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reponの日記 ないわ〜 404 NotFound(暫定) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-11-19

「社会」って、「嫌な奴」のことなんだぜ

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「自分と世界を直結して『社会』が無い」ような世界観を持つ作品や、世界観そのものを「セカイ系」と呼びますが、「はてな村民」ならよく知っていること。


しかし僕にはよくわからなかった。

「自分と世界を直結して『社会』が無い」

というのはどういうことか?


それは、こういうことだ。


社会とはつまり他人のこと


つまり、セカイ系」とは「社会がない」世界のことで、親しいお友達しかおらず情報もその輪の外には出ないソーシャル・ネットワークは「社会」の無い「セカイ系」そのものですよ。


社会とは面倒な「他人」

他人とは、面倒を起こす人間のこと。理解不能な人間のこと。

具体的には、全体最適を貪り食って台無しにするタイプの人

カイジ」で例を挙げるとわかりやすいのだけれど、「利根川」「兵藤」「船井」ではなく、「安藤守」が一番近い。

ちなみに「安藤守」は、公式ガイドでも「人間として救いようのないクズ」「クズの中のクズ」「キング・オブ・クズ」と評されている。


なぜ「安藤守」が「キング・オブ・クズ」なのかというと、身を捨てて助け舟を出したカイジをあっさりと切り捨てて、なおかつその後カイジにすがりついて自分だけ助かろうとする。(→追記

<安藤守>
          -=ヽ/- _          フフ・・・
         -      ヽ       恐れることはない
         ノノノ.ノヽヽヽヽ      あの人は生涯
         ( |-?=?-| )        あの状況から抜けられない
         | .ノ U . .|      つまりもう二度とあの人と
        .人_´ ̄ ̄`_人       オレたちは顔を合わせない
    / ̄ ̄.| |  ̄ー ̄|  | ̄ ̄ \  聞くところによると、別室にいる連中の
  /     |_|\_/|_.|     \  この後の境遇は過酷で
  |\|     ||      ||.___ |./|  通常1年もたず廃人・・・
  .|\.|     ||.((.二.)).|||☆☆☆||/ | すぐ俺たちの顔も忘れるさ・・・
  |  |     ||.====.|||☆☆  ||  .|  フフフ・・・

                      _、ー-、, ‐'''Z.._
                    >. `    ′ <
      zヾ'`^`'``' ' 'ィ_  ∠   ,  ハ. 、    ヽ     オレらにも
     7"`"'^'"`"'ヘ ヽ  / , /{ / uヽ.|\ト、    l     取り分
    /=ミ、 r,==1 .l   /,ィ=ミ‐' `ァ= 、ヽ  |    くださいよ‥‥‥!
    | r〜` "=ー、 1,、|.   { l「 `。lニニ{ 。´ ) }'Tn !
.     |ゝu゚l  l ゚-、< ||f|.|.  `(ノニイ v' ヽニゝ)' ||f} |    取り分‥‥‥!
      |u _L__.」 __ 0 |lノ |   |u_└-- ┘, -、u llソ ト、
.      l(__`二´_) ハ ト、   l(__`ニ二´_ ノ( ト、 |::::ヽ、.__  取り分‥‥‥!
_,, -‐''Tヽ.u ー   / ンH,>‐ヘ __ ー‐ v __ ノ  ヽ|::::::::l:::::
: : : : : : H::l`‐--‐' ,、-‐'' ´:::::::::::|:::::::「 ̄ ̄´u  v /|:::::::::|:::  取り分を
: : : : : : :H::ヽ.  /:::l::::::::::::::::::::::|:::::::::ト、 u     / ,|::::::::::|:: くださいよ
: : : : : : : H_::/V/::::::|:::::::::::::::::::::|::::::::::l、`ー---‐' ./|:::::::::::|: ‥‥‥!
: : : : : : : :`<エ.7:::::::::|::::::::::::::::::::|:::::::::_」` ー---‐ '  L_:::::::::|

彼は、「プロの被害者であり、徹底したフリーライダーであり、なおかつ生き残るためにはなんでもする」人間だ。


「社会」の一例−雇用や教育

雇用」は社会的な機能。

縁故採用でなく能力や資格のみでの採用であれば、だけれど。

でも、その場合、能力や資格に合致すれば、こういう「キング・オブ・クズ」も雇用して、その一員にしなくてはならない。


そういうコミットをするかどうかが、「社会」であるかどうか、ということ


また、地域だけしか入学制限がない公立学校は、まさに社会。


学級崩壊は、特定の一人の生徒が原因になっていることが多いと聞く。

だからといってその子を排除したら、そこで「社会」が終わる

(だから「お局」も「クソ上司」もいるのが「社会」なんだよ、と言うと言い過ぎか?



社会から「弾く人」からみた「セカイ系

これまでの「セカイ系」の説明って、「社会から弾かれた」人からの視点で描かれていて、弾く方はあまり語られてこなかった。


弾く側から見た、その一例を示す。

「自分の加わっている小さな会社は、『自分と自分の大切な人たちを幸せにすること』が理念

だから基本的に雇用はしないし上場もしない

「僕の周りを見ても、起業したいといってした人は大概失敗している。アイディアとかプランとかそういうので成功するとか考えている人は失敗しますよね。逆に成功する人は会社を興す前にもう仕事になっていて、個人でまかないきれないから法人化するというパターンですよね。突飛なことをするのではなく、すでにお付き合いのある人たちとの関係を大切にする。

文化系トークラジオLife Part7(外伝1)「僕たちは日本を変えることができない。」2011年10月23日(日)より、社会学者古市憲寿さんの発言。)


古市さんの発言の真意はともかく、一個人としてはこの発言は全くそのとおりだと思う。


そして、「僕には社会を良くする力とか無いので、自分と自分の大切な人を守りたい」ので、「社会を変えろという人が社会を変えればいい」というのが、弾く側から描く「セカイ系」。



弾く方って、現実には「自分と自分の大切な人の小さな関係を守りたい」普通の人。いわゆる「市民」


ロンドン暴動を起こした人たちの一部は、略奪した酒を飲んでべろべろになりながら「社会が悪いのら!」とインタビュアーにくだをまいていたらしいが、そういう人も一員に入れるのが、「社会」


では「社会」を作るとして、こういうひとを「誰が」担当するのか?


それって、「優秀で財力も社会資本もふんだんにある人だ」って、大概の人は応えますよね?

つまり自分(という一介の市民)ではない、社会を任せられる人、ってことに。


それって、東大に在籍して学生で起業して社会学者としての地位も持っているひと(つまり……彼?)ではないか、と。



彼のような、優秀で財力も社会資本もふんだんにある人が、一人の個人として「大切な人を幸せにしたい」「雇用はしません」「社会を変えたい人が変えればいい」と言うと、全く正論なんだけれどモヤモヤするのは、みんなが「『他人』を受け止めて担当する人」を、暗黙のうちに彼のような人だと思っているからではないか


そういうふうに「彼」に担い手を期待するひと、つまりあなたが「市民」で、弾く側だ


優秀で財力も社会資本もふんだんにある人が、地道な努力の積み重ねによって成功するときに、明らかに足を引っ張る相手をガードするのは、個別の事例を語れば大概「そりゃそうだわな」としか言えない

「幸せにしたい大切な人」を消極的に台無しにするような人達を遠ざけるのは、正論としか言いようがない。


そして、「わたしたちの雇用/権利/その他もろもろを、社会的責任のある企業・金持ちは守れ!」と言われた「市民」は、逃げるよね常考


ところが、現実には、「声を上げる人」と「上げられる人」はどっちも「市民」であったりする。

「あなた」とか偉そうに言った僕も、「弾かれる側」だったり「弾く側」だったりする。


それに気づくと「社会」が消える。夢から覚める。


英米から30年の後追いなのか?

80年代はじめマーガレット・サッチャーは、「この世に社会なんていうものはない。あるのは国家個人と家族だけだ」と言った*1

「キング・オブ・クズ」を入学させ、雇用し、面倒をみてくれる社会なんてものはないんだ、と

そして、英米と同じ道を30年経って歩む日本が、今そこに達している。


近代的な社会は、「ある」のではなく「作る」のだけれど、そういう共通理解ができたと同時に、それは四散する。そのようにできている。


ソーシャル」という「セカイ」から「社会」へ

はてなブログにはトラックバックを組み込みませんでした。しかしベータ版開始以降、一度も「トラックバック機能を付けて欲しい」という要望をもらっていません。ブログから、「コミュニケーションツール」としてのニーズが消えてきている事をよく表しています。

なぜ今、ブログなのか - jkondoのはてなブログ

トラックバックかけちゃうぞ、と。


さて、

ともだちだけが、社会じゃない

SNSの登場によって、インターネットに巨大なプライベート空間ができあがりました。

多くの人は、どこの誰か分からない人と議論をするよりも、ともだちとおしゃべりすることを好みます。

携帯をスマートフォンに買い換えて、facebookを始め、ともだちを作り、そこから初めてインターネットに文章を書いたり写真を投稿したりする人が増えています。インターネットに投稿する入り口はSNSになりました。

ともだちとおしゃべりしている方が敷居が低いし、頻度も高くなるのは、実社会のコミュニケーションを想像しても自然な事です。

しかし、まさにその実社会を考えれば分かるように、おしゃべりする相手はともだちだけじゃありません。それだけではあまりに退屈です。

なぜ今、ブログなのか - jkondoのはてなブログ

全くそのとおりだと思います。


ただ、「退屈を紛らわす」ことと、「社会」と向き合うことは位相がずれる。


一個人としては、「キング・オブ・クズ」をシステム的に排除する仕組みは歓迎だ。

もちろんここで言う「キング・オブ・クズ」は悪罵を投げつけるモヒカンソーシャルブックマーカーのことだ。

「キング・オブ・クズ」に全てを台無しにされる「弱い市民」は、どんどんブログから去っていった。


システム的に、人が悪罵を投げつけるモヒカンソーシャルブックマーカーという「キング・オブ・クズ」にならない、いや、なれないとすれば、それは良いことなのかもしれない。


意識的に「社会」を設計しなければ、世界は弾く側と弾かれる側に固定化され、その間で情報が断絶し、社会が消えた、「セカイ系」の世界になるのだから。


重要でない情報に溢れ、けれど個々人の命運を決するような情報だけは得られない「セカイ系」の世界に。


「弾かれる側」からの「セカイ系

最後に、「弾かれる側」から描かれた「セカイ系」を幾つか挙げます。ネタバレあるよ。

最終兵器彼女全7巻 完結セット  (ビッグコミックス)

最終兵器彼女全7巻 完結セット (ビッグコミックス)

イリヤの空、UFOの夏」「最終兵器彼女」という作品では、誰も責任を取らないので、子どもが究極兵器もしくは究極兵器の操縦者として決死隊として戦場に送られ死ぬ

大変気持ちが悪いのは、子どもたちが納得or諦めて、自分から死地に趣き死んでいくこと、その際に誰も責めないこと

エヴァンゲリオンガンダムなどがモチーフになっているだろうし、結局それは徴兵」への恐怖から来るのだろうと思う)。


これをいうと文学のエライ人に怒られるのだろうけれど、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」はセカイ系だった。

わたしを離さないで

わたしを離さないで

ネタバレになるけれど、主人公たちは「社会が『社会』であるために、自分のよく知りもしない相手の責任をとって死ぬ」

こちらの作品も同様に、自分たちが犬死することを知ってなお彼らは暴動も起こさず逃げ出しもせずただそれを受け入れる



セカイ系」というと、排除される側に自分が立っている、という前提で、排除するのは「ビッグブラザー」みたいな人、と仮想するので攻撃できるけれど、排除する側の人間が目の前に現れると、たいてい「自分と自分の大切な人の小さな関係を守りたい」人なんだぜ


いつ誰に刺されるかわからない緊張感に満ちた世の中に

もちろん、なんとなく排除に賛同する人は、たいていはすごく頭の良い人の創りだす言説によって駆動された人たち、なのだけれど。


リアリティは言葉が紡ぎだす。

語られるから現実が生まれる。

「こっそり」話される言葉の大半は、テレビが/雑誌が/演説で/小説で/コミックで/ドラマで/ネットで言った言葉。本人に自覚がないだけで。

「秘密ごと」の言葉の大半は、誰かが自分の利益を最大化するために創りだした言葉で、あなたは知らないうちに「現実作成機」となって、その人にとっての最大利益をうむ「装置」になっているのですよ。

気味が悪ければ、自分の言葉の中のどのくらいが、他人がその人自身の利益を守るために紡ぎ出した言葉なのかを検証してみるといいですよ。


そうして、頭の良い人たちが自分の利益を最大化するために紡ぎ出した言葉で世界は分断され、情報は遮断され、因果律をたどることが困難になり、偶然性が社会を支配する


「いつ誰に刺されるかわからない緊張感に満ちた世の中」の到来、です。

たとえば、いつの間にか、自分が軽犯罪を犯したことになっていて、その有無を問われることなく噂が流れ、公的な身分を失うなんてことが、常態化する、そんな世の中。


そんな世の中では、一個人は、ますます「ソーシャル・ネットワーク」の「セカイ」に閉じこもっていきますよね。

だってこわいもの。


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チベットリンク

*1:訂正しました。id:cranehills さん、ありがとうございました。

aa 2011/12/29 01:00 >>いつの間にか、自分が軽犯罪を犯したことになっていて、その有無を問われることなく噂が流れ、公的な身分を失うなんてことが、常態化する、そんな世の中

カフカの審判ですね

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