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風雲童話城ブログ

2016-10-04

[][]『めざせスペシャルオリンピックス・世界大会 がんばれ、自閉症の類くん』著/沢田俊子

この物語の主人公、深津類くんが自閉症と診断されたのは、三歳のときでした。医師から、「大人になっても、知能も社会性も小学低学年のままです。」と宣告されましたが、家族の応援と小学校に入学してからの友だちとの出会いが、大きな力となって類くんを成長させました。そして、さまざまな試練を乗り越えた類くんは、公立高校に入学し無事卒業することができたのです。大人になった類くんは、乗馬クラブで働きながら、知的障がい者の競技会スペシャルオリンピックス・世界大会(乗馬部門)を目指して練習にはげんでいます。(BOOKデータより)

自閉症は治らない。自閉症の子は、普通の人のように、誰かを思いやるような感情は働かない……そう信じている人は多いかもしれません。

けれど、この本の主人公、類くんは、誰より思いやり深い、優しい青年になりました。

その奇跡の過程をこうして知る事ができたことに、心から感謝したいと思います。

治らないといわれる障害であっても、友達に恵まれて、その友達から愛や友情を注がれたことによって、類くん自身の心にも、友達への友情と愛が芽生え、その内なる篤い思いそのものが、類くんを驚くほどに成長させたのです。

奇跡は、人の心の中にこそあるのだと、強く感じました。

中学時代の類くんに、「死ね!」と命じた同級生たちの酷さ……それは、いじめなんてものではなく、殺人未遂といってもいいような仕打ちでした。けれど、その恐ろしい試練からも、類くんは守られました。両親、先生、友達の愛によって……。

ありがとう……と、読み終えた時、お礼を言いたくなる物語。

2014-12-28

[][][]『モーモー村のおくりもの』著/堀米 薫 絵/岡本 順

モーモー村に、ようこそ!この村の、ほんとうの名前は「百々谷村」。でも、人より牛の方が数が多いので、「モーモー村」と呼ばれているのです。ある春の日、モーモー村に、ママをなくした美咲がやってきました。自信をうしない、さびしさをかかえた美咲の心を、モーモー村のやさしい風がつつみこみます。小学中級から。(BOOKデータより)

季節風同人の作家、堀米薫さんの新刊です。

堀米さんは作家でもあり、一方で、山々に囲まれた豊かな土地で、牛を飼い、農業もなさっています。この物語は、その豊かな自然との触れ合いが随所に織り込まれた作品です。

牛の出産、母牛と子牛の愛、ホタル舞う棚田、稲の花の匂い、巣立っていく子牛…など、都会暮らしの子どもたちには体験できない物語が描かれています。登場する人物像も、子どもから年寄りまで、どの人も豊かでたくましく、その色彩も香りも、目に見えて、ふくいくと香ってきそうです。

体験した人にしか書けない濃く豊かな物語なので、自然との触れ合いの少ない都会の子どもたちに、素晴らしい贈り物になると思います。

また、この物語には、沢山のお婆さんが登場しますが、その人たちがみな素晴らしい能力を持っていらして、周囲から尊敬されていらっしゃるのを見て、その土地の人々を羨ましく感じました。私の育ったのは京の下町ですが、やっぱりおばあさんが一杯いらしたけれど、こんなに生き生きとなさっていたり、周囲から尊敬されたりというような幸せなお婆さんはそれほど多くなかったような気がします。都会の年寄りにもこんな幸せを〜と、心から願わずにはいられませんでした。