ダメだこりゃ×2

紅玉いづき『雪蟷螂』(電撃文庫)

 誤字ひどすぎ。感想を書く以前の問題でダメダメ。そりゃ、キーの打ち損じや変換ミスは誰にだってあるし、かつては編集職の端くれだった身として、「なんでこんなものを見落とすの?」というレベルのものが書店に並ぶまで複数人の目を逃れることもあり得る、というのは身に沁みて知ってる。あるいは例えば具体的な名は挙げないが、月刊とか隔月感ペースで新刊を書いててミスが多いことで有名な作家さんもいらっしゃる。
 けど、ストーリーの流れ自体にかかわるキャラクター名を、年に一冊ペースで執筆・推敲・発刊してて、これだけ間違うってのは、作者と編集と校閲のプロ意識を疑いたくなる水準だな。いわゆる「物売るっていうレベルじゃねぇぞ」クラス。

真藤順丈東京ヴァンパイア・ファイナンス』(電撃文庫)

 ……俺の本来の好みとしては、こういう成田良悟さん的な、複数の小さいストーリーがだんだんと絡み合っていき、最後に一つの大きなドタバタとした流れになるお話はとってもツボなはずなんだが、携帯小説的な文体とキャラクターのせいかひどすぎるラストのオチのせいか、これはダメだわ。いつもならこういう、大ネタばらしをあえてやらずにぶった切りぶん投げエンドもそれはそれでありだと思うんだが、ダメだ、これはともかくあわん。