Angel Beats!は、天使の「ゆりっぺの友達を作ってあげよう」な世界だった〜Angel Beats! 考察

 色々とちまちま考察を繰り返していたら、ようやく答えらしき答えにたどり着くことが出来ました。
 前回までの考察はとは食い違っている部分も多々あるかもしれませんが、こちらがおそらく答えに近いと思うので、こちらを優先でお願いします。またこの考察は、6話までの内容を元にして書いています。
 
 前回の考察で、天使は音無を戦線メンバーとして勧誘しようと動いていた、と言うことを書きましたが、じゃあ天使はなぜそういう動きをしていたのか? と考えていたところ、何かに辿り着きました。それが「ゆりっぺの友達を作ってあげよう」な世界、というわけなんですが、では何故そんな考えに至ったかを書いていきます。
【参考・天使ちゃんの音無勧誘大作戦!〜なぜ音無は天使に刺されたのか?】
http://d.hatena.ne.jp/rikio0505/20100513

 まず、見ていて確実に疑問に思うのは「何で戦線メンバーたちはゆりっぺについて行ってるんだろう?」という点では無いでしょうか? 音無はゆりに対してずっと負のイメージを持ち続けていますが、その音無の感覚は視聴者の感覚とも同列ですよね? そして一般生徒の感覚ともおそらく同じなのです。
 つまりは、ゆりを慕っている戦線メンバーこそが特殊で、そんな特殊な奴らの集まりなのが「SSS(戦線)メンバー」というわけなのです。そしてその戦線に入らない生徒は、おそらくはまとめて一般生徒となっているのだと考えられます。
 
 ではまずは、天使の行動でその仮説を裏付けてみましょう。まあ前回の記事の内容を参照すれば良いわけですが、簡単に振り返ってみます。
 天使は音無を戦線に勧誘しようと試みていました。それは、自身を敵だと認識させることによって音無のいるべき場所は戦線側だと認識させることと、ゆりや他の戦線メンバーに音無の高い能力を見せて、音無を必要戦力と認めさせることなどを、自身の地位を利用したり、戦線から攻撃される際の反撃として続けていました。音無が1話で天使に刺されたのも、逆に天使が音無に撃たれたのも、天使が音無の敵であることを認識させ、またそれを確認することが目的だったと考えられるわけです。5話で天使が音無に名前を教えたことも、音無の功績を高め、ゆりたちに認めてもらいやすいような土壌を作ったと考えられるわけです。
 しかし、どうしてここまで、天使は音無の戦線加入を後押ししていたのかはよくわかりません。以前の考察で書いたような、音無がイレギュラーな存在であることを天使が知っているのか、その異質さがゆりの成長を促すと思っているからこそ粘り強くやっているのか……。音無が、頭脳的にも身体能力的にも、あるいは運の要素も、すべてに置いて高いポテンシャルを秘めていることは間違いありませんので、ゆりの仲間になれば、色々な場面を打破出来るようになるとは思いますけどね。
 他にも、天使がゆりのために友達を作ってあげようとしていた、という考えを裏付けてくれる要素はいくつかあるので、それらを挙げながらこの説の補強をしていこうと思います。

  • 戦線メンバーがアホばかりな理由

 戦線メンバーはほぼ全て、ゆりに心酔していたり、ゆりを慕っていたりしています。それは校長室に入れるコアなメンバーほどその傾向が顕著なことが示している通りです。しかしながら、ほぼ全てのメンバーがアホです。これはどうしてでしょうか?
 つまりは、ゆりのことが好きなキャラと言うのは、奇特だと言うことなんじゃないでしょうか? そもそも、傲慢で仲間をコマとしか考えていないゆりっぺが、これだけ慕われていること自体が不思議なことなのですが、そうやって集まったメンバーはやはり変なのだと思うのです。それが、一般的な考えから逸脱していたり、例えば無茶なオペレーションにも意義を唱えずに従うことに繋がっているのだと思われます。
 音無がそうしたことにいちいち意義を唱えるのは普通の感覚でしょう。ただし、戦線メンバーはアホですし、ゆりに対してイエスマンだったり、あるいはほぼ催眠状態とも言えますので、音無が異常な考えのように見えているのだと思います。

  • 戦線メンバーと一般生徒との線引きは?

 これは、ゆりっぺに従ってアホなことばかりしている(ことを肯定する)のが戦線メンバーで、ちゃんと真っ当な学校生活をしているのが一般生徒、と考えて良さそうです。PC・NPCの違いについてはハッキリしないところもありますが、ゆりの考えに賛同している者だったり、ゆりに心酔していれば、ゆりにとっては「PC」なのかもしれません。というのも、例えば松下五段とかって、あまり自分自身の意思を感じないと思いませんか? あれはある意味では、戦線に属しているNPCなのかもしれませんね。
 なので、直井のような、ゆりの側についていない一般生徒も実はそれなりの数がいるものと思われます。

  • なぜ模範的な行動をしたら「消される」のか?

 これはゆりが言っていることですが、もしかすると、自分の仲間にならなければNPCと同じようなものだ、と言う脅しみたいなものなのかもしれません。が、こう考えると、本当に消されるのかもしれません。
 この世界は、ゆりがたくさんの友達に囲まれるための世界、と仮定します。それを作り上げたりサポートしているのは天使です。
 その天使が、ゆりと友達になろうという意思のあるキャラだけを残し、ゆりに反発したり、ゆりに反抗的な態度を取るキャラを全て抹殺している可能性はなくは無いんですよね。ゆりの敵になる存在は自身だけで、あとはほとんどが関心のない一般生徒で構成されていることも、これを裏付けているように思います。
 それを考えると、音無は天使に試されていたのかもしれません。音無はゆりに対して徹底的に反発していましたから。しかしながら戦線には居場所を見つけつつありました。推測ですが、これ以上ゆりと反発しあうようになるのであれば、天使は音無を消そうとも考えていた可能性すらあります。直井が天使と音無を共に監禁しましたが、もしかすると天使が音無を消すためのお膳立てをした可能性も……。それは考えすぎかもしれませんが……。
 最終的には、音無はゆりを受け入れることにはならなかったものの、戦線メンバーを仲間と言い切りました。つまりはゆりとも友達だ、と言うことになるわけで。天使の作戦は、半分くらいは成功したと言う事になったのではないかと思います。

  • 戦線メンバーで異質な日向とユイは、天使のスパイではないか?

 戦線メンバーでありながら、あまりゆりに心酔していないのが、日向とユイです。この2人は、どちらかと言うとゆりのために所属していると言うよりは、それぞれ別の役割を持って戦線に所属していると考えられます。
 日向は確実に、音無を戦線に引き入れ、戦線での居場所を作ってやる係ですよね。「これなのか?」って言い続けてるBL専門キャラのように見えますが、ゆりをdisる音無に反発するメンバーがほとんどの中で日向だけは、一貫して音無を受け入れていますし、音無第一の行動を取り続けています。そういえば、「日向」という名前は「日に向かっている」ですが、「日=天」と考えると「天(使)のほうを向いている」とも取れるわけで……。日向自身の意思と、天使の意向をどこまで汲んでいるのかはわかりませんが、少なくとも天使の意向に沿った形で動いているキャラであることは間違いないでしょう。
 そしてユイですが、これは2つほど意味があると思います。1つは、岩沢の後釜としての。もう1つは日向の昇天を阻止したり、日向をこの世界に繋ぎ止めるための存在ではないのかと思います。前者は後に譲るとして、後者は顕著ですよね。日向がセカンドフライを捕球しようとして、それで昇天してしまうところを、ユイは寸前で妨害して阻止しています。それ以外にも、野球回では日向を待ち伏せしていて強引にチームに入りますし、その後もたびたび日向に絡んでお茶を濁しています。もしかすると、日向が音無寄りの動きをしすぎるのを、ユイが日向に絡むことで、お茶を濁してゆりに目立たないようにしているのかもしれません。
 そんなわけで、日向とユイに関しては、あまりにも天使が戦線内への影響力を行使している動きに見えて仕方がありません。

  • 岩沢が昇天した意味とは?

 実のところよくわからないのですよね。もしかすると、天使がユイを戦線の中枢に送り込みたいからこそ、岩沢の昇天を許した、あるいはそれを誘導した、とも考えられるのですが……。他方で、岩沢のこれまでの戦線への貢献度合いから、思いを遂げて昇天させてあげた……とも取れます。が、それもハッキリしません。
 そこで、3話を思い出してみましょう。冒頭で、岩沢はガルデモ用の新曲として「My Song」をゆりに対して披露しますが、ゆりによって却下されてしまいます。その場では、岩沢はゆりに言われた「陽動にはバラードは使えない」という言葉に納得して引き下がりますが、その後に音無に岩沢の過去や想いを語ったりした後になって、岩沢が何をやりたかったのか、何をやり残していたのかと言う事を改めて認識していました。これがおそらく引き金だったのだとは想います。
 つまりは、岩沢は戦線メンバーとして、あるいはゆりの仲間として盲目的には動けなくなってしまったのではないか? と思うわけです。なので、これ以上この世界で生きていたとしても、どんどんゆりの意向と自分の想いとが乖離していく。そうすればいずれは、ゆりに盲目的な戦線メンバーの中で浮いてくることは確実です。なので消えたのかな……と。また、天使がそれを誘導したのかな、と思うわけです。天使が教師たちを呼んで、いつもの行動よりも強く取り締まったことも、もしかしたらそんな意向があってこそなのかもしれません。
 これについては、まだまだ考えが深まらないのでわかりませんけどね。ただ、岩沢が天使にとって使いにくい存在になっていて、自身の意向を色濃く反映出来るユイにすげ替えたというのは、その後の流れが自然すぎることを考えても、あり得ない話ではないと思います。

  • 天使の役割は、世界の維持=ゆりの友達の輪を維持すること

 天使の役割は、ゆりの友達を増やすことだと言う事は先に書いた通りですが、それ以上に腐心しているのが、ゆりの作った戦線を維持しようと言うことではないでしょうか?
 戦線は、ゆりの友達というか、ゆりに心酔していたり盲目的だったりするメンバーばかりで固められている。ゆりにとって非常に居心地のいい空間だと思います。
 天使はこの戦線を維持し、ゆりの求心力を高めるために腐心しているのですよね。例えば、ゆりの敵役を買って出ていることです。
 ゆりのリーダーシップを簡単に発揮するためには、明確な敵役が必要となります。そんな存在を天使は買って出ているのだろうなと思います。敵がいるからこそ、その敵に対抗すべく、あるいはその敵と対峙する存在として戦線の存在意義は発揮されていたわけです。なので天使は、戦線の敵としての役割をはたすことになっていきますが、ゆりたちがエスカレートしていくのに合わせて、天使も自衛のためにガードスキルを開発したりするなどの努力をしていきます。
 また、天使が戦線メンバーに対して、自衛のためにしか攻撃していないのも、別に天使は、そもそもゆりたちを嫌いなわけでもなく、むしろエスカレートしていくのを抑止しているだけだからこそなんでしょうね。なので、天使が戦線メンバーを消そうとはしないでしょう。もし消そうとするとすれば、前述の通りですが、ゆりに反発していくメンバーだったり、自分の側についてしまったりする生徒だけでしょう。ゆりにとって都合のいい世界や空間を作り維持していくことが天使の唯一の目的だとしたら……ですが。

  • 音無の存在事由とは?

 では、戦線メンバーが危機に瀕してもなお、天使がゆりの友達にしようと尽力していた音無の存在とはどういうものなんでしょうか?
 実のところ、そこまで読み取るにはまだまだ材料が足りないと言うのが本音です。想像では、これだけゆりのことを好きじゃないのにこの世界に生まれ出てきたこと自体がイレギュラーだったのか、天使自身が、閉塞してますますエスカレートするだけのゆりっぺに対して何か手を打たないといけないと思って出てきたのが音無で、ゆりに対してマイナスのイメージを持ちながらも戦線メンバーとなるように無理やり仕向けたのかもしれません。これまでゆりに対してイエスマンしか存在しなかった戦線としては、明らかに異質ですからね。
 そんな存在が、そのままでは戦線メンバーになれるわけがないので、日向やユイを戦線内に送り込んで音無受け入れ体制を作らせた、という考えはあながち間違ってはいないでしょう。なので音無は、戦線……とりわけゆりを変えさせるために天使が投入した劇薬なのかな? と現時点では考えています。

  • ゆりとは何者?

 ではゆりっぺって何者なんでしょうか? 傲慢でワガママで自己中、ジャイアニズムという、おおよそ最悪なヒロインなわけですし人望も本来ならあるはずがありません。それが生前のゆりの姿だったのでは無いかと思います。
 ゆりの過去ばかりがクローズアップされますが、それ以上に、ゆり自身の過去は、友達の全くいない「ぼっち」だったのかな? と読み取れてしまいます。妹たちを失ったことが本当なのかどうなのかも個人的には怪しいと見てますが、それと関係するのかしないのかはわかりませんが、生前のゆりは友達もいない、学校生活もまともに送れないなど、それは悲惨な人生だったのだと思います。
 そんなゆりに、友達に囲まれて楽しい学校生活を送るように尽力したのが天使だった、と言うことです。なので、天使ってゆりの血縁者だったり、ゆりに近しい人物だったのではないかと思ってます。母親なのか妹なのかはわかりませんけどね。
 音無も、もしかしたら、生前のゆりが片想いしていた人物なのかもしれません。

  • トランシーバの謎

 前後しますが、トランシーバの件も気になるところです。ゆりは音無にトランシーバを持たせるわけですが、まずあれはどういう意図があったと言うのでしょうか?
 というのも、ゆりにとって当面の敵であったはずの天使が失脚して、ゆりは天使のことを見限ったようなことを言ってました。そこで何故、音無にトランシーバを持たせてるんでしょうか? これって音無を試しているのかなあと思ってしまうのですが……。試しているというよりは、むしろ警戒されているような……監視しようとしているような気もします。と言うのも、音無はゆりを信用しようとはせず、むしろ天使を追っかけるようになっていました。それに、天使に簡単に名前を教えてもらってたり、天使が買ったマーボー豆腐の食券を音無が掴んだことなど、全てが天使寄りと言うか、もはや天使の回し者かとも考えてしまうような存在なわけで、音無を敵かスパイかと勘ぐった可能性は無いでしょうか?
 そう考えると、そんな音無に天使を呼んで……と助けを求めることは、自然な流れかもしれませんが、逆にすごく不自然なことにも思えてしまいます。
 まだ仮説でしかありませんが、あの声は眠っていた天使が出したものだったんじゃないかと。トランシーバは、直前に壊れていたことを音無が確認しています。これもそもそも、ゆりが壊れたトランシーバをわざと渡して、音無を試した可能性も考えられるんじゃないかと思うわけです。そして、ゆりの音無への不信感も高い、音無のゆりへの不信感もトランシーバの件でピークになってました。そこでタイミング良くゆりが、音無に対して天使にも助けを求めるようなことを言うのだろうか? と思うのです。何せ、そのトランシーバの声の後に天使は起こされるわけですが、音無に対して「助けて欲しいのはあたしたちじゃない」と言ってますが……これって音無を試しているようにも聞こえませんか? 音無が本気で戦線のみんなのために、あるいはゆりのために動きたいと言うのかどうかを。まあこの辺は不明な点も多いのでわかりませんけどね。

  • 今後の展開は? 戦線の崩壊とゆりの孤立化?

 今後のAB!ですが、天使や生徒会が戦線の攻撃対象から外れたので、おそらくはゆりの戦線内での求心力はなくなるでしょう。そうなれば、戦線メンバーの反発や戦線の瓦解、そしてゆりの孤立化……というシナリオが見えてきます。
 最終的には、ゆりの成長物語にしたいんじゃないかと思うのでその方向に進むと思いますが、そこで、音無や天使、ユイに日向がどう動くのかが非常に気になります。
 予想すればある程度の展開は見えてくるのかもしれませんが、そこは放送を待ってドキワクしながら楽しみたいと思います。
 
 
 以上で終わりです。いかがでしたでしょうか?
 かなり核心に近い部分だと思いますし、まだ言及出来ていない謎もほぼ説明がつくかと思います。何か矛盾点などがあれば、コメント欄などにご指摘ください。


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