100字レヴュー

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2018-06-28

[] 庭劇団ペニノ / 蛸入道 忘却ノ儀

2018年6月28日19:00 森下スタジオCスタジオ

待望の新作は演劇のジャンル超えた異色作。スタジオ内に寺堂用意し、観客の出す鈴の音も効果的にお経唱え音鳴らす展開が現代のライブ演奏と重なり、往時の熱狂を追体験でき圧倒。案内書読み進行理解する手法も新鮮。

[] 横田増生 / ユニクロ潜入一年

2017年10月25日初版 文藝春秋

決算説明会出禁きっかけに名前変え潜入取材試みた筆者の覚悟に拍手。15〜16年に幕張ビックロなど3店の実態興味深く、柳井社長の部長会議コメントへのツッコミ面白いが、店舗作業にハマる展開もリアルで見事。

2018-06-14

[] 青年団 / 日本文学盛衰史(原作:高橋源一郎、作・演出:平田オリザ

2018年6月14日19:30 吉祥寺シアター

北村透谷正岡子規二葉亭四迷夏目漱石の各葬儀に集まった鴎外や藤村ら文化人の交流描いて、日本文学の実情、何に取り組んでいたのかを明らかにして興奮。現代口語や平成の時事ネタも大胆に盛り込む冒険楽しい。

[] 森功 / 悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞

2017年12月15日初版 文藝春秋

バブルの実像描き冴えた仕事見せた筆者が加計孝太郎ら安倍人脈の暗躍追いかけた新作は大宅賞受賞も納得の迫力。米国留学時代の接触から千葉科大での無謀な取り組みも明らかにし興奮。森友も触れるも加計部分が最高。

2018-06-08

[] 日本のラジオ / ツヤマジケン

2018年6月8日20:00 こまばアゴラ劇場

女子校演劇部の夏合宿描く好評作再演は「津山三十人殺し」を巧みに使い「さわやかな惨劇」が奏功。十代の危うさ、対立し上下関係もある微妙な人間関係、行方不明の1年生、始まらない稽古と宙ぶらりんな時間に興奮。

[] 前田司郎 / 愛が挟み撃ち

2018年1月25日初版 文藝春秋

久しぶり芥川賞候補作は不妊に悩む夫婦の突飛な解決策が三角関係もあり違和感抜群も最近の荒れ気味な作風から一変、文章のきめ細かさに感嘆。俊介の打算的心理面白く、才能あっても伸び悩む水口との交流も興味深い。

2018-06-02

[] 五反田団 / うん、さようなら

2018年6月2日14:30 アトリエヘリコプター

久しぶり本格劇団公演は望月志津子や後藤飛鳥、端田新菜ら劇団お馴染みの女優を多く揃えて、お婆ちゃんたちの小旅行を笑い満載に面白く描いて出色。東海道線乗って熱海へ向かう最後の旅を2つ用意し喪失感じんわり。

2018-04-29

[] SAF×マームとジプシー / めにみえない みみにしたい

2018年4月29日15:00 彩の国さいたま芸術劇場小ホール

舞台上に芝生の子供用スペース設け夜に森に行く話をイメージ豊かに展開し成功。マームのお馴染み女優陣が機能、おねしょのエピソード巧く、舞台装置の細やかな味付けも持ち味。女性が戦争に行く近未来も暗示し迫力。

2018-03-28

[] ミナモザ / Ten Commandments

2018年3月28日19:00 こまばアゴラ劇場

原子力学ぶ者を取材した新作は伏せた部分多いのか、言葉話さなくなった劇作家の生活を中心に描く70分。ユダヤ人物理学者レオシラードの十戒軸にマンハッタン計画に絡む話面白く、この部分膨らましたもの見たい。

[] 藤田貴大 / おんなのこはもりのなか

2017年4月13日初版 マガジンハウス

「an an」連載の女子への偏執愛綴ったエッセイ軸に「口内炎を見たい」「鼻水に取り憑かれる」変態エピソード満載。劇団公演の最中も続いた連載に臨場感も。劇団関係者を実名で登場、欧州ツアーの様子も興味深い。

2018-03-25

[] タイムライン(作・演出:藤田貴大、音楽大友良英振付酒井幸菜、写真:石川直樹

2018年3月25日13:00 白河文化交流館コミネス大ホール

豪華メンツ揃った注目公演の再演はふくしまのフツーの中高生によるミュージカル。素朴でややバタバタ感あるも、朝、授業、白昼夢、午後、帰り道、翌朝の6章のイメージ豊か。ラスト日常風景の映像入れた構成も見事。

2018-03-17

[] ミロコマチコ / いきものたちの音がきこえる

2018年1月20日-4月8日 世田谷文学館

若手絵本作家の勢い出た展示で大成功。大作「ヘラジカの森」はじめ動物たちが色彩豊かに体感抜群に描かれ圧倒。文学館入り口含め会場全体作り込む気持ち入ったインスタレーションで、制作途上の空間用意も嬉しい。

2018-03-08

[] 範宙遊泳 / もうはなしたくない

2018年3月8日14:00 早稲田どらま館

待望新作は友人3人が集うドールハウスな部屋舞台の意欲作。勤務先で目撃した妻と不倫女の修羅場を熊川ふみのバービーと島田桃子のリカちゃんで再現も他人事でなくなる展開巧み。ただ消化不十分で策に溺れた印象も。

[] 阿部共実 / 月曜日の友達

2017年9月-18年2月初版 小学館ビッグコミックスピリッツ

2巻で完結の意欲作は中学1年生の男女の恋愛に至らない月曜夜の秘密の交流描き成功。大人びたモノローグに違和感あるが、姉妹や兄弟の微妙な関係の挿入もうまく、海辺の町で黒と白の巧みなコントラストの絵も見事。

2018-03-02

[] あひるなんちゃら / 今度は背中が腫れている

2018年3月2日19:30 駅前劇場

背中腫れる奇病が流行るオフォス舞台不条理コメディが奏功。堀靖明のツッコミ芸に磨き、宮本奈津美も楽しい演技健在だが、占い好きの社長が社員の出世占う展開恐すぎ。自信過剰で休み取れない男含めブラック風味。

2018-02-27

[] 東葛スポーツ×根本宗子 / 袋とじ「根本宗子」

2018年2月27日15:00 六本木スーパーデラックス

注目コラボは相乗効果発揮し大成功。「化粧」モチーフの独り芝居は根本のキャラ際立ち、攻撃的なリリック冴えたラップにも唸る。小劇場シーンのいま切り取る台詞もよく、映像、便器や浴室の使い方もよく世紀の傑作。

[] 山田参助 / あれよ星屑

2014年5月-18年2月初版 BEAM COMIX

焼け跡の東京舞台に死線共にした男たちの敗戦グラフィティが全7巻で完結。闇市、パンパン、進駐軍など生々しく赤裸裸エピソード満載。戦争編で残虐行為も露骨に戦場の非人間性、過酷な現実も大胆に描き見事な成果。

2018-02-26

[] MU / このBARを教会だと思ってる

2018年2月26日19:30 駅前劇場

三茶のバー舞台の4章立て物語は、都会生活への痛い憧れ目に付き居心地の悪い時間。期待の福永マリカも恋人の浮気調査にカネ投ずる妹役でキツめ。帽子作家が夢の癒し系女子に集う男どものベタな造形はむしろいか

2018-02-19

[] アナログスイッチ / みんなの捨てる家。

2018年2月19日19:30 シアター711

父の危篤を機に田舎の実家に集まった兄弟たち、さらに亡き次女の霊と九十九神も登場させコミカルにじわっとくる人情劇が成功。雪国っぽさ出せず、取り壊す家にまつわる想い出ややベタだが感涙。ぎぃ子ら役者は健闘。

[] 石井遊佳 / 百年泥

2018年1月25日初版 新潮社

チェンナイの日本語学校で働くだめんず女性の過去現在を妄想入れ描いた異色作は授業内容などリアル美少年デーヴラージの過酷な生い立ち紹介もシニカルに描き、特異な家庭で育った2人の接点際立ち芥川賞も納得。

2018-02-09

[] タニノクロウ×Mプロジェクト / MOTHER

2018年2月9日19:00 ゲーテ・インスティテュート東京

カスパー・ピヒナーと立ち上げたユニットの東京公演は、素晴らしかった回遊型の15年12月のタニノとドワーフ達公演の感動が再び。小人たちと出会う懐かしい遊具たちが面白く、クライマックスで膨らむ地球に興奮。

[] 松本大洋 / ルーヴルの猫(上)(下)

2017年11月14日初版 小学館ビッグコミックススペシャル

ルーブル美術館屋根裏に棲む猫たちの生態をファンタジー全開で描いて圧倒的なアート性。美術館スタッフ日常、作品との関わり、周辺の町並みも素敵。絵から抜け出た猫の人っぽい造形はいいが筋立てには戸惑いも。

2018-02-06

[] トリプルビル(プロジェクト大山「てまえ悶絶30s」、モモンガコンプレックス「勘違いの庭。」、MOKK「Dum Spiro,Spero」)

2018年2月6日19:00 こまばアゴラ劇場

30代ダンサー中心の3カンパニーの合同公演は、オリジナル衣装で登場の大山が冒頭から圧倒。顔芸まである面白さ追求も拍手。モモコンはコミカルに鼻鳴らす男性2人と不思議世界。激しいMOKKの後は緩めトーク。

[] 若竹千佐子 / おらおらでひとりいぐも

2017年11月16日初版 河出書房新社

芥川賞受賞作は「ひよっこ」な60年代に上京した過去もつ74歳の桃子さん主役に、夫の死後の生活を詳細に描いて会心。詩的に挟む東北弁も効果的で、終盤の墓参りでの走馬灯的に過去の桃子さんに出会う展開に感嘆。

2018-01-25

[] 玉田企画 / あの日々の話

2018年1月25日19:30 BUoY

大学サークルカラオケボックスでの一夜描いた人気作再演は空間の面白さ生させず残念も、時間の経過で関係性転換する仕掛け見事。居心地の悪さやざわつく感情の動きを巧みに描いて見事。菊池真琴や浅井浩介ら健闘。

[] 大西康之 / 東芝解体 電機メーカーが消える日

2017年5月20日初版 講談社現代新書

東芝、NECシャープソニー、パナソニック、富士通など近年巨額赤字喫した電機大手の負ける理由、リストラの現実を描き興奮。経営者の判断ミス、過去の繁栄の記憶と多角化事業の失敗に焦点当てて悲劇浮き彫り。

2018-01-14

[] 青年団リンクエイ / 郷愁の丘ロマントピア

2018年1月14日14:00 こまばアゴラ劇場

三菱大夕張炭坑で働いた者たちの戦後史を扱い大きな成果。現地取材で最盛期の様子や南地区への移転、閉山、ダムに沈んだ現在まで人間関係リアルに描き出し圧巻。老人役で山田百次や武谷公雄ら味わい。長野海も輝く。

[] 古谷実 / ゲレクシス

2016年9月-17年3月初版 講談社イブニングKC

全2巻完結した異色SFはバウム一筋男の40歳に起きた不思議な体験描いて会心。公園にたたずむ初恋の相手が卵形物体に変身してからの意外な展開の連続に興奮。いてもいなくてもいい比率半分の男たちの哀歌に感涙。

2018-01-10

[] 別冊「根本宗子」 / バー公演じゃないです。(そのバレリーナの公演はあの子のものじゃないのです。)

2018年1月10日19:30 駅前劇場

4人芝居再演は見事にコンセプチュアル。白い箱もち登場し「くるみ割り人形」効果的に社会不適合女子の半生を女同士の奇妙な交流軸に描き大成功。根本宗子の独白秀逸。同じバイト励み同じゲームにはまる時代性よし。

[] 益田ミリ / こはる日記

2017年10月20日初版 KADOKAWA

ダ・ヴィンチ」連載作は見開きで1話完結並べ10代の少女の日常を描いて会心。かわいい中学編が素晴らしく、高校編はちょっとおませで少しドキドキなエピソード満載で見事。友だちや家族との関係が自然でリアル

2018-01-06

[] 渡辺源四郎商店×(一社)おきなわ芸術文化の箱 / ハイサイせば〜Hello-Goodbye〜

2018年1月6日15:00 こまばアゴラ劇場

沖縄法人との合同公演は太平洋戦争末期の外務省を舞台に琉球語を津軽弁使った国際電話巡るシニカルドラマ。沖縄と青森の役者の顔合わせ面白く、リンゴ栽培中止や方言札、沖縄に連隊ない現実など語られ問題意識鋭い。

[] 木村元彦 / 無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代

2017年8月15日初版 ころから

70〜80年代に国内最強といわれた東京朝高と金明植監督を描き出色。出生地の枝川から辿り、総聯と民団で揺れる状況詳述も意義。十条ダービーを戦い黄金時代を築いた帝京の古沼監督ほか強豪校指導者の証言も効果。

2018-01-04

[] 新年工場見学会2018(五反田団「ドラマえもん〜くろ太と恐山イタコ軍団」、紅戌会「ダンサーインザ獅子」、ザ・ぷーの新春ライブ、ハイバイ「城山羊の会か別役実のニセモノ」、ポリスキル)

2018年1月4日19:00 アトリエヘリコプター

15回目人気イベントは3時間超で充実感。五反田団は小劇場題材にドラマターグ役で前田司郎健闘。下北演劇祭から紀伊国屋ホールに潜入しての展開面白い。ハイバイは不条理コメディの3人芝居見事で佐久間麻由輝く。

[] 綿矢りさ / 私をくいとめて

2017年1月30日初版 朝日新聞出版社

朝日新聞連載作は33歳独身女性のおひとりさま日々面白く、ノゾミ先輩のキャラ素晴らしい。料理貰いに来る多田くんとの交際もユニークでいいが、肝心の自身の中に棲むAの存在微妙。終盤飛行機内描写はくどく冗長。