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『建築と日常』編集者日記

10月29日(水)

日本工業大学「景観デザイン設計」の第5回。今日は午前中に1時間ほど、授業を履修している以外の学生たちにも向けて、「都市にフォーカスする(あるいはしない)」というテーマのレクチャーをした。ふだん大学に向かう電車の中(およそ1時間半)ではたいてい本を読むのだけど、今日はたまたま他の仕事の関係もあって小林秀雄の講演の録音をiPodで聴いていて、ふと、まるで自分がこれからするレクチャーのイメージトレーニングのためにそれを聴いているような気がしておかしくなった。もちろん小林秀雄のように喋ることはできないのだけど、ここ半年から1年のあいだ、人前で話をする機会がわりと多かったから、前ほど極度に緊張することはなくなってきた。といって余裕を持てるほどでもない。

レクチャーで取り上げた主な固有名は、雑誌『新建築』『都市住宅』/山田脩二/柴崎友香/映画『シルビアのいる街で』/坂本一成など。対象にフォーカスしきらないことでむしろその対象をうまく捉えられることがあるのではないか、大まかに言えばそういったことを、建築という対象に限らずいくつかのジャンルの作品を紹介しながら話した。学生からの質問のなかで、そうした視点は『建築と日常』の「日常」とも繋がっているのではないかという指摘があったけれど、まさにその通りだと思う。対象を物質的に限定して捉えるのではなく、ある持続のなかで捉えるというのは、ちょうど電車の中で聴いていた小林秀雄の講演とも通じている。