何故Keyゲームのノベライズは出なくなってしまったのだろう?
たぶん、相当古い話ではないかと思いますがw
若い世代の人でも知ってるかと思いますが、Key作品は一時期大流行したノベライズ(小説化)の一翼を担っていました。それが、ONEでありKanonだったわけです。そのノベライズ作品の第1作目はどちらも、メインヒロインのルートで描かれているものではありましたが、一応他のヒロインもちょこちょこと出ていたりして、この1作だけで終わっても良いような作りでした。が、おそらくかなり売れたんでしょう。ONEもKanonも全ルートがノベライズ化されましたONEについては4キャラのみのノベライズ化でした。永空さんサンクスです。最初からある程度シリーズ化するつもりだったっぽいKanonはともかくとしても、ONEは明らかに後付けで続々と刊行されていきましたからね。
個人的には、ほぼゲームのテキストまんまだったKanonよりも、作者オリジナルの見解やら、原作で説明不足のところを描いたりしていたONEのノベライズのほうが、出来は良かったようには思いましたけどね(ちなみに作者はCLANNADかリトバスのアンソロジーノベルも書いている館山緑氏です)。
ただこのノベライズ化は、AIR以降は一つもされていません。当時を知る者としては、Kanonであれだけ成功して、しかもまだまだ当時はノベライズが全盛だった時期だったので、AIRがノベライズ化しなかったことには非常に違和感を覚えたものでした。そして、CLANNADや智代アフターでもそうした動きはありませんでした。まあ今では「ノベライズ」自体がそれほど流行らないような気もしますから(ひぐらしはノベライズ化されているみたいですが、原作者が書いているわけですからちょっと違うような気がしますし)一概には言えないのですが。
ただAIR以降、Key作品がノベライズ化されなくなったことで、ノベライズというジャンル自体がかなりしぼんだ感もありましたし、かなり影響は大きかったようにも思うんです。
じゃあ、なぜAIR以降、Key作品はノベライズ化されなくなったんでしょうか? いくつか理由はあると思うので挙げてみます。
-シナリオの形状がノベライズにそぐわなかった
Kanonまでは、個別ルートのシナリオが一本道かつ、しっかりと分かれていて、シナリオ単体でエンディングがあったので「ノベルにしやすかった」あるいは「ノベルそのまんまだった」のですが、AIR以降はノベライズにしずらい形状にゲーム自体が作られてしまってます。
AIRって、Dream編だけで終わってしまっては魅力もほとんどありませんし、AIR編単独でも話としてはわかりづらい。Summer編は単独で話が完結してはいますけどね。Dream編だけでも3シナリオあるわけですが、観鈴のシナリオではボリューム不足だし、佳乃のシナリオでは意味不明だし(?)で、ノベライズにしにくい作りにはなっていると思うんですよね。まあ麻枝さんが、徐々に「ゲームでしか出来ない…ノベルにはしにくい」作りを、AIR以降は意識的にしているでしょうからね。
-Key自体がメディア展開に消極的になっていた
Kanonは比較的早い段階で、アニメ化(東映版=アゴ)や漫画化(森嶋プチ氏の)をされていたのに比べ、AIRのメディア展開はCLANNAD発売以降までズレ込みました。まあCLANNADの開発が泥沼に入り込んでしまったので、そういう話をすべてシャットアウトしたのかもしれませんけどね。ただ、VAとしてはやはりゲーム発売から1,2年以内にはメディア展開をしたいでしょうから、単に消極的になっていたのか、あるいはKanonでのメディア展開〜監修〜原作レイプぶり?に嫌気が差していたのか…。
CLANNAD発売以降?のメディア展開のすさまじさを考えると、この空白の期間が気になります。
-ノベライズ作家が誰も名乗りを挙げなかった
これは僕が当時、本気で「そうなのかな?」と考えた理由なんですがw
要は、シナリオの形状がノベライズにそぐわなかったとしても、出版社が出したいと思えば出すと思うんですよ。売れるのはわかってるわけですし。
それでもノベライズ化しなかったのは、それを引き受ける作家さんがいなかったからなのかな?と。今なら、僕もそうですが二次創作SS作家は数多いるわけで、色んなところに打診できそうなものですが、当時はまだまだ二次創作SS作家の地位も低く、出版社が打診するという選択肢すらなかったんじゃないかと。だから、ノベライズとかちゃんとした文章を商業で書いている人でAIRとかのノベライズを書く人!とリサーチをかけても、誰も名乗りを挙げなかったのかなあ、とか。
まあ、未だにAIRやCLANNADのノベライズを書こう!という作家さんが現れるとはとても思えませんけどね。作品を深く知れば知るほど難しいと思いますし。
まあ僕が思いつく理由はこんなもんかと。
一番言いたいのは、Key作品がノベライズ化されなくなって、ノベライズ文化が著しく衰退したということですね。それが良かったのかどうかはわかりませんけどね。
ノベライズを「原作トレースだから参考にしやすい」って思ってた世代なんで、プレイ動画とかでチェックする世代の人とは考え方自体が合わないかもしれませんけどね。