エンスーの日々 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-04-28 アイ・ラブ・ユーイエス・アイ・ドゥー

[]アイ・ラブ・ユーイエス・アイ・ドゥー

あえてカタカナタイトルにしたという筆者は私より少し先輩にあたる年代。友人より紹介されて手にした新書です。I love you,yes Ido 加山雄三の「恋は紅いバラ」にある歌詞。

この書はすでに三冊目になるという、昭和歌謡史をたどるような定期刊行物に書かれたもの。その幅広い内容、歌の裏にある逸話を網羅して頭の下がる内容です。好きでなければ書き続けられない連載です。この手の本はジャケットの写真などや歌詞を載せるなど視覚的に読みやすく、ジャンル分けしやすいような本が多い中「画像の力を借りずに活字からダイレクトに読者の脳を刺激し、文字の力だけで読者の脳裏に当時の音声と画像を甦らせてみたい」との意気込みです。画像や歌詞を載せるとあのJASRACがうるさいし、お支払もしないといけませんね。このブログですら読んでいただいた関係筋方から勝手に歌詞を載せてはいけないお達しがきましたほどですから。1996年からの『NHK歌謡コンサート』から2017年『NHKうたコン』へと好きで聞いている歌謡曲ですが、どうしても演歌を聞いているとの家族の誤解と非難を受けています。そんな中NHKホールへと通っている昭和時代の哀愁を背負ったオジサンを理解してもらいたいと、本の内容にうなずきながら読んでいます。

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NHKホールにて

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2013-01-01 謹賀新年

[]千年、働いてきました。 野村 進

最近駅のホーム,電車の中でも携帯電話を持って何かをしている人をよく見かけるようになりました。携帯を持たずに何もしていない人を見かけるのがかえって少ない時もあります。この最新の技術の粋を集めた物に日本の「老舗」と言われる,創業100年以上もたっている様々な会社が関係していると聞くとびっくりします。日本の老舗企業の技術がなければ携帯電話も成り立たないといいます。

 具体的には,携帯の折り曲げ部分には京都の創業300年の元金箔屋さん。着信をしらせるバイブ部分には東京の両替商の技術。液晶画面にはランプや鏡台を作っていた静岡の会社。携帯の発振器には神奈川の企業。そして壊れたり使わなくなったりした携帯から金,銀などの貴金属を抽出しているのが昔から銅山を経営していた秋田の会社といわれたら,驚きから驚嘆に変わってきます。そのよう老舗の企業がどうして超最新の携帯電話に関わってきたかと誰もが知りたくなり,その「老舗」の老舗たる由縁をも知りたくなります。

 携帯電話の着信を知らせるバイブには4ミリくらいのモーターを使っていて,その中に使われるブラシのほとんどが「田中貴金属」と言う会社だといいます。この会社はよく金の延べ棒などでも知られている金の両替をしていて1885年創業,今年で128年もの老舗企業でもあります。

極限の状態でも同じ動作をしないといけないモーターの内部には貴金属が使われ,最新の車などには30数個のモーターが使われているといいます。

このようにおおよそ想像が付かないようなところに日本の老舗企業の技術が使われています。その企業が100年以上も生ながらえてきたところには,創業者の意志があり絶え間ない技術革新の努力があるわけです。また人々が落ち着けて商売や物造りが出来る環境があったからこそ

これらの企業の存続があったのでしょう。どうぞ今年も平和で,落ち着いた,災害のない年でありますように,お祈り申し上げます。

 平成25年元旦

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2012-03-20 イタリアは素晴らしい,ただし仕事さえしなければ 加藤雅之

[]イタリアは素晴らしい,ただし仕事さえしなければ 加藤雅之

イタリアは素晴らしい、ただし仕事さえしなければ (平凡社新書)

イタリアは素晴らしい、ただし仕事さえしなければ (平凡社新書)

タイトル通りの内容かもしれません。いやそれ以上に政治やイタリア社会にあきれています。「こんな国,2度と来たくない!」とまで言わせるのはなぜ?古代からのイタリアのイメージが根底から覆されます。著者は時事通信社の社員として2002-6年までスイスのジュネーブ特派員としてスイス,イタリアを取材しています。

「ローマ法王の死去」「トリノ冬季五輪」「ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi1936−)首相敗北の総選挙」の3話が中心になっています。特派員らしく現地に根ざした記事を書いていますが,その取材時の日本ではあたりまえだと思われることが通じないイタリア。鉄道の時刻表はあくまでも「参考」であって,出発,到着ホームの変更も日常茶飯事,アリタリア航空は遅れる,飛ばない,ストは頻発。駅,空港の自動切符販売機はしばしば壊れている。窓口では英語は通じなくイタリア語のみ。ミラノ中央駅では泥棒が終結していて置き引きやすりに遭う。商店などではつり銭に小銭がない。トイレも壊れていたり,掃除してない,標識がわかりにくくたどりつけない。もうここまで聴いたらいったいイタリアという国はどうなっているのだろうとあきれてしまいます。全てがそうではないとは思いたくなります。

元ベルルスコーニ首相に対しては「なぜベルルスコーニなんて人が首相だったのか」と小タイトルで氏を攻め立てています。失言の多さでも有名だったようです。フィンランドの女性大統領について「(誘致を諦めるよう)プレーボーイのやり方で口説いた」中国に対しては「毛沢東時代に,子供を煮て肥料にしていた」「共産主義者は赤ん坊を食べる」などなど,国家に対する侮辱で外交問題まで発展した。およそ国家の代表というよりエゴイスティックな世界の大富豪の1一人だったようです。サッカーのACミランのオーナーでもあり,イタリアン・ドリームの体現者であり,イタリアでは「抜け目ない,ずる賢い」人物としてあこがれの対象だといいます。

「すべてにおいていい加減」のイメージが強いイタリアですが,ファッション,建築,音楽,スポーツカーなどでは一目を置きたくなります。長いイタリアの歴史でもダ・ヴィンチやミケランジェロのような天才が何人か出現してすばらしい作品を作り,車でもマセラティー,フェラリーなどの名車を作り,経営危機にあえぎながらも作り続けていくところは賞賛に値します。イタ車好きでは,エンジンがあってなんぼ,電気系統のトラブルなんてトラブルではないみたいな自虐的な愛好家が多いのもうなずけます。最後に著者はイタリアは「普通でない国であり少し離れてみているのがちょうどいい国なのかもしれない」としめています。


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2012-03-05 プーチン 池田元博

[]プーチン 池田元博

プーチン (新潮新書)

プーチン (新潮新書)

プーチンPutin(1952- )は3月5日に第4代ロシア連邦の大統領選挙に再選されました。この書は2004年発行なので,プーチン氏が2000-2008年の大統領の時代を日経の記者が著わしたものです。

「自ら大統領になったのではなく,大統領に仕立てられた」「全く無名な人物だった」と述べるプーチンとはどんな人物なんでしょう。プーチンの若いときの有名な話があります。中学三年生のときプーチンは国家安保委員会(KGB)支部に行き,KGBに入りたいと門戸をたたいたのです。そのとき対応した人が親切でいい人?だったらしい。大学を卒業した方がいい,しかも法学部がいい。プーチンはそれを素直にうけとり難関のレニングラード大学法学部に入学した。また小さいときから格闘技がすきで,ロシアの格闘技サンボそして日本の柔道を習う。「柔道は単なるスポーツではなく哲学」という信念をもっているといいます。

エリツィンYeltsin(1931-2007)が健康上から政務をまっとうすることができない理由で,1999.12.31に後継者にプーチンを氏名する演説をします。「ロシアを自由で強く,かつ豊かな国にする」と2000.5.7に宣誓式で宣言します。「強い国家」「柔らかな独裁」の始まりでした。メディアに出る機会も大幅に増え,「行動力のある指導者」「偉大な指導者」を印象付ける。エリツィンの4倍の頻度で外国の首相と直接会談,身軽に世界を駆け巡り2000年7月には北朝鮮へ電撃訪問も成し遂げてTVに登場し続けます。

日本との外交は依然として北方領土(択捉,国後,色丹,歯舞)4島の帰属問題で平和条約が結ばれていません。2001年に二島(色丹,歯舞)先行返還論が急遽持ち上がるが,鈴木宗男が逮捕になり立ち消えとなりますが,プーチンが再選された後には新聞でこの問題が出ていました。

ロシアは原油,天然ガスの豊富な埋蔵量を誇り,原油生産量では世界最大の産油国,サウジアラビアにほぼ四敵する水準にあるといいます。世界の見る目が変わり,ロシアのエネルギーに注目するようになってきています。筆者は日本人の対ロシア感は冷え切っているがロシアでは対日観は悪くなく,「奇をてらわず,じっくりと腰を据えて付き合い,気長な信頼関係がひいては領土問題の解決を促す近道になる」と述べています。2012の5月に大統領に就任すると二期の2024年まで就任可能だといいます。「柔らかな独裁」がさらに強固になっていくのか目が離せないことになりました。

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2011-05-01 できそこないの男たち  福岡伸一

[][]できそこないの男たち  福岡伸一

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

最近,メディアに良く登場するようになった分子生物学の福岡氏,タイトルにも惹かれて手にとってみました。最初は専門用語がかなり出てきて難解な感じでしたが「アリマキ的人生」あたりからぐっと面白みが増してきました。それにしてもこの本の各章のタイトルは一見,推理小説かと思われるタイトルつけですね。「男の秘密を覗いた女」「匂いのない匂い」「Yの旅路」などなど。

作者はなぜ男ができそこないかと論証しています。人間のデフォルト(基本仕様)は女性だったということなのです。聖書にあるようなアダムの肋骨からイヴは生まれたのではなく,完成型の女性から男ができた。人間の祖先はミミズやナメクジみたいな存在であって,そこには口と肛門がある1本の管がある。脳はその消化管にそってあり,脳ありきではなく消化管ありきなのです。人間が受精して7週間くらいになってから男女が分かれていくといいます。そこいらへんからがぜん面白くなります。

ミュラー管というのがそれまであり,7週目以降SRY遺伝子の指令から女のミュラー管は膣の上,子宮,卵管などに変化していき,一方,男はミュラー管はなくなり,割れ目を閉じる作業に入る。肛門から上に向かって一筋の縫い跡?がありペニスの裏側まで続いている俗にいう「蟻の門渡り」と呼ばれる細い筋が,縫い合わされた跡だといいます。まるでフランケンシュタイン?

男は女の基本型からカスタマイズされて作られている,ところどころが急場しのぎで不細工に仕上がっているところに「できそこないの男」が存在するというわけです。アダムがイヴを作ったのではなく,イヴがアダムを作り出したというわけです。それでは最初からアリマキのような虫のようにメスだけで子供を産めばオスは必要ないではないかと考えられます。少なくとも地球ができ生命が誕生して10臆年くらいはそれでよかった。それからの気温や環境の変化がおとずれ,メスだけでは全滅する危機もあり,わずかにメスをカスタマイズしてオスを作り,生き残りにかけてきたというのです。

急場しのぎでつくられた男は,短命に終わるのもいろいろな理由ではなく生物学的に運命つけられているらしいです。そう言えば,小学校でも男の子より女の子が身長も早く伸び,勉強も出来てかなわないと思っていたのはそのせいでしょうか。女性の変形型,改良版?が男だったのですね?もし生態環境が変わったら女だけで生きていけるのかもしれません。ああ,なんと可愛そうで短命な男たちなんでしょう。

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2011-02-12 フロイスの日本覚書 松田毅一

rensan2011-02-12

[]フロイスの日本覚書 松田毅一

副タイトルに「日本とヨーロッパの風習の違い」とありますが,前に「回想の織田信長」でも書いたLuis Frois(1532-1597)は16世紀後半に30年近く日本に滞在したポルトガル宣教師でした。この資料はマドリードの王立歴史学士院図書館に所蔵されたもので,和紙に書かれていて,1585年6月14日長崎のカズサ(現在の、長崎県南島原市加津佐町)にて記したものらしい。その時期は,秀吉が紀州征伐を終え,関白に就任するときでもあったのです。

http://d.hatena.ne.jp/rensan/20090425/1240732439(回想の織田信長)

フロイスが書いた日本覚書は,シナ北側にある得意な文化を持った人々を,単にヨーロッパ人と比べてたものではないことです。またこれを読んで日本人がいかにヨーロッパ的なものを受け入れようが,日本の古くから伝わるものは捨てずに,大事にしてきたかも知るものです。この中から興味を引いた箇所を挙げてみます。

○ヨーロッパでは未婚女性の最高の栄誉と財産は貞操であり,純潔が犯されないことである。日本の女性は処女の純潔をなんら重んじない。それを欠いても,栄誉も結婚も失いはしない。

○われわれにおいては,ある女性が 裸足で歩けば,気違いか恥知らずとみなされるであろう。日本の女性は,貴賎を問わず,1年の大部分はいつも裸足で歩く。

○ヨーロッパの子供は,青年になっても口上ひとつ伝えることができない。日本の子供は,10歳でもそれを伝える判断力と賢明さにおいて50歳にも見える。

○われわれの子供たちは,素行上,たいして思慮分別も優雅さもない。日本の子供たちは,その点,異常なほど完璧で,おおいに感嘆に値する。

○われわれにおいては,挨拶は落ち着いた厳粛な顔でおこなわれる。日本人はいつも必ず偽りの微笑でもっておこなう。

○われわれにおいては,人殺しは肝をつぶすことだが,牛や牝鶏や犬を殺してもどうということはない。日本人は動物を殺すのを見ると肝をつぶすが,人殺しはありふれたことである。

○われらにおいては,自殺はきわめて重罪とみなされる。日本人は戦いにおいて,もはや力つきたとき,切腹すること,それが大いなる勇気なのである。

このように日本人がほとんど意識すことのもないようなことを,ヨーロッパ人と比較(ときには間違った理解もあった)することにより当時の日本人の風習がよくわかり,また彼らには異質な文化圏が存在していたことが分かるのです。

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2011-02-03 格差社会 橘木俊詔

[]格差社会 橘木俊詔

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

「格差の何が悪いのか」「格差が拡大してもいいのではないか」が今日,公然と言われてきていて,かっての国民一億総中流の時代はなくなってきた。そのような論点から様々な統計データを掲げ,格差の現状を検証して不平等化が進行する日本社会のゆくえを問いただしています。貧困をあらわすのに「絶対的貧困」(これ以下の所得だと食べていけないという貧困)「相対的貧困」(他人と比較してどの程度所得が低いのか)二つの定義があるが,前者の場合,ここ5−6年でも大都市でも11.2から15.7%と貧困率が増加している。生活保護を受ける人や,貯蓄ゼロの数,ホームレスの数も増えてきているといいます。後者の場合はOECDの貧困率調査では,日本はなんと15.3%で世界5位だといいます。これらの資料を提示して政府の言う「格差は見かけだけ」に反論しています。現在では,高齢者と若年者の貧困率が高くなっている。特に若者の貧困率は日本の不景気とその結果,失業率も高くなっていて,フリーターの数が増えている。平均年収は140.4万円だといいます。一月12万円弱で暮らすことになる。家族がいる場合はさらに深刻になるのは明らかだと言います。

最後に筆者は「格差社会への処方箋」として7項目を提言しています。 1.競争と公平の両立(北欧型のように高福祉・高負担を目指す) 2.雇用格差を是正する(職務給制度で同職務を同一賃金,ニートやフリーターへの職業訓練の実施) 3.地域の力を引き出す(企業誘致,医療・農業の育成) 4.教育の機会を奪われない(奨学金制度の充実・職業教育の充実) 5.急がれる貧困の救済(生活保護制度の見直し,失業保険制度の改善) 6.税制と社会保障制度の改革(所得税や消費税の改革,税制負担率の増加)7.「小さい政府」からの脱却(社会保障の還元率を上げる)

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