qpさんに声をかけられて、ポートレートを撮ってもらうことになった。都内某所で1時間ちょっとの撮影。自分が撮られることで、あらためてqpさんの写真の特徴のひとつを認識した気がする。僕は写真を撮られることに慣れていないので、カメラを意識して表情や姿勢がぎこちなくなってしまう。だからこちらとしては、なにかの動作をしているところを勝手に撮ってくれたら楽だし、そのほうが自然な雰囲気になると思う。けれどもqpさんはそれを許さない。しゃべりかけるなとか、動くとブレるとか言う。そのくせもっと自然に(部屋で一人でテレビを見ているときのように)などと注文もつける。
たとえば、おそらくアンダース・エドストロームさんならば、まさに「瞬間と瞬間のあいだを撮る」というように、被写体になるべく意識をさせないで、自然な運動のなかで(べつに実際に動いていなくても)時間を撮ろうとするだろう。qpさんとは間(ま)のとり方が異なる。そんなことを撮影後にqpさんに言うと、自分は街中でスナップを撮るときでもなるべく止まった人を撮りたい、動いている人を撮るときも本当は止まっていてほしいと言っていた。