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風雲童話城ブログ

2011-04-23

rieko-k2011-04-23

[][][][]恋する新選組』外伝

「嗚呼、花の新選組新選組屯所事件簿3

初めての方は新選組屯所事件簿1からお読みください。↑カテゴリーの[嗚呼、花の新選組]をクリックすれば出てきます。



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土方歳三 「斬れ」


f:id:rieko-k:20100908115628j:image:left 原田佐之助 「よっしゃーっ! で、だれを?」




歳   「むろん、新選組に潜入している密偵だ。君に斬れるか?」

佐   「おうっ」

歳   「楠小十郎だが」

佐   「えっ」

歳   「……確か、君は小十郎と親しかったな。一緒に、野良犬を飼っていたようだが」

佐   「そ、そうなんだ。あいつ、犬好きで……。よく、飯や魚をかすめ取ってくれ……いや、残してくれたんだ」

歳   「ほう……で、斬れるのか斬れないのか」

佐   「斬れるさっ。任せとけ!」

 強がって去る原田。それを見送る土方。

 原田とすれ違って、沖田総司がやってくる。


f:id:rieko-k:20100819123303j:image:left 沖田総司  「どうしたんですか、原田さん。ようすが変でしたけど」



歳   「はりきっていたか?」

総司  「いえ、しょげてたみたいですけど」

歳   「やっぱり、そうか。やむをえん。総司、お前、検分してこい」

総司  「何をですか?」

歳   「原田が密偵を斬れるかどうか。斬れなければ、お前が斬れ」

総司  「ま、まさか、原田さんを! 斬るんですか!?」

歳   「ばか、斬るのは楠小十郎だ」

総司  「楠君といえば、ああ、長州の密偵だとか。山崎さんがいってましたね」

歳   「どうやら、桂小五郎の手の者らしい」

総司  「ひどいな。長州の桂さんというのは、あんな若い人を密偵に使ってるんですか。楠君は、まだ前髪の少年ですよ」

歳   「誰であろうと、密偵は斬るしかない。行け」

 冷たく言い放つ土方。しぶしぶ立ち上がる総司。

  

 場面変わって、ここは屯所裏。野良犬の親子に飯をやる、楠小十郎。まだ前髪の美少年である。

 そこへ、原田佐之助。

   

小   「あ、原田先生。こいつら、ぺろりと食べましたよ。今日の魚はうまかったからなあ」

佐   「あ、うん。そうか…」

小   「どうかなさいましたか?」

佐   「いや…その、おめえ、死にたくねえだろうなあ」

小   「えっ」

 びくりと後ずさりをする小十郎。

佐   「なんで、密偵などになった……」

 刀に手をかけた原田を見て、小十郎はぎょうてんする。

小   「ま、待って下さいっ、原田先生! わたしは密偵などではっ…」

佐   「だまれっ」

 怒鳴りつけた原田の顔に、小十郎は凍りつく。

佐   「嘘をつくな。おれにまで、嘘をつくんじゃねえっ」

小   「うっうっ、た、助けて下さい……原田先生」泣きだす小十郎。

佐   「かわいそうだが、そうはいかねえんだよ」

 キャンキャン

 原田の殺気に子犬たちが吠え、母犬は小十郎の前に出て、小さく唸った。

佐   「なんだよ、おめえら。小十郎をかばうのかよ。おれだって、握り飯をやったろう」

 グルルルルッ、ワンワン キャンキャン

 野良犬の母子は吠え続ける

佐   「どけ。おれは人は斬れても、犬は斬れねえんだ。頼むからそこをどいてくれ」

小   「た、頼みます、原田先生。密偵はやめて、田舎へ帰ります! ですから…」

佐   「そうはいかねえっといったろう!」

 地を蹴った原田の白刃が舞った。

小   「ぎゃあっ」

 倒れる小十郎。

 それを見下ろして、刀をおさめる佐之助。

佐   「土方さん、そこにいるんだろう。俺がやれるのはここまでだ、後は勝手にしてくれ」

 振り向きもせず去っていく原田。だが、姿を現したのは沖田であった。

総司  「よしよし、怖がらなくていいぞ。この人は死んでない。峰打ちだ」

 総司は、おびえる野良犬たちの頭をなでた。


 その深夜。

 意識を取り戻した楠小十郎は、長州屋敷へ駆けていた。

小   (原田さんには悪いが、わたしが逃げ込む場所は、桂さんの所しかないんだ……!)

 屋敷の扉をたたこうとした時、灯篭のかげから人影が……

人影  「ここへ来てはいけないな」

小   「あっ」

 小十郎がとんで逃げようとしたせつな、闇に白光がはしった。

小   「わあっ」

 血しぶきがとんで、小十郎はどっと倒れた。

人影  「悪いが、右腕の筋を斬らせてもらった。これで、君はもう剣を使えない」

小   「あなたは、沖田先生……!」

総司  「今夜、新選組から君の噂を流した。君はすべてを白状して死んだとね。長州屋敷に入れば、裏切り者として殺されるだけだ。それとも、今ここで、斬って捨てようか。わたしは、原田さんと違って、君を斬るのに迷いはないが…」

 と、小十郎は脱兎のごとく逃げた。

 それをのんびり見送った沖田は、しずかに刀をおさめた。

  

歳   「ぶわっかもん! 副長助勤が二人もそろって、逃がしただとっ」

佐   「誠に面目ない」

総司  「土方さん、どうか、切腹だけはご勘弁を」

歳   「罪は重いぞ」

 二人をねめつける土方。

歳   「罰として、原田はこれから十日間の飯炊きだ。総司、おめえは風呂炊きだ」

佐&総司 「ええーっ」

歳   「いっとくが、この罰は小十郎を逃がした罰ではない。副長を煙(けむ)に巻いた罰だ。二人して、せいぜい煙に巻かれやがれ!」

佐&総司 「ははーっ」



翌朝。

永倉  「おはよう! さあ、めしだめしだ〜」

籐堂  「おはようございます。いいお天気だなあ。あれ、どうしたんですか、斉藤さん」

斉藤  「いや、昨日の風呂が熱すぎて、ゆっくり湯につかれなかったんだ。うう、ちょっと、肩がこって…」

 そこへ、ほっぺたに飯粒をつけ、でかくなった腹をたたきながら出てくる原田佐之助。

佐   「今日も元気だ!ご飯がうまいっ!!」

籐堂  「ええーっ! なんで、原田さんが…」

 全員、だっと台所へ駆け込む。

 その前にひろがった惨状は……



この後は恋組ファンには見えているかと。

というわけで、まさかのだじゃれオチ……すまぬ。ほんのお遊びなので、本格的な物語は拙著をお読み下され。

※ブログ中の新選組キャラ絵は『恋する新選組』(絵/朝未さん)シリーズのギャグパターンです。

恋組ファン・リクエストの「嗚呼、花の新選組新選組屯所事件簿3です。

ようやっと、更新しました〜

その前に、角川つばさ文庫『恋する新選組3』のファンページも、ぜひご覧くださいまし。

恋する新選組(1) (角川つばさ文庫) 恋する新選組(2) (角川つばさ文庫) 恋する新選組(3) (角川つばさ文庫) 月下花伝―時の橋を駆けて 花天新選組―君よいつの日か会おう