今日はお昼からメキシコのゼミ。


南部チアパス州からOnesim Hidalgoさんがゲストスピーカーとしてクラスに来てくれ、現地の様子を報告した。チアパスには反政府ゲリラのザパティストを支持する人が多いとされている。実態は複雑で、村によっては全てがザパティスト支持、別の村では他の政党を支持する人が入り混じっているそうだ。


HidalgoさんはCenter for Economic Research and Social Action in San Cristobal de las Casas, Chiapas, Mexicoという組織の責任者の1人。チアパス住民による自治、先住民の人権、経済的権利の擁護のために活動している。彼らのゴールは新憲法制定と政府職員の腐敗を一掃すること。メキシコからの独立は考えていないという。


最近、成功した戦略のひとつに連邦税のボイコットがある。電気代や土地代にかけられる税を払わないことにした。連邦政府は送電を停止して対処したが、現地住民が覆面で関連施設を訪れ送電を再開させてしまった。結局、現在に至るまで電気税不払いのまま送電はされているそうだ。


注意すべきは、武力衝突を避けること。治安があまり悪くなると隣国であるアメリカに介入の口実を与えてしまう。アメリカ軍に駐留されたら自治の目標はかなわない。中東情勢を鑑みるとこの分析は賢いと思う。


にこやかに学生たちの質問に答えてくれたHidalgoさんに「これまで政府に脅されるなど危険な目に遭ったことはないか」と尋ねてみた。南米諸国では政府が準軍事組織を使って人権活動家を脅迫、誘拐、殺害することは珍しくない。彼の答えは「脅迫はしょっちゅうある。誘拐されそうになったことも2度ある。去年の9月には不審者に尾行された」。


先週のクラスで見たドキュメンタリー映画で、反政府ゲリラを率いる副司令官は「ここでは死は身近だ」と話していたのを思い出す。平和な国で暮らす私にとっては想像を超えたところで生きている人がいる。


資金援助はアメリカ、ドイツ、イタリア、スペインの団体からあるそうだ。また、日本の団体も3年前から支援をしているという。私が日本人と知ると「大阪から来た日本人が現地にいる」と嬉しそうに話していた。人道援助は国のイメージを良くするのだなと感じる。


なぜかHidalgoさんが話している最中に火災報知器が鳴ったので、いったん建物の外に避難。ちょうどいいので皆で記念撮影をしてみた(写真)。