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2010-01-24

ifを省略した「仮定法」などについて




「もしも〜だったら、〜だろう」という文章はたいていif節を伴っており、そこにはあの厄介な「仮定法」も含まれています。「仮定法」は英語学習者の悩みの種のひとつと言えるでしょう。


さら困ったことにはif節を伴わないカタチまであります。とくに「仮定法」の場合はパッと見ただけだと、単なるwouldを使った文章のように見えてしまうのです。これは本当に厄介な存在です。


ということで、そういった「if節のない仮定法」などをまとめてみることにしました。


なお、わたしは日本国内で販売されている「Forest」などの文法書は一冊も持っていませんので、それらの説明と食い違うように見える箇所があるかと思いますが、その点はあらかじめご了承ください。(基本的には大きな食い違いはないものと想像していますが)


参照している書籍はほとんどが洋書の英文法書か、もしくはネイティブスピーカーの書いたもので、あとは、海外のESL/EFLサイトなどです。それらのリストはこのエントリーの最後に参考リンク、参照書籍として載せておきます。




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まず、「仮定法」とよく一緒に出てくるwouldの基本的な性格はどんなものなのか、『English Grammar in Use』に載っている定義を見てみましょう。




We use would ('d) / wouldn't when we imagine a situation or action (= we think of something that is not real):


『English Grammar in Use』U.36-A




wouldは「ある状況や行為を思い浮かべるとき(=現実ではない何か)」に使うと書かれています。これはいわゆる「仮定法過去」「仮定法過去完了」を思い浮かべることで理解できるはずです。




1.I will phone Sue.

(スーに電話するよ。)


スーの電話番号を持っています。(これからの出来事)


2.I would phone Sue, if I had her number.

(もし、スーの電話番号を知ってれば、電話するんだけどなー。)


スーの電話番号は持っていません。なので、電話を掛けることは出来ません。(現実には起こりそうにない状況)


3.I would have phoned Sue, if I'd had have her number.

(もし、スーの電話番号を知っていれば、電話を掛けることが出来たんだけどなー。)


スーの電話番号を持っていませんでした。なので、電話を掛けることも出来ませんでした。(現実には起きなかった過去の出来事)


『English Grammar in Use』U-36より



2が「仮定法過去」、3が「仮定法過去完了」と呼ばれるものですね。海外の文法書やESL/EFLでは便宜的に、この3つを・・


1.The first conditional

2.The second conditional

3.The third conditional


・・と分類しています。そして、if節の部分は条件節(conditional clause)に当たり、もう一方の節は主節(main clause)となります。そのことだけ覚えておいてください。





(´-`).。oO(ここからが本番です)  (´-`).。oO(if節のない「仮定法」なのです)




さて、ここからが本番です。先ほど書いた「スーの電話番号を知っていれば・・」という例文ですが、実は『English Grammar in Use』では、本当は以下のように書かれているのです。




2.I would phone Sue, but I haven't got her number.

(= I would phone Sue, if I had her number.)


3.I would have phoned Sue, but I didn't have her number.

(= I would have phoned Sue, if I'd had have her number.)


『English Grammar in Use』U-36より




お気づきでしょうか。そう、if節がないのです。だけども、その内容は何も変わっていません。これはつまり、if節(=conditional clause)がなくても「仮定法」は成立するということです。


また、1番目のthe first conditionalも同じように、if節がなくても違った言い回しで同じ内容を表わすことが出来ます。


では、それらをひとつひとつ見ていくことにしましょう。




【 A 】不定詞が付いている文章


It would be nice to live by the sea.

(海の近くに住めたら、素敵だろうなー。)


『English Grammar in Use』U.36

To hear him speak French, you would take him for a French.

= If you heard him speak French, you would take him for a French.

「君は彼がフランス語を話すのを聞けば、彼をフランス人だと思うでしょう」


if 節の代用表現:to 不定詞 - RAVCO事項




前者は現実には海の近くには住んでおらず、「住めたらいいなー」という想像ですね。後者は現実には聞いてないけども、「もし、聞いたならば」という仮定のお話です。




【 B 】otherwise(さもなければ)が付いているとき


I won't tell Brenda, otherwise, she'll be furious.

(= If I tell Brenda, she'll be furious)

(ブレンダには言わないよ、そうしないと彼女は激怒するだろうから。)


Take the umbrella. You'll get soaked otherwise.

(= If you do not take the umbrella, you'll get soaked.)

(傘を持って行きなさい。さもないと、びしょ濡れになるよ。)


『Cambridge Grammar of English』U.456

He was busy on the day ; otherwise, he would have come to see the concert.

= He was busy on the day ; if he had not been busy on the day, he would have come to see the concert.

「彼はその日忙しかった。さもなければ(= その日忙しくなかったならば)そのコンサートを見に行っただろうに」

if 節の代用表現:副詞(句) - RAVCO事項

Your proposal did not reach us before the deadline; otherwise, we would have taken it.

(そちらのご提案書は期限前にご提出いただけなかったのですよ。まにあっていれば、ご採用申し上げたのに。)


『もっと話せる絶対英語力』P.154




otherwiseは非常によく見る言い回しです。また、文末にotherwiseが来るのは、よりインフォーマルな言い方のようです。




【 C 】with〜,(もし、〜があったら)、without〜,(〜がなかったら)

with + 名詞「もし〜があったら」:without 〜「もし〜がなかったら」の反対概念


With a little more patience, he could have been more successful.

= If he had a little more patient, he could have been more successful.

「彼がもう少し我慢強かったら、成功していただろうに」


if 節の代用表現:副詞(句) - RAVCO事項

Without this new method of designing, we could not build it so beautifully.

(この新しい工夫がなければ、それを美しく作ることは不可能だった。)


『もっと話せる絶対英語力』P.150




ここで注意したいのは、文頭に"with〜," "without〜,"が来ているとき、主節の前にカンマがついていることです。これによって条件節の役割を果たしていることがわかります。




【 D 】But for〜(= If it were not for〜,)


But for your contribution, our work would not have been completed.

(あなたの貢献がなければ、私たちの仕事は完成してなかったことでしょう。)


『もっと話せる絶対英語力』P.154




"but for〜"は"without〜"と似ていますね。ただし、その言葉の意味は"If it were not for〜"(もし、〜がなかったならば)という「仮定法」であることに注意してください。




He would have gone to university but for the fact that his parents were poor and couldn't afford it.

(彼の両親が貧しくなく余裕があったならば、彼は大学に行けただろうに。)


『Cambridge Grammar of English』U.456




細かいですが、"but for〜"のあとが"the fact that..."となる点にも注意が必要です。




× He would have gone to university but for that his parents were poor and couldn't afford it.


『Cambridge Grammar of English』U.456




このようにthat節のあとに文章をそのまま続けることは出来ません。あくまでも名詞が入る必要があります。なので、"the fact that..."というカタチにして、その内容を記しているわけです。





【 E 】〜ago(〜前だったら)

Two hundred years ago, nobody would not have thought of such a matter.

= If it had been two hundred years ago , nobody would not have thought of such a matter.

「2百年前だったら、誰もそんなことについて考えなかっただろうに」


if 節の代用表現:副詞(句) - RAVCO事項

Ten years ago, we would have accepted your offer.

(= If it had been ten years ago, we would have accepted your offer.)

(10年前だったら、この提案を採択したと思いますが。=実際には、10年前ではなく現在なので、採択しないという意味。)


『もっと話せる絶対英語力』P.154




なかなか気付くのは大変そうですが、これも"〜ago"のあとにカンマがついていることが目印になるかもしれません。




【 F 】分詞構文が付いているとき


Born in better times, the man would have been a great artist.

= If he had been born in better times, the man would have been a great artist.

「もっといい時代に生まれていたならば、彼は偉大な芸術家になっていただろうに」


if 節の代用表現:分詞構文 - RAVCO事項





これもまたカンマがひとつの目安になっていますが、内容的にも「〜だったら」となっていますのでそこから推測することが可能でしょう。もうひとつ、ちょっとひねったカタチのものを見てみます。




Other things being equal, we would be ready to take your proposal.

(他の条件が同じであったら、貴社の提案を採用するところですが)


『もっと話せる絶対英語力』P.167




現実には「不採用」だったわけですね。主節がwouldでなくなると以下のようになります。




Other things being equal, we are ready to take your proposal.

(他の条件が同じなので、貴社の提案を採用します。)


『もっと話せる絶対英語力』P.167




こちらは「採用」となります。この文章をより丁寧にしようと考えて主節をwouldにしてしまうと、まったく違う意味になってしまうわけです。「would=丁寧な表現」と自動的に考えるのは危険かもしれません。


また、こういった条件を表わす分詞構文はたくさんの種類があります。




given that.. provided that..(writing) providing that..(spoken)

on condition that..(formal written) granting that.. considering that..

in the event that.. in the event of noun


『Cambridge Grammar of English』U.456

『もっと話せる絶対英語力』P.167




これらは現実の条件(real condition)であれ、非現実の条件(unreal condition)であれ、使うことが出来ます。その一方で、以下の条件節は非現実の条件(unreal condition)のみに使えます。




suppose that.. supposing that.. assuming that.. imagine that..


『Cambridge Grammar of English』U.456




例文としてはこんな感じですね。




Supposing that you'd missed train. What would you have done?

(電車に乗り損ねたと想像してみてくれよ。そんな状況であなただって何が出来る?)


『Practical English Usage』U.263




【 F 】andで繋がっている文章(informal spoken)


Do that again and I'll get very angry.

(= If you do that again, I'll get very angry.)

(もう一度やったら、彼女はとても怒るだろう。)


Buy three CDs and get one free.

(= If you buy three CDs, you 'll get one free.)

(CDを3枚買えば、オマケにもう一枚付いてきます。)


『Cambridge Grammar of English』U.456




条件節のところに、ただ単に数量と名詞だけが来る場合もあるようです。




One more step, and you would have fallen off the cliff.

= If you had taken one more step, you would have fallen off the cliff.

「もう一歩踏み出していたら、君は崖から落ちていただろうに」


if 節の代用表現:数量詞+名詞, and S 仮定法〜. - RAVCO事項




【 G 】主語にifの意味が込められている場合


A man of common sense would not do such a thing.

(= If he were a man of common sense , he would not do such a thing.)

「常識のある人ならば、そんなことはしないだろう」


if 節の代用表現:主語 - RAVCO事項




「あの人だったら、〜だろう」というニュアンスですね。また、こういったカタチは無生物主語の文章においても使えます。




A small compromise would have made your offer more attractive.

(もし、わずかの妥協を飲んでくれれば、この申し出もより魅力的になっただろうに。)


A close inspection of the account would have disclosed the cover up.

(勘定書をすこし丁寧に検討すれば、隠蔽がわかったはずだ。)


『もっと話せる絶対英語力』P.167




さらに、主語を修飾する関係詞節があるときもこのカタチになったりします。




Sometimes the condition is "understood" and there does not have to be an "if" clause:


Someone who liked John would probably love John's father.

(If someone liked John, they would probably love John's father.)

(ジョンを好きならば、たぶんジョンの父親も好きになることだろう。)


(Would)




このほかにも探せば、まだまだありそうな気がします。




【 H 】話し相手や誰かの立場に立って発言するとき


A: Shall I tell Chris what happened?

(クリスに何が起こったか、話した方がいいかな?)


B: No. I wouldn't say anything.

(= I wouldn't say anything in your position.)

(いや。わたしだったら、何も言わないよ。)


『English Grammar in Use』U.36

I wouldn't take that risk.

(僕ならそんなリスクは冒さないよ!)


I would do otherwise.

(僕が君なら逆のやり方をするなあ)


『もっと話せる絶対英語力』P.51

I would get the car serviced.

(= If I were you, I would get the car serviced.)

(わたしだったら、その車は修理に出すね。)


『Practical English Usage』U.264




これは文脈から判断するのが良さそうですね。このカタチは"I should get the car serviced."とshouldを使う場合もあるようです。




【 I 】I wish..would(・・ならばいいのに。無理だけど。)


I wish it would stop raining.

(雨が止んでくれればいいのに。)

→でも、止むとはあまり期待していない。


『English Grammar in Use』U.41-D

I wish you would smile at me again.

(あなたがまたわたしに微笑んでくれればいいのに)

→でも、微笑んでくれるとは期待できない。


I wish it wouldn't be hot.

(暑くならないで欲しいな)

→でも、それは無理だとわかっている。




これはwishを伴った「仮定法」の文章に似ています。




I wish I knew Paul's number.

(= If I knew Paul's number, I would phone him.)

(もし、ポールの電話番号を知っていれば、電話するのにな。)


『English Grammar in Use』U.39-A




しかし、微妙に意味は違うので注意しましょう。




○ I wish I had a car.

(車を持っていたらなー。)

→現実には車は持っていない。


× I wish I would have a car.

(車が持っていたら、どれだけ良かったか。)

→現実に車も持っていないし、持てそうにないことを知っている。




微妙な差ではありますが、「持てそうにない」ことを知っているという部分が違いますね。




【 J 】倒置(formal)


Were she my daughter, ...

(彼女がわたしの娘であったならば・・)


Had I realized what you intended, ...

(きみが何をするつもりか気がついていたならば・・)


Should you change your mind, ....

(あなたの気持ちを変えることが出来ていれば・・)


『Practical English Usage』U.261-5




やや改まった表現ですね。上記のパターンさえ頭に入れておけば、対応することが出来そうです。




【 K 】Would that..(very old fashioned English)

Would that you were here tonight.

(あなたがここにいないなんて。)


A: Are they better off now than they were two years ago?

(2年前に比べて、彼らは豊かになったかい?)


B: Would that they were.

(残念ながら、そうでもないんですよ。)


『Collin's COBUILD English Grammar』U.4-213




何かの後悔をしている状態や、予想していたのと違う状況のときに嘆くような表現です。




would that: Regret (poetic/rare) - with clause


This rare, poetic or literary use of would does not have the normal structure:


(Would)




詩や文学などに使われるようで、あまり通常の文章では出てこないようです。




⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡ ズサーッ




さて、いかがだったでしょうか。


わたしが知りうる限りの文章を集めてみましたが、おそらく、まだまだたくさんのパターンがあるのでしょう。『Cambridge Grammar of English』にもそれらしきモノがまだ載っていたのですが、あまりにも長くなるので今回はカットしました。ご了承ください。


思うに、wouldというのは非常に難しいModalsです。"I would like to.."や"Would you like to.."といった丁寧な表現に出てくることで知られていますが、前述したように不用意にwouldにすると意味が変わってしまうこともあります。


また、「wouldはwillの過去形」と説明されることもありますが、それは歴史的な経緯としてのお話であって、実際に使われる場面を考えると「過去形」とは言い難い部分が少なからずあります。


ですから、wouldを含め、こういったModalsの使い方は状況に応じた例文を読むことで理解が深まるのではないか、と個人的には考えています。


言い換えるならば、「wouldは○○という機能」とwouldの分類から推測するのではなく、コンテクストから判断して「このwouldはこれかな?」と読んでいくほうが、より適確にその文意を把握できるのではないか、ということです。


このエントリーでは主に「仮定法」やconditional useについて用法を確認してみましたが、もちろん、wouldにはまだまだ他の使い方があります。"would rather.."、"would mind ..ing"、過去の定期的な行動を表わすwould、間接話法(reported speech)において主節が過去形のときのwouldなどなど、本当にwouldは多様な使われ方をする言葉です。


しかし、そこまで書くとあまりにも長くなってしまうので、それはまた別の機会にまとめることにします。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。このエントリーが少しでも読者のかたの参考になれば幸いです。




参考リンク:


if 節の代用表現 - RAVCO事項


こちらのサイトに「if節のない仮定法」がある程度まとめられています。


Would - English Club.com


「仮定法」を含めたwouldの用法について詳しく紹介されています。


英語の「仮定法」って文法用語はどーなんだろ? - はてな読み


以前に、わたしが「仮定法」についてまとめたエントリーです。このエントリーにおいても、「仮定法」とカッコ付きで書いていますが、その理由はこちらを参照なさってください。個人的には日本国内における「仮定法」という括りには疑問を感じています。




参考図書:



「if節のない仮定法」についての詳しい説明はありませんが、最初からwouldは「想像する」ときに使うと定義しており、実に理解しやすい仕組みになっています。


Collins Cobuild English Grammar

Collins Cobuild English Grammar


詳しい説明が網羅されており、さすがといった感じです。



書き言葉だけでなく、話し言葉にも重点を置いた新しい英文法書で、wouldについても様々な解説に触れることが出来ます。


Practical English Usage

Practical English Usage


日本人の英語学習者にとって理解しやすい解説になっています。例文も豊富です。


もっと話せる絶対英語力! (角川oneテーマ21)

もっと話せる絶対英語力! (角川oneテーマ21)


新書ではありますが、今回最も参考になった本かもしれません。岡本浩一の書籍はやはり信頼が置けます。


なるほど!英文法Q&A

なるほど!英文法Q&A


例文の一部を引用させてもらいました。洋書の英文法書を購入する前に読むのに適した手頃な英文法書です。





おわーりー ∩(・ω・∩)