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2011-02-03 CCCが上場廃止を選んだ理由を考えてみた-Tポイントのビジネスモデル

CCCが上場廃止を選んだ理由を考えてみた。(Tポイントのビジネスモデル)

理由は「買収対策」?

僕が考えた理由は「買収対策」です。

その根拠は「Tポイント事業」に有ります。直近の決算短信からセグメント別売上利益を抜き出すとこうなります。

アライアンス・コンサルティング事業 売上 5,158百万 利益 1,601百万

インターネット事業        売上 10,386百万 利益 737百万

TSUTAYA直営事業         売上 23,403百万 利益 △207百万

TSUTAYAFC事業          売上 43,044百万 利益 6,879百万

アライアンス・コンサルティング事業とは、Tポイント事業のこと。

Tポイントのビジネスモデルを説明すると、簡単にいえば「100円を101円で売る」ビジネスです。エネオスで4,000円分給油するとTポイントが20ポイント付きます。そして、この20ポイントをエネオスは約20.2円でCCCから仕入れています。20.2円のうち20円はポイントとして消費されるので、CCCは0.2円儲かります。これが最も基本的な収益構造。

Tポイントは貰うだけじゃなく、使う店もありますが、アライアンス先は、貯めることだけができる店のほうが多いのです。

なので、Tポイントは「ポイント引当金」ではなく、「ポイント預かり現金」としてバランスシートの左側に計上されます。

「なぜ、ポイントが『預かり現金』になるのか」

もうちょっと詳しく説明しましょう。

普通、ヨドバシカメラやビックカメラなどの企業がポイントを発行すると、それは将来的に利用される前提なので、顧客に対する負債ということになります。6ヶ月以上の前払い証憑として、一定のルールのもとに引当や保全をする必要があります。割引原資としてキープしないといけません。

しかし、TSUTAYAの場合、将来使われるポイントの金額よりも、すでに販売したポイントの金額のほうが多いのです。そのため、バランスシートの左側に(つまり「資産」として)「ポイント預かり現金」として記載されているのです。これがヨドバシゴールドポイントやビックカメラとは大きく異なるところです。

CCCが売ったポイントは「資産」になり、TSUTAYAで発行したポイントは顧客に対する「負債」になります。TSUTAYA以外で「貯める」お客さんのほうが多いために、「資産」ー「負債」>0となり、常に左側に余剰が出るのです。それを「ポイント預かり現金」と呼んでいるのだと思われます。

100円分のポイントを101円で売りました。この時「1円」が預り金として計上されます。そのポイントが100円で使われた場合、利益として1円が確定します。(※1)つまり、「ポイント預かり現金」とは「売上になるのを待ってるお金」になるわけです。

「なぜTポイントを子会社化しないのか」

そもそも僕がTポイントに興味を持った思ったきっかけは、こないだTSUTAYAで会員を更新したときに有ります。規約が株式会社CCCの物だったのですが、Tポイントに関する規約もそこに記載があったのです。「儲かる事業なのになぜ別会社にしないのだろう」と、素朴な疑問に思いました。

その時は「ポイント引当金を積み上げないといけないから、資本金がでかくなってしまうからかな」ぐらいにしか思っていませんでした。

しかし、実際には引当金どころか「預り金」になっているのです。益々わかりません。「ポイントは発行体のところで使われるのが一番多い」と聞きました。つまりファミリーマートで貯めたポイントも、TSUTAYAで使われる可能性が高い、ということです。

ファミリーマートで貯めた100ポイントをTSUTAYAで100円として使うと、TSUTAYAにとっては、まずファミリーマートに売る時点で101円が現金として手に入ります。次にTSUTAYAでそれを使うわけですが、そこで100円の割引の原資となり、1円が利益になる。というのが基本的なモデルです。

しかし、実際にはTSUTAYAの商品を100円を値引きした場合でも、レンタル事業のコスト(全部込みで70%程度?)が実際の支出とすると、101円で売った物に対して、70円を払うので31円が残る、という計算になるのです。

ただ、この31円のうち30円は「ほんとは儲かっていたかもしれない」金額の訳ですが、利益なのか損失なのか見方によってどうにでもなるところなのです。ところが、別会社にすると、値引きした場合にはCCCから別会社に100円をしっかり支出するので、そこで利益の額が確定してしまいます。そうするよりも、同じ会社で「なんとなーく儲かってる」状態のほうがいいのではないでしょうか。

「で、なぜ買収対策なのか」

上記の「ポイント預かり現金」ですが、直近の資料ではこれは21億円有ります。これは「預かり現金」となっていますが、実際には売上になるのを待っているだけのただの現金です。誰かに返す必要があるお金ではありません。なので、運用でもしてればいいお金なのです。Tポイントカードがさらにいまよりも規模が大きくなるとCCCの運転資金すら賄えてしまうぐらいの金額です。

もちろん、増田氏が大量保有している会社なので全部買うなんて到底無理です。でも、キャッシュが増えれば増えるほど、ある程度の株主になって「会社の金を寝かせるな。自社株買いをしろ」という株主に狙われる可能性があります。それよりなにより、CCCの増田氏自身が、「自分が運用したほうが増やせる」と思うのが当たり前でしょう。

それが今回のMBOの背景なのではないかなと想像しています。

#僕は専門家ではないので、間違ってるところがあると思います。ぜひどなたでもご指摘下さい。修正します。

追記:上記だと、「アライアンス・コンサルテイング事業」の高利益率の説明がいまいち付きません。預り金の計上タイミングが違うかも。あと、「アライアンス・コンサルティング事業」にはポイント関連のシステムの売上と利益も計上されてるはずです。

※1 やっぱり「預り金」のロジックが気になったので修正しました。「1円を計上」と言ってますが、実際には退蔵分なども考えて、もうちょっと多い額が預り金になるはずです。

dj_roppyzdj_roppyz 2011/02/04 01:16 TWitterから来ました。おもしろい分析だなぁと拝読しました。
上場する意味って何なのでしょうね...ますますわからなくなってきました。

rick08rick08 2011/02/04 01:42 ありがとうございます。上場してる以上、敵対的買収の対象にはなりますよね。それ以上に得るものがあり、成長が加速させられるから上場するんだと思います。

ジークジーク 2011/02/04 17:29 分かりやすかったですo(^▽^)

fmactionfmaction 2011/02/05 00:02 なるほどな〜。そういう大人の事情もあるかもですね。

読書王子@sugiyuzu読書王子@sugiyuzu 2011/02/05 12:26 twitterで見かけてチェックしました。
非常に興味深く参考になると思いRTさせていただきました。

rick08rick08 2011/02/06 16:16 コメントありがとうございます。実際には理由はひとつではないだろうなと思っています。上記はあくまで「そういう可能性もある」という話で。

LilyEnergyLilyEnergy 2011/02/11 13:30 メディア業界のものです。大変参考になりました。
外資競合が入ってきた際に株価が下がることを恐れている可能性もありませんか?
安い方がMBOはやりやすとはいえ。
というのも海外のネットフリックスという宅配及びオンラインビデオレンタルが日本の上陸するという噂があるのです。現在、海外では(円高のせいでみかけ上さらに割安になってはいますが、)月額700円程度にして映画が見放題です。このネットフリックスの台頭によって、ブロックバスターというビデオレンタル屋が倒産したのがついこの前でして、このネットフリックスが日本に上陸したら、TSUTAYAはとてももたないだろうなと思います。CCCは、アライアンス・コンサルティング事業を軸にやっていくつもりなんでしょうね。

@tetsuya_mr@tetsuya_mr 2011/03/19 17:58 こんにちは
Twitterから来ました。
CCCの有報はあまりみたことなかったんですが、預かり現金の相手勘定が気になりますね。

私の推測はもう少しシンプルです
売上時
現金90 / 売上100
預かり現金10
上記預かり現金がポイント対応分

ポイント使用時
現金100/売上90
預かり現金の10

ポイント付与時には引当金を認識せず、資産を切り分け、ポイント使用時の現金回収不足額を預かり現金で賄う

Ifrsでこのような処理が認められるとは思えない
MBOの考慮要因の一つかと

ただあくまで推測です

@tetsuya_mr@tetsuya_mr 2011/03/19 18:01 すいません
誤って2回投稿ボタンを押してしまいました。
もし出来るのなら一つ削除して下さい。
お手数おかけします

@junzo3501@junzo3501 2011/03/23 13:13 おもしろかったです!
最近、色んなお店でTポイントって溜まりますもんね。
そのお陰で、なんとなーくもうかっているんですね〜

tpoint-gettertpoint-getter 2011/08/27 23:11 検索から来ました。CCCからは株主優待でTポイントを貰ったことがあります。
上場廃止理由の記事、勉強になります。
余談ですが、現在、Yahoo!ショッピングでもTポイントを貯められますね。
ポイントキャンペーンを利用すると、1,000円で200Tポイント以上貯められちゃったりするわけですが、これを嫌ってか?キャンペーン時に売れ筋商品の出品を取り下げる出品者がいます。
ポイント分は出品者の持ち出しになるのか?と心配になりました。

無名無名 2011/09/09 13:02 Tポイントは共通ポイントであり、ファミマやドトールが顧客に付与してまだ使われていないポイント分をポイントBANKとして現金で預かり、ポイントが使われた(値引きを実施した)企業に使われたポイント分の金額をその預かり金から戻す、従って預かり金が計上されている、と聞いたことがあります。つまり、世の中に出回っていてまだ使われていないポイント分が預かり金として保全されている極めて健全なポイントインフラということではないでしょうか。

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