SONY MDR-EX31BN

Apple In-Ear Headphones with Remote and Mic(長い)は操作性はいいのだけど、耐久性がイマイチなのとBA型という構造上低音が物足りない。そこで手元でiPhone/iPodを操作でき、かつすでに持っているイヤホンを活かせるようなアダプタを探したのだけど、なかなかコレ、という製品がない。
Bluetoothはたまたま中身をごにょごにょしたことがあって、数年前の時点では、A2DPの代表的なコーデックであるところのSBCのビットレートがせいぜい128kbpsなので音もそれなりだという印象があった。けれどもこの製品のウリは高音質のAACとaptXに対応しているということなので、ちょっと興味が沸いた。さらにオマケ的機能としてノイズキャンセラーもついてるし、バッテリーも10時間くらいもつらしい。
それならばということで買ってみたので、1ヶ月近く使ってみた感想などを。
まず、Bluetooth機器としてはまあ良くできている。iOSバイスにもKindleにも、とぅるっと繋がった。いわゆる相性的な問題は少なそう。音楽再生に関する操作も問題ないし、内蔵マイクを使った通話もできた。バッテリーもちゃんともつ。
しかし、本機の操作ボタンの配置がいまひとつなので、操作性はあまり良くない。単純に再生・停止だけなら本体正面の電源ON/OFFを兼ねた大きいボタンでできるけれども、ボリュームの調節や早送り・巻き戻しは本体横の小さめのボタンで操作するので、手探りで操作するには向かない。あと、ロック機構があれば意図しない操作を防げてよかったのでは。
肝心の音質だけれども、最初はどうも納得がいかなかった。調べてみたところ、本機のヘルプガイドに行き着いた。デフォルトでは音質モードが標準モードになっていて、コーデックはSBCだと。一応「(高音質)」とはなっているけれども。そこでこのページにあるとおりに音質優先モードにしてみると、見違えるように良い音になった。しかしせっかくAAC/aptX対応を謳っているのに、これは説明不足。パッケージにも付属していた説明書にも音質モードに関する記述はなく、調べた限りではこのページにしか載っていない。なんだかなー。このことを知らずに使っている人は結構多いんじゃないだろうか。
もちろんプレイヤー側がそれらのコーデックに対応していることが必須だが、Appleはコーデックの詳細までは公開していないものの、サードパーティに向けたPDFの資料の16ページにAACに対応しているとあるから、状況証拠としては充分だろう。
ちなみにスタパ斉藤のAAC対応Bluetoothヘッドホン2機種を使うでは、音源のコーデックとA2DPのコーデックを混同していると思われる。だいたい、「BluetoothAACに対応する音源」というのが意味不明。音源(データ)がWAVだろうがMP3だろうがFLAC/ALACだろうが、BluetoothA2DPプロファイルで伝送されるコーデックはSBC/AAC/aptXのいずれでもありうる。極端な話、64kbpsのような低ビットレートのMP3の音源をAACで伝送することは可能であって(実際に聴こえる音質はそれなりだろうけど)、どのコーデックが用いられるかはプレイヤーとレシーバー双方の仕様による。本当にいい加減な奴だなコイツ。
ノイズキャンセリング機能については、効果がありすぎて逆に使うのが怖い。電車内や往来ではアナウンスや周りの音が聴こえなくて危険だし、飛行機の中では今のところ「電波を出す電子機器」なのでおおっぴらには使えない。それと専用のイヤホンがいかにもSONY的なドンシャリで好みの音ではないのと、ケーブルの長さが微妙に足りない。ギリギリで胸ポケットにつけられる程度の長さなので、もうあと10〜20センチくらい長ければジャケットの脇ポケットにも入れられて便利なのに。なので結局ノイズキャンセリング機能は無視して、既に持っているMDR-EX510SLを使うことにした。
致命的な欠点がひとつあって、それは充電しながら使うことはできない、ということ。充電はマイクロUSBを本体に挿して行うが、その状態では電源ONを含めて一切の操作を受け付けない。再生中にUSBを挿すと再生が止まり、電源OFFの状態になる。これは不便。マイクロUSB端子は充電専用でデータの伝送などをするわけではないのだから、充電しながら使えるようにしても罰は当たらないだろうに。
ということで、製品自体は決して悪いものではないのだけど、気配りが行き届いていないというか、本質的ではない細かいところがいろいろと残念になってしまっているのが実に惜しい。