萌えアニメとは一線を画す、大人キャラが魅力の「ヨルムンガンド」

 今期アニメでイチオシなのが「ヨルムンガンド」です。以前にも記事を書きましたが、その時よりも更にハマっている感じもありますので改めて書かせて頂きます。
 この作品は、正直キャラ萌えとかを狙った作品では到底ありませんし、キャラデザもかなりとっつきにくい。それに武器商人たちが旅をしていく……と、敷居が凄く高い感じではあるのですが、ここまで観てきて全くそんな放送前に感じてた懸念みたいなものは霧散していて、非常に気楽にも観れますし、キャラの魅力も感じますし、次の国では何をやらかしてくれるのだろうという期待感もあったりで一変していたりします。そんなアニメ「ヨルムンガンド」の魅力について書いて行きたいと思ってます。

  • 狂人っぽいが魅力的な大人のキャラクターたち

 絵柄が絵柄ですし、女子高生や女子中学生もいない(チナツあたりはもしかしたら若いかもしれませんが)。出てくるのは20歳以上の女性だったりおばさんだったりオッサンだったりで正直なところ萌える要素は殆ど無いような気はしてます。ただ、それと魅力的かどうかは全然別問題ですね。
 ココに関しては、殴打されようが笑みを絶やさないというか笑顔を崩さないあたりに怖さすら感じますし、大声でわめいたりしてるあたりも別の意味で近寄りがたい感じはあるのですが、それでいて最後の選択肢は絶対に間違えないあたりや、最後には確実に成功させるあたりの判断力や忍耐力みたいなものはどうにも魅力的なリーダーに映ります。あと、何気にヨナに無駄に抱きついたり密着する当たりでおねショタ的な楽しみ方もしています。
 ヨナも、生い立ちというかこれまでの生き方から仕方無いとはいえ、いきなり敵の目の前に出ていって突撃する命知らずな面もそうですし、山岳兵としての経験を生かした敵兵の待ちぶせ潰しなど子どもとは思えないような戦い方をしてるなど普通の子どもとはとても言えません。ただ、ココや仲間たちと一緒に過ごしているうちに、笑顔を見せる場面が凄く増えてきているようにも思えます。水着回では投げられても楽しそうでしたしね。武器を憎んでいたという以前の感情は今はどうなってるのかも気になります。
 しかしネタ的にはやはりバルメでしょうか。あのおっぱいと筋肉の「わがままボディ」は、美味しそうとかそういう感情は起こらないんですが何か凄いですよね……。ボディだけじゃなく近接格闘ではめちゃくちゃ強いですし、ココが好きすぎて興奮すると周りが見えなくなる当たりとかはダメ過ぎますし、そしてかつてのトラウマを思い出すと目覚める真のバルメが狂人すぎてヤバかったですね。まあ色んなネタ的にもいいですし、それでいてキリッとしてる場面では普通のボディーガードを装ってるあたりとかも面白いキャラだと思います。
 部隊の支柱なのがレームだと思いますがこのオッサンがヤバイですよね。乳毛には笑いましたが、バカンスの時も戦闘の時も全く表情を変えずヘラヘラしてるように見えながら、いきなり戦闘モードに入ったり敵を殺したりするあのヤバさというのがこのキャラの魅力なんじゃないかと思ってます。どう観ても悪人ヅラしてるこのオッサンがどうして小娘であり「お嬢」と呼んでるココに付き従ってるのかとかそんなところにも面白みがあるように感じてます。
 その他のキャラも魅力的ですよね。ショコラーデさんはこの作品における唯一の萌えキャラかもしれませんが、あのおっぱいにアホっぽい軽さだとか、ココと仕事の話をしてるはずなのに友達の会話にしか見えないあたりとか、非常に可愛らしいと思います。
 敵キャラもなかなかでしたよね。狂人代表ならオーケストラの師匠でしょうが、付き従ってたチナツもなかなか良かったというか惜しい感じの狂いっぷりと魅力でしたよね。最新話では奇人代表のスケアクロウさんもとっつきやすい感じになってましたし、全体的には親しみやすかったり、あるいはオリジナリティの高いキャラが集結しているように思います。ココの武器商人部隊だけでも掛け合いは面白いですし、兄貴は更に食えない感じの怖さを持ったキャラみたいですし、キャラクター個々と絡みの両方が楽しめるあたり、他の面白い深夜アニメと同じような要素を見出すことが出来ると思ってます。

  • 武器の知識は不要。ただ「観ていればいい」親切設計

 個人的に武器の知識が無ければ楽しめないかも、と思っていたこの作品ですが、そこは今のところ全然感じていません。ものすごく武器は出てきていて確かにその武器の性能を知っていれば「そうそう!」という感じで楽しめるとも思うんですが、知らなくて眺めてるだけでも面白いと思います。
 この作品、武器商人の物語でありながらほとんど武器の説明をしないんですよね。これはどういう性能でどういうときに使うのかとかそういうのが。「うぽって!!」という銃の擬人化アニメが今度テレビでも放送されますが、あちらは銃の性能や癖なんかでキャラクターを描き分けているので説明が結構しっかりしてるんですよね。なので凄く対照的に見えてしまいます。
 あるのはただ、その武器を使えばこうなる、という見せ方だけですよね。オーケストラのチナツが車の中から機関銃ぶっ放してましたが、その直前にそれを見つけた武器商人メンバーたちが「やべえよマジやべえ」みたいなことしか言ってなくて、ぶっ放した結果として車があんな感じになったので威力を見せている、という感じの見せ方が面白いというかわかりやすいと思います。

  • 光る中堅女性声優さんたち

 この作品を見始める前に、ココが伊藤静さんだというのにちょっと驚きました。ここのところの彼女は、どちらかと言うとエロ担当みたいなお姉さんキャラが多くてちょっとイメージしていた路線とは違う感じでしたが、良い感じの小娘さが出ていていいキャスティングだったと思います。
 バルメの大原さやかさんはそのものズバリの配役だったと思います。彼女の役の多くはお姉さん役だったり年上を強く意識させるようなものが多いので、恐らくはココよりは年上のバルメ役というのはピッタリだったと思います。ココに対して興奮するときなどの演技もさすがのものがありますしね(ああいうのはあまり他所では観てないんですけど)。そして何より素晴らしかったのがバルメが覚醒して狂人モードになった時の演技です。「C3」でピーヴィー役として出てましたが、この役がヒロインを「ビッチ」連呼して戦う本当に狂人キャラでしたがあれを思い出しましたね。こういう演技も出来る人だからこそのバルメ役ということで、ヨルムンガンドという作品の中でも最も重要なキャストではなかったかと思います。
 他にも、作品随一の萌えキャラであるショコラーデには小清水亜美さんを起用し、スイートプリキュアでも見せたアホさと明るさをしっかり演じてますし、チナツは神田朱未さんが女の子な感じと豹変した後の切り替えも上手く演じてました。他にも恒松あゆみさんとか、他の萌えアニメにはない人選が非常に面白いです。
 男性キャラも、どちらかと言えば若い男性声優さんは起用していないような感じですし、声優イベント好きな人とかへの訴求力は全くないキャスティングになってはいますが、各声優さんの演技は本当に素晴らしく、いい大人なキャラの芝居を見させてもらってるって感じですね。

  • しっかりと「世界平和」へ向けての活動を描いている

 ドンパチと話し合いばかりだし海でバカンスとかもしたりと色んなことをしてるココたちですが、目標は「世界平和」です。世界平和のために武器を売るし時には銃撃戦もやるなど矛盾してるかのようですが、案外そうでもありません。
 何せ、紛争が早く終わるように手を回したり、世界を騒がすテロリストを始末したり、軍事転用されたら危険な技術を渡らせないようにしたり、国境なき医師団をこっそり運んだり、地域を混乱に陥れる部隊を全滅させ親玉だけを捕まえさせる手助けをしたり……と、大まかに観ても、平和的にではありませんしなかなか手荒いことをやってるんですが、ちゃんと戦争やテロを拡大させないような方向に導いているのです。武器も、作中で明言してますが戦線拡大のためには売ることはしておらず、世界平和へ向けて使用しているものばかりです。無駄に人殺しをしているわけでもありませんしね。
 最終的にココたちが世界平和を達成できる……とはちょっと思えないのですが、彼女が理想とする方向へ走って行き、それに手練のメンバーたちがついていく様は一貫して描かれていますしそこが面白いところだと思ってます。

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 ヨルムンガンドのアニメは一旦6月末に終了してまた10月から後半戦がスタートするわけですが、この先も非常に楽しみですね。彼女たちが向かう先にはどんな世界が待っているのでしょうか。ココの笑みの秘密やヨナの成長が楽しみです。

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今もその印象は変わっていませんね。ポジション的には黒子のバスケの監督さんみたいでもありますが。

ヨルムンガンド オリジナルサウンドトラック

ヨルムンガンド オリジナルサウンドトラック

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