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りきおの雑記・ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


『シン・ゴジラ』『君の名は。』観ました。
『聲の形』素晴らしかったです。
『この世界の片隅に』観ました。すごい映画だったので観ましょう。

2017-01-06

 あけましておめでとうございます。

 あまり更新頻度が上がらないですが、今年もよろしくお願いします。

2017年冬アニメ、個人的な期待作紹介

 2017年が始まってしまいました。もうぼちぼち新アニメも始まっているようなのですが、個人的に期待しているの作品をいくつか紹介していきたいと思います。

  • セイレン

 『アマガミ』原作の高山犀星氏が、キャラ原案とシリーズ構成&脚本を手がけるというオリジナルアニメです。高山犀星氏は『アマガミ』では、企画からシナリオはもちろん、システム設計やキャラクターデザインまで手がけるというハイブリッドどころじゃない多才さでした。

 『アマガミSS』同様、オムニバス形式になるとのことですが、高山氏自らがキャスティングしたというあやねること佐倉綾音ほかの声優陣がとにかく見どころでしょう。あやねるもそうですが、木村珠莉さんや井澤詩織さんらが出ていることも個人的に楽しみです。あとは、三上枝織さんも意外性のあるキャラで楽しみの大きいキャラなので期待できます。

 問題は、ゲーム畑(特にエロゲ関係)出身の脚本家が手がけるオリジナルアニメが、『まどマギ』以降あまり当たっていないことは気になります。なので、エロゲを経ていない高山氏が、ゲーム原作ではなくアニメに最適な脚本を描いたら……という期待感もすごく高いです。

 キャラデザが、『はたらく魔王さま!』監督の細田直人氏というのも「?」なのですが、アニメーターとしても評価の高い人なので、ビジュアル面でも期待の大きいタイトルです。ただ、『アマガミSS』の制作元だったAICは既になく、Studio五組×AXsiZが制作とのことですが、『紅殻のパンドラ』はビジュアル的に及第点だったこともあり、そこは減点にはならなさそうな気がしています。

 放送網の貧弱さは気になります。BS-TBSはあるものの、地上波放送局のネットが弱い(関西はサンテレビのみかつ、中京地区の地上波が無い)あたりは不安材料でもありますね。TBSのこれ賭け度が弱いのか、BS-TBSがありますし各種配信サイトが網羅されていることで代用できるという目算もあるのかもしれませんね。

  • 亜人(デミ)ちゃんは語りたい

 ペトス氏原作で、A-1Pictures制作のアニメです。『小林さんちのメイドラゴン』あるいは『モンスター娘のいる日常』と近い作品になるかもしれませんが、人外キャラたちが織りなすコメディ作品です。

 書店では目を引く表紙絵ですのでおためし版を読んでみましたが、キャラクターは立っていますし、亜人とはいえ見た目はかなり可愛いですし、テンポの良さそうな掛け合いで進む内容でもあって、1話1話の内容を濃くした感じで上手くアニメ化出来れば、『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』『学戦都市アスタリスク』などのキャラデザを手がけている川上哲也氏のキャラデザで、いわゆる売れるA-1アニメのキャラデザを踏襲しているのは、プラスと出るかマイナスになるか……。アニメで映えるのではないかと思う一方で、原作絵が良いだけにあまり雰囲気は引き継げていなさそうなのがマイナスになるかもしれません。

 シリーズ構成と全話脚本を、どんな作風のアニメも手がける吉岡たかをさんが手がけるという安心感はあります。キャラデザは重要だと思っている自分にとっては、期待半分不安半分なところがあります。

  • 小林さんちのメイドラゴン

 ショートアニメにもなった『旦那が何を言っているかわからない件』のクール教信者氏原作で、京アニこと京都アニメーションの新作です。ぶっちゃけ、それほど売れるアニメになりそうにもないと原作読者さんにも言われてしまいましたし、『甘城ブリリアントパーク』が不評だった武本康弘監督作品というマイナスイメージもあるとも。

 ただ、自分としては、キルミーベイベーの田村睦心さんが京アニ作品の主人公として起用された、という感慨深いものがありますし、京アニが、ギャグではなくコメディな作品として、最もちょうどいいポイントは何処か、というのを探るような作品にもなるような気がします。

 『旦那……』は結構面白みもあり、かつ夫婦生活の生々しさも描いた作品だったようにも記憶しているので、ドラゴンが同居するこの作品はその辺がどうなのかとか、生々しさとは縁遠い京アニにアジャストしているのかとかは気になっています。

 単純に、コメディとして面白いアニメになっていれば満足できると思うのですけど、確信できるとまではいかない感じです。

  • ガヴリールドロップアウト

 ぐーたらしてる天使のコメディですかね。安心の太田雅彦&あおしまたかし&動画工房というトリオですし、それだけで一定の面白さやクオリティの保証があると思います。

 原作読者の知人によると、静岡の浜松ご当地アニメになるとのこと。浜松といえば、次回の大河ドラマ『おんな城主直虎』の舞台でもあります。流行を先取りしたアニメになる(?)という期待もあるでしょうか。

 個人的には、天使キャラに花澤香菜が起用されることが注目です。ビジュアル的に、あるいはドSという性格的に、『かんなぎ』のざんげちゃんなのか、あるいは『Angel Beats!』の天使ちゃんなのか……。そういう部分でも楽しみがあります。

 うまるちゃんあたりとへの既視感を超えられるのか、だとか、今までの太田雅彦&動画工房作品と差別化できているのかどうかとか、その辺は気になりますね。気楽に楽しめるのか、没入感は生まれるのか、その辺がクリアされれば、もしかすると『ゆるゆり』くらいにはなれるかもしれません。

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 まだまだ、2017年冬アニメには面白そうな作品はあると思いますが、個人的にざっと観た感じ、これらが面白そうだなと思いました。逆にこれらが全部コケてしまえば、また今期もしんどいクールになるのかな……とも感じていますので、面白いアニメであることを期待しています。

2016-12-31

コミケありがとうございました。

 りきおです。

 先日の冬コミ、当スペースにお越しいただいた方、ありがとうございました。

 結局、告知ほどの内容を詰め込めることも出来ず、新刊は申し訳ない感じにもなってしまいましたが、予想以上に手にとっていただけて感謝です。

 久々のサークル参加で、かつ1人で参加ということで正直不安でしたが、もう少しサークル参加に対して、肩の力を抜いてやってみても良いのかなと思いました。というのも、コミケが近づくにつれて、何も出来てない焦りから精神的に追い詰められるからです。

 言い訳を書いていても仕方ないのでアレですが、懲りずにまた参加すると思いますので、どうかよろしくお願いします。

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 コミケの感想を少しだけ。

 と言っても、2日目にサークル参加しただけだったので、コミケに参加した感じも半分くらいしかないというのが本音だったりします。1人だったのでスペースもほとんど回れませんでしたし、寄稿したサークルさんの献本を貰いに行くくらいしか動いていませんでしたからね。ぶっちゃけ、評論界隈でも何が人気だったのか把握できませんでした。夏コミくらいのタイミングだとガルパンがトレンドだった気がしたのですが。『君の名は。』人気で新海誠特集本とか出ていたのでしょうか……。知り合いとも話していましたが、もう1ヶ月公開が早ければ『この世界の片隅に』評論本も出ていたのかなあ、と思うと、少し残念な気がします。

 ビッグサイトの会場レイアウトはどんどん変わっているようで、「東7って何?」ってTL観ながら思ってました。しかし、東京五輪とのカラミはどうなるんでしょうかね……。

2016-12-27

[アニメ]冬コミ(C91)に出店します

 直前のお知らせになりましたが、冬コミに出店します。

C91・2日目(12月30日(金))

東2ホール Q-34a 「ふく彦」

 何を出せるのかわかりませんが、とりあえず「季刊 ふく彦」の準備号というか、こんな本を作りたい的なものを出そうと思っています。

 内容ですが、

・『この世界の片隅に』の評論的なものを2本。

 『聲の形』との製作・制作過程の比較とか。

・「期待の(売れそうな)来期アニメはこれだ!」

・その他何か

 を予定しています。めっちゃ薄くなる可能性もありますのでご容赦ください。

 寄稿もしています。

『アニバタ Vol.16 「特集」聲の形』

 久しぶりにアニバタに寄稿できました。かなり編集長のたつざわさんには手間を取らせてしまいましたが……。

「Key作品の新しい形として見る映画『聲の形』」という評論というか文章を寄稿しました。個人的には、元鍵っ子として感じる部分と、京アニがKey作品から地続きで描こうとしたようなエッセンスと、そこから京アニの「脱Key」への路線を色々と描きました。

 興味がある方は、

2日目東Q29a「M.O.M.発行準備組合」

3日目東V50b「アニメクリティーク刊行会」

 にてお求めください。

 あとは、

Fani通2016上半期

 です。

 それなりの数のアニメについてレビューしているので、記事にならないようなアニメについては、観てるのかどうかとか、どんなこと思ってるんだよ……的な感じで興味をお持ちの方、ぜひともお求めください。

 僕の感想とかレビューは関係なく、ずっとテレビアニメを観続けているような方は、保存版としての価値もあると思いますので良いですよ。お値段も、ボリュームの割にはお安いので。

 では、コミケ会場でお待ちしています。

2016-11-16

映画『聲の形』誕生のルーツは、アニメ『日常』にあり?〜製作主導から、制作主導のアニメ作り

 原作もののアニメ化の流れは、『SHIROBAKO』を観ている方ならわかるかと思いますが、制作会社のPと製作会社のPがタッグを組んで、原作元へ「この作品をうちでアニメ化させてください」とお願いするのが基本的な流れのようです。となると、京アニは『聲の形』のアニメ化を打診する際に、ポニーキャニオンと一緒に講談社に行ってお願いしたのではないかと推測されます。ポニーキャニオンはご存知の通り『進撃の巨人』などで講談社とはパイプがあります。まあ、出版社レベルで京アニのブランド力が通用するのかどうかはわかりませんが、版権担当者(ライツと呼ばれているアニメの製作に関わる人たち)なら京アニのことはよく知っているでしょう。

 そもそも、何でこの『聲の形』をアニメ映画にしようとしたのか、もありますよね。原作はそれなりに有名で、かつ扱いの難しい題材を含んでいるものですが、何故京アニが「自分たちでアニメ映画として制作したらヒットさせられる(かもしれない)」と踏み切れたのか、です。

 個人的には、高尚なテーマだったり、自分たちの得意分野(技術的なもの)が生かせる作品だから、という感じには見えなくて、むしろこの『聲の形』が、アニメ映画としてヒットさせられる絵が描けていたのではないか、と観ています。

 京アニという制作会社は非常に特殊で、作画が素晴らしい的な部分や、過去にも大ヒットアニメを何本も抱えているブランドイメージも、他所にはない強みとして持っていると思いますが、徹底的にビジネスライクに考えているところもあると思っています。要は「売れなきゃ意味が無い」ということです。いわゆる、スーパーアニメーターやカリスマ演出家のオナニーのようなアニメと、方向性が真逆とさえ言えると思っています。その転換点となったのが、『日常』だったのではないか、と考えています。

 『日常』は角川書店から出ている漫画が原作のアニメで、『けいおん!!』の後に満を持して放送されました。当時の京アニといえば、その『けいおん!』や『CLANNAD』などのKey作品、『涼宮ハルヒ』シリーズや『らき☆すた』といった作品を続々と送り出していた、まさに京アニブランドのピークでした。そのタイミングでの『日常』だったので大いに期待されていましたが、結果は……。失敗と決めつけるのはダメかもしれませんが、ただ少なくとも円盤は売れませんでしたし、失望したアニメファンも多かったのではないかと観ています。

 アニメ『日常』の問題点は色々とあると思いますが(原作からしてシュール系ギャグなので、京アニ以外が手がけても売れなかったと推測)、一番の問題は技術力を見せつける方向に走ってしまったからではないか、と考えています。要はくだらないギャグの1つ1つを、とても凄いカロリーをかけた作画や演出で大仰に描いていたわけですが、面白さに繋がっていないと感じたからです(個人的な見解です)。そして、そういう評判も吸い上げているのではないか、とも推測されますので、これ以降、ギャグメインの作品を手がけなくなったのかなとも考えています。

 また『日常』では、製作の角川書店との関係悪化に繋がったとも考えられるいくつかの炎上案件がありました。その1つが、角川製作アニメでは重用される傾向のあるプロダクション・エースの声優を優先的に起用したキャスティングの主導権の問題と、円盤に付ける特典映像がほとんどアニメと関係のない誰得なものだったなどです。これらは些細なことなのかもしれませんが、同じ角川製作だった『氷菓』では、それらが恐らくは京アニ主導のものへと変わっていることから、原因の1つくらいにはなっているのだろうと思いました。

 『日常』以降の、京アニの角川製作アニメは、前述の『氷菓』と『甘城ブリリアントパーク』の2本に留まっており、自社レーベルの京アニエスマ文庫の作品を、京アニが製作委員会筆頭になって次々とアニメ化するようになりました。それらが全て「売れなきゃ意味が無い」作品とは思えないものもありましたが、『中二病でも恋がしたい!』や『Free!』のヒットにより、京アニは製作会社に頼ること無く自活していけるようになりました。京アニが製作側からのお願いでアニメを作る制作会社ではなく、自分たち主導でアニメを作る路線へと本格的に変更したキッカケになったのは間違いないだろうと思いますし、もし『日常』がヒットしていたら、『中二病でも恋がしたい!』はともかく、『聲の形』は制作すらされていなかったのではないか、とさえ考えてしまいました。

ニュータイプ 28年10月号

ニュータイプ 28年10月号

2016-10-05

映画『聲の形』のヒットが引き起こす(?)、テレビアニメ界の様々な意味での空洞化への懸念

 『君の名は。』に続いて公開された、京アニこと京都アニメーション制作の漫画原作もの『聲の形』も、既に興行収入が10億を超える大ヒットとなっているようです。京アニ・山田尚子監督といえば『けいおん!』もありますが、映画の前作である『たまこラブストーリー』では興行収入が最終でも1億3000万円ほどだったことを考えると、『聲の形』での数字がすごいものだということがわかると思います。元々、原作そのものが人気で知名度が高かったこともあるのでしょうが、原作がいくら売れていても、わざわざお金を出して映画を観に行こうという人とイコールになるわけではありません。京アニとか山田尚子監督とかに期待して観に行くような人も少数でしょうから、プロモ段階から成功していた、あるいはそれだけ特別な人気のある作品(の映像化)だった、ということなのでしょう。『君の名は。』のほうは興行収入100億円突破というとんでもない数字になっていますし、昨年?の『ガールズ&パンツァー劇場版』のヒットもありましたので、いよいよアニメ映画の流れが来ているような気がします。

 ただ気になることがあります。それは、『君の名は。』も『聲の形』も、どちらもテレビアニメを経ないアニメ映画化でヒットを記録していることです。新海誠監督は元々テレビアニメを作る人ではないので影響は少ないかもしれませんが、京アニと山田尚子監督は元々はテレビアニメを作っていた制作会社と監督です。その制作陣が、テレビアニメという土台を作らないまま、いきなり映画という媒体で公開してヒットさせた、ということなのです。何が問題なのか? 以下に書きたいと思います。

  • テレビアニメをヒットさせる確率の高い監督や制作会社が、テレビアニメをやらずにアニメ映画に注力してしまう

 これは非常にジレンマだと思います。というのも、アニメ映画って多くの場合、テレビアニメよりはコストとか手間をかけた作画ほかで作られるものです。尺としては90分〜2時間前後とテレビアニメの1クール分よりは短いものですが、コストとか労力を考えると、テレビアニメ1クール分と同等か、あるいは上回るものがある可能性もあります。となると、映画1本作っている間は、その制作陣はテレビアニメを1クール分作れないということになります。監督も同様です。より作家性の強い監督であればあるほど、例えば映画とテレビアニメを同時期に掛け持ちすることなど不可能です。つまり、『聲の形』という映画を作ることにより、京アニ・山田尚子監督のテレビアニメが1本観られなくなった、ということにもなります。

 これは『聲の形』みたいな作品だけでなく、テレビアニメのヒットを受けて作られるようなアニメ映画でも同様のことが言えると思います。前述の『ガルパン』では、水島努監督という日本で一番忙しいアニメ監督が、ある程度の時間を『ガルパン劇場版』に注ぎ込んで何とか完成させたわけです。が、そのことにより、やはりテレビアニメ1本分くらいのスケジュールが無くなったと推測されます。『心が叫びたがっているんだ。』の長井龍雪監督や、『まどマギ』の新房昭之監督&シャフトも同様だと思います。

 そして、テレビアニメでヒットして映画化されたり、あるいはいきなりアニメ映画として作ってヒットされるような作品を作れる監督やスタッフ、制作会社は、人気のある人・会社でしょうし、ヒットする確率の高いアニメを作れる人・会社でしょう。人気者はアニメが映画にシフトしていく中でますます人気になるでしょうが、人気になればなるほど、テレビアニメを作れる本数や頻度が減ってしまうのは間違いないと思います。

 そうなると、面白いテレビアニメが出てくる確率が格段に下がってしまう……かどうかはわかりませんが、特に水島努監督のように、シリーズものよりも新規でのアニメ化を多く請け負う監督が映画に引っ張られてしまうと、テレビアニメの空洞化につながっていくのではないかと思ってしまいます。

  • テレビシリーズ→映画へのシフトが進めば、新たなアニメ映画をやるための種が生まれなくなる

 そもそもという感じがしますが、当然のことですよね。水島努監督はガルパン最終章に取り掛かっていると言っていましたが、続編的な映画を1本2本と作ることで、新たなテレビアニメに取り組めなくなってしまいます。次に映画化まで持っていけるようなテレビアニメを作れないですからね。

 ただ、これはテレビシリーズの続編を作るときにも言えることなので、映画だけの問題ではないかと思います。が、テレビシリーズで続編をやらないことで、やはりテレビアニメ自体が減ってしまうことにも繋がりますので、テレビアニメの空洞化を引き起こす一因と言えるでしょう。

  • いきなりアニメ映画化してヒットしまうことで、円盤を売って利益を得る深夜アニメのビジネスモデルが変化する可能性

 オリジナルのアニメ映画でもそうなのですが、原作もののいきなりの映画化で成功してしまうことで、テレビアニメを作って放送して、良ければ円盤を買ってもらって、というビジネスが後退するのは間違いないと思います。というのも、この深夜アニメの円盤を買ってもらって、というビジネスモデルはそもそも無理があるというか、無料で高画質で観れるアニメを、視聴者に値段不相応と思われる高さで買ってもらっている現状がそもそもおかしかったわけですが。

 映画であれば、もし興味を持ってもらえたのであれば、映画館でチケット買って観てもらえるわけです。その時点で既にお金が発生しているのに、劇場で販売されるパンフレットやグッズなどを、作品を観た直後に買えるわけです。テレビアニメのように、家でテレビで観て、そこから何かしらお金を出す(かどうか)のことと比較すれば、格段にお金を出すまでの距離が違いますし、観た側も気持ちよくお金を出せるのではないでしょうか。更に映画でも、もちろん円盤が発売されます。テレビシリーズのように何巻と出るわけではないので、むしろ買いやすいとさえ感じます。そう高くは出来ないですが、既に興行収入という形でお金になったその上に、円盤の売上がプラスされるわけですから、ヒットの規模が大きくなればなるほど、作り手側にお金が入るわけです。出すお金の額も違いますよね。テレビアニメであれば、小さなグッズや主題歌CDが安めでありますが、安すぎますし、かといって円盤を集めようとするといきなり6000円とか出さないといけないですからハードルが高い上、放送している時にリアルタイムにその話数の円盤が発売されているわけではありません。映画なら、円盤は後から発売になることが多いですが、グッズ類はパンフレットからそれなりの種類が出ていて、観てすぐに買うことが出来ますし、おのおのが出せる額だけ出すことが出来ます。グッズ類に関してはテレビアニメも映画も変わらないかもしれませんが、観終わった後の気分が高まっているところで買える、という違いは大きいでしょう。

 このように、テレビアニメと比較すると、格段にお金との距離が近い映画という媒体なのが映画です。そもそも、基本無料のテレビアニメと、お金を出さないと観れない映画では、スタートから比較にならないものがあるとも思います。作る側からすると、やりがいというものが目に見えるかどうかの違いが大きいようにも感じます。

 そうなってしまうと、「テレビアニメ」という段階を踏むこと無くいきなり映画化する、という制作会社も出てくるような気もします。何せ、テレビアニメとして作って公開したとしても、事前に製作委員会に参画してくれた企業が出資してくれるに過ぎず、話題になっても儲けには繋がりません。ですが、映画ならそうとは言えない感じにもなると思います。

 そうなると、円盤を売って(買ってもらって)制作費の回収や儲けを得る、現行の深夜アニメのビジネスモデルは崩壊してしまうことになりかねないと思っています。映画が本番で、テレビアニメは踏み台となると、高いクオリティのテレビアニメは見れなくなってしまう可能性すらあるような気がするわけです。

 最も、それで良いじゃないか、むしろ現行の深夜アニメのビジネスモデルもほうがおかしいんだから、というのは非常に理解できるものがあるとも思いますが。

  • 本当にテレビアニメから映画へのシフトが進むのか?

 では、本当にテレビアニメが減り、いきなり映画でやるアニメが増えるのでしょうか? 結論から言うと、ほんの一部に過ぎないだろうと思います。

 新海誠監督がこれからテレビアニメをやるのかと言われたら、まずそれはないと言えるでしょう。あのクオリティのテレビアニメとか色々と死んでしまいますし、何より映画でやればヒットすることがわかっているのに、敢えてテレビで流す必要性もありません。ただ、作画スタッフにはアイジーの主力アニメーターが関与していますので、いくらかIGのテレビアニメへのリソースは下がっていたかもしれませんし、次回作が更に大規模になれば、テレビアニメでやるはずだったアニメーターが新海誠作品へと引っ張られるかもしれません。

 京アニに関しては、これまでも年1本くらいずつ映画を公開しており、かつテレビシリーズも定期的にOAしていることから、これからもしばらくはテレビと映画を並行して制作していくことと思います。5年先とかになるとわかりませんが、京アニがテレビアニメをやらなくなるようなことは、まだ考えなくても良いのかな、と思っています。『響け!ユーフォニアム』みたいなクオリティのテレビアニメも作り続けてくれそうな感じがしています。

 その他の、主にテレビアニメを主戦場としているような制作会社やスタッフはどうでしょうか? こちらについても、一気に映画オンリーにシフトするとは考えていません。というのも、基本的にはテレビアニメをヒットさせないと、劇場版まで辿りつけないわけですし、ここのところあまり新規にアニメ化してヒットした作品はないような気がしています。また、ヒットの規模が大きいものになると踏んだアニメ映画には、作画リソースなどをつぎ込めるわけですが、OVAの劇場公開程度のものだと、若干クオリティの高いテレビアニメくらいのものに留まるでしょう。それだと、そこまでテレビアニメへの影響は大きくないんじゃないか、と考えています。

 まあそもそも、本格的な劇場アニメを制作できるような制作会社がそんなにあるとは思えませんし、何より、テレビアニメを経ずに何億というレベルの興行収入が見込めるようなアニメ映画の、企画を立てられるようなプロデューサーが、そもそも何人もいない、という事情もあるのですが。

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 ただし、アニメ映画は美味しいんだ! と偉い人たちにも思われているでしょうから、アニメ映画自体は更に増えるものと考えられます。でも、『君の名は。』の次元はともかく、『聲の形』レベルの興行収入も高すぎる壁なのが実情ですし、そうした作品をいきなり映画で発表すること自体がギャンブルです。

 アニメ業界にはギャンブル好きな人が多いのは間違いないのですが、どれだけの勘違いアニメ映画が出てくるのか、あるいは本当に映画が主戦場となるくらいにはヒット作が連発するのか、楽しみに待ちたいと思います。