台頭する「都内発早朝ビッグサイト着バス」は徹夜問題の解決にはならない

 最近、コミケでの徹夜を回避しようという人のための手段が増えています。それまでも、例えば名鉄観光の「コミックバスツアー」などが有名で、地方(関西や中京圏)にいながら、都内の始発組よりも早く会場入りできるというメリットがあり、逆に都内参加者への不公平感を生んでいたという状況がありました。
 そこで登場したのが(何時からかはよく知らないのですが)、都内を夜出発して早朝に有明に着くというバスツアーです。もちろん、都内から5時間も6時間もかかるわけじゃないので、一応コミケット準備会が「黙認」としている午前4時半まではバス車内で待機、と言う形を取っているみたいですけど。
http://www.busway.jp/comicdream/
 本来であれば、公共の交通機関ゆりかもめorりんかい線)の始発時間に来場するのが筋だとは思います。が、残念ながらりんかい線の始発はもの凄い混雑で、そのうち死人でも出るんじゃないかという酷い状態です。それに、その始発列車に乗れる場所にいる人ってのは限られてますよね。そうした不公平感を散らす意味でも、このバスツアーは有意義だと思ってます。
 ただ、早朝来場って準備会としてはやって欲しくないことなんですよね。実際なら、始発来場だってやって欲しくないはず。と言うのも、何で徹夜や早朝来場をして欲しくないのか?ってところから始まります。要は、有明近辺の住民との軋轢を生みたくないと。それは、早朝から人が集まってうるさい=騒音という迷惑を与えることで、コミケ開催への嫌悪感が広がることを懸念しているということなので、公共交通機関の始発がたまたま5時過ぎだからOK、と言うのすら、一般常識で通用するのかどうか怪しいところなんですよ。ディープインパクトが走っていた頃の競馬場とか、デパートの初売りとか、徹夜で待つイベントと言うのは他にもあるので、コミケだけがダメ、と言う理屈が通じないのかもしれません。が、はっきり言ってコミケでは数が尋常では無いです。ですから問題になる(周辺に迷惑だと言う意味でも特に)。早朝来場も同様で、始発が動いてるから、と言う考えすら、周辺住民が「迷惑だ」と思う時間帯なら迷惑なわけで。喜んでいるのは24時間営業してるコンビニとかすき家とかくらいかもしれません。
 ですので、この都内からのバスツアーと言うのも、白じゃなくてグレーでしょう。準備会からすれば、徹夜するくらいなら…という感じでしょうけど、一般常識からは考えられない時間帯から人がわらわらと集まるわけですから、本来としてはありがたくないわけです。ですが、最悪である徹夜を少しでも減らせるのなら…という思惑もあるでしょう。

 ここに面白いやり取りがあります。片や元コミケスタッフ。片やバスツアーの企画者というやり取りだったり。
http://blog.zaq.ne.jp/iwasere/article/463/

 ここの人たちの認識の中で少しずれがあるようなのが、「地方からビッグサイトに行くバス」についてのことです。コミックバスツアーや、単純に有明を経由して東京へ向かうバスなどがありますが、明らかに鉄道の始発到着時刻を意識して早めに有明入りしてますから。その時刻に合わせて、西の列形成も始まったりしてましたから、暗黙のうちに準備会が早朝組を認めてしまった感があります。関西発の高速バスなら、おおよそスピード違反してましたけど、前日の午後10時とか11時に関西を出ても、東京には4時までに到着できますからね。そのため、早く到着しそうな場合は、準備会が定めた?時間まで、途中の海老名SAなどで時間を潰してました。ですので、実際には何時に到着することも可能なんです。それが最近むやみに早く早くなっているような気がするのです。
 
 ビッグサイト行きの高速バスが徹夜組減少に繋がるか?ということについてですが、多少は徹夜組減少の手助けにはなると思ってます。が、根本解決には程遠いですよね。本来なら、徹夜組だけじゃなく、ビッグサイト周辺で早朝から待つ人自体を減らさなければならないはずなのに、逆にそれを増やすことに繋がるわけですし。都内からのビッグサイト行き夜行バスは、列車の始発には乗れないところに住んでいる人たちや、地方から直接ビッグサイト入りできる夜行バスを利用する人に対抗するための手段でしょうから、本当なら徹夜はしたくないけど他に手段が無いから…という人は取り込めるかもしれませんが、列車の始発の混み方とか、周辺のネットカフェに泊まるくらいなら…という、従来は始発以降に来場していた人たちの来場を早めることに繋がっているようにも思うのです。それだと、準備会が本当は気にしなければならないはずの早朝待機組の削減には全く繋がらないわけで。
 むしろ、これまで優位性があった地方からビッグサイトへ直接乗り入れる高速バスは、その優位性が無くなったわけですから、更に早く!という人が現れないとは限りません。そうなれば、徹夜組を増やすことにも繋がります。
 それに、準備会が考えないといけないと思うのは、徹夜や早朝に来場しなければならないと思ってる人の心情です。何で徹夜や早朝来場するのかと言うことです。それはもはや、一般参加者への呼びかけだけではどうしようもないんじゃないかって。サークル側の売り方にも口を出していかなければならないんじゃないかって思います。まともな時間に来場しても買えないから、徹夜や早朝来場をするんですよね? 昔に比べると、入場までの時間は格段に短縮されていますけど、10時入場と11時入場で買える・買えないサークルもあるわけですから、もっと早く来場しなければ、って人が増えるのは致し方ないんです。そうであれば、12時までに大量に売り切れるようなサークルに対して、いつでも買えるような処置をお願いするとか、11時で売り切れることを繰り返すサークルに対してペナルティを課すなどの措置を講じなければならないと思います。一般来場者だけが悪いわけじゃないんです。そうしないと買えないサークルがあるからこそやらなければならないんですから。
 その辺も総合的に見て、都内からの夜行バスツアーなどへの措置を講じて欲しいですね。規制規制も良くないですが、放置していても良くはならないですし。もっと、徹夜や早朝来場者の立場に立った対策を講じる必要があると思います。

 情報提供はJinさん。サンクスです。