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風雲童話城ブログ

2017-08-26

[][][][][][][]news】ともかくすごい黒乙女会二大ニュースです!

黒乙女会の前身は越水会といって、越水を師匠と呼んでくれる若手女子との集いの会でした。二人ともいい書き手だったので、デビュー前後には応援しまくりました。その二人が揃って、凄いことをやってくれました!

(師匠だけ地味ですんません…)

童心社さん、集英社みらい文庫さん、ありがとうございます〜オメデト(^0^)∠※PAN!。.:*:・'゚☆。.:*:・'゚★゚'・:*

news1童心社 @doshinsha: 今年の読書感想文課題図書・小学校低学年の部に選ばれた『ばあばは、だいじょうぶ』。

幅広い年代の反響を呼び、刊行半年で10万部を超えるベストセラーになっている。 http://fb.me/yYMyJiqI

news2)集英社みらい文庫‏ @miraibunko【シリーズ累計15万部突破】皆さまに応援いただき、シリーズ第5弾『キミと、いつか。 すれちがう“こころ”』(宮下恵茉・作/染川ゆかり・絵)、本日発売です☆ ご愛読ありがとうございます!! 今巻では1巻の主人公・まいまいと小坂の“その後”が描かれています♡ 夏休み最初の読書にぜひ! https://twitter.com/miraibunko/status/888241667127484416/photo/1  

 

2016-12-15

[][][]『APORIA アポリアーあしたの風』著/いとうみく

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アポリア あしたの風 (単行本図書)

※なぜかアマゾン画像が出たり消えたりするので書影アップしました。

20XX年、東京湾北部を震源とするM8.6の大地震発生。沿岸部を津波が襲う。俺は母さんを見殺しにした――母を救えなかった中学生・一弥は、絶望の底から生きる希望の光を見出せるのか…(BOOKデータベースより)

昨夜は真夜中、季節風の同人でもある作家、工藤純子さんの『セカイの空がみえるまち』をご紹介して(真夜中だったので、ブログの記録は同日になってしまいましたが…)、続けて読んだ『アポリア』にも、しみじみ同人作家の凄さを感じてしまいました。

まだ日本人の記憶から冷めやらない3.11の大地震と津波の恐怖。あの黒い津波の押し寄せる姿が思い浮かんで、物語の始めに、私はすぐ泣きそうになりました。

この重いテーマを書こうする決意、実録ではなく創作として世に問おうとする心意気に、同じ作家である私は、深く胸打たれました。

この物語の主人公、一弥(いちや)は、平凡な暮らしの中で、母子家庭の母に反抗し、世の中からも遠ざかって、引きこもりの生活をしていました。

その時、首都を襲った大地震と津波。一弥は、思いもしなかった喪失の世界に突き落とされます。反抗しながらも愛していた母と、心の奥深くで父のように慕っていた叔父とも引き裂かれてしまいます。

けれど、日常を失ったからこそ、一弥に芽生えていく人としての深い思い……。

とまあ、ここで説明してしまうのはもったいないので、ぜひ読んで下さい。

心の奥から、ふつふつと勇気が湧いてくる物語です。

今、戦争児童文学に取り組んでいる私は、戦時資料にあたればあたるほど、辛くて苦しくて、書けなくなっていたのですが、この物語を読ませて貰って、勇気を貰った気がします。辛いからこそ、書く意義があるのだと……。

蛇足ですが、たった一つ、この物語に書かれていないことがあります。もし、この大地震で、もし原発事故が起こったらどうなったのか……ということです。なぜ書かなかったか、私にはわかる気がします。辛さを乗り越え、希望の物語とするには、原発事故はあまりに救いがないのです。人の心と命を大切に生きるなら、原発は無くすしか希望は描けません。だから、この物語には、原発はなくていいんです。未来の物語だし、その頃なら、原発はなくなっているかもしれませんから。

「いや、ないんだよ、もう〜」と、作者が言ってくれるなら、この物語は、現代人にとっても、なんと希望に満ちた物語でしょうか!

2016-09-30

[][]『きつねみちは、天のみち』著/あまんきみこ 絵/松成真理子

にわか雨のなかをはしっていたら、ともこは、とてもふしぎなことにでくわしました…夕立のすきまの道にはとてもふしぎで、やさしい時間がまっていたのです。(BOOKデータより)

この物語を読んだのは、まだデビュー前でした。

でも、あらたに再版されて、今読んでも、ちっとも古くない!

「きつねみち どっこいー やんこら! がんばれ それな きつねみち どっこい」

やわらかな、きつねたちの掛け声が歌うように響いて、不思議な世界へ自然に招き寄せられてしまう。

やっぱり、すごいな。あまんきみこさん。本来なら、先生と呼ぶべきだけど、あまんさんは、昔から、そんなふうに呼ばせないような、ふんわりしたオーラの中にいらして、つい、あまんさん〜♪って、親しげに呼んでしまう。

大人だって、世界がふんわりと柔らかくなって、幸せな気持ちになる絵本です。

子どもたちなら、どれほど喜ぶでしょう。

「きつねみち どっこいー やんこら! がんばれ それな きつねみち どっこい」

さあ、親子で、きつねみち、天のみちへ迷い込んでみませんか?

2016-04-24

[][][]今こそ伝えたい、戦争の証言。今年の課題図書『生きる 劉連仁の物語』著/森越智子

昨年から今年にかけて仕事がびっしり詰まっていて、ご紹介したい本が山ほどありながら果たせず……でも、この一冊は、課題図書になった今こそご紹介せねば!と、山積みの資料本より先に読みました。

季節風同人の作家、森越智子さんのデビュー作です。

生きる 劉連仁の物語 (単行本図書)

生きる 劉連仁の物語 (単行本図書)

1944年9月、日本軍により中国から連れ去られた劉連仁。苛酷な炭鉱労働から逃亡し北海道の山中で一人、13年間生き抜いた。奪われた人としての尊厳をとり戻すための孤独な闘いの物語(BOOKデータより)

これは、命の記録です。

戦争がいかに、一人の人間の人生を翻弄し破壊するか……を、中国国家の言い分や日本国家の言い訳ではなく、独り、必死に戦時を生き抜いた誠実な人間の、ありのままの証言が綴られた一冊です。

「戦争は人間に本当の自分というものを、むりやり捨てさせる。別な皮をかぶらされ、心にある良心も、だれかに向ける優しさも、自分という存在そのものを捨てさせる。そしてそのことをいたん受け入れてしまったら最後、濁流におし流されたように引き返せなくなる」

本文に書かれたこの言葉は、まさに、戦争の正体を言い当てています。

森越さんは文学作家としては新人ですが、これまで文芸編集部やNGO(子どもの権利ネットワーク南北海道)の設立やビデオ制作にかかわってこられた人です。その魂に刻み込まれた人への愛がこの本には込められています。

過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目になるのです』(リヒャルト・フォン・ヴァインツゼッカー)

この言葉もまた、現在の日本人が深く心に刻まなければならないのではないでしょうか。

戦時中の人間の尊厳を奪った無残な使役「強制労働」から、さらに現代の日本社会にも切り込んでいく作者の深い洞察もまた、今、多くの人が見逃していることを、もう一度見直す機会ともなるでしょう。

劉さんの人生は、国家や政治のごまかしを明るみに出してくれたのだと思います。今、読むべき、読めば、人としての真実の目が開く一冊です。