃都市群で墓守をしているペルニア・オスティアーナさ。」
「墓守? 」
「まあ、墓守といってもここにやってくる盗掘者の遺体から金目のものを剥ぎ取って埋葬するだけの泥棒家業だけどさ? それでもやってくるやつは引けもきらないさ。」
「オスティア廃都市群? 」
「そうさ、ここは先の大戦で沈んだ島が連なっているのさ。そして、そこに財宝が埋まっていると信じられているのかトレジャーハンターがやってくるのさ。」
とペルニアはやれやれといった顔をしているが和泉亜子はきょとんとしている。
「ウチ…なんでここにおるかもどなたはんかもわかりまへんんや。そないなに危ないトコならここにかくまってもらえまへんか? 」
「そうか…。イズミさんはきれいだし僕が拒んで死んでしまったら僕も死に切れないしね。」
「おおきに!! それと…。」
「どうしたんだい? 」
「服、貸してもらえまへんか? ウチ、な〜んも持ってへんのや。」
「そうだったね。」
ペルニアが持ってきた服を着る和泉亜子。しかし、鏡で自分の姿を見て沸騰してしまう。
「こ、これ着るの? ウチすごく恥ずかしいんやけど!! 他にないんやろか!? 」
その姿はまるで女神のような格好。もちろん下着はつけてない。
「イズミさんはきれいなのに、どうしてそんなに恥ずかしがるんだい? それにその背中の傷に目をそむけるのかい? 」
ペルニアに言われてはっと気づく和泉亜子
「そんな傷は日常暮らしではつかないと思うのさ。多分、君は何らかの使命を持って生まれたはずなんだ。」
「わてはそない事もわかりまへん背中の傷もうちの使命のことも…」
それを聞いて、ペルニアはうつむいてしまう。
「…イズミさんを悲しませてしまったね。」
それを聞いてさらに顔を真っ赤にする和泉亜子
「イズミさん言われるのはなんだか恥ずかしいや。」
「じゃあ、どんな風に呼んだら良いのかい? 」
「なんだかようわかりまへんけど亜子と呼ばれていたような気がするの。気さくに亜子って呼んでくれはったらえぇーな。」
「そうかい。じゃあ亜子って呼ばせてもらうよ。」
そういうとペルニアは和泉亜子の前に日ざまづいて指に口付け。
「そない事されたらうちむちゃくちゃ恥ずかしい。」
そのまま目を回してしまいペルニアはくすくす笑っているだけだった。




それからしばらくたったある日。
和泉亜子はオスティア廃都市群を探索していた。
とは言っても危険な魔獣がうろちょろしているところを女の子ひとりで動けるわけもなく手探りで探したりペルニアについてもらい安全な場所を探しては薬草や果物を摘んだり害のない動物たちを手なずけたりしてたまにペルニアについていって仕事の手伝いをすることもある。
もちろん女神っぽい格好ではなく動ける格好ではあるが上の下着は無く体のラインが見えてたまに恥ずかしがる。
「ここやったら…安全かな? 」
と、ペルニアにもらった地図に安全であるマークをつける。そんな和泉亜子はふと思い悩んでしまう。
「うーん…わては何者なんでっしゃろー。何で神殿で裸に横たわっていたのか…。」
と、考え事をしていると水音が。近づいて見ると泉が。
「こないなところにこないなのがあったんだぁー。でもかめへんかいなぁ…。」
と、周りだけ見回すと魔獣の気配もしない。
「ちと位ならかめへんだよなぁ。」
と、おもむろに服を脱ぎ素っ裸になって水浴びをする。
「やっぱり気持ちえぇーなぁーなんだか別次元におる様な気がするちゅうワケやこれやでもうちびっとスタイルがよかったらなぁ・・・。」
と、洗濯板並みの胸を見て苦笑。
しばらくすると物音がする。
「??? 何やろう。ペルニアさんが見に来よったんやろうかいなぁ…あまり帰ってけぇーへんから心配していたり。なんてねっ。」
と、泉から上がって覗いてみると魔獣の姿が。
「!!?! 」
魔獣に出会うこともあるがペルニアがいたり小型だったので襲われずにすんだ。
しかし、今回は違う。
今まで出会った中でも大きい方。しかも護身用に短剣を持たされているが今は何も持っていない。
そして、にじりにじりとつめていく魔獣。和泉亜子も冷や汗。後ずさりしようにも腰が抜けてしまい思うように動けない。
「ど、どなたはんかぁー!! 」
それを聞いてかペルニアが駆けつけ間に塞がる。魔獣も何もせずに立ち去っていく。
そして、和泉亜子をに駆け寄るペルニア。
「亜子、怪我は無かったかい? 」
「う…うん。」
「だめじゃないか。ここに安全な場所なんか無いんだ。油断していると本当に死んでしまうぞ。」
「堪忍やで…。」
しかし、ペルニアも和泉亜子を怒る訳で無くそっと抱きしめる。
「でも、亜子に怪我が無くて本当によかった。君がいなくなると僕としても本当にさびしいからね。」
「それに…さいぜんの魔獣、なんだかうちを襲う気配なかったんや。何ででっしゃろー? 」
そういわれるとペルニアも首を傾げてしまう。
「やはり…亜子は不思議な力を持っているんじゃないのか? 」
「そない…うちにもわかりまへん…。でも、ペルニアさんが来てくれなかったら、うちどうなっていたか…。」
「そうか…。」
と、和泉亜子が裸にも関わらずそのまま抱きしめているのであった。




その夜。
すやすや寝ている和泉亜子を見て考えているペルニア。
「確かに…亜子は魔獣に襲われていない。むしろ亜子の周りには魔獣が寄り付く気配もない。どういうことなんだ? 」
当の和泉亜子はすやすや寝ている。シーツをはぐと相変わらず裸で寝ている。時々窓からこぼれる月明かりが彼女の肢体を輝かせる。
「もしかしたら…」
と、背中の傷に目をやり触れてみる。特に変わった事は無い。
「ん、ん〜。」
と、和泉亜子は寝返り。
「亜子が知らないといっているんだから気にすることは無いか。」
そういって和泉亜子の頭をなでるとペルニアも寝ること。
それからしばらくして和泉亜子は小屋の近くで薬草を摘んでいるが違和感が
「どなたはんかがうちの事を見ておる様な気がするけど…気のせいだよねっ。」
と、ひとりで笑っているがその後ろには怪しげな影が。
「ここには…普通の人はいないはずですが…。」
「きっと、何者かが連れて来たに違いませんわ! 」
その二人と言うのはアリアドネーの戦乙女騎士団のエミリィとユエ。
セラス総長から遺跡に迷い込んだ人がいるので保護してほしいと言う指令を受けて廃都市群に踏み込んだ。
いいんちょさん。どうするつもりですか? 」
「もちろん、行きますわよ! 」
と、とっさに和泉亜子の隙を突いて羽交い絞めにする。羽交い絞めに去れた和泉亜子はジタバタ。
「あんさんたち…何者なの!? 離して! 」
「とある人から頼まれて、あなたを連れ戻しにやってきたのですよ。」
「あんさんたち…何者なの!? 離して! 」
「離すわけには行きません! 」
「仕方が無いです。少しだけ黙ってもらえませんか? 」
と、ユエがなにやら無詠唱で魔法を唱えようとした瞬間。投げナイフが飛んできて呪文詠唱を妨害する。
「亜子から離れるんだ! 」
「あなたこそ何者ですか!? 正当に答えないのであれば逮捕します! 」
しかし、ペルニアはユエとエミリィを見て冷酷な目をして一喝。
アリアドネーの狗か。容赦はしないぞ。」
と、剣を取り出しユエに突きつける。ユエはびっくりしてしまいとっさに和泉亜子を離してしまう。
「亜子はとにかくここから離れるんだ! 」
「でも、そうしたらペルニアさんが危険な目に会ってしまう…。」
「僕は、こんな狗に負けることは無い! 」
「なぁんですってぇ! 」
狗呼ばわりされた挙句に優男に負けないといわれたエミリィは怒り心頭。
「いいですわ! ユエさんは亜子さんが逃げないようにふさいでおいて! 」
「了解です! 」
と、和泉亜子の逃げ道に立ちふさがるユエ。
「へっ? わて、無関係の人間そやかて言うのに…。(でも、どこぞ出会ったような人間のような…。)」
と、短剣を出して自分の身だけは守ることに。
「おとなしくつかまるです! 」
「嫌や! 」
と闇雲に剣を振るうユエに対して難なくよける和泉亜子
「なかなか、つかまらないです。一般人に対して使うのは気が引けますが…仕方が無いです。」
と、ぶつぶつ呪文を唱えると。和泉亜子の足元に魔法陣が。
「亜子、よけるんだ! その魔法は捕縛魔法だ! 」
「そ、そない事言われても。」
と、魔法陣が和泉亜子を捕まえようとしたそのとき、背中から光の翼が生えて難なく避けてしまう。
「なっ!? 」
「うち…空、飛んでる…。」
「空を飛ぶなんて卑怯です! 」
和泉亜子がぼーぜんとしている一方でペルニアとエミリィが対峙している状態に。
両方とも隙をうかがいつつ相手の出方を待っているが痺れを切らしたのはエミリィの方。
そんな事だろうと思いつつペルニアは何事も無いようによけきる。
「あなた何者なの! 」
アリアドネーの狗に話すことは無いよ。」
その一言がエミリィをカチンと怒らせてしまう。
「もう、許しませんわ! 」
そういって飛び上がるとエミリィの周りにはたくさんの氷のつぶてが。
その氷のつぶてはペルニアに向かって襲い掛かってくる。
「ペルニアさん、危ない! このままだと怪我しちゃうからよけて! 」
「大丈夫だよ。」
そういうと氷のつぶてはペルニアには当たらずすべて掻き消えてしまう。
「僕には効かないのさ。さて、狗とはいえお嬢様だ。傷はつけたくないからおとなしく引き下がってくれないかな? 」
「断りますわ! 」
「仕方が無い。水流、武装解除! 」
そういって攻撃を仕掛けてきたエミリィとユエの武装をすべて水に変えてしまう。
「あなた、何者なのですか!? 」
「それでも、まだ降参しないのか。仕方が無い。」
そういうとぼそぼそとつぶやく。
「ま、待つです。」
「ユエさんこっちに来てはなりません。やつの罠ですわ! 」
「アーエール・エト・アクア、ファクタ・ネブラ、フィク・ソンブヌ、ブレウェム、ネブラ・ヒュプノーテエイカ! 」
そういうと周りに白い霧が立ち込め、エミリィとユエはむせてしまうと同時に意識が朦朧と。
「こ、これは…。」
「だから言っただろ。僕は君たちを傷つける意思は無い。」
その言葉を聞くまでも無くエミリィとユエは倒れてしまったのだった。




「よかったぁー。ふたりとも気が付いて。このまま目を覚まさなかったらうち、どうしようかと思っちゃった! 」
エミリィとユエが気づいたのは石造りの無機質な部屋の中。傍らには和泉亜子がずっとそばにいて看病をしてくれたらしい。
「何で、あなたが? 」
「亜子がそばにいたいといったのだよ。」
そういってペルニアが入ってくる。
「それよりもあなた何者ですか!? いくらなんでもなれなれしいですわよ! 」
「仕方が無い。亜子も聞いてくれるかい? 」
3人とも頷く。
「僕は…あの日オスティアにいた。僕は、逃れることが出来なかった。なぜならば…僕は近衛兵だから。」
ペルニアの衝撃の告白にエミリィは息を呑んでしまう。
「では…なんでこんな廃都市に未だに住んでいるのですか? 」
「出来ないのだよ。」
「じゃあ、何でペルニアさんはこないなところにおるわけ? 確か、身包み剥いで生きておるといっていたけど…。」
「僕にとってオスティアはふるさとでもあるんだ。"黄昏の姫巫女"の災害で島が沈んだとしても、僕には離れることが出来ないんだ。それに、地上に戻っても連合も帝国もいがみ合っていてオスティア人が犠牲になったことなんかお構いなしだよ。連中は結局何も考えていないのさ。」
「そ、そんな事ありませんわ! 」
と、否定するエミリィ。
「現に"完全なる世界"は壊滅したわけではない。僕はそんなやつらを許せないのさ。君たちだって踊らされているだけだよ。」
「では…。」
エミリィは何も言えずに黙り込んでしまうが和泉亜子が重い口を開けて問い詰める。
「そない事無いよ! ペルニアさんは思いつめておるだけだよ! 人はやり直せるちゅうワケやうちもなぁ〜んも思い出すことが出けぇーへんけどそない事関係ないちゅーワケや。やり直せばえぇーだけだよ。」
「亜子は…前向きだね。君だったらどんな運命だって乗り越えられそうな気がするよ。」
と、やれやれといった顔をしていると扉が開いて誰かが入ってくる。
「ここは…何処? 」
「あなた…何者ですか!? 」
その女の子は廃都市の中で迷ったのかあちらこちらに擦り傷が。
「わたし? "佐々木まき絵"だよ。でも、よかったぁ〜。みんなとはぐれちゃって死ぬかと思ったよ。あれれ? 」
にも関らず、エミリィに対してにっこり微笑むと周りを見てきょとんとしてしまう。
「何で…亜子とゆえちゃんがここにいるわけ? 」
和泉亜子綾瀬夕映も問いかけられて首を傾げてしまう。
「あなた、誰ですか? 」
「うち…そない事言われても何一つ思い出せへん…。」
そんな事お構い無しに二人を抱きしめる佐々木まき絵
「ねえ、お兄さん。どうしちゃったの? 」
「僕は…"時間を止められし者"なのに。君みたいなかわいい人にお兄さんだなんて。」
「どういうことなのですか?! 」
ペルニアの告白にびっくりしたのはエミリィ。
「だから…剣も魔法も慣れていらっしゃったのですね。」
その一方で和泉亜子綾瀬夕映は顔を真っ赤にしたまま。それでも佐々木まき絵は気にしない。
「私、何にも気にしてないよ。はじめからやり直せばいいと思うよ。」
「そんな事…。」
和泉亜子綾瀬夕映が顔を真っ赤にするとなぜか手を引っ張る佐々木まき絵
「ほら、帰ろう。みんな待ってるよ。」
「何なんですか、いきなり帰ろうなんていってなれなれしいですわよ! 」
「一緒に友達にならない? みんな楽しい人たちだよ。」
そういって手を差し出し、何故だか顔を真っ赤にするエミリィ。
和泉亜子綾瀬夕映もにっこり。そしてペルニアは和泉亜子とエミリィの近くへ。
「…心配してくれる人がいてよかったじゃないか。」
「そない事言われてもうちなぁ〜んもわかりまへんし彼女とどう付き合えばえぇーのかわかりまへん…」
「彼女に甘えてみたらどうだい。」
そういわれて和泉亜子は顔を真っ赤に。
「さて…。」
「私には何をするおつもりなのですか? 」
「なにをするも何も無いさ。…彼女たちを護ってやれ。」
「言われなくてもわかっていますわ。」
「そや。」
すると和泉亜子はペルニアのそばに寄ってくるので何をしたかと思えばほっぺにキス。
「あんがとな。」
と、恥ずかしながらもにっこりする和泉亜子に対して何故だか黙り込んでしまったペルニアを見てなぜかくすくすしているのであった。

補足
運動部の休載すべてダークでした。大河内アキラも? 


後、楊さんの所で綾瀬夕映が記憶喪失になって両方とも納得する答えは見つかるのだろうか? と書いたら新しい友達が出来たと考えたら。


無理です、安西先生(マテw


ではないけれど、綾瀬夕映和泉亜子両方に絡みがあって受け入れることが出来る人・・・
白羽の矢が立ったのは佐々木まき絵でしたw


明日はダブルクロスのオマージュその2です