常に売れ筋ベスト10圏内を上下している『うばかわ姫』#招き猫文庫 と、歴史小説について
この物語は、私の作家人生に長くかかわってきた素材でした。
昔話の「姥皮」に出会ったのは、10年以上前。担当だった編集長さんから頂いた国内外の魔法をリストアップした資料でした。
国内外の様々な魔法呪法の中で、一番心に残ったのが「姥皮」だったのです。でも、それは、心の中に残ったというだけで、すぐに物語にしようとは考えていませんでした。
当時、私は児童書界で珍しく歴史関係の物語を書く「女性作家」でした。歴史物語は「男性作家」の世界だったので、物語の主人公が女性の場合、やや硬い男目線の物語になる事が多かったので、歴史物を書く女性は貴重だったのかもしれません。
これまで、数多い歴史物を書いてきました。大河ドラマや映画となった作品も多く、『江 戦国を生きた姫たち』#ポプラ社 や『源氏物語 時の姫君いつかめぐりあうまで』『恋する新選組』シリーズ #角川つばさ文庫 、『時空忍者おとめ組』シリーズ #青い鳥文庫 など……
そんな訳で、京都という地の利もあり、織田信長の伝説の地、安土城へも何度も行きました。
開かれ、保存されている遺跡部分以外は、鬱蒼たる森に囲まれた安土城址で感じた不思議の色々……かつて、琵琶湖に半島のように聳えていた安土の丘陵の周囲は湖であり、その水を引き込んだ堀に、安土城は囲まれてもいたといいます。
現代のように明かりのない戦国時代。信長の死後、廃城となった安土城周辺はどうなっていたのか……と考えた時、「姥皮」と安土城が繋がりました。そこからは、何かが降りてきて、たちまち『うばかわ姫』の物語になったのを覚えています。
安土城で感じた不思議や、気配が書かせた物語とも言えます。
今秋11月15日には、やはり来年の大河ドラマとなる『戦国の姫城主 井伊直虎』#角川つばさ文庫 が出ます。この直虎を書いた時、はっきりと感じました。歴史は、樹木の根のように繋がっていることを。
これまで調べ抜いて書いてきた史実、人物が、井伊直虎の物語にも絡み合い繋がっているのです。書けば書くほど、繋がり合う歴史の物語とでもいうのでしょうか?
歴史作家は、その繋がり合う物語を書けるようになって、ようやく一人前なのかもしれません。
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