例の講義の第11回が終了。「映画における建築・空間」ということで、ところどころ『映画空間400選』()を参照しつつ、90分間で9本の映画を紹介した。一方ではおよそ15分の『月世界旅行』(1902)を1.5倍速で流し、もう一方では『こわれゆく女』(1974)の食卓を囲んでスパゲッティを食べるシーンを15分以上にわたって流す。『こわれゆく女』はドキュメンタリー/フィクションの対立的な枠組みをはみ出す様態という文脈で、なかば無理矢理ねじ込んだのだけど、なんの変哲もない住宅の空間があれだけの密度をもち、しかも劇的に変質していくというのは、きっと「映画における建築・空間」としても特筆してよいだろう。単に有名な建築が写っていたりセットやCGが特殊だったりすることだけが映画への興味になってしまってはもったいない。