『天の磐笛(一)』
- 作者: 横山充男
- 出版社/メーカー: 藍象舎
- 発売日: 2013/02/17
- メディア: Kindle版
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一気に読みました。今二巻目の半ばです。
登場する人物に、単純なキャラクターはいません。主人公の琅は高校生でありながら、内面に抱えている思い、葛藤、心の闇と光……の深みは、一巻を読み終えてなお、まだ計り知れません。そして、琅の叔父の竜次もまた、まだまだ謎めいています。
この琅と竜次にとって「敵」である若い呪術師、その妹、りんという少女はある種の特殊な能力を有する石笛吹きですが、この少女については、二巻の半ばでもまだ何も知らされてはいないのです。
そして、琅の亡き母親が、少女時代を過ごしたという奈良県山越村というのは、拙作『忍剣花百姫伝』にては「星鏡の磐座」とした実際に壮大な磐座のある地です。
物語は、この壮大な星鏡の地、山越村へつながっていくのではないかと、わくわくして読んでいます。
「天の磐笛」とは、握りこぶし二つ以上の大きさをもつ石笛をさす宗教楽器だそうです。
その磐笛をめぐる謎、事件が次々と起こって、読み出したら止まりません。しかも、謎が謎を呼んで、この先どうなるのか予測さえできません。
3.11の大震災、原発事故も物語の中に取り込まれていて、この困難な時代の文学ともいえるのではないかと思っています。