Rewriteの需要見込みを各方面から考えてみた

 Keyの新作、Rewriteの発売が迫ってきました。鍵っ子界隈ではにわかに騒がしくなってきましたし、ショップなどでも大きく扱われるようになってきたように感じます。
 しかしながら、実際のところはどうなんでしょう? というのも、Keyの純粋な新作としてはリトルバスターズ!以来となり間隔が空いてしまっていますし、Keyの象徴とも言える麻枝准がほとんど関わってもいません。それに、現在のKeyのブランド力というものもどの位なのかが測れないように思います。そんな中で、Rewriteがどのくらいの需要がありそうなのかを、繋がりがありそうな部分から考えてみました。

 純粋なKey作品とは言えないかもしれませんが、麻枝准が原作・脚本・作詞作曲を務めた「Angel Beats!」からのRewriteへの繋がりはどうでしょうか。
 AB!は旧来の鍵っ子の支持というよりは、一般的なアニメファンや腐女子層への広がりを見せましたし、若い世代にも浸透したようでした。なので、この層を丸々取り込むことが出来れば、今までゲームを買ってこなかった層が買うことになり、セールス的には相当期待できるはずです。
 が、あまりにも繋がりが薄いですよね。そもそも、AB!を見ていた層がKeyというゲームブランドまでを意識できていたかどうかも怪しいですし、原画も違うRewriteが同じブランドから発売されるものだという認識も出来ないような気がします。何より、アニメとゲームという媒体の違いもありますし、原作や音楽がAB!とRewriteでは全く異なりますので(Rewriteのボーカル曲を1曲だけ麻枝准が作るという話も)、そもそも繋げるのもおかしな話ということにもなってしまいます。
 また、アニメファンがパソコンでゲームをするかどうかもわかりません。俺妹やスタドラのPSPでのゲームが出るから欲しいけどPSPを持ってない、という人が多いのを見ていると、更に敷居が高そうなゲームが出来るパソコンを持っている率というのもあまり高くないような気がしています。そもそもRewriteを動かしているVA開発のシグラスというエンジンは要求スペックが高く、普段Twitterとかmixiとかニコニコ動画を見たりする程度なら問題のないパソコンでも、満足に動かない可能性もあります。そもそもパソコンでゲームをするという文化がアニメファンにはあるのかどうか……。
 この感じから行くと、AB!ファンがRewriteにも流れる可能性は極めて限定的だと思います。これがAB!のゲームだったら流れる人多数で、Keyの他のゲームにまで波及してくるとも思いますが。

 Keyの前作であるリトルバスターズ!は、18禁化をしたりスピンオフを作ってコケたりなど割と迷走した感がありますが、未だにアンソロ本が複数出るなど根強い人気を保ち続けています。
 リトバスからRewriteへは、半分のキャラの原画をした樋上いたると、日常部分+3キャラのシナリオを担当した都乃河勇人が繋がってますし、音楽の折戸伸治も参加しています。繋がってるといえば繋がっているのですが、やはりそこに屋台骨たる麻枝准がいないのが結構大きい気がします。どうしても、繋がってる部分が一部になってしまっているんですよね。原画の樋上いたるは、CLANNADまでは唯一の原画家だったわけで「Keyの象徴」とも言えるわけですが。最近の氏のコミケなどでの行列の出来方を見ていると、人気がまた戻ってきているような印象があります。
 そして、新たに加わったライター2人のイメージが強すぎるのも、「これまでのKey作品」との繋がりを薄めているような気がしています。田中ロミオ氏も竜騎士07氏も好きだ、という人なら問題ないのでしょうが、どちらかが嫌いだったり、あるいはKey以外の作品はあまりやらないって人だと、却ってマイナスに映るのかなーとも思ったりします。少なくともリトバスと全くの同一線上では観られませんよね。
 同じパソゲーであり、元々リトバスは全年齢向けゲームでもあったわけですから、そこの繋がりはありますし、リトバスが面白かったしRewriteも期待という人は多いと思います。ただし、無印リトバスからの時間の空き方が結構あったので、連続性という意味では期待しにくい部分もあるんじゃないかと思います。

 この両氏ともにヒット作があり、個性的でもありますからそれぞれにファンはいるのだと思います。なのでライター人気からRewriteのセールスに繋がるのはあるでしょうし、それを狙っているのは間違いないところでしょう。ただ、ライター人気でどのくらい数字が動くかは微妙な気がしています。個人的には、田中ロミオ氏よりも竜騎士07氏のほうがより熱心なファンがいると思っているので、うみねこひぐらしファンがRewriteを買う流れになればセールス的には期待できると思っています。が、竜騎士07氏はRewriteではあくまでサブライター扱いなんですよね。なので、氏メインの作品が当たり前なうみねこひぐらしファンの人たちへの訴求力はそれほど無いのかもしれません。
 そして、この両氏のファンがKeyブランドやKey作品を好きだったり特に意識していなかったりした場合には問題ないのですが、あまり良いイメージを持っていない場合だと、Rewriteに手を出さないって可能性もありそうです。

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 とまあ見てきましたが、電撃G'sマガジンあたりを熱心に買ってる読者なら当然繋がってくるでしょうし、それで無くても今までの鍵っ子たちならRewriteまでは買うと思います(僕も買います)。ですが、僕みたいな麻枝信者的な人間だとテンションはあまり高くないですし、鍵っ子以外の需要が見込めるところまでは行っていない気がしています。体験版をプレイした人たちの感触は好評でしたし、斎藤千和喜多村英梨ら今期の人気アニメでの主要キャラの声優さんを起用したことから、声優さん需要も多少はあるのかもしれません。現在の全年齢向けパソゲーにおけるギャルゲーの市場がどのくらいの規模なのかわかりませんが、リトバス当時から広がったとは思えないし、動作環境があるパソコンの普及率という観点からも、それなりに厳しいような気がしています。
 需要が拡大するかどうかは、うみねこファンの動向次第のような気がしています。

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