Angel Beats!第一話が不評な理由を、麻枝信者目線で考えてみた

 個人的には、過去の麻枝作品を彷彿とさせて面白かったんですが、世間的な評価は散々みたいですね。なので、どういうところがウケなかったのか、あるいはこれから化ける可能性があるのかを、これまでの麻枝作品と比較して考えてみたいと思います。

1.ゆりのキャラクター付けが中途半端だった?
 麻枝氏が前からずっと言ってるのが「萌え」がわからない、というものです。まあ死語になりつつありますが、未だに代わるいい表現が無いので使わせてもらいますが。
 1話を観た限り、ゆりがヒロイン……というには弱い気がするわけです。それもそのはず、別に主人公にデレるわけじゃないですし、ほぼ説明的なセリフに終始してましたから、あれで萌えろというほうがおかしいと言えます。
 ただ、それだけじゃないような気がします。というのも、一番言われているのが、女王様然+リーダー的な、まんま「ハルヒ」だったことなのかな、と。まあこれについては、ハルヒを全然見ていない僕には答えられませんので置いておくとしましょう。
 個人的には、キャラ付けが弱かったのかな、と。ツンツンのリーダーというのはわかりましたが、カリスマ性みたいなものを出しきれていなかったですし、せっかく櫻井浩美さんの声なんですから、ドSで押し切るか、あるいはツンツンの裏返しでドMの変態キャラにしてしまうか(汗。ぶっちゃけ、まだゆりをどういうキャラにしていきたいのかが見えてこないのでわからないんですが、今のところは中途半端にしか映らないんですよね。
 
 麻枝キャラってそうじゃなかったはずなんですよ。真琴にしても風子にしても沙耶にしても、最初の印象はむしろ、もっと取っつきにくいと言うか「ねえよwwww」って思わせるようなところから始まっているはずが、ゆりに関しては、生真面目ってほどでもなければ、お笑い的に酷いというわけでもない。その辺が中途半場なんですよ。
 麻枝キャラで一番インパクトが強いといえば、麻枝さんも理想のヒロインと言う朱鷺戸沙耶なんですが、どうしても沙耶と比較して見劣りしますよね。沙耶の場合、最初に冷酷さを見せたかと思えば、そこからはどんどんダメなところしか見えなくなっていく…。でも終盤に行くにつれてそこからまた逆の展開が…と、出し入れが素晴らしかった印象があります。もちろん、シナリオの見せ方が特殊すぎて途中で投げ出した人多数だったわけですが、ヒロインの作り方としてはあれほど面白かったものはありませんでした。
 それと、中の人が同じということもあってか、ゆりを沙耶と比較してしまうんですよね。ああ、弱いなと。沙耶は見た目のインパクトもすごかった(麻枝さんも同じ印象を持ってるらしい)ので尚更です。ぜんぜん違うキャラなら良いんですが、結構世界観とかキャラ設定が似ているので、余計に比較してしまいがちです。ゲームとアニメという違いももちろんありますけども。ゲームは、自分が気になればどんどん進めばいいですし、あまり好きじゃない場面は早送り気味に、好きな場面は繰り返して見る媒体ですが、アニメは、好きだろうが嫌いだろうが、製作者から提示された時間分は見なければなりませんし、次が早く見たいとしても、次週まで、あるいは発売日まで待たなければなりません。これは漫画でも同じことが言えるんですけども。
 何が言いたいのかと言えば、ゲームならそのキャラを、長い尺のストーリーの中でじっくり要素を重ねるように描けばいいのですが、アニメではキャラ付けのために何話も割けないというか、1話の短い尺の中で魅力的に描かなければならないようなので、それには合っていないように思います。
 それに、初見で惹きつけられるほどの魅力とインパクトが、どうしても足りなかった感じはありますね。個人的には、あまりに感情がなさすぎる天使のほうが好みだったりしますし(これもたぶん信者目線だと思いますけど…)、ゆりのキャラ付けが弱いことを示しているんじゃないかと思ってます。
 でも逆に、最後まで見ればキャラの輪郭や要素により多く触れられると思いますから、1話だけでキャラ付けが済んでいるわけでは無いことは明らかですけどね。

2.キャラを出しすぎた
 これが僕は一番だと勝手に思ってます。というのも、従来の麻枝作品を振り返ってみると、それほど多数のキャラクターが絡み合うようなものは無いんですよね。CLANNADでは、ことみと渚、杏に椋に朋也、春原とかなりのキャラが同時に絡んでいたわけですが……あれはあくまで涼元悠一氏のシナリオなんですよね。麻枝さんのシナリオとしては、渚だったり風子だったり智代なわけで、あまり出ていませんよね…。智代アフターでは、朋也に智代、鷹文、河南子にともと出ていますがそれでも5人ですし、AB!で出てきているキャラ数と比較するとかなり少なく感じます。
 リトルバスターズ!ではたくさんのキャラが出てきているわけですが、共通部分のどこまでを麻枝さんが描いているのかがわかりませんからね。リトバスのギャグ部分は多くを都乃河氏が書いているという話もあります。ので、あれだけ多くのキャラを絡ませて笑いを生んでいたのは、麻枝さんでは無い可能性もあるわけです。
 まあそれはともかく、麻枝准シナリオの素晴らしいところは、限られたキャラクター同士で生み出される濃い人間物語ではなかったのかと思うわけです。なので、たくさんのキャラを登場させることで、麻枝准が生み出す作品がより良くなる…とはあまり思えないんですよね。
 しかも1話でほとんどのキャラを顔見せととりあえずの方向性を示してしまったために、キャラ設定などを見てない層(ちなみに僕もそうですよ?)には、全くキャラが把握できてないまま終わったでしょうし、1話で全員を出すことでより視聴者の混乱を誘ったようにも思えます。CLANNADでさえ、全員のヒロインを1話で出すことはしませんでしたし、ギャルゲーであれば1週間以上も出てこないキャラもいるわけですから、そうした比較からしてもこれだけのキャラを、モブとしてではなく意志を持った状態で1話に出してしまったのは、はっきり言って失敗だったと断言出来るでしょう。キャラ紹介は一話で終えて、あとはひたすらストーリーと世界観のほうに注力しようという感じではあるんでしょうけどね……。
 女性キャラが目立ってなかったのもあるようには思います。岩沢は、ゆりとの関係性も不明だしほとんどしゃべってもいないのにあのポジショニングで、いきなり歌って…というのも意味不明ですよね。その辺がいきなり消化できてしまう、シリアス展開のアニメってのはどんなものかを聞いてみたいですが、それでも説明不足は否めなかったと思います。

3.京アニCLANNADなどとの比較
 そういえば、京アニ版のCLANNADとかどうだったのかな?とちょっと振り返ってみたいですね。というのも、麻枝さんが意図して作品に取り入れた要素は、数十時間ゲームをプレイして初めてその多くを受け入れられるようなものなので、京アニCLANNADでもゲームをプレイした者から見てみると、作品全体を構成する要素の半分も表現できていないと思います。しかし、京アニがダメ過ぎた、というわけでは全然なくて、むしろアニメに向かなさ過ぎる媒体だったので、アニメにした時に無理があったんじゃないかと思う部分が、後半に出てしまったということだけでしょう。
 ただ京アニCLANNADは、多くの原作未プレイ者がKey作品のアニメを見るようになり、二次創作でも再び盛り上がりを見せたように、成功はしていると思います。4クール二期という長さから離脱者が続出はしましたけれども、原作プレイ者の放置率が高い作品としては、DVDの売り上げも極端な落ち込み方をしてませんでしたし健闘の部類に入るでしょう。
 それとAngelBeats!を、比較した時にどうか?と言うことが問題でしょう。何せ、誰も原作をプレイしていないわけですw 明らかなゲーム然とした世界観と展開でしたし、麻枝さんの世界観とかパターンを理解していなければ、置いてけぼり感は否めません。それに、麻枝さんはあまりアニメの見せ方についてのノウハウは無いと言うか未経験ですし、麻枝さんにアニメ制作を誘った鳥羽プロデューサーは生粋の鍵っ子として知られ、その中でもかなりの麻枝信者だという話もありますから、信者以外の層が見た時の、麻枝作品のダメなところや鼻につく部分は、おそらく見えてないと思われます。なので、盲目的に突っ走って、更に入れられるだけ麻枝さんのテイストを入れまくって作った結果があの1話だったんでしょう。
 そして、京アニCLANNADは、1話に詰め込んだのは詰め込んだわけですが、麻枝さんのテイストをある部分は抽出し、でも一般ウケしなさそうな部分はやや省いたような作りでは無かったかと思います。しかしAngelBeats!第一話に関して言えば、むしろ麻枝ワールドをどの部分でも前面に出したかのような作りでした。それが余計に鼻についた原因ではないのでしょうか?


 他にもあるのでしょうが、俯瞰的に見た場合にはこの辺が、イマイチな評価が大勢を占めている原因ではないのかな?と思います。もしこの辺が理由だとしたら、半分くらいの人は5話くらいまで見れば全然面白くなってくると思いますが、もう半分はその嫌に思えた部分がずっと気になって面白くならないまま終わるんじゃないかと思います。
 僕としては、最後まで見てこその作品だと思いますし、化ける可能性は高いと思います。が、今までの麻枝シナリオがイマイチだと思ってる人は、切っても問題ないんじゃないかとも思ってしまいます(汗。
 僕は全部見ますけどねw


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 そして、早くも作家さんたちのAB!絵があったので紹介しておきます!

■睦月まさとさんのガルデモ関根絵
http://twitpic.com/1d5tpa

■ふゆいちさんのゆり×沙耶絵。ワロス
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=9811250