子どもが昼寝をしているので、この間に保育園グッズを作らなくてはいけないのですが、さっき知ったニュースに黙っていられなくなって書くことにしました。


大阪市が保育所の面積基準緩和を提案しました。「面積基準の緩和」という言葉は分かりにくいですが、要するに子どもを今以上に「詰め込む」ということです。


待機児童が増える中、保育所を増設するのではなく、今あるところに詰め込むことで対処しよう、という発想です。働く母親として、この発想に反対です。


詰め込みの危険性については、愛知県の認可保育所で息子さんを亡くされた、栗並さんご夫婦が詳しく書かれているのでこちらをご覧ください。


東京都でも昨年、面積基準の緩和について議論がありました。この時は保育園を考える親の会が反対表明をしました。同じ危機感を持つ人々から怒りのメッセージを集め、都の関連部署に持っていきました。私はメッセージの取りまとめをしましたが、都内だけでなく日本全国から、また、子どもを持つ親だけでなくビジネスパーソンから、広く意見が集まりました。ぜひ<全文>をクリックしてお読みください。


この議論で大事なのは「ひとり当たり何平方メートル以下に詰め込むと、子どもに害が及ぶのか」データで検証することではありません。詰め込み容認派は必ずこういう主張をするので(「今の定員に何人増やしたら子どもの発達に悪影響があるか、というデータはないから、まあ、いいんじゃないでしょうか。待機児童解消にもなるし」)、あえて言っておきたいと思います。


私は来月からゼロ歳児を預けて仕事に戻ります。本音をいえばもう少し赤ん坊と一緒に家にいたいところですが、私の育休中、人員補充のなかった職場の事情を考えて復帰することにしました。


可愛い盛りの赤ん坊を預けて仕事に戻ることを後押ししてくれたのが保育園です。十分な広さが確保されたゼロ歳児の部屋は、1歳以降のクラスと3つ以上の扉で仕切られています。いつも笑顔の先生方は専門的な教育を受けたプロで、看護師や栄養士の先生も常駐しています。上の息子が受けた手厚いケアを思い出し、この保育園に入れるなら、ゼロ歳復帰もできる、と考えました。


昨年の3月11日、震災が起きた瞬間、私は職場にいました。大きく揺れた後、時計を見て「子どもは無事だ」と確信したのを覚えています。ちょうどお昼寝から覚める頃、2歳の息子は保育園の部屋にいたはずです。決して広いとは言えないけれど、皆のお布団をきちんと敷けるスペースに寝ていた彼ら。いざという時、子どもを守ってくれる先生たちの長期雇用がきちんと保障された状態。こういう様々な要素が、私の安心感の背景にありました。


これは大阪市だけの問題ではありません。日本全国で「待機児童が多い」「予算がない」ことを理由に、子どもの詰め込みが行われています。


私が住んでいる自治体では、首長が「子どもに影響のある策は最終手段にすべき」という考えで、保育園児の詰め込みをしていません。近隣には認可保育園を増設しています。それでも待機児童は増える一方です。


待機児童が多いのは保育所が足りないせいです。そして、予算がないのは大人が作った借金のせいです。小さく弱い者たちの生活環境を悪化させることで帳尻を合わせるのは、まともな先進国のやることではありません。今、これをおかしいと思わない人も、老後を迎え施設に入り「高齢者が多すぎて予算が足りないから」と一部屋に何人も詰め込まれ、二段ベッド住まいを余儀なくされたら、気づくのでしょうか。それでは遅すぎます。