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風雲童話城ブログ

2007-07-08

[][]あほ聖人と小悪魔シリーズ2・今日の小悪魔

「おーい、あほ聖人! ヒマやからあそぼ〜」

と、いきなり、降ってわく小悪魔りえ子。

「あほかっ。どこがヒマやねん! 見てみい。けんめいに仕事しとるやろ」

キーボードを叩きながらこたえるあほ聖人。

小悪「それ、いつ、終わんの」

あほ「終わらん。来年まで」

小悪「来年になったら、終わるの?」

あほ「そやな。今年の仕事は終わる」

小悪「なんやと」

あほ「そやからやな、今年の仕事は今年に終わる。来年にはまた来年の仕事が……」

小悪「ぼけーーーーーっ」

あほ「な、なんや、いきなり!」

小悪「それやったら、一生終わらんっちゅうことやないか! いつ遊ぶねん!?」

あほ「ええっと、それはやな……」考えこむあほ聖人。

ずるずるずる

あほ「こらっ。はなせっ。なに、ひきずっとんねん!」

小悪「らちがあかん。強制連行や」

あほ「どこへやっ」

小悪「どこって……どっかや」

あほ「小悪魔、おまえ、もしかして、遊ぶとこ、知らんのちゃうか?」

小悪「知ってるわっ。遊ぶとこいうたらな、ディスコやろ、夏やったら海水浴場やろ、それから、ドレスアップして、バーでカクテル飲んだり、ちょっとかっこええ洋モク吸うたりやな……」

あほ「けけけけ」

小悪「むっ。なに笑(わろ)とんね!」

あほ「小悪魔、おまえ、古いなあ。いまどき、ディスコって! 今はクラブや、クラブ。海水浴場って、おい。昭和初期か? ビーチやろ! カクテルに洋モクって、洋モクって外国産煙草のことか? ぎゃははは、かんぺき死語や〜〜〜」 

ぼかっ

あほ「なに、なぐんねん!」

小悪「おまえにバカにされたら、生きとられん。もう、死ぬ!」

あほ「待て。なに、はやまっとんね。なにも、死ぬことないやろ。わしらには未来があるやろ。すんばらしい作家になるという大きな夢が!」

小悪「作家になってなんになんねん。わしは、古い小悪魔や。小悪魔が古いってことは死んだも同然なんや。小悪魔っちゅうのは、ピチピチしてキュートで、知性で武装した中年男もイチコロ!やからこそ、小悪魔なんや。ああ、わしはもうおしまいやぁ」

小悪魔号泣する。

あほ「いや。そんなことはない。おまえは、まだ、じゅーぶん小悪魔や。なんでかというとやな、つまり……そのう……」

小悪「ぎゃああああん」

あほ「なっ、なんで、泣き伏すねん」

小悪「み、みつからんのや、じゅーぶん小悪魔の理由がーっ、みつからんのやーっ。もう死ぬ!」

あほ「待ていうてるやろ!それはやな、おまえが、まだ充分小悪魔の理由はやな……」

小悪「ひっく、ひっく……その理由は?」

あほ「さあ、その理由は……」

小悪「さあ、その理由は?」

あほ「さあ……」

小悪「さあ!」

あほ「さあ」

小悪「さあ、さあ」

あほ&小悪「さあ、さあ、さあ、さあ、さあ……」

と、いきなり、歌舞伎調の見得をきりだすあほ聖人。

あほ「知らざあ言って聞かせやしょう〜

浜の真砂と五右衛門が歌に残せし小悪魔の

種は尽きねえ七里ヶ浜、その小悪魔の夜働き

以前を言やあキャピキャピで、年季勤めのOLが淵

おまえが散らす色気をもとに おごりの小皿の一文字

百が二百と空けた大皿段々に

体重のぼる上の宮

プレアデスで講中の、交わすビールも度重なり

底なし女と札付きに、とうとう島を追い出され

それから小悪魔りえ子の名も高く

ここやかしこの文壇で、小耳に聞いた小悪魔の

似ぬ声色で尽きねえ毒気

名せえゆかりの小悪魔りえ子たぁ、おまえがことだぁ!」

小悪「……」

あほ「気にいらん?」

小悪「おまえ、ヒマやなあ」

あほ「なんやと。わしはおまえのために……」

小悪「さあ帰ろ。よう遊んだワ」

あほ「あっ、あっ、あそびやったんかーーーーっ」

小悪魔、去る。

あほ「うう、小悪魔め〜っ。わ〜〜〜ん、〆切が〜〜〜〜っ」

あほ聖人、泣きながらキーボードに向かう。

注・作者はヒマではありません。念のため。

2007-06-27

[][]あほ聖人と小悪魔シリーズ1・あほ聖人の誕生

ある方にメールを出そうかと思いました。しばらくご連絡がないので、ご体調でも悪いのだろうかと思ったからです。でも、思い直しました。お仕事がお忙しいだけかもしれないし、ご家庭のことでご多忙なのかもしれないと思ったからです。ただ忙しいだけなのに身体を心配されたりしたら、かえってプレッシャーかもしれないと思ったからです。いや、それより、今は連絡したくないとまではいわないまでも、積極的にはしたいと思われない状態なのかもしれませんし。だから、メールはやめました。友だちであれ、もっと親しい人であれ、メール一本でそこまで考えるようになったのは、ここ十数年のことです。自分中心にものを考えるのを、きっぱり、やめたからです。とはいっても、自己中心の自分自身というのは、常に自分の中に存在するわけで、こいつ、小悪魔りえ子が、時々「もういやだ〜」と暴れます。さらに「もうええやん。どーでも!」と無責任な発言をします。

こうして、私の中で、小悪魔と半聖人のバトルが始まるのです。

小悪魔「……っていうか、あんた、あほやなあ。だれが、そんなじゃまくさい生き方してんねん。みんな、自分中心に生きてんねん。それのどこが悪い!」

(くそっ、いうてくれたな、小悪魔りえ子めっ)

半聖人「うん、だからね。私も実は自分中心に生きてるの。つまり、人の心をほんのちょっとでも支配したくない。ぜったい、プレッシャーをかけたりしたくないの。その人自身が心から望むように生きてほしい。それが私が一番望んでることだから、つまり、そういう自分中心の生き方を私をしているの。わかった?」

小悪魔「詭弁や」

半聖人「き、きべんやとっ」

小悪魔「もういっかい、いおか。キ・ベ・ン」

(むかつく。小悪魔りえ子めっ)

半聖人「ううううう……」

(小悪魔より凶暴な顔付きになる半聖人)

半聖人「ほたら、なにかっ。人のことなんかどーでも、自分だけの欲望で突っ走れとでもいうのかっ。そんなんしたら、死んだら地獄に堕ちるぞっ」

(ついに、標準語をかなぐり捨てる半聖人)

小悪魔「あんた、もう、死んだも同然やん。地獄もすぐ足の下やろ」

半聖人(ハッ……!)

小悪魔「無理すんなってことや。無理したら地獄はすぐ足の下に口をあける。まっさかさまや。それでええのか?」

半聖人「ええ」

小悪魔「え、ええっ……!?」

半聖人「他人を地獄に突き落とすよりましや。自分も堕ちんようにがんばる」

小悪魔「あほかっ。おまえ! なんで、そんな危ないフチで頑張るねん! ちゃうとこ行ったらええやろ。ちゃうとこに。世界は広いんやぞっ」

半聖人「世界は広くて狭い。狭くて深い。深さの奥にひろがりがある」

小悪魔「たわけっ! だれが哲学やれいうてん!」

半聖人「愛は拡散すること。収縮ではない……」

(おもわず、半聖人の頭をノックする小悪魔)

小悪魔「こんこん、だれかいますか? だれかいますか〜?」

半聖人「はいはい。ここにいますよ〜」

小悪魔「あほっ。糸電話ちゃうねん!」

半聖人「あんた、ええやつやな。小悪魔」(しみじみ)

小悪魔「なんやとーっ」

半聖人「あんた、結局、ちゃうとこ行けっていうたやん。誰も傷つけへんとこへ。広い世界へ行けって。つまり、あんたは、私と同じ考えなんやな」

小悪魔「……」

半聖人「人間が共に生きるって、つまり、いいことも悪いこともあるやろ。悪いことがあるかもしれへんから、一緒に生きるのが怖いって思うのは愛やない。プラマイ引き受けてこそ、愛なんや。小悪魔、私はあんたを愛してる」

(小悪魔、怖気立つ)

小悪魔「あほ〜っ。救いようのないあほ〜っ。わしはおまえなんか嫌いじゃ〜っ。愛なんか、くそやっ〜〜〜〜〜っ」

(叫びを残して飛び去る小悪魔。見送る半聖人)

半聖人「つまり、私は救いようのないあほであるってことやな。ええやないか。こんな世の中や。あほの一人や二人、いいひんかったら寂しいやないか。これから、私は名前をあらためよ。『あほ聖人』……ええなあ。この響き……」

(ひとり、満足げな半聖人。しかし、それはあほヅラといってよかった)

こうして、りえ子の中には「あほ聖人」が確立されたのであった。

あっほ〜

あっほせいじん〜

おちるな、おちるな

じごくあな〜

遠くから、小悪魔りえ子の歌声が響いてきた。

その声は、なぜか泣いているようであった……

(『あほ聖人と小悪魔』第一話 おしまい)