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風雲童話城ブログ

2015-04-08

rieko-k2015-04-08

[][][][][]恋する新選組』外伝 新選組屯所事件簿5 かっこいいのは俺だ!」

※初めての方は、カテゴリーの[嗚呼、花の新選組]↑をクリック。新選組屯所事件簿1からお読みください。

新選組屯所事件簿5

文机に向かって、またも書き物をしている土方歳三

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土方歳三    「青い青い空の向こう 見つめる先のかなたに 光求めてゆくのは誠の道……と」


f:id:rieko-k:20100819123303j:image:left 沖田総司   「土方さん、また発句ですか。どれどれ……」

のぞきこむ総司。



歳    「ふふ、これは発句ではない。作詞だ。ポピュラーソングを作ってもらおうと思ってな」

総司   「作詞? それが?」

歳    「そ、そうだ」

総司   「へえ。誰に曲をつけてもらうんです? まさか、遊郭の嶋原太夫に歌ってもらうんじゃないでしょうね?」

歳    「うん、それはまあ……」

総司   「土方さんと太夫じゃ、色っぽい曲になるんでしょうね」

歳    「いや、かっこいい曲にしてもらう予定だ。それで、出かけてくる!」

総司   「じゃ、わたしもひまだから、お供します」いいつつ、にやにやしている総司。

   そこへ、市中見廻りから、永倉新八原田左之助が帰還。

f:id:rieko-k:20100908122258j:image 新八   「なんだい。沖田君。いやに、にやにやしてるじゃないか」  

総司   「これから、島原へ行くんです。かっこいい新選組の曲を歌ってもらうために」

f:id:rieko-k:20100908115628j:image:left 左之助   「かっこいいだって!? かっこいいといえば、俺だろう!」

なんの自信か、胸をはる左之助。

左之 「新八っつぁん、俺たちも行こうぜっ」

新八  「いや、しかし……おれは、都都逸(どどいつ)ぐれえしか知らねえし」

総司  「いいじゃないですか、都都逸も色っぽい」

左之 「いいねえっ、色っぽいのが最高だ!」

歳   「だからっ、色っぽい歌じゃねえっ。かっこいいのだ!」

 土方の声を聞きつけ、近藤勇が顔を出す。

f:id:rieko-k:20100908124612j:image 近藤勇 「かっこいいだって!? それは、俺のことか?」

歳    「こ、近藤さん、あんたもか……!」

げんなりする土方。

総司   「ふふふ、新選組はみんな、かっこいいのが好きなんですよ。いっそ、藤堂君も、山南さんも呼びますか?」

歳    「勝手にしろっ」

土方は、ぷいっと立ち上がった。


f:id:rieko-k:20100908115628j:image:left左之助   「おい、副長! 待ってくれっ」

f:id:rieko-k:20100908122258j:image新八  「副長、俺も行くぞ!」

総司は、藤堂、山南をさそって出てくる。

原田、永倉が土方の後を追い、近藤、沖田、藤堂、山南も、連れ立ってついていく。

藤堂   「どういうことですか?」

山南   「何の騒ぎです?」

勇    「まあ、みんなで愉快にやろうってことだろう」

新八   「で、どの太夫を呼ぶんだ?」

左之   「そりゃあ 副長におまかせだ。なにせ、ここじゃ、一番モテる」

藤堂   「いや、色街で、一番顔が広いのは局長ですよ。なにせ、花の姉妹をそろって愛人にした人だし……」

新八   「藤堂、うらやましそうだな」

藤堂   「そ、そんなことありませんよ! わたしは嶋原の女に興味はありません!」

新八   「へえ、そうかい。なら、素人の娘がいいってのかい?」

藤堂   「ちがいますって!」

山南   「永倉君、藤堂君は大名家の御落胤だ。女や金やそういう下世話なものに興味はないんだ。この人が惚れたのは、近藤さんだ」

左之   「ってことは……!」

 ハッとする原田左之助

藤堂   「何、ハッとしてるんですか!原田さん!」

左之   「いや、なに、その……」

藤堂   「何言いよどんでるんですよぉっ。妙な考えしないで下さいよっ」

 

とまあ、わいわい嶋原の揚屋に上がった新選組御一行。

呼ばれて来たのは、島原一の太夫、待幸(まゆき)太夫。迎えた土方が太夫に、したためた歌を手渡す。

歳    「これを歌ってほしいんだ」

太夫   「あれ、これには、三味の芸妓と男衆のお囃子が入用でありんす。呼んでもようござんすか?」

歳    「かまわん、何でも呼べ」

というわけで、一堂揃いました。

待幸太夫の歌声をどうぞ!  

D

左之   「なんだよ、沖田ばっかり、いい役廻りじゃねえか!」

総司   「そんなことありませんよ。この歌には、隠れ主役がいるそうですから」

左之   「誰だよ、それ」

新八   「左之さん、おめえじゃねえことは確かだ」

藤堂   「なら、土方さんでしょう。いい男だし」

左之   「ハッ……そうかっ、やっぱり……藤堂は……!」

藤堂   「だからっ、何のハッなんですかぁっ」

山南   「いや、新選組の主役といえば、近藤さんでしょう、やっぱり」

勇    「いやいや、山南君……」と、まんざらでもない近藤勇

そこで、ニヤリとした土方歳三

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歳    「新選組の主役はな、俺たちじゃねえ。新選組ファンの可愛い歴女たちだ。俺ぁ、その可愛い女の気持ちを歌にしたのさ」

(つづく)

恋する新選組(1) (角川つばさ文庫) 恋する新選組(2) (角川つばさ文庫) 恋する新選組(3) (角川つばさ文庫)